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【人】 軍医 ルーク[ 視界のすべてが赤かった。 炎は消し止められたようだ。 耳音で滴る水の音に、 ああ、流れている血だなと――そう思った。 辺り一面の瓦礫の山、 吹き飛んだ天井の向こうは、一面の闇だ。 誰かの声が聞こえる、誰かの動き回る音、 瓦礫をかき分ける音。 彼らの声が、ひとつも意味を為さない。 頭の中はぐらぐらと揺さぶられて、 目に飛び込んでくる景色も一秒後には捻じれ、 水にぬれて絞られる布のような心地がした。 身をよじり、身体を動かそうとする。 けれど、からり、と手元の破片が音を立てた、それだけで。 そうだ、繋いでいた手が、あったはずだった。] (394) 2020/05/17(Sun) 22:37:57 |
【人】 軍医 ルーク[ 首を傾ける。 小さな傷だらけの手は、確かにそこにあった。 自分の右手と、つないだままだった。 ――その手“だけ”が、あった。 動いた視界の先に、大きな瓦礫がある。 その下にあるものは――ああ、位置的にはわたしの脚か、と、 他人事のように、思う。 音のすべてが遠ざかる。 けれど、鼓膜は大丈夫。 視界に問題はない、赤いのは、血が入っているから。 そんな風に淡々と分析しながら、 駆け寄ってくる誰かの足音を聞きながら、 まるで、ピアノを弾いている指の上に 蓋を思い切り閉められたように、 自分の中に『何か』が致命的に断ち切れたということに、 気づいては、いた。 そのときは、それは両脚のことだと思った。 切れてしまった糸はそれだけではなかったということを、 病室で自分を診察した医師のカルテを盗み見て、知る。 ―― そのときも、もう、何も感じなかった。] (395) 2020/05/17(Sun) 22:39:33 |
【人】 軍医 ルーク [ ――… ] [ 目を覚ます。 最初に目に入ってきたものは、医務室の固い床と、] ……ぺんぎん…… [ そう、ぺんぎん。 目の前で此方を覗き込みながら、必死の様子でぺちぺちと、 頬を羽で柔らかく叩いている。 ああ、そうか、寝入った。 あと三時間もすれば、仮眠をとる予定だったのだけれど。 のろりと身体を起こし、揺れる頭を騙すように目を閉じて、 少し待ち、開く。] (396) 2020/05/17(Sun) 22:40:40 |
【人】 軍医 ルーク今夜は、勤務はない…… 起こしてもらったところ悪いけれど、 それは明日だよ。 [ そうじゃないそうじゃない、とばかりに ぺんぎんはぷるぷる首を振る。 しかし、この調子では明日の勤務に差し触るか。 食事だけでも、と、机の上の瓶を取ろうとしたところで、 ぺんぎんが机の上に飛び乗り、袖をぐいぐいと引く。 今日は何がしたいのだろう、一向に分からない。 手を止めて、とりあえず椅子に腰かけていると、 どこから調達してきたのか、 丸パンを一つぐいぐいと押し付けてきた。] ……食えと? 栄養なら、錠剤の方があるのに。 君のすることは、不思議。 [ 首を傾げるが、食べれば気が済むのだろうか――と、 千切って口に運ぶ。] (397) 2020/05/17(Sun) 22:41:35 |
【人】 軍医 ルーク[ まるで味がしないそれを飲み下せば、 久方ぶりの固形物に驚いた身体が全力で抵抗し、 飲んだものをそのまま吐き出させようとする。 ああ、吐いたら面倒だな――と、口元を押さえ、 机の上にあった瓶を片手で開け、中身をパンごと流し込んだ。 AME015。 味のない液体で、味のないパンを流し込み、食事を終える。 ぺんぎんは、ふー、と大きく息をついて、 机の上に座り込んでいる。 栄養剤の効果は抜群で、暫くすれば、 動くのに差しさわりがないくらいに体調も戻る。 これから徹夜が続いたときはこれを飲めばよいか。 自分用にも少しばかり発注しておこう。] (398) 2020/05/17(Sun) 22:43:01 |
【人】 軍医 ルーク[ 明け方近い時間帯、人気のない基地の中をゆっくりと歩く。 ひとりと一羽の、ゆっくりとした足音。 自室には向かわなかった。 この東棟の、外壁へと。 いつからだろうか、外壁を訪れて外を見るようになった。 目的は、大穴の『観察』。 毎日というわけではない。 ただ、あの大穴を見上げながら――時折、手を翳してみる。 天を眺めている。 夜目は効くが、視力自体はそこまで強くない。 生き物の影までは見えず、 天で発光する植物や苔の明かりは、少しぼやけていた。 見張りは外を見張っている。 内部寄りの見つかりにくい場所なら分かっていた。] (399) 2020/05/17(Sun) 22:44:11 |
【人】 軍医 ルーク[ やがて、『月』の時間が終わり、 『太陽』に切り替り始めるころ、 足元に壁面の、そして自身の影が差し、 それに追い立てられるように外壁を離れる。 立ち去り際、見張り台に寄ることにする。 この時間帯は、見張りは此処にはいない。 自分が立ち入る領域ではないのだが、 今朝見たものの記録を取るため、机を借りようと思ったのだ。 尤も、気づいたことなどそれほど多くはない。 只、あの大穴の向こうに何も見えないことに関する 仮説を一つふたつ――… 胸元のポケットに入れた用紙の束メモを取ろうとして、 ペンがないことに気付く。 ああ、寝ていた時に医務室に落としたのか。 今から取りに戻るのは面倒、申し訳ないが借りるとしよう。 引き出しを開ければ、そこにあったのは誰かの私物。 ノートや煙草だの双眼鏡だの、雑多なものだった。 そのくせ、見張り台だというのに筆記具は見つからない。 もしかしたらそれは他の引き出しにあるのかどうか。 手を奥に差し入れ、何か固いものに触れる。 なんだろう、と引き出してみれば] (400) 2020/05/17(Sun) 22:45:53 |
【人】 軍医 ルーク……タブレット。 [ 不用心なことだ、盗られたらどうするのだろう。 ひとのものを盗ったり読んだりする趣味はない。 そのまま奥に戻そうとして、 その手が止まったのは――見てしまったから。 赤い布の袋から覗く裏面の角にある、ひとつの『印』。 一見すると只の引っかき傷のように見える、それは。] ―――… [ 心臓が、どくりと鳴った。 これは、基地の人員に支給されているものだったはず。 発掘された遺失技術の産物の一つで、 何処かで大量に発見されたものと聞く。 ……いつ、どこで、 だれが? タブレットを取り出し、画面に指を滑らせる。 ロックがかかっている。 思いつくパスワードをいくつか入れてみるが、 どれもエラーに弾かれる。 当然だ、これを使っているのは――父ではない。 諦めきれずに、単語を無差別に入れてみても、駄目だ。] (401) 2020/05/17(Sun) 22:47:51 |
【人】 軍医 ルーク[ 恐らくは、発掘と研究に携わっていたのだろう。 発見されたそれらが回収されて、 期間を置いて実用に至り、基地に支給された。 父が居た頃、この地域で発掘されたものかもしれない。 だとしたらこの中身はとっくに初期化されて、 痕跡なんて、何も残っているはずがない。 そのまま袋に戻して立ち去ろうとして、ふと――… 魔が差した、というのだろうか、 あるいはある種の天啓だったのか。 不意に指先が綴ったのは、どうしてか。 先ほど自分が口にした、薬の名前。 ……棚の中にある、捨ててしまおうと思った、 それと同じ名前。 ――画面が、切り替わった。]* (402) 2020/05/17(Sun) 22:49:34 |
【人】 ミア[ 頭の良い武器なのだろう。 頭の悪い奴の感想は、大概頭が悪かった。 乗り込んで直接殴れれば そんな面倒くさいこと 考えなくてすむのに、とは、 失うものを知らない立場の戯れ言だ きっと。 ] (403) 2020/05/17(Sun) 22:50:44 |
【人】 ミア「 ……帰ってこないと駄目なの? 」 [ 読めない紙を手渡されて、読めないと正直に答えて、 ひとつ、ひとつ、内容を反芻している時だった。 ……よく分からないうちに拾われて、 飼われてしまったのならそうするべきだろうけど、 帰巣本能なんて賢いものは遠いし、 何より そんな 戻れるかなんてちっとも知らない。 飼われているにしたって! "死んだ"時だって、 引き摺られた跡に赤が伸びていた。 犬の牙じゃあない ─── そういうことだ、つまり。 ] (404) 2020/05/17(Sun) 22:51:54 |
【人】 ミア兎ができるよ。 [ 単に行儀の問題か、敬意も何にも無いのか、 銀の切っ先を 林檎と異なる赤色へ向けて。 ……反抗したら如何するんだろう。 と 僅かに思えど、 これまで一度もしなかったし、 多分、これからも、しない。不思議なこと! とはいえ、 したら したで、死ぬだけだろう。自分が。 ] (405) 2020/05/17(Sun) 22:52:31 |
【人】 ミア………… でも、それより外に出れば良いのに。 あのひとたち さっき言ってたよ。 なんとかさんから招待状が来てるって。 多分えらいひとでしょ? [ あのひとたち。 今度切っ先が示すのは 扉の向こう。 お行儀良く座るのに飽きたにんげんは、 ずる、と 滑っては、肘掛けに凭れる体勢。 いよいよ犬じみている。 ─── 違い。そう言えば 首輪も無かった。 ] (406) 2020/05/17(Sun) 22:53:24 |
【人】 ミア[ オレンジのひとつを手に取り、 遊ぶよに一度放って、また 手に取る。 寝転がりながらするものじゃあないけれど、 文字を綴るよりこっちのほうが断然やりやすい。 縁に切っ先を刺し、くり抜いて、 ……嗚呼 途中から胡座に変わった! ] (407) 2020/05/17(Sun) 22:53:45 |
【人】 ミアいかないの? ……"あぶない"なら、 いい人連れて行けば 盾にはなるかもよ。 [ 白すぎる いろを、見上げつつ。 毒は食べたこと無いかも、とか、なんの冗談だか。 ] (408) 2020/05/17(Sun) 22:54:18 |
【人】 ミア[ 薔薇の飾り切りが 軈て、机を彩る。 良い出来映え!─── 満足そうに わらっていた。 成程確かに こういうものは、 何かしらで残したくなるのだろうか なんて、 ぼんやり 思って。 ] (409) 2020/05/17(Sun) 22:55:37 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音[ ベランダに出ても片手に持っていたスマホから ぴろりん、と着信音が鳴る。 彼の返信に少しだけ ─── >>284 少しだけ、ムッとした。 別に、揶揄うような文面にではなく。 かわいいスタンプなんて添えている事にでもなく。 ホント、身勝手な理由なんだけど ──── ] (410) 2020/05/17(Sun) 23:35:48 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音[ ああ、もう。 だから分かってるってば、身勝手だって。 そもそも皆の前で苗字呼びに変えたの、 私からなんだから。 ] (412) 2020/05/17(Sun) 23:35:53 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音[ しっかりと覚えてる ──── あれは、小5のバレンタインデーだった。 しずちゃんが雪也くんに" 告白する "と言いだした。 だから放課後に彼を体育館裏へ呼び出して欲しいって。 普段から私と彼が仲良しなの しずちゃんも知ってるから、お願いされたみたい。 ────── きょとん、としたよ 恋をしている彼女を見て 初めて 男の子と女の子の溝を感じたっていうか 意識しだしたっていうか。 ] (413) 2020/05/17(Sun) 23:35:56 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音[ 目を丸くしている私に、 『 雨音ちゃんは、そういうのじゃないんだよね ? 』 そう、しずちゃんが聞いてくるから 流されるままに ぎこちなく頷いて。 放課後、彼の手を引っ張って 体育館裏まで連れて行ったあとは 私は逃げるように家まで走って帰った。 その時の結末は、今でも聞いてはいないけれど 翌日以降ふたりの態度で何かを悟ったんだと思う。 ともかく、それからかな 彼を幼馴染だけでなく 男の子と意識しはじめたのは。 そうなると、苗字で呼ぶようになった。 皆の前で『 雪也くん 』って呼べなくなった。 ] (414) 2020/05/17(Sun) 23:35:59 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音[ ふたりしかいないトコだと、苗字で呼ぶ方が怖いの。 全部を苗字呼びにしちゃうと " 幼馴染 "っていうのまで消えてしまいそうで。 うんうん、だから分かってるって 身勝手だ、って。 ] (416) 2020/05/17(Sun) 23:36:04 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音やっほ、雪也くん ! [ ベランダから出てきて手を挙げる彼に >>285 私は昔ながらの挨拶。 私がおすそ分けしたヒマワリ柄のマスク姿を見れば 似合ってる、似合ってると笑って。 ] あ、でも登校する時は別のマスクにしてよ ? おそろなんは ちょっと恥ずかしいし 私が 違う柄のマスクつけてもええけど [ マスク姿で真顔に徹していれば 彼も私の感情は読めないでしょう。距離もあるし。 ほんと、頬の色づきまで隠せるマスクは便利ね。 ] (417) 2020/05/17(Sun) 23:36:07 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音私はタツノオトシゴが見たいなぁ [ 天王寺なんて提案されてたら、>>287 あべのハルカスの展望台から通天閣見たいって 騒いでたかな。ほら、今緑色らしいから。 でも本当は 何処だっていいんだよ。 貴方と 日常に戻ったその先の ─── ありきたりな未来の話がしたいんだ ] (418) 2020/05/17(Sun) 23:36:10 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音 (419) 2020/05/17(Sun) 23:36:13 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音……… うん、 いく !! [ 公園へ散歩、なんて乗らない筈が無くて。 慌てて部屋着から着替えて ─── もう日差しも強いからノースリーブの白ワンピ。 彼も家から出てくれば 『 濃厚密着はダメだからね 』 なんて冗談?を飛ばしつつ 歩き出そう。 ] (420) 2020/05/17(Sun) 23:36:15 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音ノートかぁ …… 新学期だし、私も新しいの買おうかな [ 彼が買い物もするのなら、 もしノートを買うのなら、私も同じものを。 ノートぐらいおそろでも誰も何も言わないでしょ。 ] (421) 2020/05/17(Sun) 23:36:18 |
【人】 ★中学生★ 五十鈴 雨音はあ、暑いね …… 日傘持ってくればよかった [ ようやく自粛が明けるのはいい事だけど その間に季節は" 春 "を丸ごと切り取られて もう" 夏 "に向かっているかのような陽射しで。 次の春は ───── 一緒に思い出を作れる春は ちゃんと来年やってくるのかな 眩しそうに てのひらで太陽を隠しながら 私は少しだけ、そんな事を考えていた。 ]** (422) 2020/05/17(Sun) 23:36:21 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a57) 2020/05/17(Sun) 23:37:48 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a58) 2020/05/17(Sun) 23:42:55 |
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