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【秘】 黒眼鏡 → 法の下に イレネオ「──動画は取っておけ、少なくとも今は。 必要があれば削除の指令が出るだろう」 「アレッサンドロ・ルカーニアは、予定通り――……増員用の区画へ」 「あそこですか? …普段使わない場所ですよ。 どうしてそんな」 「知らんよ。 …出資者からの要望らしいから、そこまでは」 「はあ。 …アリソン・カンパネッロですか。どういうやつなんですかねえ」 扉の外で、警官たちが話している。 ──逮捕前に、あるタブレットから送信された一通のメール。 それは警察内部に浸透し、一部の越権行為すら可能にする力を持っていた。 金と、伝手。 10年蓄えたアレッサンドロ・ルカーニアの弾丸が、 警察をも巻き込み、ノッテファミリーと三日月島の潮風を焼き焦がす。 ──あなたがそれをどこまで知るかは、分からないけれど。 (2/2) (-527) 2023/09/20(Wed) 2:14:27 |
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ「わるいね、旦那」 立ち上がるあなたを、見送る。 ──いつものように。 「うん?」 普段なら、引き止めることも追い求めることもない。 だが、あなたとの間に横たわる――実に二十五年の歳月が、 男の首を再び持ち上げた。 「なんだい、ヴィンセンツィオ。 あんたらしくねえな」 腹筋の力だけで起き上がり、よ、っと床に降りる。 無造作な足取りでぺたぺたと、裸足のままで格子に近づき、 「言いたいことあんなら言えよな。 昔っからそうで――いや、それならあんたらしいのか? …いややっぱ、らしくねえ」 自問するようで、結局答えは出ている。 がしゃん、と手をつき檻を揺らせば、 その隙間越しに黒い瞳があなたを見た。 (-528) 2023/09/20(Wed) 2:19:47 |
【秘】 黒眼鏡 → 花浅葱 エルヴィーノ「おう、きたか」 男はベッドの上で、腕を枕にふてぶてしく寝転がっていた。 その顔はさんざんにはれ上がっていて、瞼は片方ろくに開いていないようだ。 それでも口許のつり上がった笑みはそのままで、 見下されているのに見下ろしているように錯覚する。 「おっと、それは女の名前か? 悪いが俺は女子供は苦手でね。 警察ならキチンと証拠を揃えてからきてもらおうか」 ははは、なんて声が檻の中にこだまする。 ──実質認めているようなもので、きっとこれは挨拶だ。 あなたが何を聞くのかと、だらしなく組まれた脚の先がちょいと手招くようにして待っている。 (-529) 2023/09/20(Wed) 2:22:33 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「そうか」 震える声を、その吐露を聞いて。 「ダニエラ。 こっち来い」 男がまずしたことは、それにこたえるでも慰めるでもなかった。 答えよりも先に、格子のそばまで歩いていく。 ぺたぺたと、普段はいているサンダルよりも軽い裸足の音。 ベッドからひらりと飛び降りたその足取りは思ったよりもしっかりとしていて、 見た目ほど重傷ではないのかこの男が頑丈なのかは半々か。 「こっち」 そうして格子の傍まで来ると―― 男は隙間からほんの僅か、手を伸ばした。 (-530) 2023/09/20(Wed) 2:25:58 |
黒眼鏡は、プランがあった。 (c11) 2023/09/20(Wed) 2:26:42 |
【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡自分よりも背の高い人間なんて見たこともないような、高い上背が貴方を見下ろす。 普段はサングラスの向こう側に隠れた目を覗き込んで、ああ、とこぼして。 歳を重ねて水気の失われつつある頬を緩めて、小さく笑った。 鉄格子に掛けられたその手へと、屈むように背を曲げて。 ほんの少しだけ。払った埃が触れるくらいに微かに。 貴方の指先に、触れるだけのキスをした。 「元気でな」 一つきりの言葉を最後に踵を返す。 こんな悪ふざけはすぐに終わるだろう。 では、その後は? 歩き慣れた革靴の底が廊下を叩いて、街へと上がっていく。 秋から冬へ巡る。10月を過ぎれば金星は見えなくなるだろう。 ヴェスペッラの名と同じように。けれど、それも牢の中では見えやしまい。 貴方の影に紛れ込んだ大嘘吐きは、それで潔く退場する。 (-535) 2023/09/20(Wed) 2:43:06 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡自分の感情が自分でもよく分からない。 怒ってる、はずだ。でもそれ以前に悲しくて。 █しくて。 それだというのにほんの僅かなことにもホッとする。 同時にそれが今後も続く保証がなくって不安になる。 続きを吐き出すタイミングを逃してしまい、押し黙ったまま傍へ寄る。 せめてもの反抗とばかり表情だけはぶすくれているけど、だからなんだという話でもあった。 「…なんですか……」 ぼそり。 (-539) 2023/09/20(Wed) 2:59:25 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 黒眼鏡汗ばんだ肌に、上がっている息。 ここまで来たのに、と恨みがましい目を向けつつ。 あなたが避妊具なしで抱いてくれないのは知っていたから、今日はここまでかなと思っていると。 腕から体が抜かれたので、起き上がろうかと肘をついたのだが。 そのままずるっと滑るように、背中が再びベッドについた。 抱え込まれたような恰好は、秘部を高い位置へと曝け出す形になる。 「あ、え……っ、んん…!」 それほど回数をこなしたことがあるわけでもない。まして、身内にはこういったコトをさせることの方が少なかっただろう。 止める間もなく、舌先がそこをなぞる。ぞくぞくとまた、背筋を快楽が駆けのぼって。 とろりと、奥から込み上げた体液が舌の上に流れるほど溢れた。 流し込み切らなかった分は横へ流れて、いやらしくシーツを濡らす。 口元にあてた手の甲の隙間から、高い声が漏れて。濡れた瞳があなたの方を見ていた。 (-540) 2023/09/20(Wed) 3:00:53 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 黒眼鏡寝ているだけなのがわかったのなら、不安そうだった顔は少しばかり和らいで。 しゃがみこんでその寝顔を眺める。 その顔の傷は気になるが、むしろ昔を思い出すようで懐かしさすら覚えて。 「自業自得だって聞いてたけど、……らしい顔してるわ」 「アレ、可愛い妹が来たのに起きてくれないのかしら?」 気付かないかもな、と思いつつ。冗談めかして声を投げている。 (-541) 2023/09/20(Wed) 3:03:20 |
【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ骨が軋み、肉が弾ける。 ヴィンセンツィオとの間にあった物質的交流なんて 大体はそんなものだったから、指先に触れる感覚にぱちぱちと、 瞬きだけを返す。 「旦那?」 困ったように頬をかく、けれど。 その立ち去る背中が、革靴の後が、恐らくはあなたの選んだ道なのだろうと思えば、 もはや伸ばす手も問う言葉もない。 「はー……」 くるりとその体を反転させて、がしゃん、と格子に背を預けた。 「あんたともっかい、 殴り合ってみたかったけどな」 ──ぽつり、と呟いた言葉を聞く者は、牢獄の中には誰もいない。 鉄格子の隙間から広く細い廊下へと残響して、 いずこかへと消えていく。 (-552) 2023/09/20(Wed) 7:24:49 |
【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレぐち、ぐち、くちゅ。 唾液の音か、それとも愛液の高鳴りか。 水音をひたすらにかきたてて、 性欲の昂りはますます劈き、燻り続けている。 それでもただ奉仕し、注ぎ込むように 自らの口吻でそこを啄み、舌を潜り込ませることだけ。 「……ん、……ぅ、……」 寄せてはただ返す波のように、 一定のリズムを崩さない鼓動のように、 同じ場所を執拗に責め苛む。 掌はときたま腿をかりかりと刺激するように弄い、 溢れる体液はぽたぽたと肌を伝い落ちていくけれど、 「……っ、……っは、……ん、……」 くちゅ、と唇が吸い付く音。 黒く、けれど燃えるように硬くそこにある瞳は、 口淫を続けながらもあなたの瞳をじいとみている。 あなたの様子を窺うように、 あなたの快楽を探るように。 やがてあなたが達するまで、ときたま体位を変えながらも 腕は離れず、それは続く。 (-553) 2023/09/20(Wed) 7:32:53 |
【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレ黒眼鏡の眠りは浅いほうだ。 あなたと共に眠りに落ちたとしても、 気が付くと起きていることが多かった。 ──そしてただあなたにぎゅっとしがみついて、何かに耐えるように眠るとき。 彼は、夢を見ていたのだろう。 多分、今日もそんな夢を見ている―― そういう時は決まって、起きたらしかめつらになって、 「夢見た」「忘れた」だのとぐだぐだ言っていたが。 「…アリソン?」 あなたの声にぴくり、と肩が震える。 ぼうと寝ぼけるような声で、 アレッサンドロはゆっくりと上体を起こした。 「……フィオじゃねえか。 お前どうした、こんな場所に、大丈夫か?」 驚いたように声が弾んで、がばっと身を起こす。 (-554) 2023/09/20(Wed) 7:37:52 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「ん」 くしゃり、と、前髪に手が触れる。 寄ってきたあなたの頭を、 格子を抜けた指先で弄うようにくしゃくしゃ、 どうやら撫でているつもりのようだ。 「わりい、苦労かけた。 メッセージくらい残すべきかと思ったんだが、 忙しくてな」 すまん、と何度か繰り返して。 口の端に浮かんだ優し気な笑みを指を伝い届けるかのように。 「…一応、例の店からはまだ俺のところに情報がくるようにしてある。 少し時間はかかるが、もし報告したいことがあればあそこを使え」 どうやって情報がくるのだろうか。 「それと、次だが――……」 そこで、アレッサンドロは、 なんだか悩むように言葉を止めて。 「お前、どうしたい?」 (-556) 2023/09/20(Wed) 7:44:20 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡「…………。」 「……なんですかぁ…」 同じ言葉なのに、どうにも情けない声が出た。 どちらかというとあの車内の態度の方が近い。 へたくそだなんて思いながらも、口にしないで大人しくしている。 「…謝ったって、許しません ん 」本当に、苦労したんだ。今も、している。 それでも予兆があったからまだ耐えられた。 …そのことにだって、ありがとうなんて言ってやらない。 薄紅色のバスボムは、今も使わず置かれている。 短くSìを告げ少し落ち着く。 まだそうやって必要とされている間は地に足をつけていることができた。 「…あたしは」 「こんな悪法、とっととぶっ壊してやりたいですけど…」 顔が本気だ。本当に馬鹿な法案だと思う。 それを利用して今女は、もうひとつの摘発チームを解体させようと企んでいる訳だが。 「そういう話じゃ、ないですよねぇ」 「なんですかあ」 張り詰めていた分が随分と弛緩して、声音に反映されていく。 そこまで単純なつもり、なかったんだけどなあ (-559) 2023/09/20(Wed) 8:17:59 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 黒眼鏡「酷いツラだね、誰にやられたの?」 くすりと、笑う。 その様子では、クリアな視界ではないだろうから、どこまで自分の顔が見えてるかわからなくて。 男は牢の格子に手をかけて、その顔を寄せた。 「まぁ、答えずとも大体わかったけど……。 僕の大型犬の後輩が、随分と世話になったみたいだね」 正義感が強くマフィアを嫌う彼のこと。 自分が睡眠薬を買いに行った、それを見ただけで強い力で問い詰めてきたくらいだから、彼があなたを狙うのはおかしなことではない。 それでも、個人的な理由でもなければ、一人で突き進むなど。 こちらを止めておいて自分で行うなど、到底、許したくはないものだ。 「証拠なんてこれからいくらでも。……じゃあ、まずはひとつ」 「うちの大型犬……イレネオ・デ・マリアとはどういう関係なのかな」 (-560) 2023/09/20(Wed) 8:22:26 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「だめかあ。 じゃあ謝るのはやめておこう、代わりに、なんか欲しいものをやるから。 それで許してくれるといいが」 即物的だ。 女性に対するできた態度とは思いにくい。 それでもあなたが望むなら、その望むままにするだろうとは なんとなく、悟ることができるだろう。 「──そうさなあ。 まぁこんな悪法、そう持たんさ。 すぐにどうにかなる」 あの署長も長くはなさそうだ、なんて笑い。 「未来の話だよ。 お前にはちゃんと、未来があるんだから」 くしゃり。 指先が髪先を僅かに撫でて、離れた。 (-563) 2023/09/20(Wed) 9:03:59 |
【秘】 黒眼鏡 → 花浅葱 エルヴィーノ「転んでぶつけたのさ」 へらり、と笑う。 「ああ、あいつ。 お前ね、しつけはちゃんとしろよな。 どうにかなるならよかったが、 邪魔だから除かざるを得なかった」 ベッドの上であぐらを組んで、頬杖をつく。 その様子からは、どこか余裕のようなものすら感じられた。 「関係って話だとまあ…」 自分の頬をつんつん、とついて。 「被害者と加害者かな?」 嘲笑った。 (-567) 2023/09/20(Wed) 9:18:55 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡「……。」 欲しいもの。 「………コーヒー、が」 真っ先に浮かんだのは。 「飲みたいです。…アレッサンドロさんの。」 …泣き言だ、これは。 いつ叶うかも分からない。叶うかどうかも定かでない。 離れてゆく指先を見守り思う。 「未来、とか」 「そんなの、考える余裕、ないですう。」 なんで自分にばかり未来があるんだろう。 いっそのことさっさと地獄にでも堕ちた方が気が楽だ。 …それとも今のこれが、地獄だろうか。 真綿で締めるみたいに大切なものをひとつひとつ取りこぼしていくことが。 「アレッサンドロさんは、あたしにどうなってほしいですかあ」 聞き入れてやる義務なんてないけど、聞くだけ聞いてみる。 自分ひとりじゃ、すぐ浮かびそうにはなかったから。 (-578) 2023/09/20(Wed) 12:58:34 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 黒眼鏡「それは失礼。 うちの犬は正義感が強すぎてね」 犬に転ばされてしまったのかい? と、あざ笑う。 「はぁ……、今のことを聞いてるわけじゃないのはわかってるだろ」 今の姿を見れば確かに加害者と被害者ではあるが。 けれどもそれは、お互い様なのだろうにと肩をすくめた。 「強引な男なのはわかってるけど、それでもたった一人で無茶をするには理由があるはずだ。 お前たちは、過去にも何かあったんじゃないのかい?」 (-595) 2023/09/20(Wed) 15:13:12 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「そおか」 うん、と頷く。あなたの泣き言を、肯定する。 「分かった。なあに、すぐできるさ。 真っ先にお前に飲ませてやるよ」 狭間には、格子がひとつ。 何にもないようにふるまい、 目も指も届くけれど、 それは越えられない隔たり。 けれどまるで最初からこうだったかのように、 アレッサンドロは意に介さない。 「そりゃあ、お前」 だから、そんな顔で。 「あぶねえことしないで生きて欲しいな。 やらせてる俺が言えた事じゃないから言わないが」 言っている。 言えないことだが、きっと言わずにはいられないから。 (-606) 2023/09/20(Wed) 16:59:48 |
【秘】 黒眼鏡 → 花浅葱 エルヴィーノ「過去〜……?」 真面目に考えるようなそぶり。 すぐにぱん、と指を叩いて。 「教会で喧嘩売られたぞ。礼拝の最中にうるさくすんなって言っとけ」 おとついくらい、なんて付け足し。──壁にもたれるように腕を組んだ。 「イヤ本当に、俺はしらねえのよ。まぁあっちは俺のこと知ってただろうけどな。 お前は理由があるはずというが、そいつはほんとにあるもんなのか?」 指を一本、立てて振り。 「いいトシの大人なんだから言わねえことは言わねえ理由があるか、 もしくはそんなもんねえんだよ。 あるとして、本人以外になーーんの意味もないもので、 そういうことに何もかんも全部身を投じる阿呆ってだけかもしれん。 どちらにしろ、理由を欲しがってるのはお前だろ? ここまで来れるんなら、本人に聞けよ。 俺が知るか、ばーかってことだよ」 一息に言ってから、に、と笑って。 「──だがま、若いモンだし、マフィアには無関係なやつだ。 終わったらさっさとシャバに戻って、マトモに人生送ってほしいと思ってるよ。 個人的には」 (-608) 2023/09/20(Wed) 17:21:41 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 黒眼鏡「勿論、キミとの話が終わったら会いに行くさ。 その前にキミから色々聞いておかなければいけないなと思っただけで」 だからそこは、順番が違っただけだと、前置きをする。 あなたの話を、嘘なのか本当なのか。 じっくりと見定めるように聞いて、笑顔を見れば深々と息をついた。 ――― 個人的に 、ね。「僕に、キミから物を買うのはやめろって止めに来ておいてね……。 理由がなかったというなら、それはしつけのし直しが必要だな」 格子にかけた手は離れることなく、意識を変える。 この男はイレネオが邪魔だと思った、それ自体は本当だろう。 けれど、本当に聞かなければならないことは、そこじゃない。 「―――。 じゃあ、2つ目。ここからが本題だ。 アリソン・カンパネッロ なんて名前を偽装して法案を通したのは何故だ」 (-613) 2023/09/20(Wed) 17:37:49 |
【秘】 黒眼鏡 → 花浅葱 エルヴィーノ「オ、さすが。 ならなおさら、マフィアの言う事なんか聞いちゃいかんと思わんか。 お得意さんだから言ってるんだぜこれは」 へらへらと笑う。 施設から貸し出されたらしいスウェットの上下はだらしなく、 休日に寝転ぶおっさんそのものだ。 「いやまぁ、俺ぁ一応カポだから。 あいつからすりゃあ悪党の元締めだろ。 そこは別におかしなこと言ってねえと思うぜ。 心配かけてやんなよ」 …本人がいうことでもない。 自分の事を棚どころか天井裏にまで上げながら、 あぐらをかいたからだをゆらゆら揺らして。 「そりゃお前、マフィアのカポ・レジームアレッサンドロです! マフィア捕まえるために金出します! ……なんていったって受けてくれねえからだよ」 聞かれたことに、そう答えた。 (-615) 2023/09/20(Wed) 17:48:44 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 黒眼鏡「両方の話を聞いておくのは大事なことだよ」 「心配を……かけたことは自覚してるけれど。 僕だって心配くらいするって話で……いや、その話はもう良い」 本題と違うことまで思い出してしまいそうで、頭を振った。 話に集中できなくなってしまう、これはいけない。 というかそのだらしない態度はよせ、とは思うのだが。 牢の外からしか会わないと、もうひとり、心配性の誰かと約束したから破れない。 態度の一つくらいは大目に見たって構わないだろう。 ツッコんではいけない。 「そんな事はわかってる。 マフィアのカポ・レジームが金出してまでマフィアを取り締まるのは何故かと聞いてるんだ。 これはマフィアにとって重大な……裏切り行為だろう?」 (-617) 2023/09/20(Wed) 17:58:40 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡不自由な独房の中で。ぼろぼろの顔して。何を。 …そんな簡単なことじゃ、ないはずなのに。 だけど、鉄格子の向こうの姿から、潮風とオイルの香りがした気がして。 一緒に香ったコーヒー豆の香りに、小さく、息を呑んだ。 それは、錯覚のはずだけれど。 「……絶対…ですよお。」 「それまで、許してあげませんからあ」 そう口にして、少し笑えてしまったのは仕方がないと思う。 自分はもう少し、現実を見ているつもりだったのに。 「…言ってないなら、聞こえませえん。」 聞こえたところで、どうせ聞けない。 だからそう言って肩を竦めて、少しだけ笑って見せた。 この生意気が、あなたの部下の姿だと。 独断で危険な橋だって渡る。それがあなたの役に立つのなら。 「あー。でもお。」 思い出すように、添える。 「アレッサンドロさんが危ないことしないならあ、考えまあす。」 (-618) 2023/09/20(Wed) 18:15:12 |
【秘】 黒眼鏡 → 花浅葱 エルヴィーノ「ああ、そうだな。 その通り、裏切ったワケ。 よくよく理由を知りたがるやつだなあ。 答えはさっきいったじゃねえか。 俺が阿呆だって話さ」 ごろん。 ついには腕を枕には、もう一度寝っ転がる。 「なンでそんなこと気にするのやら。 あのワンちゃんのことでもない、マフィアの同士討ちの話だろ? 素直に仕事が楽でいいなあっつって喜ぶわけにゃいかんのかね」 (-620) 2023/09/20(Wed) 18:22:45 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 黒眼鏡「あぁ、駄目だね」 「裁判になればその理由は必ず聞かれるし、刑量の判断材料になる。 自分の首を絞めるだけだし、納得の行く理由を話してほしいものだけど」 むしろ話してくれたほうが仕事は楽になるんだけど?と冷めた目を向ける。 けれど裏切ったということをあなたの口からちゃんと聞いたことで、なんとなく、心が痛くなった。 多分それは……消耗している大事な幼馴染が、あなたの部下にいるからで。 「…………」 「裏切った仲間は、大事ではなかったのかい?」 語る声色は少しだけ、トーンが落ちた。 (-622) 2023/09/20(Wed) 18:32:06 |
【秘】 黒眼鏡 → うたかたの ダニエラ「それで許してもらえるンなら、安いもんさ」 なんとも気軽にいうものだ。 だけどこの気軽さで、どんな高価なものでもぽんと渡してくるのをあなたは知っている。 「あーあー、生意気に育っちまって… 誰に似たんだか。 周囲が悪いな、こりゃ」 やっぱマフィアはダメだ! なんて言っているが、それこそ本当にどの口が言うのだろうか。 「おまえ得意なんだから、オトコの前ではちゃんとそういうの隠せよ。 ツラは良いんだし、賢いし、その気になれば一発だろ。な」 格子の中から、どうしてこんなに自信を持って説教じみたことができるのだろうか? さっぱり自覚していないのか、 あるいは屋根の上まで棚上げしながら嘯いて。 「それはー………」 危ないことは。 「………しないとは約束できんから、 努力目標ということにはならんか?」 変なところで正直だ。 (-623) 2023/09/20(Wed) 18:34:05 |
【秘】 黒眼鏡 → 花浅葱 エルヴィーノ「おいおい、こんな強引にしょっぴいといて、 裁判だけはまじめに行われるとでも? 俺はこんな悪法で逮捕して、取り調べ中に暴力までふるっておきながら、謝罪も反省もない警察に大変不信感を持ち憤っている。 マフィアにも人権はあるんだぜ? 弁護士を通してほしいね」 だいいち、と指を立てて。 「それ以前にな、取締法に金を出すことは俺の逮捕に関係ないだろうが。 あれはただの匿名の寄付で、それを使ったのはおまえらんとこのトップだろ。 ランドセルを寄付する覆面レスラーは犯罪者か? 俺は薬物の取引で逮捕されたはずで、そこは係争すべき点ではないだろう」 違うか?と寝転んだまま顎を引き、黒い瞳だけがそちらを覗く。 そうしてわざとらしくひとつ、息をついた。 「そうだな。ご期待に添えず悪いね。 実は俺、聖人君子ではないしトイレにも行くんだ」 ひらひら、手の代わりに足を振る。 なんとも態度が悪い。規定に照らし合わせれば、指導の名目で殴っても良さそうだ。 (-628) 2023/09/20(Wed) 18:55:20 |
【秘】 法の下に イレネオ → 黒眼鏡/* こんばんは! バナナマンパナマ湾です。 お返事色々考えてみたのですが、黒眼鏡さんからのレスで〆るのが綺麗な気がしたので、ひとまずこれで〆ということで大丈夫でしょうか。 もしまだなにかしたいからもう少し続けたいなどあれば遠慮なく仰ってくださいね。 拙い暴力にお相手してくださってありがとうございました! とっても楽しかったです! 黒眼鏡さんの行く先、わくわくして見守っております。 もしまた機会があり、そちらに余裕があればお話ししに行くかもしれません。あるかわかりませんが…… (-631) 2023/09/20(Wed) 19:03:32 |
【秘】 うたかたの ダニエラ → 黒眼鏡そうやって、いつもと同じように。 適わないなあと思うのだ。そんな夢みたいな言葉も、すぐ叶うように思わされる。 「さあ。」 「誰に似たんでしょうねえ。」 本気で自覚がないのなら大いに結構だ。 「でもちゃんと、隠してますよお。前も言いましたが優秀なのでえ。」 「アレッサンドロさんだけです、これはあ。」 ミントブルーが薄く笑む。 役得ですねえとこちらもこちらで嘯いた。 あなたが大嘘つきだったなら、どうせ指摘していたのだろう。 寧ろ正直はいい事だ。そうして口を開いた女の声は少しだけ静かに響く。 「……別に、いいんですよお。」 「その時は、必要なときでしょおからあ」 諦観ではない。けれどただの許容でもなかった。 ほんの少しの寂寥と、ずっと多くの信頼の色。 「だから、あたしも好きにしまあす。」 「必要だと思ったら。…アレッサンドロさんの、部下ですからあ」 そう口にしたら、少しだけ胸がすくようだった。 …今だって女は、間違えたことをしているなんて思っていない。 だから地獄に堕ちたとしても、やめようなんて思わない。 (-642) 2023/09/20(Wed) 20:10:05 |
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