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黒眼鏡は、それのことばかり考えている。 (c10) 2023/09/19(Tue) 20:50:46 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡「それも吐いた方がいい。」 随分冷えた声で話すものだ。先程までの盛りが嘘のよう。 貴方の首元を揺すれば頭も揺れるだろうか。ごづ、と鈍く音を立てて床にぶつかるだろうか。 「そう何度も同じ目に会いたくはないだろう。」 如何にもこれは慈悲であるといった言葉は、残念ながら声音のせいでそうは聞こえない。随分とまあ、単に下手だった。 「ほら。」 「そうすれば楽にしてやる。」 ごづ。ごづ……と、手慰むようにそうしていて。 そうして、その言葉を聞けば機嫌良さそうな微笑を浮かべた。 ▽ (-460) 2023/09/19(Tue) 21:21:04 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡「ああ。」 「そうだな、感謝しているよ。」 提案には案外素直に乗る。 片方の手が貴方の額に乗った。そこから眉。顬。耳から頬までを撫でやっていく。 「お陰でノッテのせいで泣く人間が少なくなる。」 「お陰でノッテの横暴を事前に止めることが出来る。」 「悪人は裁かれるべきだからな。」 まるで愛おしい人間にそうするようでいて、向ける言葉はやはり呪詛だった。 そうだろう? と。言いたげにまた、覗き込んで。 (-461) 2023/09/19(Tue) 21:22:03 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 黒眼鏡「ん、ッ、んん……っ、ぁ…!」 ひく、と太ももが震える。 その手であなたの下着の中に手を入れて。昂ったそれを撫で上げ、湿った先を指の腹で擦る。 奥を刺激されていくにつれて、その手も時折動きを止めて。 ぎゅうと身体をあなたに押し付ける。空いていた片腕で強くしがみついたから、指の痕が残ってしまったかも。 「は、っ、……アレ……」 口付けと口付けの間には、息継ぎをするのが精一杯。 きっと、あなたを絶頂までは持っていけなかった。それでも、ぐちゅと水音が立つくらいには性器も掌も濡れそぼっていて。 自分を組み敷くあなたを見上げて、熱い息混じりに名前を呼んだ。 呼んで。 また、首に腕を回して。いつでも来て、と蕩けたような顔がそう告げていたのに。 「……今…?」 何で先に確認しなかったの、と。じとりとあなたを見て、額をぶつけた。ごつん。 (-463) 2023/09/19(Tue) 21:24:26 |
【秘】 黒眼鏡 → 法の下に イレネオ「そう、まぁ、お前の、いうとおり」 いてえな、と顔をしかめながら、 ハハ、と笑って。 「──、須らく 悪人は裁かれる べき、」 ご づ。「っ、だ」 ぐん、と勢いをつけて、揺らしてぶつけていた頭が 床に叩きつけられる。 それは優し気に慈悲めいて苛んでいたあなたの手によるものではなく、 アレッサンドロが自ら、文字通り叩きわるほどの勢いで 後頭部を床に打ち付けた音で。 「……」 あまりの勢いに一度跳ね、 ごとん と音がして横転する。壊れたマネキンのように首が傾いて、 すぐにじわりと床に血溜まりが広がっていく。 ──それと、同時。 (1/2) (-465) 2023/09/19(Tue) 21:42:31 |
【秘】 黒眼鏡 → 法の下に イレネオ「イレネオ巡査長!」 ばん、と扉が開け放たれる。 扉の向こうには、警棒を構えた警官が二名。 「何をしている、やりすぎだ!」 「…この部屋の取り調べの様子は、 記録されてるんだぞ! 」──取り調べの可視化法。 この国でも採用されているそれは、 本来は一切の例外はない。 特にマフィアに関わるものは、全てが記録され保存される。 だが、取締法の影響下ではそれすらも無視される。 そういう時のために、録画録音が行えない専用の部屋が用意されている―― はず、だったのだが。 (2/2) (-466) 2023/09/19(Tue) 21:43:12 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 黒眼鏡あまり要領がよくないものだから、時間はかかってしまったけれど。 昼頃の時間。あなたの元に面会に来る姿があっただろう。 立場を誤魔化せるよう眼鏡をかけて、髪を緩く後ろにまとめている。 「……アレ?」 あなたの姿が見えたのなら、そっと声を掛けるのだろう。 殆ど情報を仕入れていないから、今どんな姿なのかもわからず不安そうな顔。 (-469) 2023/09/19(Tue) 21:55:51 |
【秘】 pasticciona アリーチェ → 黒眼鏡今度は即答せずに、慎重に言葉を探すように少し間が空く。 難しい。言葉にしなくても表情にそうありありと浮かんでいる。隠しもしないというより、性格上隠せやしないのだろう。 無意識に口元に当てながら、まるで教会にお世話になりだし、教えを受けだした当初の頃のように愛について思いを巡らせていた。 「どうでしょう。隣人愛。無償の愛。 教会で言う愛の多くはアガペーでしょうから…… とは言え、子がアモーレを人生に賭けたか否かで 特別扱いが変わるとも思えず……私から言える事は、」 祝福されたいなら、不倫は、駄目ですよ。 それだけは祝福されない罪とご戒律が伝えているから。 それも神ならば全てをおわかりになっているのです。 なんて言いかけた言葉も、あなたが鐘を見上げながら呟いた言葉を心に刻むと、不思議と言葉にし辛くなって、結局頷くのみであった。 「……」 「……鐘に、なにか思い入れでも?」 祈りを捧げ終え立ち上がった貴方の視線を追って、祈るわけでも、花を捧げる訳でもない様子に不思議そうに首を傾げる。 (-470) 2023/09/19(Tue) 21:59:50 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡「… 仕事 です。」間延びした声はなりを潜め。 どこか沈痛な面持ちはそのままに。 「………… 本当は、様子を見に来ました。 」悪い事をした子どもみたいに不明瞭な声。 それでも聞き取れるくらいには発声した。 心配で、とはつけないところが素直じゃない。 そんな自分には、どこか自覚的だ。 (-473) 2023/09/19(Tue) 22:02:51 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「おう、そうか。 危ない橋だぞ」 見られたらどうすんだよ、なんて言葉は言うまでもないが。 掌に顎を乗せて、溜息のような息を漏らす。 ──牢獄の中でも、カウンターの中とまったく同じ。 実際はあなたが着たこと、そこにいること、 それそのものが嬉しいのに。 「んで。 様子はどうよ。 いつも通りだろ?」 へらりと笑う頬に、あざがぼこぼこと広がっていなければ、まあ。 (-475) 2023/09/19(Tue) 22:12:42 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡「────は、」 それは一瞬のことだった。 目を離した隙に、ではない。油断した隙に、でもない。 男は少しだって貴方から目を離さなかったし、僅かだって油断してもいなかった。 だから、それは。 この手から逃げられてしまったのは。 単に貴方が上手だっただけのこと。 「おい」 「おい、ルカーニア」 男は貴方を再び揺さぶろうとするだろう。当然重傷者にするのはご法度だが、男は医学の徒ではないし、何より今は滲みだす焦燥があった。 死んだのか? どうして? これでは法に背くことになる。 しかしその焦りが形になる前に、 大きな音を立てて戸が開いた。 ▽ (-482) 2023/09/19(Tue) 22:46:33 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡自分以上に焦った様子の警官たち。 悲鳴のような怒号、或いは怒号のような悲鳴。 対照的に己の下敷きになった男は一言の声も発することなく、 ただ傾いだ身体を支えようとした片腕が、流れ出す血で滑った。 通常機器が設置されるはずの場所に無意識に目をやる。 突入してきた警官たちの表情に目をやる。 最後に自分の現状に目をやって。 ようやく血の気が引いた。 「……違う」 何が? 「……違う!」 何が? 男は平常、シンプルなものを好んだ。 搦手の聞き込みより率直な捜査を好んだ。 ▽ (-484) 2023/09/19(Tue) 22:48:24 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡この状況で最もシンプルな答えは、 『イレネオ・デ・マリアは、アレッサンドロ・ルカーニアに暴行を加えた』 ────それだけ。 (-485) 2023/09/19(Tue) 22:49:02 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡「…わかってます。」 「でも、A.C.Aに選抜されましたから…少しは誤魔化しが効く立場なんですよ。」 ヒラの巡査に比べたらの話。 さて、そうでなくても果たしてここに足を運んでいただろうか。 …意味のない自問だ。目を伏せて一蹴した。 「せっかくの色男が台無しですね。」 問いには苦い声。 乱視で少しぼやけているから、直視こそせずに済んでいる。 …本当はこんなところで会いたくもなかったし、こんな姿を見たくもなかった。 眼鏡はその、折衷案だ。 (-492) 2023/09/19(Tue) 23:05:55 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「ならいいが。 この後のことを考えるとなあ」 困ったように頬をかく。そうするといてえ、と当然の悲鳴をあげて、びくんと顔をそらす。 牢の中のアレッサンドロはなんだか気が抜けたようで── いや、気のせいではなく、彼は何かに安堵し、満足していた。 場所と境遇とのギャップが、その違和感を不気味に縁取るかのようだ。 そんなことにも構わず、男はあなたの軽口に肩をすくめる。 「子供のころはずっとこんな感じだった。 成長すると色男になったわけだが」 だらしなくかいたあぐらの上で、気怠そうに足を組み直す。 「そういうお前も、なんだかしんどそうだな。 仕事が辛いか?」 からから。笑い声は、牢獄のなかにばかりこだました。 (-501) 2023/09/19(Tue) 23:31:07 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡「……そうか」 長く、長く沈黙があった。少なくともそこには納得があった。 思考がぐるぐると落ちた先には少なくとも着地点がはっきりとあって、 遣り切れない思いを消化するだけの道筋を得た、そういう響きだった。 「お前がそう云うんだったら、そうなんだろう。 そういうことにしておくさ」 憎まれ口めいた言葉を残して、冷たい廊下から立ち上がる。 長らくいられるわけではないし、こんな情勢で出来ることも多くはない。 いずれは案内をした職員も戻ってきかねない、それだけの時間が過ぎていた。 「アレッサンドロ」 最後に一言だけ、貴方の名前を口にする。呼び寄せるように。 けれども貴方に応える義理のあることではない。貴方に責のあることではない。 放り投げられたボールをどうしてやるかなんて誰が決めるものでもない。 振り向かない権利は貴方にあって、引く指に引かれてやるかどうかなんて、強制力もない。 そのくせ、こちらを向かない瞳に向ける諦めは、縋るような輪郭をしていた。 (-502) 2023/09/19(Tue) 23:31:12 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 黒眼鏡――かつん。 廊下に一つの足音が響く。 牢の中にあなたはどんな格好でいるだろうか。 立っているなら堂々と見据えて、座っているなら冷めた目で見下ろして、あなたを見る一人の男が牢の前に立った。 いつもは客としてあなたの前に立っていたけれど、今日は違う。 警察として、多少の無理を通してここに訪れた。 そうでなければ、ここに堂々と来ることは出来まい。 「アレッサンドロ・”黒眼鏡の”・ルカーニア……いや」 つらつら語るはあなたの名前。 でもね、知っているんだ。お前の、正体。 「アリソン・カンパネッロ」 「……取り調べを……させてもらうよ」 ―――聞きたいことが、あるんだ。 (-511) 2023/09/20(Wed) 0:08:46 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡開きかけた口がその悲鳴で閉じる。 そのまま眉間に薄い皺を寄せた。 何でこっちまで痛くならなきゃいけないんだろう。 なんだか満足そうなのが、また、腹が立つ。 「…… 辛い、ですよ。 」だからちょっとくらい仕返ししてやってもいいかなと思った。 「…聞いてくださいよ。」 「いきなり上司さんがいなくなっちゃって」 「困ったことがあったら言えだとか」 「仕事に穴は空けないだとかいってたくせに」 「どおしたらいいかわかんないじゃないですか」 「あたし、これから誰に何を報告したらいいんですか」 少しずつ声が震えていく。 本当に。仕返しですら痛くさせるんだから理不尽だこんなの。 まだ言ってやりたいことはいくらでもあるけど熱くなった目頭に中断させられる。 泣いてなんかやりたくない。路頭に迷ってただ泣くなんて嫌だった。 (-514) 2023/09/20(Wed) 0:50:43 |
【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレ爪と指の跡が、充血したような赤く小さなあざが、 からだのあちこちに残っている。 交わりの痕跡を互いの体に刻みながら、体液を混ぜ合い重ねようと…した格好のまま、止めて。 「わり」 額がごつん、とぶつかって、眉間に皺を寄せながらへら、と笑う。 肌を重ねるようになってからも、 「しない場合のデメリットが…」だのなんだのといって、 避妊具なしでは決してあなたを抱こうとしなかった。 回されていた腕から器用に体を抜いて、身を離す――かと思えば、 秘部を晒し開かれた腿にするりと両手を回して、抑え込む。 そのまま、寝技でもかけるような小器用さで女の下半身を抱え込むと、 「今日はこっちで」 ──ぐちゅり、と。 蜜のように溢れだした体液を、舌先がすくう。 さぐりあてる必要もないほど触れてきたそこをぐりぐりと舌がなぞっていって、 やがてぷっくりと膨らんだ陰核をつんと突くと、 秘部全体を刺激するように顔をうずめた。 (-521) 2023/09/20(Wed) 1:50:21 |
【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレ「んが……」 …たまに聞く、静かなのにうるさいアレッサンドロのいびきだ。 のんきなことに、男はベッドの上で腕を枕にねころんでいた。 いつも来ている柄シャツではなく、貸し出されたらしい無地のスウェット姿。 顔のあちこちは打撲か何かで腫れあがっており、瞼が片方閉じ切っていない。 ここ10年程のアレッサンドロには、似つかわしくはない… けれどなにより、彼らしいよそおい。 とりあえずは、生きている。トドみたいなかっこうで大口を開けているが。 (-522) 2023/09/20(Wed) 1:53:15 |
【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェ「愛なんて短い単語で、人の気持ちが全部表せるとは俺あ思わない。 人によって愛は違うし、 人の中でも愛は違う」 びゅう、と風が吹く。三日月島の海から吹き抜ける、低く強い潮風だ。 それはばたばたとアレッサンドロの服の裾をはためかせ、 ──けれど微動だにせず、彼は紡ぐ。 「俺にとっての愛はひとつで、 ほかは全部愛じゃない。 じゃないと、愛が翳る気がしたからだ」 「優先順位の一番上。 俺が知る限り、それが一番の愛で、嘘がない」 神様はそれも知っているのか。知っているのなら。 …呟くような声は、風とその音で千々に紛れる。 その時、ちょうど。 (2/2) (-524) 2023/09/20(Wed) 2:03:56 |
【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェ──ごーん…ごーん…… 見上げていた鐘が、鳴り響く。時刻の境目になるだけの、機械的なそれ。 「鐘には特に。 ただ、」 視線を下ろす。あなたを見下ろして―― 「死者に捧げるものを、花と鐘しか知らなくてね」 笑う。 「ずっと考えてた。アリソンに捧げる鐘は、何がいいだろうと」 「───共犯者のお嬢さん。 付き合ってくれたついでに聞きたいが」 笑って。 「死者には何を捧ぐべきだろう。 俺にとっての答えだけが、まだわからん」 ──主犯の男は、ただ寂し気に笑う。 それはなにもかも、もはや失った男の笑みだった。 (-525) 2023/09/20(Wed) 2:05:05 |
【秘】 黒眼鏡 → 法の下に イレネオふ、と。朦朧と、水底に投じられたわら束のごとく乱れていく意識の中で、 喚く男の声を聴く。 まぁ、これでいいだろ。 しばらくは。 揺さぶられるたびに傷口から血液が零れて、ごぼりと音をたてて涎が落ちる。 警官たちはイレネオを確保しようと駆け寄り、 やがてアレッサンドロには救護班がすっ飛んでくるだろう。 ──ああ、にしても、あちこち痛え。 ここで死んでも良かったのだが、生き延びてしまった男は、 ──口許だけを、ふ、と、笑みの形にゆがめて。 (1/2) (-526) 2023/09/20(Wed) 2:13:21 |
【秘】 黒眼鏡 → 法の下に イレネオ「──動画は取っておけ、少なくとも今は。 必要があれば削除の指令が出るだろう」 「アレッサンドロ・ルカーニアは、予定通り――……増員用の区画へ」 「あそこですか? …普段使わない場所ですよ。 どうしてそんな」 「知らんよ。 …出資者からの要望らしいから、そこまでは」 「はあ。 …アリソン・カンパネッロですか。どういうやつなんですかねえ」 扉の外で、警官たちが話している。 ──逮捕前に、あるタブレットから送信された一通のメール。 それは警察内部に浸透し、一部の越権行為すら可能にする力を持っていた。 金と、伝手。 10年蓄えたアレッサンドロ・ルカーニアの弾丸が、 警察をも巻き込み、ノッテファミリーと三日月島の潮風を焼き焦がす。 ──あなたがそれをどこまで知るかは、分からないけれど。 (2/2) (-527) 2023/09/20(Wed) 2:14:27 |
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ「わるいね、旦那」 立ち上がるあなたを、見送る。 ──いつものように。 「うん?」 普段なら、引き止めることも追い求めることもない。 だが、あなたとの間に横たわる――実に二十五年の歳月が、 男の首を再び持ち上げた。 「なんだい、ヴィンセンツィオ。 あんたらしくねえな」 腹筋の力だけで起き上がり、よ、っと床に降りる。 無造作な足取りでぺたぺたと、裸足のままで格子に近づき、 「言いたいことあんなら言えよな。 昔っからそうで――いや、それならあんたらしいのか? …いややっぱ、らしくねえ」 自問するようで、結局答えは出ている。 がしゃん、と手をつき檻を揺らせば、 その隙間越しに黒い瞳があなたを見た。 (-528) 2023/09/20(Wed) 2:19:47 |
【秘】 黒眼鏡 → 花浅葱 エルヴィーノ「おう、きたか」 男はベッドの上で、腕を枕にふてぶてしく寝転がっていた。 その顔はさんざんにはれ上がっていて、瞼は片方ろくに開いていないようだ。 それでも口許のつり上がった笑みはそのままで、 見下されているのに見下ろしているように錯覚する。 「おっと、それは女の名前か? 悪いが俺は女子供は苦手でね。 警察ならキチンと証拠を揃えてからきてもらおうか」 ははは、なんて声が檻の中にこだまする。 ──実質認めているようなもので、きっとこれは挨拶だ。 あなたが何を聞くのかと、だらしなく組まれた脚の先がちょいと手招くようにして待っている。 (-529) 2023/09/20(Wed) 2:22:33 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「そうか」 震える声を、その吐露を聞いて。 「ダニエラ。 こっち来い」 男がまずしたことは、それにこたえるでも慰めるでもなかった。 答えよりも先に、格子のそばまで歩いていく。 ぺたぺたと、普段はいているサンダルよりも軽い裸足の音。 ベッドからひらりと飛び降りたその足取りは思ったよりもしっかりとしていて、 見た目ほど重傷ではないのかこの男が頑丈なのかは半々か。 「こっち」 そうして格子の傍まで来ると―― 男は隙間からほんの僅か、手を伸ばした。 (-530) 2023/09/20(Wed) 2:25:58 |
黒眼鏡は、プランがあった。 (c11) 2023/09/20(Wed) 2:26:42 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡自分よりも背の高い人間なんて見たこともないような、高い上背が貴方を見下ろす。 普段はサングラスの向こう側に隠れた目を覗き込んで、ああ、とこぼして。 歳を重ねて水気の失われつつある頬を緩めて、小さく笑った。 鉄格子に掛けられたその手へと、屈むように背を曲げて。 ほんの少しだけ。払った埃が触れるくらいに微かに。 貴方の指先に、触れるだけのキスをした。 「元気でな」 一つきりの言葉を最後に踵を返す。 こんな悪ふざけはすぐに終わるだろう。 では、その後は? 歩き慣れた革靴の底が廊下を叩いて、街へと上がっていく。 秋から冬へ巡る。10月を過ぎれば金星は見えなくなるだろう。 ヴェスペッラの名と同じように。けれど、それも牢の中では見えやしまい。 貴方の影に紛れ込んだ大嘘吐きは、それで潔く退場する。 (-535) 2023/09/20(Wed) 2:43:06 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡自分の感情が自分でもよく分からない。 怒ってる、はずだ。でもそれ以前に悲しくて。 █しくて。 それだというのにほんの僅かなことにもホッとする。 同時にそれが今後も続く保証がなくって不安になる。 続きを吐き出すタイミングを逃してしまい、押し黙ったまま傍へ寄る。 せめてもの反抗とばかり表情だけはぶすくれているけど、だからなんだという話でもあった。 「…なんですか……」 ぼそり。 (-539) 2023/09/20(Wed) 2:59:25 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 黒眼鏡汗ばんだ肌に、上がっている息。 ここまで来たのに、と恨みがましい目を向けつつ。 あなたが避妊具なしで抱いてくれないのは知っていたから、今日はここまでかなと思っていると。 腕から体が抜かれたので、起き上がろうかと肘をついたのだが。 そのままずるっと滑るように、背中が再びベッドについた。 抱え込まれたような恰好は、秘部を高い位置へと曝け出す形になる。 「あ、え……っ、んん…!」 それほど回数をこなしたことがあるわけでもない。まして、身内にはこういったコトをさせることの方が少なかっただろう。 止める間もなく、舌先がそこをなぞる。ぞくぞくとまた、背筋を快楽が駆けのぼって。 とろりと、奥から込み上げた体液が舌の上に流れるほど溢れた。 流し込み切らなかった分は横へ流れて、いやらしくシーツを濡らす。 口元にあてた手の甲の隙間から、高い声が漏れて。濡れた瞳があなたの方を見ていた。 (-540) 2023/09/20(Wed) 3:00:53 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 黒眼鏡寝ているだけなのがわかったのなら、不安そうだった顔は少しばかり和らいで。 しゃがみこんでその寝顔を眺める。 その顔の傷は気になるが、むしろ昔を思い出すようで懐かしさすら覚えて。 「自業自得だって聞いてたけど、……らしい顔してるわ」 「アレ、可愛い妹が来たのに起きてくれないのかしら?」 気付かないかもな、と思いつつ。冗談めかして声を投げている。 (-541) 2023/09/20(Wed) 3:03:20 |
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