![]() | 【人】 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「……というわけで、閉幕だ。実に悲しいお話だっただろう、諸君?」 芝居がかった動きで両手を広げ、 目先に広がる子供たちの輪に語り掛け、 しくしく泣いてる子供を見つければその目尻を微かに歪まて。 「どうした[任意名称]いや待った当ててみせようそうだなお前の反応からしてごく最近似たような感じで死んだ何かを見ただろうそうだなそれは……お前のペットの犬だろうそうだろう」 途端に早口になった『先生』の言葉に驚き、目を見開いて頷いた子供の頭を軽く撫で、顔を逸らして空を見上げた。 「ヒヒ……こほん、Non è vero?……なんでわかったか不思議? そうでもない。なんせ俺はお前達の先生だからな。 さあ、明日は楽しい話をしてやろう。今日は終わりだ、また明日。」 ばいばいせんせい、去っていく子供達。 空を見たまま手を振って、ふらりふらりと歩き出す。 自身が営業する閑古鳥と同棲中のモーテルの扉を越えて、 やっとにやけきった顔が地平に向いた。 「ああ〜たっまんねえ〜チョロい子供誑かして感情操り放題して盗撮盗聴機つけて古巣に帰って好き放題に日常覗いて情報全部ブチ抜いてそこから枝葉を広げて手を広げて整理して形にして…… それで、これから……お仕事だもんなあぁ〜! Che gira,che te gira!Mygrindstone continua a girare...」 誰に語るでもない、ただ虚空に歌と言葉を投げかけながら己が身を抱いて震わせる。 微かな水音と共に内腿を光が伝っていって狂喜に蝕まれた女を飾った。 (23) 2023/09/02(Sat) 12:47:27 |