【人】 倉科 宙[珍しく定時に上がれた仕事終わり。 すっかり馴染んだ帰り道を辿りながら、頬を撫ぜる冷えた風に首を竦めた。 高校時代に友人だった彼女と、大学卒業を期に参加したお見合い会場で再会して、恋人になり。 同棲をはじめてから、早一年半。 大分陽が落ちるのも早くなって、冬の訪れを感じるこの頃。 そろそろ鍋とかおでんとか作ってもいいかもなぁ、なんて呑気に考えながら。 少し前に二人で選んだペアリングをつけた手で、マンションの部屋の扉を開ける。] ただいまー。 あれ、三四子? 帰ってるよな? [返事がないことに首を傾げながら。 部屋の明かりはついてたから、彼女は先に帰ってるだろうと。 靴を脱いで、部屋の奥へ進み─── ぎくっ、と固まった。] (5) 2022/11/01(Tue) 7:33:18 |