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【人】 口に金貨を ルチアーノ>>30 ニーノ 暗い知らせと取締法が収束しかけ明るい賑わいを見せる頃。 空は晴れ渡り、火花が空に咲き―― まだ知人達が数人拘留されている時間、外に用があった男は出歩いていた。 そうしてふ、と一台の車が目に入る。 その車の運転手など見えない、ナンバーに覚えもない。 それでも、都合の良い『あいつ』の車だと気付いた瞬間、 ルチアーノはパレードの通りに向かって走っていた。 パン。 音がやけに大きく聞こえた気がした。 どんな状況であるか男は確認できないまま辺りを見渡す、そして漸く見つけた知り合いは。 賑やかな喧騒の前に立ち尽くす、彼らが大事にする小さな弟分だった。 「ニーノ!」 その呆然としている姿に声をかける、貴方はこの嫌な予感の当事者であったのか。 それとも、ただの、目撃者であったのか。 #BlackAndWhiteMovie (37) toumi_ 2023/09/27(Wed) 18:18:59 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → favorire アリーチェ「ン? お嬢さんは――アリーチェかあ」 貴方に映るのはやけに興味深げに顔を見つめてくる男の姿だ。 それは迷子であることに対する興味か、 羞恥で目をそらしている事に対するものか。 実際はどちらでもあったが、重要なのは名前を即座に呼べたことだろう。 「ご機嫌よう、牢獄の生活は堪えただろう。 怪我や病気にはかかっていないか? 件の法案で捕まった連中はマフィアも警察もこぞって釈放だ。 俺でよければ道案内しよう。 だが、お嬢さんは確か幼馴染みがいたと思うんだが…… エスコートしてくれる色男は他にいないのかな?」 (-28) toumi_ 2023/09/27(Wed) 18:27:53 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ「……はあ、まったく……」 このあと直ぐにタートルネックを部下に持ってこさせた男は、あまり目立たせることなく監獄を過ごせることにはなる。 差し入れも、もしその時が来るのであれば助かったのだろうが。 「おー……まあ。少しでも寝られたか。 ついてやるとも言ったのに……こんなことして」 「おう、戻れ戻れ。ああだがちょっと最後に聞かせろ」 「お前にこの入れ知恵をしたのは誰だ? 絶対居るだろ。 そして……本当にそいつがここまでするように指示したのか」 ここまで、というのには首についた歯型を指している。 随分な見た目になったし、正直貴方がここまでやるとは思わなかったと返して。 (-46) toumi_ 2023/09/27(Wed) 22:34:45 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-48 「あの老害は俺を一体どうしたいんだ」 頭を抱えた、どうしてこんなことを教えたのだろうか。 俺になにか恨みでもあったのか?と言いたくなるような仕打ちだ。 よくもまあ、ここまで。本当に理解をしていて困る男だ。 「…… こんな噛まれ方をして抱かれた事がある 」「…… 名前を言え 」言ったらかえって良いぞ、と。 同時に、言うまで帰るなとシンプルで分かりやすく笑顔を向けておねだりをした (-56) toumi_ 2023/09/28(Thu) 1:36:38 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ「……うるさい。随分ご機嫌なようで」 まったく目の前の男は突然口が回る。最悪の気分であろうに、一体どうしてそんなにその威勢を保てるのか。 本当に殺しておけばよかったと思うのはこの先に予知できる破滅の音のせいだろうか。 知ることが好きだ。先がわかることは安心する。 大事な人が知らない場所で死なれるのが嫌だった。 いなくなるぐらいならなら、この手で、目の前で死んでいなくなって欲しい。 何故こんなに執着してしまったのか身体を重ねたからなどではない、と思っている。 ならばやはり、少なからずこの目が貴方をただの悪人と捉えていないからであるのだが。 この感覚は説明できるものではないし、理解されるとも思えず終ぞ口に出されることはなかった。 溢れんばかりの情報を、大雑把に勘だけで見通してきたここ数年間。 ただただこの男が、理由もない大悪党だとは思わないという理由だけで。 本当に今更な感情に振ってくる言葉も途中まで考えられず、最後に漸く顔を上げた。 → (-72) toumi_ 2023/09/28(Thu) 9:18:15 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ「死体……?」 ヘタれた子供と呼ばれた男はうっそりと目を細めた。 それは彼の周りの人間は知らない顔であることを、また彼自身も知ることではない。 「…………」 万が一が起きたその時。 黒眼鏡も、ボスも、必要なのは生死の判断だろう。 もしかしたら死体を傷めつけられたりするかもしれない。 死者を冒涜する人間も晒し者にする存在もいるかもしれない。 自分はそんなことはさせたくはないし、させるつもりもなかった。 「わかった。 必ず見つけてあんたの墓の常連になってやる」 自分以外が簡単に知ることもないようなその場所に、一体どんな意味があるだろう。 貴方にとってもその墓を懇意にする事実がどういったものをもたらすかもわからない。 しかしまるで望んだ物を手に入れたような様子でルチアーノという男は貴方にうすく笑いかけていた。 (-73) toumi_ 2023/09/28(Thu) 9:21:56 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオもう一度、貴方の指先が床を掻いた時。 触れた熱は少し暖かく、柔らかい物であった。 その夢に入り込むのは――眠る猫の姿。 誰にも触れられずただ無防備に、静かに眠っている。 「――呼んだか? リヴィオ」 貴方がその重たい瞼を開ければ、横になっている一人の男が世界に映りこむ。 男は幾回にも渡り残された赤い線も気にせず横たわり、眠そうな顔で似通った海の色を見つめていた。 血のにじむ手の下にも違う形の片手が滑り込まされていて、再度の床への傷は掠れるものとなっただろうか。 「お前まで子守唄が必要かね。 ……俺もシエスタは好きだがなあ、そろそろ帰る時間だぞ」 (-76) toumi_ 2023/09/28(Thu) 9:41:54 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-58 「……ほお。お前が、頼んだ。 そんな噛み方をして、答えた奴が」 「…………イレネオだあ?? あのガキ」 「心配しただけでこんな噛み痕もキスマークつけてるなら 随分この町はもっと性犯罪が頻発しているだろうなあ! お前、そいつを庇ってるんじゃねえぞ! 少しは文句を言え! 首まで隠す羽目になるのは仕事の支障にしかならないだろ。 それと、善意で強姦して許されるなら警察はいらねえ! お前らは何処で働いてる、鏡見てから仕事するんだな」 結局怒った。 「さっさと出ていけ、馬鹿野郎。……ああ最後に」 「 二度と黒眼鏡に会うんじゃねえぞ! 」先程流そうとした思考が戻ってくる。 誰しも自分の信じる姿でいることなどない。 疑って過ごすべきだ、だから一番に気にかけるべきだった。 この幼馴染はちっとも信頼できない不用心な人間で。 マフィアなんかと関わるべきじゃない大事にしなければいけない存在だったと。 男のくせに、とため息を吐いて牢の出入り口に向かって追い払うように手を振った。 此処から出てからも話すことが多すぎる、そう考えながら。 (-77) toumi_ 2023/09/28(Thu) 10:06:14 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → favorire アリーチェ「俺はルチアーノだ。 はじめましてだなあ……友人の妹分だと聞いている。 様子を見てやりたかったんだが、結局こんなところで話すことになるとは夢にも思わなかったね」 どうして男と二人きりで危機感が緩むのやら。 随分と気を許されているようだが今は気にかけることをやめた。 大事なのは無事に貴方がこの牢獄の迷宮から抜けることが出来るかだ。 「あの二人は大したこと……ないだろうー。 これは一種の信頼でなあ? ここを出たら一緒に酒を飲みにでもいくさ。 それで――」 「誰を探したいんだ? 俺が手伝ってやろう。 丁度外に出る準備は整っているんだ、その連れも一緒に出ればいい」 さて、目の前の彼女は何処と繋がっているのやら。 やり残した冤罪の証明を自分自身でしなければいけない。 (-79) toumi_ 2023/09/28(Thu) 10:30:43 |
【人】 口に金貨を ルチアーノ>>49 ニーノ 「ヴィトー、……そうか。あいつが」 本当に、嫌な予感が当たってしまった。 だけど今ここに死体はない、周りが騒いでいる様子もない。 つまり彼はまだ生きていて、彼女は殺し損ねたか何かを仕込んだか。 少なくとも――その引き金を引いたのは確かなのだろう。 「……すまんなあ、ニーノ。止められんかった」 また男はあなたに謝った。 悪くもないのに、ただ謝った方が楽になれる気がして。 それは起こるのがわかっていたかのような表情で、諦めたような、それでも物悲しそうなものであった。 「旦那のことは諦めるんだなあ。 あの音で撃たれて騒ぎがないってことは もう何処かに逃げてるか、誰かに匿われてる。 行き場所は分からんが、……俺たちが探すから心配するなあ。 無事なら病院に直ぐ運ばれるだろうよ」 「それよりもなあ、ニーノ。今お前は誰に何を言ってやりたい。 ちゃんと決めんとならんだろ、俺はそれの手助けをしてやる」 「また一人で泣いてお家に引きこもるつもりか?」 #BlackAndWhiteMovie (52) toumi_ 2023/09/28(Thu) 11:06:12 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ>>-87 「Ciao,ニコロ」 快活な声色だが気だるげな態度で声をかけるのは首までしっかり着込んだ貴方の友人色男だ。 「……はあ。 なんでこうなってるんだ? 説明はするな、どうでもいい。大変だったなあ」 鍵が開けられた牢の中に入れば貴方の目の前に行ってしゃがみ込む。 目の前の男の傷は見ているだけで痛々しい、その上何か飲まされているらしく扱いが厄介だ。 俺が背負っていかなくちゃならんのかもしれない。それは怠い。 「――問いに答えてくれえ。 手は、貸してほしいか」 (-89) toumi_ 2023/09/28(Thu) 14:02:28 |
【人】 口に金貨を ルチアーノ日常と言うにはまだ遠いが、それでも多少の落ち着きを取り戻してきた頃。 その日はなんてないただの雨予報の日だった。 灰色の空は水気を含んだ空気を纏って重く沈んだ色をしている。 こつん、わざとらしく靴先で石を蹴った音。 忘れるわけもない。気付いてしまった自分に嫌気がさした。 「Bonsoir.愛しの猫ちゃん。今日も可愛らしいね」 その声の正体が確信へと変わった瞬間、彼の体はただただ固まって、その顔を見る事しかできなくなっていた。 「なんだ、ご機嫌斜めだね。 色男になったのでも言われたかったかい?」 散歩でもするように歩いてきた者の名はファヴィオ・ビアンコ。 十年前にルチアーノの上司となり、五年前に行方不明になった男であった。 #ReFantasma (57) toumi_ 2023/09/28(Thu) 21:55:13 |
【人】 口に金貨を ルチアーノ「見違えたね、随分大きくなって」 「……だんまりか、本当に拗ねているのかい。 甘えたがりのルーカスは何処に行ってしまったのかな」 「うるさい」 聞きたくない、嫌でもあの日を思い出させるから。 目の前の男に触れられ、愛されて満たされていた日々が蘇ってくる。 失いたくなど無かった、ずっと居なくなって欲しくなかったものだ。 「どうして今更此処にいるんだ」 焦がれて、愛して、忘れられるはずなんてなかった存在が目の前にいる。 男から彼に施していたのは五年間の"教育"だ。 彼が決して逆らわないように、男の前では従順で素直で、常に周りを疑い警戒をし、それこそ男が居なくなれば何もできなくなるような人間になるように。 彼に自覚させることもなく、それが正しいことなのだと教え込ませ続けていた。 それは確かにうまくいっていて、今でさえその事実を彼は自覚することはない。 しかしそれは――未完成に終わっている。 #ReFantasma (58) toumi_ 2023/09/28(Thu) 21:58:17 |
【人】 口に金貨を ルチアーノ「仕事だよ、言わなかったかな? 『行ってきます』って。期間を言い忘れていたかもね」 「なんだ寂しかったのか、それなら君が怒るのも仕方ない。 私が居なくなってから昇進もしたようだし、 それはうんと働いて一生懸命に頑張ってきたんだろう」 五年前ファヴィオはオルランドに海外のマフィアへ諜報員として潜入する命を受けた。 極秘任務の為に完全に身分を隠さねばならず、同意の下行方不明扱いにされることになる。 そうして雨が降りしきるその日、何も言わずに男は彼の前から姿を消したのだ。 「それでも、漸くひと段落付いた。 時間はかかったけどボスにも許可は貰っていてね。 やっと君を連れて行けるようになったんだ」 ああ本当に自分勝手だな、年寄り共は。 俺のことを一体何だと思っているんだ。 初めからそうだった。 死体の前に血塗れで座る子供の俺を連れて行った今のボスも。 そんなガキを兄弟みたいに連れまわして面倒を見た黒眼鏡も。 十年前がらりと変わったファミリーで孤独を埋めてきた男も。 本当に、俺を何だと思って。 #ReFantasma (59) toumi_ 2023/09/28(Thu) 21:59:29 |
【人】 口に金貨を ルチアーノ「おいで。また昔みたいにしてあげよう」 男は動きがない彼の目の前まで歩んでいけば、流れるような仕草で頭の上に手を置いて髪を梳く。 腰を抱き寄せつつ首元に見えた赤い痕におや、と呟けばくすくすと楽し気に笑って愛で続けた。 「何も考えなくてよくなるよ。沢山頑張って疲れただろう?」 「ファヴィオ、」 反射で男の名前を呼んでしまえばもう止まらない。 「俺は……」 揺れた声は艶を帯びていて、緩やかにそのシャツに手が伸びて。 縋るように服に皴を作れば、甘く誘うように口端が上げられる。 やっと、見つけた。 #ReFantasma (60) toumi_ 2023/09/28(Thu) 22:00:59 |
【魂】 口に金貨を ルチアーノ (_3) toumi_ 2023/09/28(Thu) 22:03:23 |
【独】 口に金貨を ルチアーノ分厚いランダムに組まれた繊維が男を貫こうとする弾の威力を分散させた。 鈍い音がする。あばら骨の一本二本は折れただろうか。 「おお痛い痛い、飼い猫に手を引っ掻かれた気分だ。 やれ、随分とやんちゃになって…昔とまた違う魅力を感じてしまうなぁ。 ふふ、これ以上君のことを好きにさせて、一体どうしてくれるんだい? なんてね。私も命は惜しい、と言うより死んではいけない」 「舌噛んで死ぬぞお。もう一発受けるか」 「世界の宝を壊す権利を愛しの君に渡したいのは山々だが、 愛より優先しなければならない使命が私にはあってね」 「いやぁ、すまないな、私が色男なばっかりに 君を首ったけにさせてしまって」 「どっちが。あんたが俺を欲しがってるんだろう。 甘えんな、俺に甘えていいのは犬と猫だけだ」 ルチアーノ・ガッティ・マンチーニは謔笑を送り。 ファヴィオ・ビアンコは巧みに咲い返した。 「私が必要なくなったら、いつでも捨ててしまいなさい。 とは言えいつかに私が愛を最も優先してよくなった時、 君がどこぞに落ちていたなら拾ってやるさ。 安心して捨ててくれていい」 「そんなところかな。それではね、A bientôt〜!」 #ReFantasma (-119) toumi_ 2023/09/28(Thu) 22:04:06 |
【独】 口に金貨を ルチアーノ立ち去る男の背を彼はもう追うことはしなかった。 「……」 「結局、置いていくんだよなあんたも」 俺のことを信じているくせに。 俺が信じているのを知っているくせに。 「……動けんー……」 しゃがみ込んで、新しい酸素を吸う。 誰かが銃声に気づいて来てしまうだろうか。 それでも暫くは足は動いてくれないから。 『すまんな、こんな時間に。 今から言う住所のところに車乗ってきてくれえ。 今日は部下連れてこれなかったんだ』 いつも通りの声で、何を返す間もなく。 最後に場所を告げれば、ぷつり、電話を切った。 #ReFantasma (-120) toumi_ 2023/09/28(Thu) 22:06:35 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ>>-137 野次馬が集まり始めたその通りは賑わっていて。 どうやら発砲事件があったらしい。 しかしそこには怪我人も銃を持った人間もいなかったのだとか。 何処かで見たような事件の話、明日の記事に小さく乗って忘れられるような物だ。 「――ロメオ」 そんな路地の裏から話しかけてきたのは貴方を呼び出した男だ。 声色はいつも通りに思われたが、腹部および右手に赤い血痕がべったりと付着しており何事かしか起こっていない。 追加で滴っている様子がないことから観察していれば返り血であるのがわかるだろうか。 「……あー。アジト以外ならどこでもいい」 そう、ただ此処でもいいわけでもない、と。 今回の貴方への要望は何処かに連れて行って欲しいらしい。 #ReFantasma (-139) toumi_ 2023/09/28(Thu) 23:58:09 |
【人】 口に金貨を ルチアーノ>>54 ニーノ 「お節介なところが誰かに似た。 なんだ甘えたいのか、どうした?」 視線を一瞬だけ他所にやって、また顔を見返した。 やはり大人だといっても心配されるような家に居るのだろう。 羨ましいような、そんな自分も想像もつかないというべきか。 「なんだそんなことか。 お安い御用だ、その言葉のチョイスの是非は置いといてな。 いったい誰に貰った教わったのやら」 「重要なのは言葉の意味じゃない、おまじないであることだ」 そう言いながら、貴方の頬に手を当て、こつんと額を合わせる。 「ニーノ、お前は"大丈夫だ"」 余計なことは添えずに男の目は正面から貴方を見つめている。 根拠もない言葉がどんな意味を持って貴方の中に生きるのか。 きっと多くに生かせる人間であると男は信じていた。 それだけに頼り切らないで歩いてくれると祈っていた。 だから、これだけでいい。 #BlackAndWhiteMovie (61) toumi_ 2023/09/29(Fri) 1:23:25 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → favorire アリーチェ「噂のルーカスさん、ははっおもしれえ言われようだな。 好きに呼んでいい、歳もそこまで変わらん、テオドロの一つ上でリヴィオと一緒だ」 さらりと貴方の同僚達と仲がいい旨も告げる、年齢はわざわざ聞いたものではなく調べたものだが。 それぐらいは気にするような者達ではないだろうし、歳を知っているという情報も巧妙に隠しているつもりだ。 「ヴィットーレが拷問? あいつ、自分の店が燃えて警察に捕まったと思ったらそんなことになってたのか。 仕方ないな……あー、……ん−?」 「……、 すまんヴィットーレやらかした 」どうやら名を挙げた彼とも知り合いではあるらしく、同時に何かを謝罪した。疚しいことでもあったのだろうか。 「よし、今から何でもしてやる。奴には特上の個室を寄越そう。 お嬢さんも付き添いだけじゃあなくて一緒に診察は受けてくれ。 こんな悪環境で何か病気を貰っていてもおかしくない、 同じ病院でかかれるように手配してやる」 「そんなところか、運ぶのは今すぐしよう」 電話を手にして部下に車を手配させた。 そうして踵を返せば、彼の牢屋までの長くない道のり、貴方を連れてその道を行く。 「あんたはヴィットーレがなんの罪で捕まったか知ってるかあ? 俺はな、少しだけ。それが悪い事かどうかは知らんが。 お嬢さんはどう思う、取締法で捕まったやつらのことや ――罪もないのに捕まえられたこと。 こんな可憐なお嬢さんが冤罪以外で連れてこられることなんてないだろう?」 (-155) toumi_ 2023/09/29(Fri) 2:03:24 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ>>-145 「そうだな、俺は正直者なんで怪我をしていたら言う」 流石にその表情と言葉に申し訳なさを感じたのか、 しっかりと自分に被害があるわけではないことを告げた。多分。 少なくとも物理的被害はその血の汚れだけだ。 「なんだ、俺が悪いのか? ちゃんと仕留めようとしたんだ」 「これでも頑……」 言葉を止めたのは決して褒めて欲しいわけでもなんでもなく、 今思えば完全に自分の事情でファミリーを撃ったことであり、 むしろあまり良くないことであるとわかりつつ、 怪我の理由も痴情のもつれにジャンル分けされるのかと思うと一瞬で気分が悪くなったからだ。 自分から見ても他人から見てもそうかもしれない。 最近猫と自分が入り込んだその座席にもぐりこむ。 出来る限り汚さぬように気を使いながら、投げられた濡れタオルで手を清め一息ついた。 服の問題がある、日が暮れゆく世界の中であれば目立たないがそのままもよくはない。 だがそれ以上に、もう動きたくもなかった。 「……服は、外で脱ぐ羽目にならなければどうでもいい」 「海に嫌な思い出は、ない」 「多分、泳ぎは微妙」「見るのが好きだ」 #ReFantasma (-158) toumi_ 2023/09/29(Fri) 2:08:00 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ>>-106 「おう、改めておはようさん幸せ者」 「悪いがゆっくりは寝れんのだ。 目は瞑っていいが寝るな、しばらくしたら俺が運んでやる。 ……それとリヴィオ、お前医者嫌いだろー、顔に描いてある」 どうするんだその怪我と、ため息を吐いて医者に出張してきてもらおうかだとかぶつぶつ聞こえてくる。 金の力でどうにかする算段を独り言で呟いていれば漸く貴方の方に意識を向けて。 「なあリヴィオ。今どんな夢見てたか覚えているか。 ……話せるんなら話せ、体より口が今一番動かせるだろう」 改めて訪ねるということを、教えてくれと頼むことは自分にとっても久しぶりであった。 幼馴染にも、友人にも、上司にも。知りたいと言って調べることはしてきた。 だが、その場で教わりたいとちゃんと言うのはそれはそれで勇気もいる者で。 決して自分勝手に関わりたいわけじゃあない、貴方のその口から聞いてみたいことだってあるのだ。 (-159) toumi_ 2023/09/29(Fri) 2:15:59 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-124 貴方が病院の中庭に辿り着いた頃、ベンチに見慣れた男のシルエットがあった。 その男は誰かの見舞いであろう病院の前にはない店の紙袋を下げながら暖かな日差しの下で眠っている。 他人の視線や居場所を関係なく眠っている。 時々身じろぎしては丸まって器用に長い脚を収めている。 貴方は彼を放置することも出来るし、声をかけて起こすことも出来るだろう。 (-173) toumi_ 2023/09/29(Fri) 7:54:05 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-174 「ん」 ぱちくり、と、少しだけ時間をかけて瞼を開くと視線だけ隣のベンチに座る貴方へと向ける。 そのまま戻して、つまり結局微動だにせず口を開いた。 「なんで撃たれてるんだお前」 調べたらすぐに分からなくもなかったことを敢えて見ずにやってきた。 貴方が今何処にいてどうなっているかだけを男は知ってきたのだから。 (-176) toumi_ 2023/09/29(Fri) 8:46:08 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ>>-183 「逃げられたんじゃねえ、逃がしてやったんだよ。 またいつか来るからその時は殺してやる」 まるでその日を楽しみにするような態とらしく穏やかな声で殺意を述べる。 ここまで誰かに執着しているのも少ない、他には黒眼鏡ぐらいだったろうか。 別れの日が来てほしいなど思っていない、それでも嫌いなのだ。 「そうか、それは助かる。借りるぞ。 いや、…… 脱げばお前も驚くだろうからな…… 」男は何故か普段着ないタートルネックを着ている。 上着の血飛沫が付いた部分を内側に畳み込みタオルも添えて座席に放れば引き出しをあさりにかかる。 少し大きめか丁度いいそれを手に取れば自分のシャツの血が固まるのを待つことにした。べた、あと少し。 「カナヅチじゃないが俺が夏の浜辺に行くとモテてしまうからなあ、海に泳ぎにいかんのだ」 「んー……そう、だな……? 別にその辺の空き地に放っておいてくれても良かったがな」 その様子だと付き合ってくれるんだな、となんともなしに。 時間があったから来てくれたのだろうが。自分は貴方に頼み事をするのが苦手であるので少し助かった。 こんな時ぐらい少しぐらい素直になれたら良かったが、電話をするので精一杯だった。 #ReFantasma (-184) toumi_ 2023/09/29(Fri) 12:00:06 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ手を弄られている様子を見て小さく笑い声を零す。 自分が訪れた時には既に目の前の貴方は魘されていて地面には既に血が滲んでいた。 さて無理やり起こしてもよかったが、体力が弱ってる友人を眠らせてやりたかったこともあり怪我を減らす方向に動いたのだ。 結果は、まあ今このようになっているのだが。 「ん? 後輩たち……あー。どれぐらいの数かね。 それぞれ連れが居たから見送ったり、案内したり。 俺が話聞いて病院に投げ込んだり、……ほぼ全員無事だ」 少し思い出すように目を伏せてからいくつか名前を告げてやる、男の名前は忘れがちだった。 そして大体が出ていったから貴方を迎えに来たのだとも重ねて。 ほぼ、というのは確認できていない人間もいるということだがこの状況なら仕方ないだろう。 「いつもの夢っていうにしたらハードすぎるだろそれ。 なんだ、こどもの頃の夢かあ? 随分嫌なことをいう親だな。 今も言ってるなら侮辱罪か名誉棄損で訴えてやったらどうだ? 町の宝がそんな謂れのない批判を受ける方がおかしいだろう」 「存在否定なんてもの、個人の私怨以外、なんも正当性はないんだからな」 お可哀想に、同情もしていないようなわざとらしい言い方をすれば貴方の頭を撫でまわしてくる。 嫌だったなー。と笑って髪を乱せば貴方が眠らないように時々こめかみの近くを押してやったりなどした。 (-185) toumi_ 2023/09/29(Fri) 12:20:48 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ「いいわけあるか。……あー。 五年前俺が馬鹿みたいに落ち込んでた奴だよ! 別れの言葉は、あびやんて……だったか? 何語だ……何処にいた……また来なかったら許さん」 雑に叫んでやった、自分を置いていった上司が目の前にいたからぶっ殺してやろうと思ったと。 でも逃がしてやったと言うことはそれなりに情と殺意が入り混じっているということで。 ファミリーでは見かけたら殺していいとは言われているが故にこそこにきまりは悪く。 殺し切れた方が絶対良かったのだ。いつまでも自分は甘ったれである。 「あとは肌が焼けるのも嫌だ、結局疲れるから海水浴自体は好かん」 「……? 薄情も何も。何処かに運んで置いておくのは十分仕事してるだろ」 「愚痴なんてものもなあ……、愚痴なんて……。 言語化するほどあいつらを殺したくてたまらなくなるからいいもんじゃない」 「殺したくないんじゃないぞ、あいつらがの逃げ足が早すぎるからチャンスが掴めんのだ」 雲が泣きそうな天気だった。 あれから数時間経った今、相変わらずの重たい灰色は緩やかに流れていく。 「俺と話したい? 本当になんでまた。 お前はそんなやつじゃないだろう。 ……この間の文句でも言いたいのかあ?」 文句の一つでもあったほうが救われたかもしれない。 そんな事は言ってやらないが、貴方が変わっていないことを確かめるためにあえて話題に出した。 #ReFantasma (-191) toumi_ 2023/09/29(Fri) 14:26:07 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-177 「……なんだ、そのまま撫でて居ろ、聞いている」 どうしてそんなに言いよどむのだろうかと疑っていたが 貴方の思惑を聞き取れば、と納得するように相槌をうった。 やっぱりお前は馬鹿だと小さな声で呟いた。 「そうか」 「もうお前は信用しないと決めたから気にするな。 ……勘違いするなよ、嫌いになったわけじゃない」 「お前は安心ができん。心配もかける常識も時々外れている。 もうまともな人間だと思わないことにした。 これまでは一人でやっていける立派な大人だと信じていたんだが、……思い違いだったなあ?」 何も気にしていなかったわけじゃあない。 何も思っていなかったわけじゃない。 いつだって頼られれば答えたし貴方の心配ばかりし続けていた、会うたびに面倒は見ていたつもりで。 それでも足りなかったんだなと改めて知る。何にも知ろうとしてこなかったのだと。 「……もう、一度お前のことは 洗いざらい調べようと思う 。だがその面倒くさい程開かん口はどうしようもならんから、 何か疚しいと思っていることがあったらバレ早めに言えよ。 言わなかった事一つある度に、お前の事嫌いになるから」 何とも子供らしい言い方で貴方をとがめた。 調べようと思う、という言い方に何処までの意味が含まれているか貴方にわかるとは思っていない。 (-193) toumi_ 2023/09/29(Fri) 16:49:19 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ「俺はほぼ無傷だなあ……。 ……一番きつかったのは幼馴染からの言葉だった」 牢屋の生活はむしろ快適に過ごしていた、何処でも寝られる男はそういうが。 やはり時々出てくる幼馴染に世話を焼いているらしい。 そういいながら話す様子は穏やかで嫌がっている様子は見せていない。 「素直でよろしい、それじゃあ車に運んで適当な病院にぶち込んでやる。 んあ? なんだ俺がくる理由なんて簡単だ。 確認だよ、お前がどれぐらい無事かの。それですることを考えていたんだ」 「無理だと判断したからはっきり言ってやる。 リヴィオが俺が持っていくからな。 貰っていくじゃあない、この様子のお前じゃ連れていけないと判断した。 あいつも怪我をしているらしいから医者に掛からせる、会うなら後にしろ。 大分死にそうな感じがするのでな、少々世話を焼いてくる。 これぐらいは許せよ、俺たちは友達なんでね」 (-194) toumi_ 2023/09/29(Fri) 17:04:44 |
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