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【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡「そうか。悪いな。」 「書いていなかったものだから。」 馬鹿正直にそんな答えを。 注ぐ視線は平坦で、揺れることがない。 そのままに、貴方の黒い瞳が、より黒いレンズに覆われていくのを見ていた。 男が息をつく。 視線が外れる。一度。 店内を無遠慮に物色する明らかな間があった。 ぐるりと見回す瞳の動きは、たっぷりと時間をかけて行われる。 「ふん。」 「良い品揃えだな。」 それは下手な皮肉だろう。 声にはしないが、盗品か密売か、と裏に潜む。 「だが」 「俺は何も買わないよ。」 そこでようやく、瞳は貴方の元へ戻った。 「アレッサンドロ・ルカーニア」 「欲しいのは、お前の身柄だ。」 ポケットに入れたままの手。 銃か何か、用意があるのだろう。貴方が逆らうならば。 (-415) rik_kr 2023/09/17(Sun) 9:00:19 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡普段より余裕を持って見えた男の表情は、それで結局険しくなったんだろう。 男。25歳。青年、どころか、貴方の前ではまるきり子どもだ。 「お前がそれを語るなよ。」 知った口を聞くな、と。まるで駄々。 ああ、嫌いだ。嫌いだ。 「お前がマフィアなのは事実だろう。」 いつもの渋面を向けている。 それでも、声だけはまだ抑えていた。 まるで何か策があるとでも言うように。探られて痛い腹がないように。 「それに」 「容疑ならある。薬を売っているな。」 (-419) rik_kr 2023/09/17(Sun) 9:31:08 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノ/* ヮ……お仕事お疲れ様です……!! 捕まってしまうらしいですね……私もこんなに爆速だと思わず笑ってしまいました。助けようとしてくれる……ありがとうございます…… 全を受け入れる広い心と肩幅もありがとうございます。死なないでほしい〜……と言いつつこちらも死ぬので何も言えません。人の命、儚いですね。 どうかPLさんのことは傷つけたくありませんので、何かあれば遠慮なく仰ってくださいね。設定も聞かせていただける! 楽しみにしています! お返事はこちらも少々後ほどになります。よろしくお願いします! (-429) rik_kr 2023/09/17(Sun) 9:56:49 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡ふん。わざとらしく鼻を鳴らして見せる。 計算された貴方の一挙手一投足。何もかも隠さず放つこちらの感情。 そのどちらの方が人を不快にするかは相手と場合によるものだろう。少なくともこの男は作られた所作が嫌いで、だから貴方の大仰な物言いや仕草が嫌いで、だからこそ、いつだって貴方をよく見ていた。 綻びを見つけようとするように。 「誘ってでもいるつもりか?」 投げた言葉に愉快さは滲まず。 視線を外さないまま、男は貴方へ紙の束を投げやった。 片方の手は未だポケットに突っ込まれている。窮屈そうな動作はしかし、警戒を怠っていないという証拠でもあり、表明でもあった。 「俺は警察だからな。」 「お前たちとは違って親切なんだ。丁寧に説明してやろう。」 「その上で考えろ。自分がまだ、神に祈れる身かどうか。」 それを確認するならば。 並べられているのは、貴方がこれまで客に売った薬の内訳。 それから、顧客の名前。日付。等等。 なるほど、納得出来るだろう。少なくとも、無鉄砲な若者が胸を張って提出するだけのことはあると。 薬の種類は網羅されていないし、 顧客の名前には抜けも欠けもあるし、 日付だってそれが全てではないだろう。 どう見たって詰めは甘い。 ただ一人。 花浅葱の瞳をした顧客に関してだけは、完璧かもしれないが。 (-438) rik_kr 2023/09/17(Sun) 10:30:31 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡良く調べた。 良く調べても、掴めたのはこの程度。それだけ貴方が丁寧に仕事をしていたということ。偶然、このタイミングで、男に機が向いたというだけのこと。 だが、そう、今。このタイミングであれば。 今であれば、これは充分に効力のある代物。 男は貴方のかんばせを見つめていた。 綻びひとつ、動揺ひとつも見逃すつもりはなかった。 けれどその完璧な微笑が揺らぐことはなくて、歪んだのはこちらの口の端。 「……好きにしろ。」 ああ、不愉快だ。吠え面ひとつ、かいてくれやしない。 そのくせ、今だってそうやって。 さもこちらの知らないことを知っている、そういう顔をする。 「それは答える必要があることか?」 「俺にその義理はない。」 (-468) rik_kr 2023/09/17(Sun) 13:06:06 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノ男は犬が好きだ。忠実で、利口で、真摯な生き物だから。 とりわけ大きいやつはいい。より温厚で、落ち着いて見えるから。 職業柄自分で飼おうとは思わないが、道で散歩中らしき姿にすれ違えば目で追うくらい、好きだった。 犬のおまわりさん、と歌う童謡に、見る目があるなと感心したことさえある。 反面、猫は苦手だった。 嫌いではない。やはり飼ってもいないから、関わりも少ない。 それでも野良や捨てられたものに出会うことはあるもので、そういう奴らは見るなり威嚇してくるか、哀れっぽく鳴いて縋ってくるかだ。かと思えば道の真ん中で寝転けていたり、怯えて逃げたりする。 気まぐれで、弱々しくて、理解することが難しい生き物。 それが男にとっての猫だった。 貴方は猫に似ている。 面倒そうに仕事に当たる様子。こちらの気遣いを退ける態度。食べ物の好き嫌い。それでいてこうして寄ってくる。 何とも理解し難い。 理解し難くて。 ▽ (-471) rik_kr 2023/09/17(Sun) 13:28:15 |
イレネオは、それが、嫌いではなかった。 (a23) rik_kr 2023/09/17(Sun) 13:28:31 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノむしろ、厭わず分かろうとしてきたつもりだ。今日のように。 それはやはり、身内に対し情深い男の性質によるものだったのかもしれない。 単なる性質。性格。男にとっての常、だったのかもしれない。 だんだん小さくなる声を聞く。 その真意をやはりこれは解ろうとして、再び覗き込むように近づけるのだろう。 息が触れるかどうかの距離。 貴方の頬に朱がさすのが見えただろうか。 どうあれ。 きっと理解した男は、少し口角を上げた。 ▽ (-472) rik_kr 2023/09/17(Sun) 13:29:06 |
【独】 法の下に イレネオ/* こいつ童貞のくせになんでこんな自信満々なんだろう 恥ずかしくなってきた まあなんか……好きな人とかいないしいいんじゃないですか? と思ってたタイプだと思います (-476) rik_kr 2023/09/17(Sun) 13:40:13 |
【人】 法の下に イレネオちょうど昼時。 男は赤茶の紙袋を抱えてぼさっと立っていた。そうしてちらちらと、顔を傾けて袋の中身に繰り返し目をやっていた。 入っているのはカスクートである。ここらでは評判のいいパン屋のもので、昼食用にと買ったものだ。 朝方の発言の有言実行。自分の分と少食な先輩の分。一応半分に切ってもらってきたから、彼が半分だけでいいと言い張ったら、自分で食べてしまうつもりだった。 が。 「……買いすぎたな。」 買いすぎたのである。 昼時のこと。パンは運良く焼きたてで、季節柄新商品なんかも出ていて。時々買いに行くからには顔も覚えられていて、おすすめなんかもされてしまって。 そうして温かく接してくれるのが快くて、じゃあそれも貰います、なんて。 言っていたらいつの間にか5種類のカスクートを手に入れていた。 パン屋側もよく売ったものだと思う。さてどうしようか、と首を捻った。繰り返すが昼時、そこそこの人が昼食のために出払っている。 残っているメンツは忙しそうで、声をかけるにも気が引けた。 誰か、食べてくれたらいいのだけれど。隅の方に寄って、肩身狭そうでいる。 #警察署 (75) rik_kr 2023/09/17(Sun) 16:12:05 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡貴方の黒は揺れない水面だ。 凪いだ海面のように、それよりもっと強固に、こちらが与える何も響かせない。 だからこそ、貴方自身が起こした揺れはよく目立った。 男は調べ始めるだろう。アリソン・カンパネッロについて。 その過程で貴方に迫ることも、或いはあるのかもしれない。 淡々と手錠をかける。立ち上がらせて引き連れていく。署まで貴方を連行する間、男はひとまず何もしなかった。 従順な相手に暴力を振るえるほど、これは獣ではないらしい。そのあたりが未だ残る甘さで、真っ当さなのだろう。 落ち着いた貴方の態度に、苛立った様子こそ見せたかもしれないが。 程なくして。 貴方はこの男と二人、取り調べ室に入れられることになる。 手錠はつけられたままだった。いくら従順でも立場が立場。油断するなということだろう。 後ろ手にドアを閉めた男がしたことは、まず眼鏡を外すことだった。 「さて」 「どんな気持ちだ、ルカーニア。」 (-510) rik_kr 2023/09/17(Sun) 16:35:22 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノ/* わ〜い! 設定の共有ありがとうございます、お仕事お疲れ様です! 把握しました! 可愛い設定でニコニコになっちゃった……そして多角関係について、誠実な対応ありがとうございます。 当方PLとしては多角フリーですので五臓六腑を墓まで様次第では多角ドンと来いという感じです。PCは犬属性ということでお察しなのですがその時はその時で。今すごく眠い様が挟まれるのが苦手じゃなければ、ですが…… お相手いただけて嬉しいです。最後までよろしくお願いします! (-511) rik_kr 2023/09/17(Sun) 17:02:36 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノ貴方の言葉に、これはふうん、という顔をした。 納得がいったような、いっていないような。 信じたような、信じていないような、そんな顔。 金色の瞳はもう一度、貴方のかんばせを浚って逸れた。そのまま左の方を向く。 よく聞けば、直角に曲がった道の先の方から足音が聞こえてくるのがわかるだろう。このままでいると、そろそろよくない噂を立てられそうだ。 ゆるり、近づいた顔が離れる。 添えられていた手も、手のひらから指の先。順に遠ざかって、男は一歩引いた。 「先輩。」 首を傾げて道の先を伺う。まだ誰も来ないことを確かめて。 「待っていますよ。」 最後に、もう一度。 これは貴方の方を見て。 そうして額を指の背で軽く小突いて。 では、と立ち去ろうとするのだろう。なにもなければ。 今晩にも、貴方を捕まえるのを楽しみにして。 (-515) rik_kr 2023/09/17(Sun) 17:15:40 |
【人】 法の下に イレネオ>>76 エルヴィーノ >>77 テオドロ >>78 ニコロ 「あ。」 初めの目当ての先輩が来て、説明しようと口を開ける。 「お疲れ様です。」 ところに、また新しい先輩が来て、タイミングを掴み損ねる。 「えっと。」 どこから話そうか、と整理しかけたところまた一人。 先輩三人に囲まれたところでこの体躯が動揺することはない。 ないけれど、さすがに立て続けに来られると参った。嬉しい悲鳴と言うやつだ。 「……。」 「食べますか。」 結局。 説明を全てすっ飛ばして、結論だけを口にした。 一緒に袋の口をそちらに向ければ、よりパンの美味しそうな匂いが濃くなったはず。 #警察署 (79) rik_kr 2023/09/17(Sun) 17:22:47 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡そう。男はまともだった。 そうであると自負していた。そうでなければならないと自負していた。 真っ当に真面目な司法の番人。男が自認する素顔はそれである。 だからこそ。 今の貴方が好ましい。いつもの飄々としたそれより、余程。 「気に入ってくれたようで何より。」 「お前に長く住んでもらう家だからな。気合いも入る。」 (-520) rik_kr 2023/09/17(Sun) 17:44:59 |
【人】 法の下に イレネオ三人の先輩方よりは遠巻きに見ているだろう後輩たちにも、男は目をやって。 目だけではなく袋の中身が見えるように向けて、無言のまま問いかけた。食べるか。 もちろん腹いっぱいだとか、忙しいのなら、無理にとは言わないけれど。 「助かります。」 みんなで食べようという案が出れば、ようやくほっとしたように肩肘を張るのを辞めた。 そして袋の中を指さして味の説明をしていく。内訳は定番のハムチーズにペッパーマヨソースがかけられたもの、えびとアボガドとサーモン、トマトとレタスと卵のもの。それと新発売のチキンとマッシュルームのホワイトソースに、クリームチーズとハニーマスタードの商品だとか。全部半分に切って、ふたつずつ。 各々手を入れて持って行っても構わないし、こちらが配っても構わない。いい感じになればそれで。 #警察署 (84) rik_kr 2023/09/17(Sun) 17:59:13 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡「確かに悪法だろうな。お前たちにとっては。」 さぞかし都合が悪かろうと鼻で笑った。 男とて理解している。自分の集めた捜査資料は不十分だ。 自分に出来たことは、ただ諦めないことだけ。 そこに運良く、不十分を十分にしてくれる法が、外から齎されただけ。 そしてその不十分さを埋める情報を得られるかもしれない機会が、今与えられている。 組んだ手に顔を寄せれば口元が隠れた。 「任せられた。光栄なことだよ。」 「日程、日程ね。」 「お前が進んで口を回してくれれば、すぐ終わる。」 (-542) rik_kr 2023/09/17(Sun) 19:39:07 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノ犬は飼い主を裏切らないもの。 それはもしかしたら、お互いに。 だからこれは、約束通り貴方を待っていた。 門の前、外壁にもたれた男の衣服は黒い。大柄ではあれど闇に紛れてしまうようだ。夜のおかげで目立たなくなったこの男を、貴方は気付かないふりをして帰ったって良かった。 呟きを耳にすれば、だから、笑うんだろう。 自分は約束を守った。 一方的に押し付けた自覚はあった。 貴方も約束を守った。 一方的なそれを受け入れてくれた。 「言ったでしょう。」 そうして歩み寄れば、かつん、と靴を揃えて止まる。 10数cmの高みにある瞳は、今は厳しいものではない。 (-547) rik_kr 2023/09/17(Sun) 19:54:07 |
【秘】 法の下に イレネオ → 花浅葱 エルヴィーノ「良いんですか。」 よくよく聞き返すのは、男の癖らしかった。 この男はいつも、いいか、という問いに対し、本当にいいのか、と尋ね返す。いいのだろう、と勝手に受け入れて頷くということをしない。 それは人によっては嫌がられる態度だ。 貴方には、自分の選択を確認させることになる態度だろう。 俺を部屋にあげていいんですか。そういうこと。断られるなんて思っていないくせに、癖で確認だけはするのが厄介。 きっと貴方は頷いてくれるんだろう。 ならばと、こちらは運転を申し出た。人に車を運転させるのを貴方は嫌がるだろうか。そうでないなら、「寝不足の人間に運転させるわけにいかない」なんて押しきったはず。 街灯に照らされた夜道を滑るように抜けていく。 夕食の話も出したろう。きっと貴方の反応は芳しくないから、軽くつまむくらいのものだけ買っていく。 (-564) rik_kr 2023/09/17(Sun) 20:47:09 |
【人】 法の下に イレネオ配ったり、勝手に持って行ってもらったり。 腹にものを入れて置いてほしかった先輩。 外回りで腹が減っているだろう先輩。 書類仕事で糖類が必要であろう先輩。 弁当と一緒に食べてくれるらしい後輩と、 働き者の後輩もひとつ選んで行った。 そうやってだんだんかさが減っていく。いい具合の頃に自分の分も確保したんだろう。 答えた店名は貴方 >>85 も知るものだった。彼女が言っていたものとは同じかどうか。 きっと誰かが言った通り、 >>88 存外楽しい昼食になったはず。 何もかも動き出す直前の、最後の穏やかさかもしれなかった。 #警察署 (95) rik_kr 2023/09/17(Sun) 20:53:35 |
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