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人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[便箋に嘘の名前を書いた>>0:L5直後、ぶぶっとスマホが震えた。通知の窓が開いて、最初の一行だけ見える。『アキナ』。
 メッセージはハルカからだった。ハルカはいつも、細切れにメッセージを送ってくる。だから開かなくても、通知だけで全ての内容が分かってしまう。
『もうすぐチア復帰だって』『それと』『気にしないでってさ』
 小さく唇を噛んで、スマートフォンを見つめる。通知が鳴りやんで、画面が暗くなってから、思い切って手に取った。
『ありがとう』『心配かけてごめんね』
 それだけ返信して、電源を落とす。画面が暗くなる一瞬前に、もう一つ通知が出た。『ナツキは来ないの?』]


 ……どの面下げて……?


[チア部にも、アキナにも。]
(19) 2020/09/29(Tue) 21:18:46

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[長い長いコロナ休みが明けて、久しぶりのイベントが新入生歓迎会だった>>0:39
 久しぶりに会った部員たちと、やっと発表できるね、あんなに練習きつかったのに、ずっとできないと恋しくなるもんなんだねって笑いあって。
 一年前に私が心を奪われたみたいに、新入生にもチアの魅力を知ってもらえたらって、鈍った体を少しずつ慣らしていった。
 だけど、歓迎会の二日前、急遽中止になった。
 部員が熱を出したから。

 私が熱を出したから。

『みんなにお願いしたい。誰かが熱を出しても、決して責めないでほしい。そしてこれからも、体調が悪い人がいたら、隠さずにすぐに教えてほしい。イベントが無くなってしまうとか、迷惑をかけるとか、いろいろ考えるかもしれないが、みんなの命を守るという選択を取ってください』
 顧問はみんなにそう言ってくれたらしい。

 PCR検査の結果は陰性だった。]
(20) 2020/09/29(Tue) 21:21:28

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[誰にも責められなかった。
 誰も悪くない、悪いのはウイルスだ。呪文のようにみんなが口にする言葉。
 それは分かっていても、準備しても準備しても中止が続くと、少しずつ空気が濁っていく。

 私はいつも以上にがむしゃらに練習した。顧問に頭を下げて、難しい新技に挑戦した。

 シングルベース・エクステンション。ベースは私。トップはアキ。
 たった一人の右腕で、一人の人間を持ち上げる、想像できないほどの力を必要とする技。この技の時、重みを分散させてくれるハルカとフユミは居ない。
 この技は、男女混合のチームではよく見られる。ベースは男で、トップは女。

 だけど私はそれがやりたかった。どうしても挽回したかった。

 天に向けて伸ばした私の右手に、奇跡的なバランスでアキが乗る。テーピングだらけの右腕と、アキの体に、一本の芯が通る。私たちは繋がっている。
 丁寧なバランスを保ったまま、アキはゆっくりと右足を逸らす。頭を高く保ったまま、さそりが尾を持ち上げるように。
 アキのスコーピオンは、この世で一番美しい。180度に開脚し、そらした足を頭上まで上げる大技。その芸術的なバランスを、みんなによく見えるように、私の右腕が掲げ上げる。
 右腕はテーピングだらけ。腕だけじゃない、身体中に貼られた湿布、腰を支えるコルセット。

 やった、と、思った瞬間、

 アキナを、落とした。]*
(21) 2020/09/29(Tue) 21:23:14
(a4) 2020/09/29(Tue) 21:33:40

Marguerite シャーリエは、メモを貼った。
(a5) 2020/09/30(Wed) 1:04:23

志隈は、メモを貼った。
(a6) 2020/09/30(Wed) 1:35:47

【人】 アジダル


[ 柔らかな拒絶を示しても縋る手はなかった。適切な距離に近まった二点の隙間を眺め、これで『人の気配があっても熟睡する』練習にはなるだろうと、薄く笑んで首肯する。 ]


  それでいい。
  おやすみ、……シグマ。


[ 認識に齟齬があるなど少しも考えないで、黒髪を乱すように手を滑らせた。そうして呼べない名の代わりにとなる就寝の挨拶を告げる。
 ……告げられることは幸福なことだ。本当に。手を取って共に踊れるような日は当たり前にあるものじゃないのだから。

 彼が来る前にはシャワーを済ませていた体は、冷えた空気に晒されても未だ熱持っていた。アルコールに浸った胸は距離感における喪失など一切合切感じ得ずに天井を向いて、 ]
 
(22) 2020/09/30(Wed) 6:07:13

【人】 アジダル



 [ 次に眼を開いた時、その部屋の中は
  静まり返ったダンスホールだった。

  熊を追いかけて辿り着いた森の奥、
  カスタネットを鳴らし合って踊り狂った彼らは
  やがて疲れ果てて朝露の中に伏せていた。

  しとどに濡れた黒衣より
  したたり落ちる温い赤滴。

  嗅ぎ慣れた硝煙の香りに眼を見開いて
  強烈な既視感に襲われて、

  背中を引いていた筈の重力が突然下に落ち、
  強烈な眩暈に額を押さえて踏鞴を踏んだ。


  ……その背中に声がかけられることを知っている気がする。
  揶揄いの主は自分と違って汚れの一つもなく、
  文句を言うはずだった唇を閉ざすしかないのだと、
  知っている、気がした。
  

──これは制圧の日だ。 
]

  
(23) 2020/09/30(Wed) 6:07:31

【人】 Cucciolo アジダル


                     
cucciolo

   はいはい、どーせ僕はグズですっとろい仔犬ですよーだ。
   ボスみたいに真っ白なまま帰るなんて夢のまた夢だぜ。


 [ 不貞腐れた感情を隠しもせず歯を剝き出しにする。
  銃創が散乱し穴だらけになった床を、倒れ伏した人間から
  溢れる血が静かに覆い隠していった。

  その溜まりを強かに踏みつけたというのに、ボスの靴は
  少しも汚れることなく艶めいたままだった。
  己にはその姿が穢れない救世主のようにも見えていたが、
  彼女の手が血と罪で真っ黒に染まっているのを知っている。
                  
疵 モ ノ の 小 悪 党

  軽い笑い声を洩らしたブロンドのスカーフェイスは
  獣道を進むかのように奥の小棚へ近づいたのだ。
  よく覚えている。


  覚えて、いる? ]

  
(24) 2020/09/30(Wed) 6:09:47

【人】 Cucciolo アジダル



[       20にも満たないような姿の青年は、その小屋の中で
困惑したように首を擦った。
ふと入口の方を、……観測者の姿を目にすれば、
手にした拳銃を躊躇いなく向けただろう。 ]



    誰だお前。
    どうしてこの場を知っている?



[           ひどく情熱的な敵意に満ちた視線の先、
彼の背後の扉を潜る前は
なにか、べつのことを考えていたような気がするが
───もう一度通り抜ければ思い出せそうな気がするが、

塗り替えた今はそんな思考に至らないまま、
長い金髪を括った女を庇い立てるように
血だまりで靴を汚した。


夢の中、靄の中で、
この奇妙な景色を目にした時の事、
夢を夢とも知る事なく、彼に背を向けたまま
寝惚け眼で迂闊に足を踏み入れたこと等は
すっかり頭から抜けていた。 
]*


  
(25) 2020/09/30(Wed) 6:13:18

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[チア部には顔を出せないまま、数日が過ぎた。
 あの本には相変わらず便箋が挟まったままで、私とゆう君をつなぐ奇妙な力も宿ったまま。
 
 この本は、というか、大抵の本は初めてで、>>0:L6
 絵がたくさん無いときつい、っていうのは、もはや漫画以外読めませんって意味。
 だけどそんなことは黙っておこう。

 ちょっと背伸びをしたいのは、あなたと話したいからで。]
(26) 2020/09/30(Wed) 6:15:12

【置】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月



 なにそれ>>L1! 友達に恵まれすぎでしょー
 私なんか、「そらフラれるわ」だよ、酷くない!?


 
(L2) 2020/09/30(Wed) 6:15:55
公開: 2020/09/30(Wed) 6:20:00

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[ユウ君は読書家なだけあって、言葉をよく知っていた。私がノリと勢いで押し切る表現に、丁寧に名前がつけられていく。

 ……写実的、なんて言葉>>0:L6授業以外で使えるんだ。
 電子辞書で「写実的」を調べてみても、結局よくわからない。
 
別にネットでも調べられるけど、
スマートフォンを見たくないのは、
現実に呼ばれてしまうから。

(27) 2020/09/30(Wed) 6:17:16

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[見えないものを本から感じ取るのは、私にはできやしなくて。
 せめてもの訓練に、便箋のすみっこに、ゆるいイラストを描いて遊んだ。

 例えば、野ばらから尻を突き出したミツバチ。
ちょうど、国境のところには、
誰かが植えたということもなく、
一株の野ばらがしげっていました。
その花には、朝早くからみつばちが
飛んできて集まっていました。
──「野ばら」



 たとえば、目を細めて針の穴をみつめるおばあさん。
おばあさんは、もういい年でありましたから、
目がかすんで、針のめどによく意図が通らないので、
ランプの灯に、いくたびも、すかしてながめたり、
また、しわのよった指先で、
細い糸をよったりしていました。
──「月夜と眼鏡」


 目の玉を一つ貸し出すことはできなくても、読書音痴な私に見えているものを、少しでも伝えたかった。
 ついでに、自分では気づかない読み間違えを指摘してもらえるメリットもあった。

 香具師にお線香を持たせてみたら、全然お香は持っていないらしい。
 そしてこうぐしじゃなくてやしだった、日本語難しい。
「月とあざらし」を書いた時は、あざらしのつもりでラッコを描いていたことに、指摘されるまで気づかなかった。ほんと、なんで間違えたんだろう。]
(28) 2020/09/30(Wed) 6:19:15

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[ユウ君に言葉を教わるうちに、少しずつ生活に言葉が滲んでいく。
 例えば、夜明け、生卵を飲みながら、ぼうっと窓の外を眺めているとき。
星の光は、だんだんと減ってゆきました。
そして、太陽が顔を出すには、
まだ少し早かったのです。
──「ある夜の星たちの話」

 
 例えば、林の中をランニングしているとき。
おたけは、ふるさとの林の景色を目に描いて、
雪の降る時分になると、
山から、うさぎが落ちているしいの実や、
いろいろな木の実を拾いに来ることなどを話しました。
──「しいの実」


 紅葉もまだの林の中に、雪景色と、それから突き出した長い耳を見た気がして、
 ああ、確かに綺麗だ、と、思う。

 日常に流されて取りこぼしてしまう風景を、ユウ君はあの本から受け取っていたんだろうか。
 風景だけじゃなくて、「もんにょり」で流して、無かったことにしまう感情も。]
(29) 2020/09/30(Wed) 6:20:15
Cucciolo アジダルは、メモを貼った。
(a7) 2020/09/30(Wed) 6:20:59

【人】 HNアキナ 本名は 早乙女 菜月

[バスケ部にユウって人いるのかなって友達に聞いてみたら、たくさんいた。ゆうたろう、ゆうき、ゆうと、ゆうや、ゆうすけ、あたりまで来たところで、調べるのをやめた。

 別に、バスケ部のユウ君と話したいわけじゃないし。
 手紙のやり取りが楽しいから、それだけでも十分。

 ……だけど、テーブルと飲み物をはさんで、向かい合っておしゃべりをするのには、ちょっとだけ憧れるかな。

 ……ソーシャルディスタンスで斜め向かいになっちゃうけど。]**
(30) 2020/09/30(Wed) 6:22:27

【赤】 アクスル

 
[一度収まったかに見えた彼の怒りが
 また爆発したようだった。

 理由の解らぬ暴力に嗚咽を漏らせば
 彼もまた顔を顰める。>>*5

 自分でしたことに納得していない――、
 そんな表情に見えた。]


   (……解らないよ)


[いったいなぜ、そんな顔をするのか。
 どうして、僕の胸が締め付けられるのか。

 訳がわからずに居ると、
 彼の唇から想いが奔流のように溢れ出す。
 それは鼓膜を叩き、凝り固まった思考を砕いていった。]
 
(*7) 2020/09/30(Wed) 8:07:40

【赤】 アクスル

 
[こんな僕のことを
 彼はまた、美しいと言ったのだ。>>*5



   ……っ、……、……



[今度こそ、聞き間違いではない。
 心の揺らぎを示すように瞳が大きく揺れる。]
 
(*8) 2020/09/30(Wed) 8:07:48

【赤】 アクスル

 
[血液を零す左胸の激痛が
 これは夢ではなく現実だと教えてくれた。]
 
(*9) 2020/09/30(Wed) 8:07:54

【赤】 アクスル

 
[ごくりと唾を飲み込んだ。
 胸がずきずきと痛む。
 これは、内側からの痛みだ。
 彼が感じているだろう憤りの片鱗が
 僕に伝播した痛み。]



   ……っ、……ほんとう、に……?



[淡い色の唇が動き、訊ね返す声は震えていた。

 否定されてしまえば
 簡単に崩壊してしまいそうな弱々しさを
 隠すことも忘れた無防備な心で

 彼の言葉を望んでいる。]
 
(*10) 2020/09/30(Wed) 8:08:47

【赤】 アクスル

 

   こんな僕でも、良いの……?


[相変わらず潤んだ両の瞳
 けれど在原治人というひとを確と捉えた。**]
 
(*11) 2020/09/30(Wed) 8:08:59

【人】 志隈

[深い蒼のパジャマに身を包む姿は毎度の事律儀と感じる。>>22
最初、見た時にはまじまじと見つめてしまっただろう。
衣装が変われば新鮮だとは思い、
何故か若干嬉しいの気持ちも湧いていた。

その口から呼ばれるのは好きだった。
シグマであっても、もう一つの別名であっても、構わない。
伸びた手に黒髪を乱されれば、心も同じく乱され。
普段は素っ気ないのに、
たまに優しいのに乱される事にしておこう。
その色合いがあるから、練習を止めたくないのだと。

何時、その手が伸ばされなくなるか。
親として分けられなかった愛情を
多少なり注ごうとしてくれてると仮定しても、
それは脆いものだ。
男を男として見つめていて、親子ではありはしないのだから。


乱れる幅はさほど大きなものでは無い。
何時かを当然の事のように認識している。

背中を丸め、伏せた目。
閉じた意識の中、白い世界の扉を開く。]
(31) 2020/09/30(Wed) 8:10:54

【人】 志隈

[扉を開いた、と思ったが、
何処からそんな物が現れたのかは覚えてない。
現実感が無い事に夢かと思えば、曖昧さは気にならなくなる。

だが、聴覚や嗅覚に訴えてくるものは随分リアルだ。
血と硝煙の匂いは嗅ぎ慣れたもの。
てっきり向こうの国での夢かと思えば、見慣れない登場人物。
何処かで見た事のある年若い青年と知らない女性。
辺りには事切れた人間達もいただろうか。

眉一つ顰める事はなく、
先に何処かで見たような方から観察。

不貞腐れて歯をむき出しにした姿は、
どう考えてもアジダルに似ている。
子供は娘だと思っていたが、息子もいたのか、
それとも本人か。
数ヶ月前に10以上も若返って大はしゃぎのアジダルが
目撃されたそうだが、生憎とその時の記憶はこちらにはない。
そもそも幾つかも知らない。

若いアジダルと言えば件の水着で悩殺[語弊あり]した姿を
朧気に考えた時に想像はしたが、
もっと淑やかで色気のあるような姿で
自分の想像から出来たにしては眼の前の存在は齟齬している。

共に寝た時、話に聞いた時は世話役だったか。
件の水着を彼が手にした時よりも、若くはあるのだろう。
若いと言うか、感じる印象は青い。]
(32) 2020/09/30(Wed) 8:11:03

【人】 志隈

[不意にその青年がこちらの方に気付く素振りをする。
拳銃を突き付けられてるのにも構わず、
周りを見回したが、該当する登場人物はいなそうだ。
俺に言ってるのか?と不審な目を向けて、
一応無抵抗を示すように両手を挙げる。

弾を避ける、或いは支障のない所に受けて、
接近戦に持ち込んだら勝てる確率はどれくらいだろうか。
最近は平和な国に来ていて鈍っているし、
訓練感覚でやってみたいとさえ思ったが、
2対1が不利なのは明らかで、まずは様子を見る事にして。]

シグマ、だ。
扉を開けたらここにいた。

[質問内容にのみ答えた。
納得はしないだろうが、
嘘ではないしこれ以上聞かれても此方も困る。
お前が誰だ、と聞きたいのは抑えて、青年の後方に視線を向け、
些か無遠慮に上から下まで一周した。

彼女はボスと言われていたか。
野郎ばかりの軍部しか見てこなかったから、
上に立つ女性と言うのは──強い女性は多少新鮮だった。]*
(33) 2020/09/30(Wed) 8:11:12
志隈は、メモを貼った。
(a8) 2020/09/30(Wed) 8:22:40

【人】 二年生 小林 友

[花も恥じらう陰の者である俺だけど
 別に、会話自体嫌いなわけじゃない。

 道聞かれれば答えるし
 状況によっては雑談も可能。

 何が嫌かというと、相手の顔色窺うのとか、
 空気や行間を読んで
 対応しなくちゃいけないのとか。
 相手のにっこり笑顔の裏に潜むものを
 ふと頭の中に思い浮かべただけで
 俺はもう、何も言えなくなる。

 つい要らない気を使って、余計なこと言ったり
 それで結局相手を不快にさせてしまって
 嫌われたり、距離置かれたり。

 たった一言、言えば済む話なのに
 その一言のために頭を必死に働かせて……
 割に合わなすぎて、俺は話すのを辞めた。
 話し合うのを、辞めた。]
(34) 2020/09/30(Wed) 11:16:31

【人】 二年生 小林 友

[だから、アキナとの便箋越しの会話は
 久しぶりに楽しかった。

 踏み込まれても、嘘でコーティングした心は
 痛くもないし、怖くもない。
 まるで俺が本当に根っから明るい人間にでも
 なったかのような、不思議な感覚。

 誰もいない図書館で本を開く時だけ、
 自分の部屋でそっと便箋にインクを置く時だけ、
 俺は束の間、心から安らげるんだ。]
(35) 2020/09/30(Wed) 11:16:49

【人】 二年生 小林 友

[例えば、便箋の端に描かれた落書き>>28

 老いた者が生き残り、若く前途ある者が死ぬ
 無情な戦火の下に咲いた『野ばら』の暗さを
 まるで感じさせない、ばらとミツバチの絵。
 ミツバチが運んだ野ばらの花粉は、
 何処か戦火を逃れて、穏やかに咲くんじゃないか
 ……なんて、ちょっと希望が見えそうな。

 目を眇めて針先を見つめるおばあさん。
 ここから眼鏡をかけたことで
 思いもよらない世界に巡り合うんだと思うと
 なんだか、ちょっと微笑ましい。

 目玉は勿論借りられないけれど
 イラストを通して、アキナの瑞々しい感性が
 俺の中流れ込んでくる気がして。]
(36) 2020/09/30(Wed) 11:17:06

【人】 二年生 小林 友

[香具師、の読み間違えのせいで
 人魚が線香持った輩に連れていかれる図は
 流石に理解するまで時間がかかったけど。

 ……月の下、ラッコが太鼓を叩くのは
 さらに時間がかかったけれど!

 でもそんな彼女の眼を通した世界を
 読み解く時間は、全然、嫌いじゃなくって。]
(37) 2020/09/30(Wed) 11:17:21

【置】 二年生 小林 友




  「そらフラれるわ」て。
  何したんだ一体……。



(L3) 2020/09/30(Wed) 11:18:10
公開: 2020/09/30(Wed) 11:20:00

【置】 二年生 小林 友


  俺の感想で、人魚が報われるとか、
  正直、考えたこともなかったよ。

  アキナはすごいね。
  触れれば跳ね返って、切れば血が出るような
  「生きてる」って感じの感性で。
  俺には無いものだから、ちょっと羨ましいや。


(L4) 2020/09/30(Wed) 11:22:18
公開: 2020/09/30(Wed) 11:20:00

【人】 二年生 小林 友



[そう、書いてから、俺はくすりと笑みを漏らす。
 ……ホントに、人と関わって笑うことすら
 俺にとっては、本当に久しぶりのことで。

 もしかして、会って話しても
 こんな風に話せるんじゃないか、なんて
 淡い希望を持つのも、時間の問題だった。]*
(38) 2020/09/30(Wed) 11:22:32

【人】 二年生 小林 友



  「準備体操、二人組を作るように」


[体育教師の号令と共に、クラスメイト達は
 わらわらと相方を求めて動き始めている。
 いつもは棒立ちのこの時間、今日の俺は少し違った。]


  あ、青柳……
さん

  く、み……ない?


[待っているだけじゃダメで、
 誰かにどうにかしてもらうとかじゃなくって、
 自分で声を上げてみたのだ。

 みっともなく語尾は震えて
 目は大波に浚われたように泳ぎ
 手はみっともなく体操着の端を
 ぎゅっと握りしめていたけれど。

 振り返る青柳の切れ長な目が、
 すっと俺に注がれる。
 そうして、青柳は屈託のない笑みを浮かべて]
(39) 2020/09/30(Wed) 16:32:02

【人】 二年生 小林 友




  「あ、ごめ。
   オレ今瀧と組んだとこ。」


[俺の一世一代の勇気を振り絞った誘いは
 そのままつんのめってドブに落ちた。]
(40) 2020/09/30(Wed) 16:32:33