01:48:41

人狼物語 三日月国


124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


――冬至と――

そうそう。
柔肌に映える真っ赤な紐でねぇ。

ずいぶんと大人になったものでしょう、私も。

[言葉遊びのように拾われる会話のフレーズを、否定も訂正もしないから酷いことになる。
 が、そんな会話を楽しんでいるのも事実。
 まったくきのこのソテーの話がどうしてこうなるのだか。]

年単位で先のことをすぐだなんて言うの、歳がバレますよ。
なんて。私は冬至に会えない時間は、いつでも一日千秋の思いですけど。

[冬至は過ぎたばかりだし、来年の冬至が会合に当たるとは限らない。
 お互い歳は取りたくないものだね。]

いつでも来てよ。
私や麦がいる保証はできないけど、来るとわかってれば時間は作るし。

[慈雨のほうなら自由に出入りしてくれて構わないし、小満領の扉は、流石に只人は然程入れずとも、灯守りや蛍には、割合気軽に開かれているほうだ。
 食事に来たいというなら、拒んだことはほぼないだろう。
 小満手ずから振る舞うかは、その時々だけれども*]

“観測者” 処暑は、メモを貼った。
(a6) 2022/01/19(Wed) 2:17:10

[
   こ

    ぽ

   り

    。

ここは、海の中?
]

[あの時きっと、わたしはまた”捨てられる”ことが怖かったのだろうと思う
可愛く、綺麗に、欲しいと思わせる様な顔をしなければ
お人形わたしに価値はないのだから

だから、ほんの一瞬動揺を滲ませたことも
浮かべた笑顔が歪だったことも

わたしは、知らなかった]

【人】 “観測者” 処暑

―― 会合の始まる前 ――


[ 冬至の彼女と話す際に話題に出したが、
 今日は大雪の彼女本人が来ている。
 何時ものぬいぐるみではなく人型にんげんの彼女である。
 大寒の彼女を見たときにも少々驚いたが、大雪の彼女に対しても、珍しいなと目を瞬かせた。
 入口近くで憂いの表情をしているのを、私はじっと眺めていた。>>0:375
 声を掛けるでも助けるでもないのが、何時も通りの“観測者”。

 「大雪は本人が来ている。何時ものぬいぐるみはどうしたのだろうか?」
 それが、手帳の記述。* ]
(58) 2022/01/19(Wed) 15:28:40

【人】 “観測者” 処暑

―― 会合の時 ――


[ さて、会合の時間になれば、一度賑やかさは鳴りを潜めることとなる。
 会合が行われる部屋は飾り気もなく、格式ばった場であることを主張する。
 円卓の、立秋の彼と白露の彼女の間へと座り、立秋の彼の隣に“蛍”がいるならじっと見つめたりして。
 そうして会合は始まる訳だが。

 常の私を知っている人なら分かる通り、私は会合に真面目に向き合う方の灯守りではない。
 出席率自体は良いし、会合から逃げている訳でもないが、
 会合の最中、とにかく意欲がなさそうにしている様子が分かるだろう。
 統治域のこともよく知らないため、部下である処暑域の行政職員がまとめた資料を淡々と読み上げるのみ。面倒な時には読み上げることもなく、ただ提出するだけで進行役に押し付けることもある。意見を聞かれても、特に言えることがないので沈黙。
 時折何かを熱心に書いている様子も、議事の記録ではなく、個人的な“日記帳”。
 妙な方向に目を遣っているのならそれは、会合における他灯守りや蛍の様子を観察しているだけだ。

 否……会合の内容に興味がない訳ではないのだ。
 他統治域の話や、他人から見た世界の話を聞けるのは興味深い面白い
 それに、『人々を守る灯守り』としての一面が見られるのもこの場。
 故に会合が嫌いという訳ではない、が。
 統治者、そして灯りの管理者として真面目に向き合っているかと言われれば、答えは否。
 他人事なのだ、何もかもが。

 だから会合の内容を持ち帰って下に伝えることもなく、また後日、処暑域から中央に対し議事録の請求が行くだろう。
 こうして中央にまた無駄な手間が増えていく。
 ]
(59) 2022/01/19(Wed) 15:30:55

【人】 “観測者” 処暑

 
[ やがて会合が終われば、私はまた元の、何時もの、窓際の席で手帳を広げているだろう。
 執事にサンドイッチと紅茶を持ってこさせて、それを摘みながら、
 会合前よりも豪奢となっている会場を眺め、また“観測”に興じる* ]
 
(60) 2022/01/19(Wed) 15:31:27
 ― ぼくのおはなし ―

[ぼくは雨水の領域に生まれたごく一般的な家庭の子だった。勉強は出来る方だったけれど神童という程でもなく。ちょっと大人しいけれどそれも普通の範疇。


 ただ一つ、融解という能力以外は──── 



 ぼくはそれがなんだか幼いころはわからなかった。
 ただ、雪が寒いなって思った時ちょっとだけ溶かしたり。こっそりと。子どもの出来る範囲なんてたかがしれていたからその当時は発覚せず。

 ぼくの血縁上のお父さんはぼくが産まれる前に病気で亡くなったと聞いている。正直生まれる前の話だからぴんとこない。お父さんがいなくても、お母さんはおばあちゃんやおじいちゃんと一緒にぼくを一生懸命育ててくれた。

 ぼくもそんなお母さんを助けようと幼くてもお手伝いとか頑張っていた。]

 

 
[その能力は、不運と共にお母さんに発覚した。

 その建物が工事中で。運悪く木材の一部が落ちてしまったんだ。

 お母さんはぼくを守ろうととっさに抱きしめた。
 ぼくはお母さんを守ろうと─────

              その力を、
使った。

 

 
 
[ ぼくの世界が変わったのはその時からだ。 ]


 

 
[溶けた木材。それだけじゃなく、親子二人の周りも地面すらも溶けていた。怪我一つなかった親子。流石に騒ぎになりかけた。
 でもその親子が何処の誰か、等々は公には発覚しなかった。お母さんが、ぼくを抱きしめて即逃げたから。


 お母さんはぼくに帰るなりつめよった。
 何かした?
 と

 今にして思えば、知らないと言えばよかったのかな

 ぼくは素直に話した。融解の能力を。
 不思議な子は認知はされているけれど、人と違う。それにお母さんはひきつった顔をした。

 お母さんはぼくを守る。それだけを支えに必死になっていて限界だったみたいだ。
 その子が普通と違う。あんな、強く、下手をしたら人を巻き込んだ力がある。それを受け止める余裕なんてなかった。

 ぼくの能力は下手をしたら、誰かを傷つける可能性がある。お母さんはそんな事が起きたら耐えられない。そう思った。

 子どものぼくは、お母さんが怖がっているのが怖かった。今まで愛してくれていたのに、能力一つで恐ろしい物を、異物を見る目になったのが受け止められなかった。]

 

 
[ぼくがいくら感情に乏しい方でも、お母さんの拒絶は耐えれなかった。だから、
引きこもるようなった。


 お母さんは、ぼくを見なくなった。抱きしめなくなった。ぼくは、どうしていいかわらかないまま、おとなしく日々を過ごした。
 おじいちゃんとおばあちゃんが亡くなってからはそれに拍車をかけた。

 本来人と触れ合ったり、心を育てる時間をぼくは独りで、ずっと過ごした──── ]**

 

ーー先代の記録ーー


「いや、どうしろと。」


[僕が小雪となった年、1人の赤ん坊が生まれた。
銀髪の子だったから、次期小雪とするため育てろと。
それが代々続けてきたこと。それも小雪の責務だと。
まずは顔合わせという形で今日、篠花家へと来たわけだ
それはいい。そこまではいい。

だが何故今、己は赤子と二人切りにさせられてるのか。]
 



「せめて乳母か誰か置いてってよ。
 どうすんの、このちっこい小雪。
 流石に赤ん坊の世話の仕方なんか知らないよ?」


[適当にやっててもできてしまう己だが、今回ばかりは難しい。
勉強だ何だで潰れた子供時代。年下どころか同年代とすら遊んだことがないのだ。

さっき“母親”から抱っこしてあげてほしいと言われて抱いてみたが。
結果は言わずともわかるだろう。
泣かれた。

それはもう、盛大に泣かれた。

抱き方が悪いとか指導が入ったが、よくわからん。
おまけにふにゃふにゃしていて、力加減間違えたら潰してしまいそうだ。
何だこのわけわからん弱い生き物は。]
 



「いいよねぇ、君は寝てれば良いんだから。
 こっちの気も知らず、気持ちよさそうに寝ちゃってさぁ……。」


[揺り籠の上で、こちらの気も知らずに眠る赤子の手をつんつん。
ちょっとした八つ当たりだったのに。
きゅ…、と握られた。]


「…………。
 ……僕がここにいるの、わかるの。」


[そんなこと聞いても、答えなんか帰ってくるわけないんだけど。
まあそれでも、容易に振り解けるほど小さな力は、
なかなか振り払うことができなくて。
必死に僕個人を求める人なんていなかったから斬新で。]
 



「……まあ、いっか。」


[可愛いとか思ってはいないけど。
このつまらない世界を変える力があるとは思えないけど。]


「期待してるよ、眞澄。」


[未来に期待するぐらいならいいかと思った。]
 

 
[尚、この後突きすぎてまた泣かれた訳だが。
先の指導を思い出して抱っこしてみるも泣き止む気配は一向になく。
結局乳母がやってきて、あやすのを眺めるだけとなっていた。]


「ねえええ! 赤ん坊ってどうすればいいの!?
 ホントわからないんだけど!?」



[後日、当時の灯守りたちに誰彼構わず尋ねる、
大声で泣き言を言う小雪の、世にも珍しい姿を見られたかもしれない。*]
 

─ 回想 ─

[お姉ちゃんが私を初めて抱き上げてあやしてくれた日の事を、
当時まだ赤ちゃんだった私は残念ながら全く憶えていない。

後からママに聴いた話によれば、
ほんのちょっとママが傍から離れただけで
この世の終わりのごとく泣き喚いていた私は
お姉ちゃんに抱かれた瞬間
驚くほどぴたりと泣き止んだらしい。

ママがお昼ごはんを持って戻ってくるころには
お姉ちゃんの腕の中でそれはもう機嫌よく笑っていて、
小さな手からは想像も付かない信じられないような力で
お姉ちゃんの服をがっちりと握り締めて
なかなか離そうとしなかったそうだ。]


  
ねえね、ねえね。
だっこ。だっこすゆの!



[そう言いながらお姉ちゃんに駆け寄って
よだれまみれの手でお姉ちゃんの服を引っ張っては、
両足に纏わりついて抱っこをせがんでいたのは
おぼろげに憶えている。]



  
ねえね、ねえね。あしょぼ!!
  
まちゅりがおりょーりすゆから、
ねえねはたびるひとね。
まっててね。んしょ、んしょ……

……できたあ!
おまたせしました、ほんじつのめにゅー
わふーはんばーぐとさらだです!



[握り締めて固め(きれていなかっ)た
泥100%の"ハンバーグ"に
庭で搔き集めた草と花と木の実の"サラダ"を
蓮の葉の上に乗せて、
いちばん好きなごはんの再現を試みたり]


  

  ねえね、ねえね。
  きょうはね、おにんぎょであしょぼ!
  まちゅりがままでねえねがぱぱね。
  ねこちゃとわんちゃがこどもだよ。

  おかえりなしゃい、ぱぱ。
  おふろにすゆ? ごはんにすゆ?
  それとも、ねんねすゆ?



[──なんておままごともしたっけ。
眠る前に絵本の読み聞かせを強請ったりもしたな。

差し出すお気に入りの絵本は何冊かあった。
子ウサギが野原でいろんな春を探す絵本や
お料理上手なきつねがおいしいごはんを作る絵本。

その中でも一番のお気に入りだった
街を見守る幸福な王子様とつばめの物語はきっと、
今の私に多大なる影響を与えている。]*

【人】 “観測者” 処暑

―― 会合前・麦秋至の彼女 ――


[ 何時もと変わらずの私の薄い反応。
 しかしそれでも彼女は朗らかに笑う。>>12 ]


  ……そうですか


[ 『慈雨』……小満の彼が開いているレストラン。
 麦秋至の彼女がそこで給仕をしていることは、もしかしたら初めて顔を合わせる前より知っていたことかもしれない。
 相槌を打つ。……聞き流している訳ではない。話を続けられないだけだ。
 それでも彼女は店での話を続けていく。
 私は……相槌を打ちながらも、それを時々、手帳へと書き付ける。 ]
(102) 2022/01/19(Wed) 21:41:38

【人】 “観測者” 処暑

[ この状態を“話せる人”と彼女が評しているのは知らないが。>>11
 当初の「人を寄せ付けない」という評を聞いたことがあれば、私は納得するだろう。
 元々の気質からして、人と関わるのは得意ではないが……意識的に人から距離を取っていると言われれば是だ。

 ……逆に、私から見た彼女の印象も言葉にしたことはなかったと思う。
 彼女について私が知っているのは、「世界について知りたいと小雪から出奔したこと」「何故か今は小満の蛍をやっていること」。
 その真反対までの旅を事細かに知る訳ではなく、彼女が旅の事を話す際には、興味深く耳を傾けた。
 後から後から話が出てくるので、彼女も余程好奇心旺盛で、興味を持ったことに首を突っ込むのが好きなのだろうな、という印象を持っている。
 そして彼女は、彼女から見た世界の話をしてくれる。彼女の“観測結果”を聞ける。
 私は、彼女のそういうところについて好ましいと思っている。

 私が“風”で知る事ができるのは、視覚情報と音。
 綺麗な景色は例え知っていたとしても、絵を眺めるようなものだし、
 カフェを知っていたとしても、食事の味までは分からない。
 だから「私も見てみたいです」や「余程美味しかったんですね」等、彼女に対して返していただろう。>>13
 ……実際のところ、処暑の領域から遠くへと行く気はないために、叶える気のないものではあるが。 ]
(103) 2022/01/19(Wed) 21:42:31

【人】 “観測者” 処暑

 
  ……楽しそうで、何よりです


[ 話の最中、そう言ったのは、少々珍しかったかもしれない。

 私とも、立秋の彼とも違う、“風”を感じる彼女。
 彼女の勢いのある“風”が何を巻き起こすのか、というのは、これからも楽しみだと言えるし、彼女をこれからも観察したいと思う。
 ……それに、楽しそうな彼女の話を聞くのは興味深い楽しいから。

 彼女が去るようなら私も会釈を返して、また、ひとりの世界へと。** ]
(104) 2022/01/19(Wed) 21:42:48
 
  わたしのせかいは暗闇と雪の世界です。
  静かにねむる、淡いひかりのやみのなか。

  永らくお役目についている灯守り様なら
  ご存じでしょうか?
  前任の大寒も、わたしのように暗闇のような髪をもつ
  そんな方でした。

  閉ざされた雪の世界で、『大寒』は、
  一つの家系により受け継がれてきました。

  大寒域の者の髪は雪のような白です。
  けれどわたしの家――御明家には、稀に
  暗い闇色のような髪の者が産まれてきます。

  それが、次期大寒を受け継ぐあかし。

  わたしは産まれながらに、大寒となるさだめでした。
  先代様の弟子となり、
  わたしは、――大寒域のためになろうと
  先代様に沢山のことを教わって、立派な―――

 





 
押し付けられてせいせいした。




 
 



  ―― 先代様は、本当に永き日々の大寒域を
  見守ってくださいました。
  永くて、とても長くて。



  
――あのひとには、永すぎた。


  身体を苦しめる魂の在り方も、わたしがうまれるまで
  先代様は耐えるしかありませんでした。



  だからわたしのことを、とても愛してくださいました。
  
おなじくらい、憎しみもくださいました。



  人と戻られたその時に
  先代様は自ら、わたしのまえで―――


 

―― 先代処暑 ――


[ 私が生まれた頃の処暑域は、私から見れば先々代の処暑様が治めていた。
 先々代の処暑様は人々との交流が近く深いという訳ではないものの、統治者として申し分のない方で、処暑域は穏やかで安定した統治域であった。
 その先々代処暑様は数十年灯守りを務めていたが、今から60年程前に、人間の寿命の範囲で灯守りを引退することを選んだ。
 そして――後継として指名されたのが、先代の彼だった。
 先々代の処暑様の統治は何も問題のないものだったけれど、その事だけは、先々代処暑様の“失策”であったと思う。
 ]
 

 
[ 先代の彼は、先々代処暑様の蛍だった訳でも、弟子だった訳でもなく、
 只の年若い、処暑域の行政職員だった。
 処暑様の下で働いているのだから、処暑様と面識もあり、やりとりを交わす事も多かったようだが、
 それにしても、本人も、周りも、住民も、突然の指名に驚いていた。
 しかし先々代処暑様はこう言った決定を譲らない人であったし、灯守りの言う事に異議を唱えられる人は居ない。
 処暑域は少々慌ただしくなったものの、中央に迷惑は掛ける事もなく、やがて滞りなく灯守りの引き継ぎは成された。

 先代の彼が良き灯守りであった事は前述の通り。
 先々代様と統治の形は違ったが、人に寄り添う灯守りとして、住民に慕われていた。
 ……上に立つ者として、優しすぎるぐらいであったと思う程に。
 ]
 

 
[ しかし――それを良く思わなかった人間が居た。
 先々代処暑様の“蛍”達である。
 自分達が後継であると思っていた所に、灯守りが別の人間を指名し、
 更にその人間が灯守りとして慕われている。
 彼らはそれを
み、
んだ。

 更に先代の彼は先々代の蛍を自分の蛍とはせず、最初は蛍を置いていなかった。
 彼らは今までの立場を失う事となったのも、彼らの黒い思いに拍車を掛けたのかもしれない。 ]
 

 
[ さて、数年のうちに先々代は亡くなり、
 しかし先代処暑はその地位を確固たるものとしていた。

 そんなある日、先々代の蛍だった人間の一人が、彼の領域を訪ねてきた。
 彼は元蛍彼らに対し悪い感情は持っていなかったし、むしろ当初は、自分が灯守りとなったことに申し訳なさを感じていたようだ。
 蛍のひとりであった彼も……その時は友好的に、それから彼が処暑を継ぐ時に心無い言葉を浴びせてしまった事を謝りたいと、そう言っていたらしい。

 ……彼は、その言葉を疑うことなく受け入れた。
 それ程お人好し、だった。
 ]
 

 
[ しかし蛍であった彼が訪ねてきたのは、詫びなどではなく、とある計画のためであった。

 ――自分達の立場を奪った、処暑の灯守りへの
復讐
である。

 ……領域に職員が駆けつけた時に見たのは、既に事切れた“処暑様”の姿であった。
 死因は食事に仕込まれた毒。
 物理的な傷では直ぐ癒えると思ったのか、もしくは反撃されると思ったのか。彼らは彼を騙し、内部から攻撃することを選んでいた。


 当然処暑域は大混乱となったし、周りは騒動を収めるために奔走した。
 犯人は捕らえられたものの、それで処暑の灯守りたる彼が戻る訳でもない。
 職員も、住民も、皆、彼の死を悲しんでいた。 ]
 

 
[ 彼が先々代の蛍に殺された、という事は、会合等で大っぴらにされる事はなかったものの、
 秘されてはいない事であったから、当時の灯守りや蛍は知っていることであろう。 ]
 

 
[ さて、加えて、起こっていた“非常事態イレギュラー”がある。
 処暑の灯守りの『証』が、彼が死ぬ前に受け渡されていた事だ。
 ――職員が駆けつけた事切れた彼の隣に居た、彼に似た“私”に。
* ]
 

 

  「 “  ” 」



[ 私の名を呼ぶ彼の声が蘇る。
 他の人に名を呼ばれなければ、彼のその声が永遠になるのではないかと、
 そんな根拠のない、滑稽な事を考える。
 でもそれを信じて、縋って、私は名を伏せている。 ]

 

 
[ 先代処暑と親しかった者なら知っているかもしれない。
 彼が照れくさそうに話す“  大切な人”の存在を。** ]

 

“観測者” 処暑は、メモを貼った。
(a26) 2022/01/20(Thu) 1:29:45

─龍池紫明と小雪の兄妹─


「眞澄のような可愛くて良い子の傍で、か。
 お兄様が直々に言ってくれるとは。
 篠花紫明……字面も良い。悪くない提案だ。

 だ が 。

 俺が菴のことを「
お義兄様
」と呼ぶことになるのが問題だ。
 もう一つ。
 お前が去るならば、その提案は飲めないな。
 中央域の連中のストレスが減るのは喜ばしいことだが、
 その分俺や眞澄が苦労することになるだろう。」


[ 先代小雪である菴と紫明は、冗談を普通に交わす
 気心の知れた仲だった。
 勿論冗談だとはわかっていたが
 
 言われずとも彼に何かがあった時は
 代わりに眞澄の面倒を見る気概は当然備えていた。
]
 

 
 「お褒めの言葉どうも。
  君からそう言われたいと願う者は
  山ほど存在するだろうのに。
  これも無欲の勝利というものかな。
 
  だが、その言葉を聞いたら……と。」


[ 言葉尻が芝居がかかって聞こえるのは、
 隣に君の兄が居たからだが
 彼の表情が見えて、言葉が止まった。
 
 ──本気でショックを受けている顔だ、と。


 だが、頼られて悪い気はしないのは事実。
 灯守りとして初めての任務の時も、
 右から左まで徹底的にレクチャーした。
 彼女が初めての会合に出席した時は、
 見守る立場とはいえ、ほぼ心配はしていなかったのだ。

 ──眞澄なら大丈夫だろう、と。]
 

 
[ 兄から妹への別れの手紙を見せて貰った時
 普段見せることのない感情的な様子に、
 何も言えずただ黙って聞いていた。
 全てをぶち撒け、落ち着き始めた頃に漸く口を開き]


  「大丈夫、あいつのことだ。   
  『 眞澄に会えなくて寂しくて死んでしまう〜! 』
  とか言って、また戻ってくるさ。」


[ 気休めだけを吐いて微笑む。
 その後、彼女の気が済むまで、とことん付き合う気でいた。
 飲み明かしたか、話は続いたか、何処かに外出したか。
 それとも一人になりたい、と申し出があったか。
 後者ならば、意思を尊重し帰ることにした。

 「寂しければいつでも話は聞くから」と言い残して。]  
 

 
[ 灯守りを引退すると告げた時
 彼女は、止めることはしなかった。

 だが、一瞬口を噤んだ様子が見えて。
 紫明の意思を尊重する言葉を聞けたが
 祝福、背を押してくれるような感覚は感じられなかった。
 思い過ごし────では無いのだろう。

 
今思えば、眞澄は菴と紫明。
 二人の近しい灯守りに、似たような形で
 急に去られていたのだから
]


 「眞澄。
  君には本当に長い間、世話になった。
  君と、菴と過ごした日々は、楽しかった。
  ……済まない。菴との約束を守れなくて。
   
  君も、自分が幸せになることを、
  自分のことを一番に考えても、罰は当たらないと思う。 
  
  ……葵を頼む。」
 

 


 『 君は強く立派になったから。
   俺の助けはもう必要ないだろう。 』


[ 
そのような残酷な言葉は飲み込んで。

 
 あの時、姿を消した友のことを怨んだりもした。
 だが、まさか自分が似た道を歩むことになるなんて。
 同じようなことをして、苦しめることをするなんて。 ]



  ( ──人を幸せにするのは、難しいな。 )



[ 斯く男は女の前を去った。
 理由は、半分程度真実を伝えている

 何故このタイミングだったのか。
  ──数年前から決めていたこと。
 
 別れを惜しむ悲しい時間は、少ない方が良い。
 それだけの理由で、伝えるのが直前になっただけのこと。]

 

 
(  ああ、でも。
   自ら去ることを決めたというのに
   もうこの気の強い友の妹と会い、
   話が出来なくなるのは、少し惜しいが。)


         ……大丈夫。きっとどこかで会えるから。


 ( これは今生の別れでは無い。
   だから「さよなら」とは言っていないんだ。 ) *

 

【人】 “観測者” 処暑

―― 観察日記・2 ――


[ 時折、サンドイッチと紅茶に口を付けながら、会場内を眺め、手帳に記録していく。
 灯守りになった頃は、人の手の入った食べ物を受け付けなかったけれど、今こうしていられるのは良い変化なのだと思う。


 ……ただ、会合後の菜虫化蝶の彼女と、雨水の彼女が、中央の人間を気遣う様子を“観測”することは出来なかった。>>7>>30
 私は会合の場からは即座に退出する性質。
 “見る”ことが出来ていたら、中央の人間に対する灯守りと蛍を興味深げに観察していただろうに。


 会合後、小満の彼に、蚕起桑食の彼が食って掛かり、それを紅花栄の彼が止めるのは常に見る光景である>>22
 麦秋至の彼女も止める方に回っているようだ>>27
 『小満のところは今日も騒がしいようだが、故に上手く回っているのかもしれない』


 夏至の彼のところも、連れの蛍と言い合っているのをよく見掛ける気がする>>35>>92
『夏至と菖蒲華も言い争いをしているようだ。仲が良いのか、悪いのか』


 小満の彼と立秋の彼が戯れている様子を眺め>>68>>70
 『立秋が年上に甘えている姿は微笑ましくも見える』


 雨水の彼女と小雪の彼女は、真面目な話をしているらしい>>76>>91>>96>>150
 『長く灯守りを務める小雪と、まだ灯守りになったばかりの雨水。真面目に向き合う者同士、良き同僚になれるのかもしれない』


 霜降の彼女はパーティーを楽しんでいる様子。これも何時もの光景だっただろうか>>82
 『霜降は今回もいちごオレを飲んでいる』
 ]
(195) 2022/01/20(Thu) 20:28:11

【人】 “観測者” 処暑

[ 小暑の彼は……そういえば、会合で見掛けるのは初めてだったかもしれない>>115>>116
 『小暑は初の会合だったか。蓮始華の補佐を受けているようだ』


 小満の彼と菜虫化蝶の彼女が話すのをじっと眺め>>120>>125
『小満はファンを可愛がっているように見える。菜虫化蝶は緊張しながらも嬉しそうだ』


 雀始巣の彼女は今回もテラスの方へ行ってしまった>>148
 『雀始巣は、その景色が好きなのだろうか、それとも空気か、別の何かか』


 立夏の彼女はサンドイッチを手に取っているけれど>>176
 『立夏はサンドイッチが好きなのだろうか』


 白露の彼女の皿には何もない>>180
 『白露は迷っているのか、食べたい物がないのか』



 時折、私自身の感想を挟みながら、手帳の記述は増えていく。*]
(196) 2022/01/20(Thu) 20:28:48
 ― ぼくのおはなし2 ―

[先代の雨水に出会ったのは引きこもってから何年かした頃。
 ある日突然、彼はやってきた。]


 「やっと見つけた。手間かかったな。悪かったな遅くなって。
  お前は今日から俺の後継者だ。

  大丈夫、悪いようにしないからついてこい」


流石に混乱した。

 でもお母さんが雨水様、と呼んで灯守りという存在くらいは知っていたぼくは目を丸くした。]


 こうけいしゃ……?
 どうしてぼくが?


[首を傾げた質問に彼はにっと笑って返した。]


 「俺もそろそろ引退時でな。
  なんでも溶かす能力者がいたって噂を探したんだよ。
  雨水の季節にぴったりじゃないか」


[ほれ、と手を差し出された。]

 

【人】 “観測者” 処暑

[ さて……そんな会場内に、大寒の彼女の姿はあっただろうか。
 大寒の彼女を実際に見掛けるのは何時ぶりのことであったか……見たことがない、ということは無かったと思うが、曖昧になる程以前なのだと思う。
 私も彼女も、大雑把に数十歳、と言える歳であるし、付き合いはそれなりだった筈。
 まだ靴を履いていないようならば、先程中央の人間と話していたことを思い出しつつ、まだ解決していないのだな、と思うだろう。

 彼女が今日、此処に姿を見せた理由は分からないが。
 興味がないとは言わないが、私から聞くこともないだろう。

 ところで、大寒の彼女は戯れに他の領域へと手紙を送る事があるらしい。>>0:372
 ……何故知っているかというと、それが私の元へも届いたことがあるからだ。
 最初は宛先のない手紙に対し、どうしたら良いか分からず放っておくだけだったが、
 領域に届いているのだから、怪しいもの、という訳でもないと気付き、
 差出人を“風”で探したら、それが彼女だったという話。

 一度、私は気紛れで返事をしたことがある。
 “観察日記”の延長線上、その時期の処暑域の田畑と海の様子を描写したものだ。
 それに返事は来たのだったか、そして、気紛れに文通は続いているのだったか。
 “雪の雫”のマークを入れる彼女よりも余程不親切に、何の署名も入れない手紙。
 その差出人を、彼女は知っていたかどうか。* ]
(197) 2022/01/20(Thu) 20:30:33

[─────唐突過ぎてよくわからなかった。

 でも、この手を取れば一人で引きこもっているこの状況を変える事が出来るんじゃないかって。それだけはわかったから。



      ぼくは、その手をとった。


 

 
[そこからはなかば強引に、ぼくは彼に引き取られた。
 お母さんが納得していたかは知らない。半ば拉致じみていたとかそういう話も広まったらしいし中央の人の頭痛のタネになった可能性は今にして思えば高い。

 蛍もいない彼の後継者候補が見つかったのは、悪い事じゃなかったんだろうけどさ。それでもね。


 ……それから数年。ぼくは言われるがままにお仕事やお勉強を教わって。しっかり一人で仕事を回せるよう教育を受けた。その当時の日々はぼくはまだ奥に引きこもりがちだったから他の灯守りと会う事はそうはなかった。
 当時は正直選ばれる意味すらもよくわからなかった。
 でも、いつまでも引きこもっていても仕方ないのはわかっていた。

 それに、ぼくが必要として貰える居場所を作れるのなら、嬉しい と

 少しずつぼくの心を溶かしてくれた彼の跡継ぎになりたいと
 段々とそう思うようなっていった─────。 ]**

 

“観測者” 処暑は、メモを貼った。
(a38) 2022/01/20(Thu) 20:55:34


 「──やぁ。ふむふむ、成る程成る程。
  君が紫明の話していた蛍さんだね。
  僕は"立春"の灯守り、蘭花。
  蘭の花と書いて蘭花。以後お見知りおきを。

  あはは! そう畏まらなくて良いよ、葵ちゃん。
  こんなに愛らしいお嬢さんなら大歓迎さ。

  甘い物は好きかい?
  ちょうど椿餅を作ったところでね、
  君さえ良ければ是非とも味見して
  忌憚のない感想を聴かせて欲しい。

  うん? 紫明の分? 
ないよ、そんなの。

  僕は料理は可愛い子の為にしかしないって決めてるんだ。

  僕の作るお菓子がどうしても食べたければ
  可愛らしく生まれ変わって出直してきてくれたまえ?」

 


[蘭の花びらのように滑らかな白い肌。
目鼻立ちのはっきりした華やかな美人。
涼やかな空色の髪は短く切り揃えられていて
一見して性別がどちらかはわからない。

春の陽射しを閉じ込めたような明るい色の瞳が、
挨拶に訪ねてきた少女を柔らかく見つめただろう。

自分が食べるより作って食べさせる方が好きで、
自分が喋るより話を聴く方が好き。
いつでも穏やかな笑みを絶やさない、とても優しい人だった。]

 


[私が師匠から立春を継承したのは
雪が徐々に解けて日々大地が目覚めゆく啓蟄の頃だった。

その年の立春の大役を終えた後、
祝福を受けた生命が活き活きと芽吹いていくのと相反して
師匠は──蘭花様は、目に見えて衰弱していった。

雨水の季節が終わる頃にはもう
身を起こすことも難しくなっていて、
黄鶯さんが付きっきりでお世話をしていた。
師匠の傍から離れたがらない私を引き剥がすように、
氷魚さんが私を連れて日々の業務を代行していた。

自分の弱っている姿を他の灯守りたちに見せたくない、と
師匠は最期まで頑なに元気な振りをしていたから
余程注意深く見ていなければ、師匠が弱っていたのは
亡くなる直前までわからなかっただろうと思う。

親しかったご友人の皆様や
近しく親交も深かった春の統治域を持つ皆様にさえ
「それじゃ、僕は念願叶って山奥に楽隠居するから
 愛弟子をよろしく頼んだよ☆」

なんていつもの調子で別れてから床に臥せられた。
報せが遅くなってしまったのは、
それが師匠の遺言だったからでもあった。]

 


 「そんなに悲しそうな顔をしないでおくれ、東風はるかぜちゃん。
  僕はもう十二分に生きた。
  そろそろ休みたいな、って、思っていたんだ。

  ……以前話した話、憶えているかな。

  僕らが司るのは"立春"、すべての始まりの暦……
  長く厳しい冬を越えて暖かな春を迎える
  希望を象徴する季節でもある。

  人が心折れてしまうのは希望を失くしたときだ。
  だからね、君は俯かないで。顔を上げて、前を向いて。
  どんなに辛いことがあっても笑顔を忘れないで。

  これからは、君自身が
  此処に住まう人々の希望になれるように。
  僕はいつだって君を見守っているよ。」

 


[そう言い遺して去っていった師匠の手前、
どんなに悲しくても、辛くても、淋しくても
少しでも気を抜くと泣いてしまいそうでも、
人前で泣くことだけは絶対に出来なかった。

だから、

何も言わずに葵ちゃんがただ私を抱きしめてくれた時に
それまで押し込めていた感情がぐちゃぐちゃに溢れ出て、

両目を酷く腫らしてしまったあの日の思い出は
二人だけの秘密にしておいて。]*
 

  
――小満と


 大人は紐の扱い方で
 その成長の仕方を察されると聴きました

 私はこどもなので
 その意味はまだぜんぜんわかりませんが
 フェイはどんどんと大人になっているのですね
 ぜひ大人のことを教えてください、ぱぱ。

[ つぶらな紅で小満を見上げるのも束の間
 きゅぅ…と 丸いボディは悲し気に身を丸めた ]

 ……。
 私だって いつでもあなたを待っているのですよ

 お口の達者なすけこましを想い
 長々し夜をひとりかも寝んしています…

[ この嘆きの丸みを癒すには
 もう一切ればかしのキッシュが必要だろう ]


  …くふふ。
  では 冬至の雪がとける頃に。
  フェイの料理で雪どけを祝います

[ 返すのは 一見不確かな社交辞令 ]

[ その意が もう百年以上も前から続く
 "冬至域の雪の一切が消える日"の頃である事
 小満ならば伝わると思っているし 伝わらぬならばそれはそれ ] *

【人】 “観測者” 処暑

―― 会合時 ――


[ 会合時の私が、仕事に真剣に向き合わず、気儘に他者の観察に興じているのは前述の通りだが、>>59
 私の近くで動く影があるならば、私の視線は躊躇なく其方へ向かうだろう。 ]


  …………………


[ 影は小さい人形であり、人形ということは大雪の彼女のものだろうか、と思った。>>192
 彼女の能力、だろう。
 円卓の向こう、今日は本人である大雪の彼女を見れば、彼女はどうしていたか。
 此方を伺っているようならば、視線を暫く、彼女と人形と交互に遣るだろう。
 それから、自分の元に視線を移し、人形をじっと観察する。
 飽きるまで視線は逸らさず、動きを見つめる。

 「大雪の人形が私のところに来ている。どうしたのだろう」というのが手帳の記述。
 なお、人形相手ならば、手帳を隠す動作もしない。人形だと思っているから。
 積極的に見せることも絶対にないが、間諜の役割を担うならば見放題、というところか。* ]
(214) 2022/01/20(Thu) 23:08:58

[ 代りに、私もうっかりクッキーを焦がしまった折りに、
 あなたの先代の蛍に慰められたり、失敗作を食べてもらったりしたものよ、なんて話もしたでしょう。

 自分よりも経験の長い蛍たちに手伝ってもらって、
 灯守りの仕事に慣れた頃、だったかしら?
 彼等にカフェを開いてはどうか、と提案された、という話も。

 だから、あなたもなんでも言ってね、と*]

ーー先代の記録ーー


「お、義兄、様……! 君から、お義兄様………!
 いい響きだね! 義弟よ!」


[目に涙を湛え、呼吸困難になりそうなほど大笑いしている。
その冗談はツボに入るぐらいウケたらしい

可愛くて良い子? 半分僕が育てたようなもんだし、当然じゃない。]


「無・理♡」



[滅茶苦茶いい笑顔でさらっと何でもないように答えた。
これを本気と捉えるか、いつもの悪ふざけと捉えるかはおまかせモード。
言わずともやってくれるだろうとは思ってるけど、念の為。
肩の力を抜く的な意味では小満の君しんゆうがやってくれるだろうけど、
真面目なところは君に任せた方が円滑に進みそうだから。
兎も角、僕は言いたいことは伝えたからね!
]
 



 …………? どうかした?


[芝居がかったようにも思えるそれが中途半端に止まったのなら、何か変なものでもあったのだろうかと辺りをキョロキョロ。
兄が固まったせいだとは気付いていない

それが素の行動だからこそ、更に拍車をかけたわけだ。
後日、飲みながら気付いた紫明に

「小さい頃なんか
 僕と同じ灯りの器にしたいって言ってたのにいいい!
 なのに何で……何で……!!」

腹癒せに中央にダーツバーを設置するよう計画書書いてやるうううう!!
等とガチ泣きして絡んだわけだ。
中央に遊技場ができたかは、さて。


頼れる相手は他にもいたでしょうけれど、真っ先に思い浮かんだのは貴方だったものだから。
初の灯守りの仕事の時は、真っ先に彼の元へと飛んでいった。
無事完了したのなら、お礼とお詫びを兼ねて統治域内の酒でも持っていったかしら。]
 

 
[兄が出ていってからしばらくしてだったか。
彼が訪ねて来たときに、溜まっていた鬱憤を全て吐き出した
彼はただ、静かに聞いてくれていた。
傍にいてくれた、それだけで充分だった。
気休めでも、心遣いはありがたかった。
言いたいことを全て吐き、泣き疲れてぐったりしたころに。]


 ……付き合わせてごめんなさい。
 でも、もう大丈夫。落ち着いたわ。


[一人になりたかった。
これ以上、彼の時間を奪いたくなかった。

かけられた言葉を聞きながら、見送ったの。]
 

 
[そんなお世話になった人だから、葵のことを任せられたなら頷く以外の選択肢はなかった
祝福の言葉を掛けようとしてーー声にならなかった。

兄に比べれば挨拶の時間があるだけ、まだマシだと思うけど。
それでも
置いていかれることには変わりなくて。
]


 わかった。葵のことは任せて頂戴。
 私も楽しかったわ。


[彼の言い分はわかるもの。
新しい風を入れるなら、古いものは去らなければ。
古いものが残ったままでは、入れ替えても変わらない。
だから引き止めたりしない。
隠れた理由の存在には気付かないまま。


でも、もう少し早く言ってくれても良かったと思うの。
そうすれば、ゆっくり時間をかけて心の準備ができたのに。
……ねえ。]