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![]() | 【人】 雨宮 健斗[ 近しい距離感に長い足。 その表情を伺い見ればほわりと緊張が緩んで、 正しく笑みが湧き上がる。 彼の背後で扉が閉まれば、部屋の空気が揺れて カレーの匂いがふわり舞った。 彼の手の荷物から、種類の違ういい香りが 細く立ち上った気がして、すん、と鼻を鳴らす。 靴を脱ぐ彼から荷物を受け取ろうと手を伸ばして 気使わなくていいのに、と告げた。 どうにも緩む表情筋に諦めて逆らうのをやめれば 己には照れた笑顔が顔中に浮かんでいるだろうか。] (29) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 0:40:22 |
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![]() | 【人】 雨宮 健斗[ 一人暮らしの息子の家にちょくちょく訪れる 母親という生き物が、気になることくらい分かる。 彼女いないの?なんて。 なんでもない風を装って問いかける光景は、 別にうちだけのことじゃないはずだから。 殺風景な部屋。 もともと物に興味はない。 テーブルと、ソファと、テレビと、ベッド。 女っ気がないことに母は安堵の息を吐いている、 なんてことはあるのだろうか。 ] (42) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 12:49:07 |
![]() | 【人】 雨宮 健斗[ いいとこのお嬢さんだった母。 何不自由なく育ち、父親と結婚して、 波乱とは無縁の人生を送ってきた彼女が 性的マイノリティな世界についてどう考えているか、 己にはわからない。 ただ数年前の事故で、変わってしまったのは 己の未来だけではないのだと気づいた自分には 母親の夢も己が奪ってしまったのではという 負い目がいつもどこかにあって。 ] (43) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 12:51:12 |
![]() | 【人】 雨宮 健斗[ これ以上泣かせることはしたくねぇなぁとは思う。 けれど目の前でわかりやすく表情を綻ばせる この大切な人のことだけは、 どうしたって譲る気はないから、 どうにか理解してもらえればいいなと願っている。] (44) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 12:52:42 |
![]() | 【人】 雨宮 健斗……先に会いたいっつったのは、そっち。 [ 笑って揶揄い返してやろうとしたのに、 どこか拗ねたような、不貞腐れたような声になる。 ずかずかと歩いてキッチンに立ち、 対照的な動きで紙袋をそっと置いた。 ] (47) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 12:56:42 |
![]() | 【人】 雨宮 健斗[ ほんの二日前にあったばかりなのに、 久しぶり、なんて。 思わず口から溢れてしまったのは紛れもなく 自分なのでこの場合は仕方ない。 会いたい、どころではないのだ、と。 言えばどんな顔をするのだろう。 ] (48) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 12:57:42 |
![]() | 【秘】 雨宮 健斗 → 矢川 誠壱[ カレーのスパイスなんかより お前の纏う空気が脳にクるのだと。 初めて恋を知った中学生のように、 触れたいと思うのだ、と。 ] (-10) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 12:58:26 |
![]() | 【人】 雨宮 健斗[口には出せないかわりに、姿を追う。 手を伸ばせば触れる距離なら、 右手を動かして、 その頬に。 ]* (49) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 12:59:17 |
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![]() | 【人】 雨宮 健斗[ 伸ばした手は避けられることなく、 傾げた首を追ってひたりと頬に触れた。 しなやかで、みずみずしい肌。 澄んだ瞳が揺れる。 頬に触れた掌に一度ちらりと彷徨って、 戻った視線が己と絡んでからまた、僅か遠ざかる。 被さるように彼の手が重なった。 ゆっくりした動きで絡め取られていく指の感触。 そちらに落ちた綺麗な瞳を見つめたまま感じていた。] (67) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 21:10:11 |
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![]() | 【人】 雨宮 健斗…… なんも。 [ 込み上げる感情を抑えると声は掠れた。 距離が詰まる。 身体を折るように、額が触れる。 こつ、と微かな骨に響く音。 炊いたかぼちゃの、甘辛い匂い。 穏やかな海を思わせる瞳が揺らめいて、笑んで。] (69) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 21:11:26 |
![]() | 【人】 雨宮 健斗[ 長い足がまた一歩、距離を詰めるのと同時に、 顔を上げる。 掠めるだけの口付けを。 ままごとのような、微かな唇を、そっと落として。]* (70) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 21:12:14 |
![]() | 【秘】 雨宮 健斗 → 矢川 誠壱[ 口にしなければ伝わらないことが、 世の中にはたくさんある。 手にすることができた幸せが、 一瞬で消えてしまう恐怖を知っている。 なんも、ないよ。 [ すぐに離した唇は、意思に反して言葉を紡ぐ。 嗚呼、もう。 ] (-16) yukiyukiyuki 2021/06/18(Fri) 21:13:25 |
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![]() | 【秘】 雨宮 健斗 → 矢川 誠壱[ 苦笑の後、聞き返す声は>>79 何処となく艶気を含んで、低くて。 額に伝わっていた熱が離れて、 代わりに引き寄せられる掌。 手首に落ちる唇がちゅ、と音が立てて 吐息が重なって焦ったく擽ったい。 ざわ、と神経が漣のように波立っていく。 己の手に唇を落としたままの顔を瞬きもせず見つめて、 ─── 綺麗、だな、と思った。 (-20) yukiyukiyuki 2021/06/19(Sat) 17:41:51 |
![]() | 【秘】 雨宮 健斗 → 矢川 誠壱[ 自分勝手な己の言葉にも綻ぶ表情、おれも、の声。 愛しい、というのはこういう感覚を言うのだろうか。 隙間なくくっつく身体は 生暖かい波に揺られているような安心感を生むくせに 手の甲を伝う指の動きには頭の芯を痺れさせられて むちゃくちゃに抱きしめてしまいたくなる。 ] (-21) yukiyukiyuki 2021/06/19(Sat) 17:42:46 |
![]() | 【秘】 雨宮 健斗 → 矢川 誠壱[ 許可を求めるでもない、ただの予告に 軽く眉を上げてふ、と笑う。 なんでわざわざ言うんだよ、と、 含み笑いで言いかけた唇が、塞がれる。 腰に感じる手は、繊細で。 ついつい疎かにしがちな食事のせいで ちょっと痩せたかなと気づかせてくれたくらい、 大きく感じるその手。 己が欲しかった、温もり。 遠慮がちに自分からも身体を寄せた。] (-22) yukiyukiyuki 2021/06/19(Sat) 17:44:17 |
![]() | 【秘】 雨宮 健斗 → 矢川 誠壱[ もっかい、 と小さな声が密な距離に流れる。浮かべていた笑みをゆっくり削いで、瞼を伏せて。 ノックするように突かれる唇を開いて、 伸びてくるはずの舌を迎え入れよう。 そっと、見上げてやるために目を開ければ、 こちらを窺う熱っぽい瞳と視線が合った。 にぃ、と悪戯っぽく表情を変えて、 こちらから貪るように唇を押し付ける。 彼の舌を絡めとり愛でて、拒まれないなら 口内を荒々しく探ろうと。 ] (-23) yukiyukiyuki 2021/06/19(Sat) 17:46:13 |
![]() | 【秘】 雨宮 健斗 → 矢川 誠壱[ 己を選んでくれるまでの、彼の経験。 そんなこと、なんだっていい。 聞いたら聞いたで、嫉妬するに決まってる。 だからどうであれ主導権は譲らないつもりだけど、 情け無くどうにもこうにも余裕が、ない。] (-24) yukiyukiyuki 2021/06/19(Sat) 17:49:12 |
![]() | 【秘】 雨宮 健斗 → 矢川 誠壱[ 入れっぱなしのカレーに痺れを切らしたレンジが ピーピーと鳴っていた。 唇が離れたら、荒む息と滾る熱の隙間から、 カレー、食わねぇの?なんて、 余裕ぶって、聞いてみるつもりで。 ]* (-25) yukiyukiyuki 2021/06/19(Sat) 17:50:11 |
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![]() | 【独】 雨宮 健斗/* ぼくしばらく左やらせてもらってたんですよ 左戦争勝てると思うじゃないですか? あかんこれはむり こんなかっこいい人むり なんなんもうむりすき (-33) yukiyukiyuki 2021/06/19(Sat) 23:01:23 |
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