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人狼物語 三日月国

55 (R18)竜宮城


【人】 しあわせうさぎ 理恵

[初日の出を見ようと誘われれば>>6、「はつひのでってなんじゃ」「それは食えるのか?」「朝のうちに見つかるじゃろか」「まてどこにあるのか説明してから寝んか!」ぽんぽんと問いかけたが、フウタはよほど疲れていたのか、説明も無く眠りこけた。

 そして自分はとっとと寝ておいて、まだ寝ぼけてる理恵を揺すり起こした。
「もう探しに行くのか」「そんなに大仕事なのかはつひのでは」「よし理恵が先に見つける
ゼッテー勝つ
」ふんふんと鼻息を荒くしていると、フウタがベランダを覗いている。「そぉぉぉんな簡単に見つかるわけ無いじゃろーーーー!」ふっはーと勝ち誇って背中に飛びついくと、フウタがカーテンを引く。入り込んできた光に、二人で目を細めたか。

 窓を開けずとも、冷気が肌を撫でた。良く冷えた日は、空気が澄んでいる。

 空はすでに桃色に色づいていた。雪化粧を施した山の上で、薄くたなびく雲が、どこまでも続いている。低いところにある太陽が、その濃淡をことさら繊細に表現していた。薄紫色に、桃色に、あるいは赤に絶えず変化して、一瞬でも目を離せば、二度と同じ色には出会えない。
 
 山の端がひときわ黒くなり、その後ろからオレンジ色の光があふれ出した。
 雪に覆われた山肌を、元日の陽が滑り落ちる。陰影は一層濃く映し出され、きらきらと輝いた。

 良い元旦だった。

 太陽が昇り切って、変化が乏しくなれば、「さてはつひのでを探しに行くかの」とでも誘っただろうか。そして今見たものがそうだと知れば、「……つまり今回は同着じゃの?」ちょっと悪あがきした。]
(12) 2021/01/07(Thu) 22:08:56