79 【身内】初めてを溟渤の片隅に【R18】
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タオル持ってくるよ。
ゆっくり休んでて?
[ ちゅ、っと額に口付けを落とせば
彼女が眠れるように
体のローションを取るために
タオルを濡らして戻ってくるだろう。
彼女が動けなさそうにするなら
体を拭いてあげて眠る準備を促した。
彼とて体力を使ったので
横に並んでぎゅうっと抱きしめて。 ]
かわええなぁ……
ほんまに、すき。
ありがとう、美鶴さん。
*
[ ダメだよ、なんて言われても
とんでもないことの想像がつかないものだから。
ひどく優しく聞こえる声にゆっくり頷くしか
できなくて。でも、彼に変えられるのなら
それも構わないような、そんな気すらするけど。 ]
っふぁ……じゅん、さん…っ?
[ 余裕のなさそうな声が聞こえて
今までより深く突き上げられた気がして
ひときわ大きく中が収縮するのを感じ取った。
それはきっと、大好きな人の精を
受けとめようと、搾り取ろうとする動きで。
彼を受けとめる、の意味がはっきりと
わかっていないまま彼のほうを見れば
髪を撫でられる心地よさに目を細めて。 ]
[ 持ってくる、と言われて任せるのも…と
起き上がろうと体を起こしてみようとしたけれど、
初めての体験は思った以上に体力を
消耗していたみたい。彼が戻ってくるまで
動かずにそのままだったから
彼に体を拭いてもらうことになった。
……タオルが擦れただけで
少し声を漏らしていたのは…聞かれてたのかな。
ぎゅうっと抱きしめられて
終わったらまた少し恥ずかしくなって ]
だから可愛くはっ…!
ずるい、潤さんずるいです!
忙しそうなのになんでそんな体鍛えて…
それに恥ずかしいって言ったのに…
私の貧相な胸触ったって、仕方ないじゃないですか!
いじわる、いじわるー!
でも……
[ 小さい声で、彼の腕の中で
言えなかった抗議を
自身のコンプレックスも織り交ぜて
目いっぱい言って、それでも彼への想いが
変わるとかそんなことではなかったから。
最後の一言を言い終えた時、
私は耳まで赤く染まっていたんじゃないかと思う。
彼がどう反応したか、全部聞く前に
私は眠りに落ちてしまうことになる。 ]*
[ 時間をかけて、彼は彼女を変える。
彼がしてほしいことを覚えてもらいたいから。
けれども、それは普段の状態から
少し変わるからこそ可愛いのであって
普段から性懲りもない状態に変われば
それは彼の望む姿でもなんでもない。
味を占めたと彼女の体が覚えなければ
それこそが大正解の道だと、
彼はどことなく思っている。 ]
…成長著しいわぁ。
[ 恍惚のため息を落とさずにはいられない。
髪を撫でられている彼女が
ひどく可愛くて、彼は口元が緩んでいた。
この部屋に入ってきた時よりも
彼女の表情も緩んでいる気がして
少しでも彼女が慣れてくれたことを実感する。 ]
そんな声出してたら、
意地悪したくなるわぁ……ダメだよ?
[ タオルで体を拭いていると聞こえる、
彼女の甘い名残のある声。
ふっと笑いながら、体を拭き終われば
彼は彼女の愛のあるクレームを
腕の中に収めることにした。
彼女の胸が貧相だとか、正直どうでもいい。
鍛えてるのは、彼が甘いものを食べるから。
スーツを買い直さなくていいように
最低限でやっているだけなので、
くすくす笑いが込み上げてしまった。 ]
そんなこと言われてもなぁ……
かわええなぁ……
[ クレームを彼に叩きつけたのち、
彼女は深い眠りの中に落ちてしまった。
彼の返事は、彼女の耳元にこっそりと。 ]
[ それでも、まだ彼は知らない。
彼が朝食やお弁当を作ってあげ始めることで
2人の間に見えることのない壁ができてしまうことに。
それを乗り越えなければ、
本当の意味で恋人にはなれいないことに。
今はただ、彼女の寝顔を見つめて眠りにつくだけ。 ]*
[今更怪我が増えたって、なんて言われれば、
きっと中を抉る指は余計に執拗になっただろう。
誰にも傷つけさせたくない。
それがたとえ、雨宮本人であっても。
傷も、なにもかもすべてが愛おしいけれど
それでも、これ以上傷つけるのは絶対に嫌で。
丁寧に、丁寧に、愛撫を繰り返しただろう。
震える手が伸びるのが見える。
無理を強いているのはわかっているから、
彼のしたいようにさせてあげようと
それを止めることはしなかったけれど。
それでもその手のひらが痛むほどに
勃ち上がった雄を撫であげれば、
簡単に腰が震え、喉奥から呻きに似た声が
響いて伝って、息を短く吐いた。
このまま引き抜いて、思い切り貫いて、
腰を打ちつけてしまいたい!と叫ぶ本能を
なんとか理性で押さえつけて、
そこが指3本のみこむまで、繰り返した。]
[くた、と体をベッドに預ける雨宮を
見下ろして、声をかけた。
しっとりと吸い付くように濡れた彼の肌を
手のひらで触れるのが心地いい。
どうしようもないほどの支配欲と
嗜虐心を押さえ込みながら、怖がらせないよう
優しく尋ねたつもりだったのに。
彼の答えが、響いた瞬間、]
っ は、
[理性が焼き切れるような心地がした。
だめだ、 だめだ、怖がらせてしまう。
痛みをかんじさせたくない。]
[腰を、つかむ。
やさしく、やさしくしないと、でも、
はやくほしいって、雨宮が望んだんだ、
そう頭の中にこだまする声を、眉間に寄せた皺で
何とか振り払って、息を深く吐く。
───けれど、抗いきれなかった。]
っ!はぁッ……!
[優しくゆっくり挿入するつもりだったのに、
腰は中を勢いよく抉ってしまう。
薄い膜越しにでもわかる熱と、やわやわと
収縮し、己のものを包み刺激する肉壁に、
ふる、と体が打ち震えた。]
ゃ ッ…ばいっ…!
[背を丸めるようにぐ、と耐えて、また息を吐く。
掠れたうめきが喉奥からこぼれた。]
ぁ、 まみや、
[名前を呼ぶと、彼がぐ、とその手の甲を
噛むのが見えたから、その手をはがして、
シーツに縫い付けて、無理やり唇を塞いだ。
ガチッと歯が当たったのが、殴られたような
感覚にも思えて、切れた理性が少し戻る。]
はぁっ…ン、ごめ、ん おれっ…
[ぐ、と抉ったままのそれを、引き抜くことは
しないまま、至近距離で見つめる。]
…雨宮、 ッ…
痛いなら、 苦しいなら、
俺に、思いっきり爪立ててもいいから、
噛んでも、いいから、っ
っはぁ…っ自分だけで、耐えんな、っ…
[そう眉を下げれば、今度はもう一度、
優しく唇を振らせる。
ちゅぷ、と音を立てて離し、すこし腰を引いた。]
…っ…おれにも、教えて、
雨宮が受け止めてくれてる、痛み、
[な?と首を傾げたら、なんだか泣きそうになって。
目の前が少し滲むのがわかった。]*
[ 指の力が、変わった、と思った。
どんなにもういいと伝えても、
慈しむように宥めるように穏やかさを失わなかった
手が、荒々しく、腰を掴む。
深く吐き出された息に視線を上げれば、
苦しげに寄せられた眉。
どしたの、と、口を開きかけた瞬間。 ]
っぅぅ!、 ─── …… !!
[ ガツン、と一気に襲う衝撃。
一瞬、目の前が明滅した。 ]
ああああ゛……、っ う、あ……ッ!
[ 熱い、焼けた鉄杭を打ち込まれたよう。
ぎち、と内壁が軋んで、背が撓る。
悲鳴じみた声が汚い濁点を混ぜて喉から押し出されて
咄嗟に手で口を塞いだ。
内臓が押し上げられているような気がする。
胃と共に肺まで圧迫されて、空気が全部出ていって、
呼吸すらままならない。
顎が上がって、大きく見開いた目から
生理的な涙が一筋だけ堰を越えるのがわかったけれど
拭うことも出来なくて、
手を外したらまた声が暴れそうで。
はくはくと唇が震えて、全身から汗が吹き出した。 ]
[ やばい、と掠れた呻き声に、ちからを
抜こうとするのだけれど、抜き方がわからない。
あれ、呼吸ってどうやるんだっけ、
そんなことが頭をよぎって、ちかちかと目の前が眩む。]
────── 、
[ 自分のものじゃなくなったような神経が、
どこか遠くで、己の名を呼ぶ声を、拾った。
みっともない声を抑えるための枷が剥がされて、
シーツに縫いつけられて。
がち、と口腔に固い音と鈍い痛み。
それが飛びそうな意識を繋いだ。 ]
[ 唇の感覚。
錆びた鉄の味、いつかの記憶。
ほんの少し、呼吸ができる。
ぼやけていた視界のピントがクリアになって、
睫毛が触れそうなほど近くに、
────── 嗚呼。 ]
……、ッは、 あ、やまんな、って、
[ 犬のような短い呼吸の合間に、言葉を紡ぐ。
自分だけで耐えるな、と、
そう告げられた言葉に、
穿たれた下半身よりも心臓が痛かった。
合わさる唇は、また優しさを取り戻していて。 ]
ん ぅ、っ ぅ゛…ッ!!
[ 引かれる腰に内側の粘膜を擦られる。
言いようのない刺激にまた弓のように
身体を撓らせながらも、視線はその表情を捉えて
離さない。
いまにも泣きそうに、弛む瞳。
それを見た瞬間、全身を掻きむしりたくなるほど
湧き上がってきたのは、痛みでも、不快でもなくて、
─── ただ、愛しくて。 ]
……、なくなよー、
[ 絡められた指に、ぎゅっと力を込めた。
少しだけ、きり、と爪を立ててやって、笑う。
瞬きをしたらまた頬を滴が伝った。 ]
……や、だよ、 …… お前だって、
もう、 ッん、 痛い、だろ、───
[ みしみしと音を立てるように
軋む身体を無視して、へらりと笑う。
お前が居なかったら、おれの人生なんて
とっくに耐えられてなかったんだよ。
]
成長……?
[ なんだかとても満足そうな顔をしている
潤さんが言っている意味は、
やっぱりわかっていないのだけれど。
彼と一緒になるのは幸せだったし
今度は痛くないのかな、なんて思えば
次の機会がいつかな、とか考えてしまう。 ]
ぅ……ダメって言われてもっ…
[ 人に拭いてもらうのは自分でするのと
感覚が違うというか。
それとも散々触られたから過敏になってるのか。
抱きしめられた後の精一杯の抗議は
潤さんにとっては些細なものだったのか
笑われてしまってむぅっと頬を膨らませた。
こんなに慣れてるなら潤さんはもっと
きれいな人とかスタイルのいい人とか
料理が上手な人とか大人な女性と
付き合ってきたに違いないって
そこまで思考が巡りかけて
彼から言われるかわいい、が一瞬揺らぐような
そんな気持ちには蓋をするように
目を閉じればそのまま眠りの中へ。
疲れていたからぐっすり眠って
朝もなかなか起きなかったと思うけれど
私が起きた頃には潤さんは起きてたのかな。 ]
[ 好きな人をもっと知りたい。
好きな人のことを知るたびに
好きな人の傍に長くいるほど
自分には出来ないことが当たり前にできるって
その事実を突きつけられた私は、
勝手に壁を作って、
燻っている思いを知られないように、と。
何かを選ぶときだって
潤さんがしたいようにしよう、なんて
自分の選択に自信がないのを
滲ませるような言動をするようになって
それが潤さんを不安にさせているとも
大切なものを失うまでずっと、知らないまま。 ]*
[苦しいのは雨宮のはずなのに、謝んな、と
こんなときまで気遣ってくれる。
でも、どうしたって、なにより、愛しくて。
更にぐ、と押し込みたくなる本能を止め、
分かち合ってほしいと懇願した。
共にあれることがこんなにうれしい。
こんなに、愛おしい。
どうか彼の中に、今この瞬間が、
W苦しかったことWではなくW幸せWと
刻まれますようにと願いながら。
もっと、共有して。
何もかも知りたい。
なにもかも、教えてほしい。
どうしようもないほどぐちゃぐちゃな感情の
着地点はどうしたって、幸福であることは
確かなのに。痛みを共有して、同時に
この気持ちも、共有してほしくて。
ぎゅ、と力を込められた指。
泣くなよ、なんて笑いながら爪が立てられた
それに、唇を結んで。]
泣い、 てねぇッ…
[と返して鼻を啜った。]
無理させてんの、わかってるしっ…
おれ、大事にしたかった、のにっ
[更に無理させた、とこぼすと、
彼の眉尻は下がっただろうか。
お前だって痛いだろ、と気遣うその言葉に、
ぐわ、と腹奥から迫り上がる愛おしさ。]
おれ、は痛くねえ、っ………
今めちゃくちゃ、幸せ、で、
[特別、だった。誰よりも。何よりも。
誰の特別にもなりたくなくて。
誰の記憶にも、残りたくなくて。
言い訳して誤魔化して、逃げてきた日々に。
お前が、現れたから。
教えてくれたんだ。なにもかも。
それで、与えてくれたんだよ。
───俺がほしかった、唯一を。]
[そう、微笑みかける。
緩く腰を動かした。負担をかけない程度に。
すると、小さく聞こえるのだ。
また、体が震えて、脳が揺さぶられる。
唾を飲み込んで、息を吐いた。]
痛かったら、苦しかったら、すぐ、言って
[と半ば懇願するように伝え、浅く突く。
薄く開いた唇を柔く重ねて、何度も、
何度も離しては重ねて、粘膜を擦り合わせ
もう一度、浅く、雨宮のいいところ目掛けて。]
ぁっ…まみや、 ッきもち、 ぃッ?
[数度擦ればそう問いかけて、薄くまぶたを開く。
その表情がすこしでも、快楽に緩んで
いますようにと願いながら。]*
わーかっ、た、って
[ がちがちに力が入って強ばる身体が
ほんの少しゆるむ。
泣いてねぇって鼻啜ってんじゃん、と思ったけど
口には出さなかった。
というかこちらの顔こそ涙だか汗だか涎だか
わからないものでぐちゃぐちゃで。
それでも胸がじんと熱くて、込み上げる愛しさを
笑いに変えて、くす、と口角を持ち上げた。 ]
……っ、まぁ、 無理はッ、
してねぇっつったら、あれだけど、……ッは、
[ 絞り出すように口から溢れ落ちてくる懺悔に、
これ以上ないほど眉尻が下がった。 ]
─── わかってる、
大事にされてるの、じゅーぶん、
……伝わってる、から
[ そっと、囁いて。
爪を立てて握った手を動かして解いて、
下からやっぱりその頬に触れた。
体感したことのない愛しさで、爆発しそうで。 ]
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