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【人】 軍医 ルーク[ 自分は、そのような表情を向けられる資格がある人間じゃない。 そのことは向こうだって、分かっているはずなのに。 父の死を切欠に、機獣の謎を解き明かしたいと望み、 この研究所に配属になった。 業績を重ね、医者としての腕にある程度の信を 置かれるようになった頃。 一つの任務が与えられた。 “機獣とともに回収された、 天の穴の『向こう』からやって来た子供を、 すべての情報を引きだすまでは 心身共に、情報収集に差し支えない 最低限の状態に保つこと。” ] * (154) 2020/05/22(Fri) 23:07:43 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a19) 2020/05/22(Fri) 23:11:27 |
【人】 軍医 ルーク ―― 回想:第二研究所 ――[ 天の穴の向こうから来た人間。 それが意味するところは、一つだった。 機獣はただの災厄ではない、 送り込んでくる者たちがいるということだ。 あれが生物ではなく機械の一種であることを考えれば、 それは当然とも言えたのだけれど、 この世界の“上”にもう一つの世界があって、 そこに住まう者たちが自分たちを滅ぼそうとしていることは、 頭の中の世界がひっくり返るような衝撃ではあった。 ――天の向こうには、世界がある。 父の話を思い出す。 その父は、現れた機獣に襲われて死んだ。 彼女は、仇と呼ばれる存在であったのかもしれない。 けれど、日々身体を切り刻まれ、 その小さな体に傷を増やしていく子供を そのような目だけで見ることは、 どうしたって出来そうもなかった。] (176) 2020/05/23(Sat) 10:30:49 |
【人】 軍医 ルーク[ 捕虜から情報を引き出そうとするのは当然のこと、 増して自分たちが滅ぼされようとしている瀬戸際だ。 そう思おうとしても、どうしても見過ごすことが出来なくて、 せめてやり方を変えることは出来ないのかと訴えた。 諭すように、けれども苛立ちを隠さず、上司はこう言った。 “人道主義も結構だが、付き合っていられる状況ではない。 彼女から引き出される情報は、確実に我々の有利となる。 君の自己満足に付き合って、 手の内にあるそれをみすみす逃し、 何百何千という人が死ぬことになってもいいという、 それだけの覚悟で言っているのか? 君は汚れ役は周りに任せて、 感謝される役回りを与えられた。 その上で綺麗事を重ねるのは、 虫が良すぎるというものだ。 おままごとも程々にしておきなさい” どれ程食い下がっても、出来ることが何もなかった。] (177) 2020/05/23(Sat) 10:31:46 |
【人】 軍医 ルーク[ なかったのだろうか? ほんとうに? もし本気で状況を変えようと、 死に物狂いで戦ったなら、 結末は変わっていたのではないだろうか。 それをせずに、状況に流されるままに甘んじて。 恨まれて当然だった。 自分も、彼女を傷つける者たちと変わらないというのに、 その子供は、恨む素振りを見せなかった。 ――少なくとも、表立っては。 時折こっそりと持ち込む菓子を、嬉しそうに頬張る。 食べることが大好きで、 美味しいものを食べると何より幸せそうにする、 そんな子供だった。] (178) 2020/05/23(Sat) 10:34:13 |
【人】 軍医 ルーク お願いがあるの。 [ ある晩、彼女はそう言った。 取り替えていた包帯の下の、治りかけの腕の傷は、 治ろうとする端から再び抉られ、開かれて、 無残に化膿しかけている。 目を逸らしてはいけないと、震える指先を押さえつける。 ――自分が抉っていると変わらない、そのような傷だ。] お願い、何? [ 心臓がどきりと跳ねた。 自分に出来ることは多くない。 彼女が望んでいるであろう、此処から逃げ出すことも、 天の向こうにいるという、 “おとうさんとおかあさん”のところに帰ることも、 叶えることは、許されない。] (179) 2020/05/23(Sat) 10:35:31 |
【人】 軍医 ルーク 『おとうさんとおかあさんと、お話がしたい。 わたしを、機獣のところに連れて行って。 話をするための機械があるの』 [ 心臓が早鐘のように打つ。 それは、どうしたって、無理な相談だった。 彼女が機獣と共に降りてきた存在である以上、 接触させることなど許されるはずもない。 それがばらばらに分解された残骸であっても、だ。 “天の向こう”と連絡を取るなど、 ことによっては致命的な事態だ。 それは駄目だ、と首を横に振る自分に、彼女は言った。] 『わたしが何かおかしなことをしようとしたら、 その銃で撃ち殺してしまって構わない。 お願い、ひとことだけでいい。 わたしから話すだけでもいいから、 死ぬ前に一度だけでも、話がしたい』 [ 彼女の視線は、服の下、 支給品の銃が隠れているその場所に定められていて、 ああ、彼女は知っていたのかと、そう悟る。 両親と、ひとことだけでも話がしたい。 その望みが、杭のように胸に刺さる。] (180) 2020/05/23(Sat) 10:36:47 |
【人】 軍医 ルーク [ ――… ] [ 機獣の残骸が保管されている一画は、 研究所の北側に増設された巨大な格納庫。 人気もなく、見張りも少ない 此処は軍事基地ではなく研究所だ。 機密性は極めて高いが、 内側から忍び込むことは不可能ではなかった。 直ぐに頷いたわけではない。 けれど、“両親とひとことだけでも話したい”と、 必死に、残りの命を振り絞るようにして訴える子供から 最後まで目を背けることが、 どうしても、出来なかったのだ。 伽藍とした、天井の高い格納庫に、 整然と並べられた機獣の残骸は、 生き物の骨のような、亡骸のような、 酷く奇妙に捻じれた死を感じさせる光景だった。 腕であったもの、脚であったもの、胴であったもの。 並べられた残骸を見渡し、 子供はその中の一つ、“箱”に駆け寄る。 自分も、周囲を警戒しながらその後に続いた。 もし彼女が機獣に何かする素振りを見せたら、 通信でおかしなことを一言でも話そうものなら、 そのときは――引き金を、引かなければいけない。] (181) 2020/05/23(Sat) 10:38:06 |
【人】 軍医 ルークそれが、通信機? [ 彼女は頷き、箱に手を当てて何かの操作をする。 外殻らしき金属の箱の表面の小さな蓋を開ければ、 黒く滑らかな板が顔を覗かせる。 それに彼女が指をあてれば、箱が開き、 中からさらに小さな機械が現れた。 彼女の指先が、ボタンを操作する。 ピッと耳慣れない甲高い音が響き、青い光が点灯した。 ―― そのときのこと、 視界の片隅で、何かがきらりと光った。 全身が泡立つ。 背中にぞくりと走ったそれは、本能的な警戒。 考えるよりも先に身体が動き、 咄嗟に、彼女を引き戻して横に飛ぶ。、 それまで彼女がいた場所を僅かに逸らし、 床にぴしりと、何かが突き立つ固い音がした。] (182) 2020/05/23(Sat) 10:39:23 |
【人】 軍医 ルーク[ 目の前が真っ白になる。 格納庫に明かりが灯り、 暗闇にいた目が明るさに慣れずにいるうちに、 格納庫の扉が開き、なだれ込んできた兵士たちが、 見る間に自分たちを取り囲んだ。 銃口が突きつけられる。 彼女に、そして自分に。] 『泳がせておいて正解だった。 案内ご苦労、 “良い警官と悪い警官”というのは、 古臭い手だが悪くない、 君はいい仕事をしてくれた』 [ 上司はそう言って、青い光を放つ通信機に指を伸ばした。]* (183) 2020/05/23(Sat) 10:40:03 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a22) 2020/05/23(Sat) 10:41:04 |
【人】 軍医 ルーク[ それは、医務室に現れないうさぎに、 やっぱり苦いものも飲ませてやろうか――なんて、 ぺんぎんに話をしていた、すこし後のこと。 勤務時間が変わり、明け方に見張り台に向かうことは 難しくなっていた。 今はもう、あの場所に向かう目的は、 大穴の観察だけではなくなっていた。 あのタブレットには、今日も日記が記されているだろうか。 前回自分が記したことにどのようなことを思われたか、 ざわつきのようなものはある。 それは――おそらくは、“不安”。 けれど、そのようなものよりも。 日記の内容と、自分に向けて記してくれた言葉たちを 思い出すたびに、 心臓が鷲掴みにされたような痛みを感じる。 “心配” ――そう、それと似たもの。 そして、望み。 胸を刺すようなそれは、 そうだ、もしかしたら――“切望”。] この心は、なんだろう。 わたしは、何を“思って”いるのだろう? 痛みと願いが同じ場所にある。 手を伸ばしたいと。 その手は、何を望んでいるのか。] (190) 2020/05/23(Sat) 12:07:58 |
【人】 軍医 ルーク[ 明け方でも夜でもない、夕食時の時間帯。 空き時間を漸く見つけ、外壁に向かう。 いつもよりは人の目も多いだろう。 見つからないようにと注意を払いながら、 人の気配がなくなった隙に、いつもの机へと歩み寄り、 タブレットを取り出す。 ノートには、また新しいページが増えていた。 いつもと同じ出だし、日記が書かれた日の日付。 最初の一文を読んだとき、 タブレットを持つ手が、震えた。 音が遠ざかる。 まだ静まり返ってはいない基地の、ざわめきの音、 足元にいるぺんぎんの、心配そうに小さく立てる鳴き声。 すべての音が遠ざかり、目の前が暗くなるようだった。] ……、 いやだ [ 声が震える。 それでも、続きを読む。 書かれているすべてを、目に焼き付けるように。 その先を読むことで、一文ごとに突きつけられる真実から、 もう、目を逸らすことは出来なくなっていたとしても。] (191) 2020/05/23(Sat) 12:09:58 |
【人】 軍医 ルーク[ 前回の日記で既に、自分は気付きかけていたのだと思う。 目の前にある真実の前に立ち竦んで、 扉に指をかけることが、ひどく恐ろしくて。 日記の主の見ている景色を、 いつものように、想像しようとする。 足元に空いた穴に落ちてゆくような 自身の今の感覚と、 ひどく、同期するような光景ではあった。 そこには、書いてある。 もう、気づかなかったことには出来ないほどに、はっきりと。] (192) 2020/05/23(Sat) 12:10:41 |
【人】 軍医 ルーク[ 日記が終わる。 自分に当てた返事の前に、ひどく長い空白があった。 まるで、記したばかりの日記を、 続きを書いている自身の目から 遠ざけようとでもするかのように。 息が出来ない。 目も、耳も、手も、もう自分の物ではない脚も、 そのすべてが言うことを聞かずに、 ばらばらになってしまったようで。 最後まで読みとおし、俯く。] ……、 氷菓子食べ放題、か、 ほんと、莫迦…… [ それは、もう何処にもない、 過去の世界が残した刻の名残。 綿のように降り積もる、白いちいさな氷の欠片。 いまはもう、ひとが住むことすら出来なくなってしまった、 此処ではない、どこかの世界。 氷菓子の話を書いていたそのひとは、 書きながら、ほんとうは、何を思っていたのだろう。] (194) 2020/05/23(Sat) 12:12:27 |
【人】 軍医 ルーク[ 呼吸を忘れかけた喉の奥が、 ひゅう、と泣くような音を立てる。 そのひとは、手を伸ばし、写真を掴もうとした。 その写真は自分の記憶の中で、 父が最期まで身に着けていた、あの写真になる。 在りし日の母と幼い頃の自分が写された、 一枚の写真。>>0:60 父が発掘した、タブレットより遥かに単純な造りの写真機が、 写しだしたもの。 そうだ、もし自分の想像が合っているとするのなら、 この日記の主は。 死んだ残骸の降り積もる、伽藍洞の身体。 そのすべてが、叫んでいる。 体中が内側から切り刻まれるような痛みに、 溢れ出すような奔流に、 その正体も分からぬままに、指が画面に触れる。] (195) 2020/05/23(Sat) 12:14:22 |
【人】 軍医 ルーク[ そこまで書いたときのこと、] 『誰だ!?』 [ 人の気配に、はっと顔を上げる。 そこにいたのは見張りの兵士だ。 書くのに夢中になっていて、 戻ってきているのに気づかなかった。 兵士はこちらが誰か気付いたようで、 げえっと嫌そうな顔をしたが、 ここで何をしていたのかと尋ねてくる。] ……大穴の調査。 わたしは、研究班の所属でもあるから。 定期的に観測してる。 [ 嘘はついていないが、すべてを話してもいない。 観測は自分の担当ではない。 ただ、研究班の所属であることと、 穴の調査のために赴いていたことも嘘ではない。 手続きをとっているわけではないから、 詳しく調べられたら咎められることもあるかもしれないが。] (196) 2020/05/23(Sat) 12:19:46 |
【人】 軍医 ルーク[ 兵士はまだどこか納得がいかないという顔をしていたが、 調査が済んだならさっさと戻るようにと言い渡し、 手の中のタブレットに視線を向けてきた。 赤い袋に仕舞い、咄嗟に懐に入れる。 観測に使用していると思ったことだろう。 だとしたら、私物があれこれと入っている引き出しに 入れて戻るのは不自然すぎる。 見張り台を離れ、階段を下りる。 ぱたぱたとついてくるぺんぎんの足音。 分かれ道で立ち止まり、兵舎へと視線を向けた。] (197) 2020/05/23(Sat) 12:20:35 |
【人】 軍医 ルーク[ 伝えなければいけないことがある。 最後まで書けなかった日記の続き。 踵を返し、一度は医務室へと足を向ける。 戸棚の中の『お返し』、 ひっそりと鍵をかけて仕舞っておいたもの。 それを取り出しに。 自分に出来る限りの早足で医務室へと向かい、扉を開けて] 『遅かったな』 [ 犬耳のその兵士が、そこに待ち受けていた。] へえ、わたしを待ってたんだ。 それは実に物好きなことだなあ。 [ そんな風にへらりと笑ってみせながら、 懐から取り出した赤い袋を、ぺんぎんに渡す。 これから何があっても、壊されることがないように、 どこか安全な場所に置いて、と。 だから、医務室を訪れた者は、 気づくことも出来るだろう。 ぺんぎんが咄嗟に戸棚に置いた、 赤い袋の中のタブレットの存在に。]* (198) 2020/05/23(Sat) 12:23:52 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a23) 2020/05/23(Sat) 12:28:42 |
【人】 軍医 ルーク[ 軍医なのに名前で呼ぶのはおかしいと、>>200 その言葉に、改めて思い知らされるのは、 日頃の『検査』での彼の扱いで。 何もできずにいた自分自身を、 どうしようもなく知らしめられる。 口にしたその名前は、願いのようでもあったと思う。 あの日記を読んでしまって、 いくつものことに気付いてしまった自分が、 いま、何よりも恐れていること。 そして、何よりも――望んでいること。 ここに居るのは僕だと、 そう告げてくれたのはきっと、 自分を害した人間ではなくここにいるのは彼だと、 そう知らせてくれる言葉だったのだろうけれど。 自分には、別の意味に聞こえた。 打たれ、切られた傷口よりも遥かに痛く、 今も透明な血を流し続ける胸の奥の空洞に、 そっと手を当ててくれているような。 ――… 君は、君のまま、ここに居るのだと。] (219) 2020/05/23(Sat) 20:55:21 |
【人】 軍医 ルーク[ 間近に見たその赤い瞳は、変わらず彼のものだった。 けれど、痛みに歪む視界がふっと像を結べば、 否応なく、異変に気付く。 数日前、通信機を探しに外出した時とは違う。 まるで何日も寝ていないような、目の下の酷い隈。 顔色も悪く、疲労の色を隠せずにいる。 あの日記の、最初の一文を思い出す。 起こりつつある何かが、どうしようもなく心臓を揺さぶり、 全身の血が凍り付きそうな“恐怖”を感じる。 殴られたときの方が遥かにましと思えるほどに。 声を出そうとしても、出なかった。 “痛み”に身体を抑えながら、蹲る。] (220) 2020/05/23(Sat) 20:56:03 |
【人】 軍医 ルーク[ 身体が床を離れる。 抱え上げ、運ばれているようだった。 背に当たる義手の感触は、固い金属のもので、 検査の折に、あるいは戦闘の後に担ぎ込まれてきた時に、 幾度となく見たことがあるものだった。 ――… 金属の片腕を持つ彼と、金属の脚を持つ自分。 お揃いのようだと思った言葉は、 そのまま口にせず、飲み込んだ。 この両脚は、彼の片腕とは違う。 その腕がどういうものであったかが、 いまのわたしには、朧げに分かる。 けれど、彼がその腕を、 この基地の者たちを“まもる”ために、 身を削りながら使ってきたことを知っている。 わたしのこれは、罪の証。 何一つ出来ずに、目の前の命を死なせた。 寝台に寝かされれば、柔らかな布の感触が身体を包み、 呼吸がいくらか楽になる。 無意識のうちに体に巻き付いていた尻尾に、 優しい手の感触が触れた。 その手に触れられているうちに、 少しずつ、身体のこわばりがほどけてゆく。 やがて、ふにゃりと力を抜いた白い尻尾は、 抵抗せずにそっと脚の後ろに横たわる。] (221) 2020/05/23(Sat) 20:57:53 |
【人】 軍医 ルーク[ 治療の際に身体を見られることに、抵抗はない。 こくりと小さく頷き、目を閉じる。 診る前に相手を安心させる術というなら、 患者の目の前に出る度に叫ばれる自分はどうなるという話だ。 大人しくそのままじっと待っていたのだが。] ……。 [ なんだろう。 何か、様子がおかしいような。 てっきり打たれた腹の辺りを見られるのかと思っていたら、 喉の辺りに触れられて、身体がぴくりと跳ねた。 それから、胸元。 重そうに首を傾げ、じー、と見上げてみる。 見上げた赤いうさぎは、 それはもう見事に赤くなっていた。] (222) 2020/05/23(Sat) 20:58:38 |
【人】 軍医 ルーク[ 何やら慌てはじめた彼の下に、ぺんぎんがやってくる。 背伸びしてガーゼや消毒薬を差し出して、 勢いよく褒めて撫でてもらえば、 おてつだいできた、えらーい! と 両手を挙げてくるくるはしゃぐ。 必要なものを持ってこられたことを褒められたのだと、 全く疑っていない顔だ。 それからも、 ボタンを嵌めようとしてもなかなか嵌らなかったり、 (本人は気付かなかったようだが、結局一つずれていた) 頬の消毒液がだばー、と枕の方に落ちて行ったり、 中々に、中々のことになっている。 手当てが終わると、ふらふらと立ち上がり、 医務室の隅っこで丸くなってしまった。 ……後ろを向くと尻尾が見えるなあ、と思った。] (223) 2020/05/23(Sat) 21:01:06 |
【人】 軍医 ルーク[ 彼が何に動揺しているか、この頃にはさすがに気付いている。 間違えられることは二度三度ではないから、 なんかもう面倒くさくなって、 一々訂正することもやめてしまっていたのだが、 やはり勘違いされていたか。 先ほど触れられた胸元に、自分の手を当ててみる。 我ながら自己主張というものが感じられない手触りだった。 もう一度医務室の隅に視線を向けると、 赤くふわふわした塊が、ぷるぷると震えている。 それを見ていると、久しぶりにこう、 擽られるものがあるというか。] 手当をしてくれて、ありがとう。 ところでさ、 [ 休めたのが良かったのだろう。 先ほどよりは幾分しっかりした声で、 その後姿に声を投げかける。] (224) 2020/05/23(Sat) 21:02:11 |
【人】 軍医 ルークそうか、合わせる顔がないのかあ。 なら尚更、顔を見せてもらわないと? ああ、そうだね、それじゃあ、 その耳、触らせてもらおうかな? それでお相子。 [ もし彼が振り返ったなら、 寝台に横向きに横たわり、両手を差し出し、 擽るように指を動かしている様子が見えるだろう。 いつぞやの結ぶ結ばないの話を覚えているかは、 さあ、どうだろう? なお、声に出すときに“きみ”と呼び続けていた自分が、 内心では、うさぎ、と思っていたのは、 その赤い髪から覗く、感情豊かな耳を、 つい目で追いかけてしまっていたから。 もし動かずにいるなら、 此方から這い寄ってやるくらいの心算だった。] (227) 2020/05/23(Sat) 21:05:03 |
【人】 軍医 ルーク[ 彼のいる場所のすぐ近くにあのタブレットがあるのに、 気付く余裕もないようだった。 こんなやり取りは、 向こうはそれどころではないかもしれないけれど―― 暫く前までの自分たちを、思い出させるものでもあった。 それは懐かしいようで、 けれど、沢山のことを知ってしまった自分は、 もう何も知らずにいたあの頃には戻れない。 戻りたいとも、思わない。 少しずつ、正解も分からずに、 暗闇で組み立ててきた硝子の破片のパズル。 出鱈目につながりながら、音を奏で始めたピアノ。 告げたいと思うことが、たくさんある。 渡したいと思うものも。] (228) 2020/05/23(Sat) 21:06:15 |
【人】 軍医 ルークああ、そうだ、 どうせならもう一つ頼んでもいいかな? そこの戸棚に鍵がかかってるんだ、 開けて、中を見て。 耳を触らせるのと、鍵を開けるの、 二つ合わせて、さっきのとお相子だ。 [ ぺんぎんが、ぱあっと表情を明るくする。 机の引き出しを開けて鍵をとってきて、どうぞ、と渡した。 その顔だけで、何があるか分かってしまいそうなものだが、 棚を空ければそこには、 瓶に入った薄桃色の苺シロップと、 砂糖漬けの苺で作った小さなジャムの瓶があるだろう。 ぺんぎんが調達してきたとうもろこしの茶の袋も。 確認したいことがあったという、 その話も気になっている。>>1:362 そして、自分も。 まだ気付かれずにいる棚のタブレットを、 それとなく視線で確かめた。 この先にあるものが、何であったとしても、 踏み出したいと、強く、願っている。]* (230) 2020/05/23(Sat) 21:11:21 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a25) 2020/05/23(Sat) 21:15:34 |
【人】 軍医 ルークふうん、そうか、 見た目では分からない… 君は目は良さそうなのに、 見た目では分からない。 [ わざとらしく念押ししてやって、 耳に触れたいという要求に、項垂れるのを見る。 結ばれるのを想像しているのか、 手でふにふにしている長い兎耳は、 やはりふわふわで表情豊かだった。 そして当人も、思い出せば、やはり表情豊かだった。 苦い薬を飲まされそうになってぷるぷるしていた様子だとか、 怪我をした自分をひどく心配してくれた顔とか、 先ほどの動揺して赤くなっていた様子だとか―― (余程びっくりしたのだろうか) ――… 最初は、感情がない機械のようだったと、 『命令を聞くだけの機械のようだと 夢を見ている僕が感じた、夢の中の僕が。』 そう、日記には確かに書いてあったのだ。 また、言い表すことが出来ない感覚が、 胸の内にぎり、と広がる。 自分が、そんな表情たちを、 こんなにも覚えていることに気付いた。] (299) 2020/05/24(Sun) 4:05:08 |
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