267 冬暁、待宵の月を結ぶ
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んんっ……、はぁっ…………!
さとる、ばっかり、さわってずるい…………。
[ 絶頂の予感がする中で
私も君に触って気持ち良くしたい、って
伝えようとしたけれど……
途切れ途切れになってたから
伝わったかはわからないな。 ]*
[ 分かっていたつもりなのに。
僕は君の心を、今も奪い取って…… ]
[ 僕は、結月のことが好きだ。
自覚しているからこそ
今は甘く嬉しくて、苦しい。
僕の心を満たす思い出達は
シルクのような君の肌に息を飲み
布が剥がれていくほどに
]
[ 僕が履いていたズボンの
太ももに付いた痕はきっと……。
甘い悲鳴で訴える結月に
こんな時でさえ悪戯心が顔を出す。
君の想像していないようなことをして
君を掻き乱してしまえばいいと
少年心にも似た愛情が舌先に乗ってしまうんだ。 ]
[ 君を掻き乱すことに夢中になれば
せっかく君が何か訴えようとしてくれたのも
はじめは聞きのがしてしまう。
声色から溶けでる理性を絡めとって
蕩けた声が限界を示す。
呑まれた君が不安にならないようにと
力強く掴んだ指先が小さな痕を作ると
そこでようやく僕は、君の声に気づいて。 ]
[ 僕は蜜を吸うのを止めると、
指先を濡らしたまま結月の手を握る。
この先のことへ大きな期待を膨らませた
僕の身体はまだ触られていないのに熱くて
結月がどうするか
しばらくは彼女に任せるつもりはあるけれど
戸惑うようならきっと僕は
綺麗なその指を手に取り誘導したことだろう。
]*
[ そのつもりだったのに。
君に大切にされて、いつの間にか心を奪われてた。 ]
[ 君しかいないから君と行こう、じゃない。
君と行きたいから一緒に行こう、
に変わってた。
君とじゃなければ意味がない。
そんな風に考えるようになってたんだ。 ]
[ 君からもらった愛情に溺れてしまいそう。
甘く鳴いて君の思うままに乱れた姿を見せて
与えられた快感で頭がいっぱいになる。
自分ばっかりじゃなくて、君も
そう、ずっと言いたいはずなのに。
理性をからめとられて、蕩けた声を
静かな部屋に響かせてしまう。
大好きな人にされてるから
気持ち良くてたまらない。
これが最後かもしれないから。
甘い快感を忘れないように刻み込みたい。
波に吞まれてしまった私が
大きく息を吐いて呼吸を整えてる間も
蜜は溢れ続けてシーツを濡らす。
ほんとはもう、欲しくてたまらないけど
私だって君に触りたかったから
疼く身体を抑えながら君の方を見て。 ]
[ 暁の手をぎゅっと握り返してから
どうしよう、って一瞬悩んで。
頬に手を当てて触れるだけの口付けを落とすと
少しずつ手を下へと降ろしていく。
頬から腕を伝って脇腹までなぞったあとは
焦らすように太腿を何度か撫でて。
君の熱に触れてもいいのかな、って
触れるか触れないかの所で戸惑ってたら
優しく君の手が誘導してくれた。 ]
[ びっくりするくらい熱い。
あの日、これを私は受け入れたんだ、
そう思うと今でも熱い身体がさらに火照っていく。
最初はほとんど力を入れずに撫でるだけ。
そのあと軽く握ってみたけれど君からしたら
じれったい感覚だったのかな。
力加減が分からなかったから
君に教わりながら少しずつ手を動かしていく。
時折痛くないかな、って伺うように
君の方を見て。
それだけでは物足りなくなってしまった私は、 ]
[ いたずらっ子のように微笑んで
目を閉じたのを確認すると
触ってた君のものを口に含んで。
さっきされた仕返しのように
暫くは夢中で舐めるんだ。
たとえ君がこっそり私を見てたとしても
それに気づかないくらい。
君にも気持ち良くなってもらいたい。
私ばっかり乱されてたから
君の余裕だって奪ってしまいたい。
そんなことばっかり考えながら
止められるまで、君への奉仕を続けてた。 ]*
[ 既に繋がりを求めて疼く身体を抑えて
ねだる待宵、誘う冬暁。
結月に全てを委ねた僕は彼女の手を
目でそっと追いかける。
最低限鍛えてはいるものの
筋肉質とまでは言い難い身体を
結月の細い指が撫でていき、
太ももに触れられれば
もどかしさに身体が震える。
手を誘導したら
僕がこの続きを求めていることも
結月は気づいくれたみたいだから。 ]
[ 本当は、結月に言わせたかった言葉なのに。
結月が愛おしいあまりに
僕が先にその言葉を口にしてしまう。
どこまでしていいのかって
僕が逆の立場で感じていた戸惑いを
慣れない結月が感じなくていいように。
言葉にすれば、自分も熱くなるんだって
初めて体感することになった僕はというと
結月の目の前に晒すことになるもっと前に
既に大きくしてしまっていたのだけれど。
]
[ たどたどしい手つきが
敏感な熱にはかえって鋭利な快感になる。
気を遣ってくれているのだろう
僕がじれったさに耐えきれず
切なげな吐息を零してしまったら
今度は柔らかな手に包まれて
だんだんと加減を覚えた手つきに
僕は身も心も籠絡されていく。
君の手で昂る僕はきっと君の瞳の中で
誰も知らないような甘い顔をしていたはず。 ]
[ 結月の言葉に従うまま閉じた瞼の裏には
あの微笑みが魔法のように絡みついていて
指だけでも気持ちがいいのに
口に含まれてしまうと初めての暖かな感触に
腰を浮かすくらい反応を示してしまう。
見えないだけで、敏感さが増すんだと
僕はこの時に初めて思い知ることになる。
条件反射で薄目を開くと
その時に見えた光景にしばらく釘付けになって
それでもまた目を閉じるのは
僕を虐めようと夢中になっている君が好きだから。
]
うぁ───結月の口の中、あっつ…!
[ 自分のコントロール化から外れた身体は
与えられた快感の量を推し量れなくなる。
快感に脳が支配されて
身体が敏感になればなるほど
自分の身体なのに抑えが効かなくて…………。 ]
[ 頭の中が酸素を無くしたみたいに
ただでさえ熱に浮かされた思考が更にぼやけて。
荒い吐息を吐いて呼吸を整えているうち
僕は気づいたように慌てて結月の様子を伺った。 ]
っ────!
結月ごめん…!僕、勝手に…!
[ 近くにティッシュはあっただろうかと
探す僕はきっとみっともないかもしれない。
悪戯な君の前ではいつもそうだけど
今回ばかりはそれ以上に狼狽えて
それでも熱がおさまらず
まだ大きさを保っていることに気づいたのは
僕と君、どっちが先だったのかな。 ]*
[ もどかしそうに身体を震わせてる君を見て
もっと焦らしたいって思ってしまう。
さっきの君の気持ちと同じだったのかな。
続きを欲しがる君に
導かれるまま、そっと触れて。 ]
[ 私だって、君にならなにされたっていい。
ずっとそう思ってたし
何処かで口にするつもりだったけれど
その余裕さえ持てなくて。
先に言ってほしいって思ってても
おかしくないのにプライドより
私への気遣いを優先してくれる君は
やっぱり優しい。
それが君にとっては当たり前だとしても。
あの日目にした時はじっと見たわけじゃないから
大きさに一瞬目を奪われてしまう。
怖いわけじゃない。
疼く身体がもう欲しいって求めるのと
君のことをおとしてしまいたい、
そんな葛藤に少しだけ固まってた。 ]
[ 切なげに息を零す君の期待に応えたくて
白い掌で君の熱を包み込む。
手を動かしながら君の顔を伺えば
見たことないくらい甘い顔をしてて。
嬉しくて微かに笑みが浮かぶ。
君の心を全部奪ってしまいたいから。
他の誰も絶対にこんな姿知らない。
私が初めて、君の甘い顔を見たんだ。 ]
[ 余裕のない君の声にゾクッとする。
もっと、もっと乱してしまいたい。 ]
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