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【墓】 木峰 夏生[ 一度しかものを受け入れたことのない、 未だ狭い隧道を押し広げて奥まで穿つ。 ぐぢゅりという音も反響して、湯気に阻まれて、 いつまでも消えない気がした。 抽送を繰り返すたび、湯ではない水滴が 海斗の口から糸を引いてタイルを汚しては流れていく。 背後から伸ばした指を海斗の口に触れさせて咥えさせ、 舌を挟んで引っ張ったり、上顎のあたりを 撫でたりして唾液ごと弄んだ。 ] (+118) 2021/07/17(Sat) 8:03:34 |
【墓】 木峰 夏生[ まるでネコ科の交尾のように後ろから首筋に口付けて 歯を立てて、きつく吸って痕をつける。 欲望をぶつけるだけの交わりにそれでも 海斗の呻き声は徐々にただの嬌声に変わっていく。 組み敷いた体から強張りが解けて崩れていくみたい。 そのことにまた脳が融ける。 堕ちて、はやく、おれのとこまで。 (+119) 2021/07/17(Sat) 8:04:35 |
【墓】 木峰 夏生[ 獣みたいにがつがつと穿っていれば、 床について二人分の体重を支えていたその片方の手が ついとこちらに伸ばされる。 それは、拒むとか、押しのける動きではなくて、 はじめて、縋るような、求めるような、 ……そんな類の動きに思えて。 ─── ぐ、と胸が詰まった。 息を吐けば、焼け付いていた頭が少し冷える。 動きを止めた。 また大きく息を吐く。 伸ばされた腕を撫でながら繋がったまま、 そっと海斗の体を支えて起こそうとするだろう。 ] (+120) 2021/07/17(Sat) 8:05:26 |
【墓】 木峰 夏生[ 振り返ってくれたなら、ごめん、と小さく告げて、 唇を合わせて。 ] ……飛んでた、一瞬。 悪い、痛くないか、膝も、後ろも [ 目を伏せて謝って、いまさらのように尋ねよう。 文句も叱責も受け止めて、それでも大丈夫だと 言ってくれるならせめて、支える手はバスタブに。 立ち上がらせれば膝は痛くないだろう。 滑らないように腰を抱きかかえて。 ] (+121) 2021/07/17(Sat) 8:06:28 |
【墓】 木峰 夏生[ 二回目なのに立ちバックは、やってしまった、と 改めていまさら反省してます。 だけどこのままベッドに戻る時間も惜しくて、 身体が離れるのも嫌で。 もひとついえば、ほんとは対面座位で 抱きしめたかったんだけど、 うっかり腸の行き止まりのその奥に 突っ込んでしまったりしたらさすがにそれは ちょっとまずいな、と思って必死で耐えたのは内緒。 そっちは、また、いずれ。 (+122) 2021/07/17(Sat) 8:08:11 |
【墓】 木峰 夏生[ 抱き留めた手はそのまま、片方の手は胸に触れて、 滑らせて慈しむように海斗の茎を握った。 唇は耳の裏や頸を這わせて、抽送のスピードを上げる。 きっとそう長くないうちに 三回目だってのに 込み上げる吐精感ががくがくと身体を震わせるから。 ] ─── あいしてるよ、かいと [ 前を扱く動きに合わせて欲望を吐き出す時には、 出来れば海斗も一緒に達してくれてれば いいんだけど、と、 白みはじめる視界の端でそう願っていた。 ]* (+123) 2021/07/17(Sat) 8:10:03 |
【墓】 木峰 海斗[ 膝が痛い、とか、腕が痛い、とか そんなことよりも、後ろを犯されるのが、 痛くて、苦しくて―――― 堪らなく、気持ちがイイ 無理矢理、地べたに押さえつけられて 獣のように交わって、内臓を抉られるように キツい窄みを押し広げられて、 苦しそうな吐息に、感じいった声が混ざるのは、 性急に求められるのが、この上なく嬉しいから] ぁ、……ッ、い、――ッ [ 滑りをよくするために、足された潤滑油の 体温より低い温度が霞めるだけでも、 びくり、と肩を揺らして悩ましげな声をあげてしまう 口を閉じてしまいたいのに、この体勢では 片手で押さえることくらいしかできなくて、 荒々しさに、やはり両手をつかないと 身体を支えられなくて、 抑え切れない、あられもない声をあげてしまう それに―――― ] (+124) 2021/07/17(Sat) 10:48:15 |
【墓】 木峰 海斗[ 後ろから伸びてきた手が、 口を閉じさせないようするかのように、 指を口の中にねじ込んできて、舌を挟まれ撫で引かれ 上顎の裏を擽られて、口まで犯されて ぞく、と咥内から広がる快感に思考が蕩けていく 口を犯す指を、咥えて、しゃぶって、 指から逃げるように、舌を動かせば、意図せず舐めて あぁ、好き……もっと、欲しい 火照る体の奥底から、湧き上がる情欲に 思考を支配されていく もっと、触って欲しい もっと、触りたい 腕を伸ばせば、ふいに、動きが止まって] ん、……?、あに、き……? [ 身体を捻って、蕩けた瞳で、横目に見上げれば、 切なそうに、不思議そうに首を傾げる すると、御免と言う言葉とともに、口付けられて 痛くないかと、問う言葉に、何度か瞳を瞬かせて] (+125) 2021/07/17(Sat) 10:48:17 |
【墓】 木峰 海斗い、た……く、ねーから [ 痛いくないは、完全に嘘だが それ以上に、気持ちがいい それを口にするのは、まだ羞恥が勝ってしまうから] (+126) 2021/07/17(Sat) 10:48:20 |
【墓】 木峰 海斗[ 小さく声をあげながら、 身体を引っ張られて膝が浮く 重力に逆らうように、結合された場所は繋がったまま 腰を抱えられると、より深くを抉らて、 甘く掠れた吐息が漏れてしまった バランスを崩しそうになって、 支えられるままに、バスタブの縁に手を突いて 待ちきれないというように、腰が勝手に揺れた 態度はいつも、俺の方が不遜で、 俺の望みをかなえてくれるのは、いつも兄貴なのに まるで、従属させられているみたいな、 背後から動きを奪われて、首筋に噛みつかれて 勝手に所有印を残されて、逆らいようがない感覚 普段なら、こんな感覚にさせられること 許しはしないのに―― 今は、受け入れてしまう] (+127) 2021/07/17(Sat) 10:48:24 |
【墓】 木峰 海斗ふっ、……んんッ、あ、イイッ、そこ…… [ 無意識に、笑みを浮かべていたのは、 唇に指が触れていたら、気付いたかもしれないが すぐに、その笑みは、甘い嬌声に変わっていく もうはち切れそうな前のものを握られて、 悲鳴染みた、一際大きな声をあげ、 イってしまいそうになるのを、耐える為、 より一層、眉間に皺を寄せた] (+128) 2021/07/17(Sat) 10:48:26 |
【墓】 木峰 海斗[ 耳の裏も、首筋も、うなじにも、 舌が生き物のように這う感覚が、気持ちがいい 乱暴に、余裕がないように、腰を揺すられて こちらの状態なんてお構いなしに、与えられる快感が 堪らない、耐えられない、おかしくなりそうだ 途中から、もう何を自分で言っているか どんな声を発しているかも、理解が追い付かなくなる 目の奥が、チカチカと白く塗りつぶされていく] お、ッ、れも……すき、あにき、が―― 好き 、[ あいしてる。 求められて、満たされて、 前後不覚になるくらい、蕩けさせられて、 狂おしいほど、愛しくて、おかしくなって 生理的、ではない涙が、頬を伝う] (+129) 2021/07/17(Sat) 10:48:29 |
【墓】 木峰 海斗[ 言葉だけじゃ足りない 足りないものを補うように、自ら腰を揺らして もっと奥、もっと深くと、求めた 最奥を何度も突かれて、強すぎる快感に いやいやとするように、何度も頭を振るくせに もっと、と腰を押し付けて、 まるで、淫乱になったみたいで、恥ずかしいのに 求める気持ちの方が強くて―― 何度目かに、奥のしこりに打ち付けられた瞬間 バスルームに響き渡る、熱で掠れ濁った嬌声をあげ 水や光や、体液が散ったタイルの上に、 多少薄くなった白濁を解き放っていた すべて出し切れば、膝ががくがくと言い出して もう力が入らなくて、ぐったりと、 身体を前に傾かせていった そのまま倒れれば、バスタブの縁に縋るように もたれ掛った―― かもしれない*] (+130) 2021/07/17(Sat) 10:48:34 |
【墓】 木峰 夏生[ 指で触れている唇は、勘違いでなければ 口端が緩やかに上がった弧を描いたように 感じ取れた。 求めて求められて、応えてもらってこちらも応えて。 けれどどこか完全には拭いされなかった 理由はやっぱり互いの関係性。 けれど今、腕の中に閉じ込めた身体が、 見慣れた弟の服を脱いでく。 呼応するように長年かけて重ねてきた俺の 頑なな鎧も剥がれていく。 乱れて淫れて声を上げて、理性を溶かして。 ] (+131) 2021/07/17(Sat) 12:36:01 |
【墓】 木峰 夏生[ 言葉としての形をなくして、濁点のついた濁った嬌声が あふれていた海斗の口が動いて。 また、今度ははっきり、聞こえる。 紡がれた言の葉。 ] ────── ッ [ どくん、と脳髄から痺れが走る。 好き、大好き、愛しているも、なんでかな、 聞こえた気がして─── (+132) 2021/07/17(Sat) 12:37:02 |
【墓】 木峰 夏生[ きっとめちゃくちゃきついくせに誘うように 蠢く腰を抱きかかえ、短い呼吸で何度も最奥を穿った。 いやいやと頭を振る海斗の髪から雫が飛んで、 バスルームの光に反射してきらきら、弾けて。 甘美な曲線を描き撓る背中にぼたぼたと汗を こぼしながら、 見つけたばかりのしこりを抉った瞬間、 海斗が跳ねた。 叫ぶみたいな声が耳から神経を炙って、 ぎゅうと締め付ける腸壁の快感に体を震わせながら、 薄膜一枚隔てた中へもう出ないかもと思っていた 欲望が溢れ出す。 握っていた手の中の海斗の茎もどくりと震えて、 幾分薄くなってはいるけれどどろりとした白濁を 吐き出したのがわかった。 ] (+133) 2021/07/17(Sat) 12:38:50 |
【墓】 木峰 夏生……っん、はぁッ、 かい、と、 [ 大丈夫かと言いかければ、腕の中の身体が崩れる。 膝ががくがくと揺れて、前に突っ伏しそうなところを すんでのところで受け止めることができたのは 本当によかった。 バスタブの縁に縋るように凭れかかる身体に 力を込めて衝撃がないように支えてから、 中のものを抜き取って。 バスタブを背に、床にぺたんと座らせることが できれば、手早く欲望の詰まったゴムを処理して、 シャワーに手を伸ばす。 ] (+134) 2021/07/17(Sat) 12:39:35 |
【墓】 木峰 夏生[ 海斗の意識はあっただろうか。 声をかけて、返事があってもなくても どちらにせよとにかく湯をざっとかけて、 汗や液体を流して。 立てないようなら、ふかふかの綺麗な バスタオルを被せて、包んで抱き上げようか。 いや、俺も結構やばくて、膝も腰も 気を抜けばすこんと落ちてしまいそう だったんだけれど。 俺は、長男だから、大丈夫。 ] (+135) 2021/07/17(Sat) 12:40:15 |
【墓】 木峰 夏生[ ……それにしたってやっぱりベッドルームまで 遠いな!とわざと口に出して八つ当たりしながら、 限界を訴える足を無視して どうにか大切な身体を横たえることは出来たはず。 前髪を梳いて、額に口付けて、様子を窺う。 抱き枕みたいに抱きしめて、 すきだよ、と小さく囁いて。 ]* (+136) 2021/07/17(Sat) 12:41:21 |
【人】 トトそのあと、私は両親と出会い。 そのあと、私は両親と別れた。 「 ごめんね、そんなに余裕ないのよ。 」 突然増えた家族、兄妹。 立場を弁えていたつもりだったから、 何も望んでいなかった。 望んでいないつもりだったのに ──── ズレは続いていく。軋んで、歪んで。 腫れ物に触るように同じ空気だけ吸っても、 微妙な距離は縮まることはなくて。 (88) 2021/07/17(Sat) 13:37:22 |
【人】 トト私には家族なんていなかった。 血の繋がりも、過ごした時間も、 両方揃っていたらどうだったかとか、 考えるのも無駄なのでやめることにした。 両親は私を通して別の誰かを見ていた。 私のことを名前で呼ぶことは一度もなかった。 貴方がどれだけ愛されていたのか、 報せることもできないの。 (89) 2021/07/17(Sat) 13:37:45 |
【人】 トト家を出る決意をしたのはすぐだった。 元々、そうするつもりだった。 少しだけ、何かを期待して一緒に過ごしただけ オモチャの線路を走った私は、 脱線してから回る車輪を眺めて、 途中下車を決めた。 唯一の私のもの、一瞬の重なりの記憶を持つ 質の良いリボンを髪に結んで。 (91) 2021/07/17(Sat) 13:38:51 |
【人】 トトそんな日をどれだけ過ごしただろう。 全てと引き換えに自由を手に入れて、 質素で、だけど穏やかな日々を送ったわ。 独りには最初から慣れていたもの。 木々を揺らす風が波打って 長く伸びた柔らかな髪をさぁっと通り抜けた。 風が私のリボンを攫ったから、 頬へと引っ付いた解けた髪をかきあげて 空を仰いだ。 (93) 2021/07/17(Sat) 13:39:09 |
【人】 トト「 あっ ─── 」 リボンを掴もうとしていた手が宙を舞って 収まった先を見つめて、口を噤んだ。 終わった物語。 誰にもなれない私たちの線はきっと、 もう一度 ──── 上がった口角を見つめて、同じ顔で答える。 (95) 2021/07/17(Sat) 13:39:40 |
【墓】 木峰 海斗[ 倒れかけた身体を支えられて、 そっと、優しくバスタブにもたれ掛らせてもらう イったばかり、で。ふわふわとする思考の中 中のものを引き抜かれると、やはり声は漏れてしまう 切なげで、悩ましい声は、叫びすぎて掠れていた 大丈夫か、と問われれば、 たぶん、大丈夫じゃねーよって、億劫そうに答えて また、汚れてしまった身体を 洗い流す手を、邪魔することはしなかった 柔らかなバスタオルに包まれて、 抱き上げられる時は、さすがに慌てたけれど もう、抵抗する気力もなかったから、 抱えられるまま、身を任せて、頬寄せて、目を閉じる 俺は、次男だから、耐えられなかったんだ] (+137) 2021/07/17(Sat) 13:52:40 |
【墓】 木峰 海斗― 翌朝 ― [ 朝起きた時にも、兄貴は隣にいただろうか 眠っていれば、隣で眠る寝顔をまじまじと見つめて 身体の痛みや、充足感、疲労感に これは、夢ではないと再確認をしていた 終ぞ、言う気がなかった好きという言葉も、 ついに、伝えてしまったことを思い出して、 顔が熱くなるのを感じて、寝返りを打つふりをして 兄貴とは反対側に顔を向ける ドキドキとして、呼吸が早くなって、 すごいことをしてしまったと、嬉しい気持ちと、 すこしだけ、後ろめたい気持ちなる] (+138) 2021/07/17(Sat) 13:52:46 |
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