120 【身内RP】森奥の工房 2nd【RP】
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[彼が狼狽していくのが見て取れて
胸がざわつくのを覚えた。
そんな顔をさせたかったわけではない。
仮令世界中を敵に回したとしても傍にいて欲しい。
そう思えるただ一人からの返事を静かに待ち、
長くなるかもしれないというそれに
ああ、と頷きを返すと、耳を傾けた。]
[彼の先程の言葉には、傷ついたというほどでもない。
大勢を助け頼られ手足を作ってあげられる彼だから
好きになったのではない。
言われてみれば、そんな彼を得たいと願う己は
とんでもない贅沢野郎なのかも知れないが。
彼が己に装具を作ってくれなくても、
彼が誰に頼られることのない人間だったとしても、
きっと己は彼を選んでいた。
他人からの評価など、どうでも良いのだ。
彼にとって価値のある人間でいられたなら、それで。]
[32、と聞けばパチリと瞬いた。
想像していたより上だ、勿論何歳でも構わないけれど。
それから、自分の耳を少し疑った。
Wこんなに誰かを好きになるのは初めてW
好き。好き。俺を好きだと言ってくれたか?
────言ってた。
ああ、なんて威力だろう、ヤバい。
バクンと心臓が跳ねて、飛び出してしまいそうだ。
頬が薄桃色に染まっていく。
しかも、はじめてと。
俺もそうだが、俺の倍も人生のある彼がまだ
誰にも心惹かれずに居たとは。
都合の良い考えだけれど、
自分との出逢いを待ってくれていたように感じてしまう。
否、WこんなにW好きになったというのが初なだけで
それより低度の好意はあったのやも知れぬが、
いまWこんなにW好いてくれているというのが重要だ。
嬉しすぎて、人の形を保っている自信がない。
この先の彼のW好きWが全部欲しい。
ああ、やはり俺は贅沢野郎だ。]
[惹かれてどうしようもないのは己もだと
叫びたくなったが、なんとか耐えた。
仲間たちが妬ましかったとは、驚きである。
家族であるから、好きも嫌いもなく
傍にいるのが当たり前なもので。
だが彼がそんな風に思っていただなんて、
かわいすぎて、愛おしすぎて、
どうしたら良いのかわからなくなる。
どうもせず、行儀良く話に耳を傾け続けるのだが。
物理的な独り占めとは考えたことがなかったが
悪くない気がする。あとでよく考えてみよう。]
[────俺に触れる妄想、とは。
……彼の頭の中を覗きたくなった。
想像の中で彼は、どんな風に俺に触れてくれたのだろう。
想像の中の俺は、どんな顔をしていたのだろう。
────…羨ましい。
想像した、彼の想像の中の自分には、妬けてしまうけれど。
今もずっとWそういう目Wで見ていると告げる
彼の視線の先で、全身が火照る。
……少し、気持ち良くなってしまって、瞳を揺らした。
ああもう、目線だけで、どうしてこんなに。]
[結婚できるのは本当に嬉しいと、彼は言った。
────結婚。できる?
結婚してくれる、らしい。
本当に? 俺も……、嬉しい。
彼には、家族と過ごした記憶がほとんどないという。
早くに亡くしてしまったのか、
いても関わって貰えなかったのか──、
何れにせよ、寂しい思いをしてきたのかも知れない。
小さな彼を想像すると胸が痛くなり、顔を歪めた。
俺は貴殿に何が出来るだろう。]
[綺麗な目なんて言われると照れてしまう。
ずっと見ていたいし、見ていて欲しいのは俺も同じだ。
神が妬んでこの腕を欠けさせたとは……、
彼は、なんてロマンチックで、
顔に似合わず背信的なことをいうひとだろう。
彼と出逢う機会をくれたのだから
その神は恋の神だろう。
けれど矢を射るのは俺の方が上手いし、
彼を射止めたのは俺自身だ。
神の好きにはさせない。]
[そうだな、だけどほんの少しだけ、
彼は間違っているかも知れない。
美しく凛々しいとは光栄だけれど
今のままで十分すぎると認めて貰えたからこそ
己はいまの肉体への執着を捨てられる。
俺の欲しい言葉をくれる彼こそが俺の神。
その彼に与えてもらってこそ
完璧で至高の俺が産声を上げるのだ。]
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