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人狼物語 三日月国


73 【誰歓突発RP】私設圖書館 うつぎ 其漆【R18】

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視点:



 
[絡んだ指先から、手のひらから、熱が伝わって
 境目が曖昧になっていく気がする。
 わたしのより大きな彼の手は、すこし
 かさついていて、骨張ってた。

 受付に着いたら流石に解くのかなって思ったら
 そのままずんずん進んでいくものだから
 ちょっと面食らって。だけど嬉しくて。
 隠しきれない頬の緩みを、顔を背けて
 なんとか周りにバレないようにした。

 中に入れば、大きな香油壺。]


   ぅわ、 おっきい、


[とそれに目を開いて見つめていれば、
 彼が説明してくれただろうか。

 香水も好きだし、博物館や美術館も好きだ。
 だけど、好きなだけで詳しくない。
 だから、彼が一つ一つ丁寧に説明してくれるのは
 とても興味深くて、面白かった。
 ───それと同時に、彼のことをまた
 ひとつ、ふたつ、みっつと知れているような
 その頭の中を覗けているような気がして、
 うれしくて、心は弾む。]


 
[それと、弾む理由はもう一つ。
 話してくれるたびに、キスができるんじゃないかと
 思うほど、顔が近づくんだもの。
 吐息を孕んだ囁き声が、耳をくすぐるのが
 照れ臭くて、同時に、うれしくて、ドキドキする。
 
 だから、彼への返事はわたしも同じように
 声を潜めて、少しだけ背伸びして、
 内緒話みたいにしていただろう。

 楽しく彼の話を聞いている途中、突然、
 謝られると同時に手のひらを滑ってくすぐる
 感覚に、思わずびくんっと体が跳ねる。]


   っ…ごめん、びっくりしちゃった


[と眉尻を下げて、もう一度握り直してから]
 



   なんで謝るの?

   …すごくたのしい。
   颯介さんの話、興味深くて。
   もっと聞かせてほしいな。


[そう、目を細めて、また次のブースへといけば、
 「これは?なに?」と日本の香の文化について
 尋ねてみるだろう。]
 



[美しいさまざまな展示品を見て回る途中。
 徐に彼がまた、口を開くからそちらを見る。
 その言葉を黙って聞いて。
 最後にふと、わたしの名前が出れば、
 眉を少しだけ上げるだろう。]


  ……颯介さんが楽しんでくれて、よかった。

  ふふ、一緒に行くW好きな人W
  わたしで正解でしょ?


[と眦を細めて、一歩近づく。
 腕もまた絡めるようにして、くっついて。
 もっとこの時間が続けばいいのに、
 今日という日をもう一度、始められたなら…
 ううん、今日みたいな日を、また彼と
 過ごすことができたらいいのに。

 …そのためにはやっぱり行動あるのみ。
 あとで、次はどこにお出かけするか、
 行きたいところをリサーチしなきゃ、と
 思いながら、ゆっくり歩いていくのだ。]*

 

[歴史を紐解き、語る楽しみに目がくらみ
 それが吐息が通う距離なのも気付かず。

 歴史の流れに小話を挟んで、
 周りの人々を妨げないよう、
 声を潜めて笑い合う。
 ふ、と我に返えれば
 色々恥ずかしくなってしまう。

 す、と掌を撫でると
 何故か今度は飛鳥が驚いて
 微かにはねる体に思わず
 手を離してしまった。]


  、っ、すまん……


[でも、どちらともなくもう一度手を伸ばし
 今度はもっと、しっかり握ろう。]

[歴史に興味があるわけでもなし
 飛鳥はそれでも俺の話を聞いてくれる。
 続きを促されると、俺はまた少し微笑んで]


  ……これは、香合わせの道具だな。
  香木の匂いでやる神経衰弱みたいなモンだ。


[そう、展示ケースの中を指して
 説明を始めるだろう。
 聞きたい、と言うだけじゃなくて
 大きくて真っ直ぐな目に促されるように
 頭の中にしまってあった
 知識をアウトプットしていこう。

 一人きりで展示ケースを眺めるだけだったら
 一生俺の中だけにあったもの。
 共有してくれる人がいるのは
 思っていたより、嬉しくて。]

[だから、展示品を見ている途中で
 飛鳥に胸中を打ち明けた。
 この不思議な気持ちを知って欲しくて。]


  …………そう、かもな。


[展示ケースの中の白雪姫達より
 鮮やかな赤の唇に、そう眉を下げた。
 
 今日が終われば飛鳥はお嬢さんに
 俺は颯介さんから江戸川さんに戻ってしまう。
 それを引き止めるにはきっと
 一言、俺から言えばいい。

 口を開こうとしたら、
 後ろからきた若い女の子達と
 とん、と肩がぶつかって
 俺はまた口を閉ざして、
 其方にぺこりと頭を下げる。

 また飛鳥の方に顔を向ける頃には
 口にする勇気が足りなくなっていて。]



  ……次は、アール・ヌーヴォーか。


[手を引いて、さらに奥へ。
 身を寄せて恋人みたいに過ごす時間が
 終わりに近付くと分かっていても。]

[そうして美術館の外に出る頃には
 空は黄昏色に染まっていたか。

 またバイクに跨り、ディナーに向かう前
 駐車場で俺は飛鳥を引き止めるだろう。]


  俺ばっかり、話しちまったな。


[あれだけ渋っていたくせに
 結局大はしゃぎしてしまったことに
 つい、頭をぽりぽり掻いて。]


  ……ここに来たのが、あんたと一緒で
  本当に、良かったと、思う。


[目線をアスファルトに落としたまま
 自分の気持ちを一言一言絞り出す。
 でも、まだ言えてない。
 これは俺の気持ちのほんの上澄みで
 正直で、真っ直ぐな飛鳥に歩み寄るには
 もっとはっきり言わなくちゃならないのに。]

[視線を、地面から沈みかけた夕日へ移し]


  ……今日が、終わるな。
  ………………まあ、もう少しあるけどよ。


[そう、呟いた。
 「今日だけ」が終わるのが嫌だ、と
 はっきり言いたいのに、怖気付いちまってる。
 空いた唇を、また閉じて。]


  飛鳥は、楽しんでくれたのかィ?


[そう問いかけて、自分の卑怯さに気付いて
 また視線を逸らす。
 ─────ああ、言わせようとしてやがる。
 「また来ましょう」を言わせて
 それに乗る自分、という形にしようと。]


[ねえ、颯介さん、あなたは今何をかんがえてる?
 どう思ってる?楽しかった?また来たいって、
 この展示に、じゃなくて、わたしと、また、
 どこかに行きたいって思ってくれる?

 全部、問い詰めたいけど、問い詰めない。
 面倒な女にはなりたくない。

 彼の望む言葉が全てあげられるわけじゃない。
 わたしは、わたしで、彼は、彼で。
 生まれ育った環境も、興味があるものも、
 好みも、嫌いなものも、きっと何もかも違う。
 全く違う、人間のはずなのにわたしはどうしたって
 彼に惹かれてやまない。

 はじめは一目惚れ。
 再開した時は、運命だと思って。
 距離を詰めていくたびに、そのやさしさとか、
 可愛らしさとか、かっこよさとか、
 いろんな面を見られるようになって、
 どんどん落ちていくのがわかったの。]

 


[繋がった手のひらは、わたしとの時間を
 もっともっと深く残るものにしたいって
 そう思ってくれてる?なんてまたひとつ、
 問いかけが浮かんで、消した。
 
 美術展の展示作品に関する疑問は、
 いくらでも問いかけられるのに、
 わたしたちの関係に対する問いかけは、
 どうしてだろう、少し縮まった今の方が、
 うまく言葉にできなかった。

 黄昏に染まる駐車場に出ると、夕陽が彼の
 愛機に反射してきらりと光った。]
  



   お夕飯、どうする?
   お昼はわたしが天丼って決めたし、
   夜は颯介さんの食べたいものにしよ。


[そう微笑みかけて、ゆっくりアスファルトの上を
 歩いていく。遠くで、歩行者信号の通行音が
 交差点に響き渡っていた。

 フルフェイスを取ろうと手を伸ばしたら、
 彼が口を開くから、一度置いて、
 そちらに向き直った。

 さっきは意識しなかった、呼ばれない名前が、
 どうしてだろう、今はやけに寂しく感じて。
 だけど、言えなくて、飲み込んでから]



    そう言ってくれてよかった


[と目を細めた。

 一瞬の沈黙の後、返事ではなく、
 落とされた呟きにとくん、と心臓が鳴る。]
 



[───聞いても、いいのかな。]



[迷うように開いたり、閉じたりする唇を
 見つめながら、じっとしていたら、
 問いかけが投げられるから、
 少し面食らったように目を開いて、
 それからまた微笑んで。 ]


   もちろん。
   すごく楽しいよ。


[あなたと同じ時間を、共有できたこと。
 同じものを見て、同じ知識を増やせたこと。
 その感覚を、知れたこと。

 なにもかもが、彼との一歩に繋がっている
 気がして、愛おしくて、嬉しくて、仕方ない。
 
 好きな人の、好きなものの話を
 聞くことが、楽しくないわけがないもの。]
 


[また来ようね、そう、言おうと思った。
 次はどこに行きたいって、さっき思ってた通り
 彼がまたお出かけに応じてくれるように
 リサーチしようって思った。
 思ったのに、そんなのが吹っ飛んでしまったのは
 彼が、わたしの背に腕をのばして、
 そのまま引き寄せて、体温が、重なったから。]


    っ…!


[びっくりして、少し体が強張ってしまう。
 今、抱きしめられてる?って客観的な
 自分に問いかけて、だけどその自分も
 きっと混乱してて、パニックで、
 なにも返ってこなくて、分からなくて。
 それで、それで、そっと、腕を
 彼の背中に回して、右手首を左手首で
 そっと掴んでぎゅ、と力を込めた。

 ああ、どうしよう。
 口から出てしまいそう。
 さっき仕舞ったはずの問いかけが。
 聞いていいか、迷ってやめた言の葉が。
 喉の奥に控えて、それで───]
 




  …さみしいって、  おもってくれるの?


[こぼれて、しまう。]


   ………ね、


[そう、問いかけて体をそっと離せば、
 彼の方を見上げて、二度瞬き。
 それからゆっくり背伸びをして、顔を近づけて
 夕日が、目端に映る。
 白線がオレンジ色に染まる時間。
 微かに夜の様相を整え始めた空を背に、
 近づくたび、ゆっくりとまつげを伏せて。

 触れる直前、窺うように見つめ。]
 




   わたしは、離れるのが寂しい。
   まだ、帰りたくない。


[そう、告げて───だけど、勝手にキスするのは
 あまりに自分本位な気がして、やめた。
 そっと顔を離して、背伸びを元に戻した。]


   …お夕飯、食べるもんね、
   まだ、一緒にいられるかっ


[そんなふうに笑って、額を彼の胸に
 とん、と着いて息を吐いた。

 焦らない、焦らない。
 せっかく、こんなに近くまで来てくれたのに。
 短く息を吐いて、また顔を上げて。
 にっこり笑ってからまた、背伸びして、
 その頬に挨拶のような軽いキスを。]