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人狼物語 三日月国


202 【ペアRP】踊る星影、夢現【R18/R18G】

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 もう手を離していいぞ。

[飛行が安定したところで声をかける。

風圧や冷たさを想像していたかもしれないが、思ったよりもそのどちらも穏やかで、ミツキにとっては電車に軽く揺れているぐらいの感覚だっただろうか。それがより異世界だと思えたかもしれない。
実際、そういう空中においての守りがこの飛行機には備わっているのがこの世界の文明だ。と小難しい説明は退けて、ミツキに聞かれたら簡単に応えただろう。]

 じゃ、このまましばらく飛行して一旦浮遊都市があるからそこに立ち寄る。一人旅分しか物資もなかったし、色々補給しないといけないからな。
 目的地はその次の島だ。

[空から見える大地は霧のようなものに覆われており不気味に見えただろう。反面空は清々しい群青色を背景にしており、小さな岩場が浮いていたり、自分たちが止まっていたような小さい島もいくつか見えたかもしれない。そんな光景を楽しんだりしていただろうか。その間は邪魔せずにいつつ、一段落したところで声をかける。]

 そういや聞いていいか?

 最初あったときに俺をみて、生き別れの兄。とかいってたが、俺にそっくりなやつでもそっちにいるのか?

[少し気になっていたことを聞く。いるならばどんなやつ?と聞くのは単に気になったからであり、飛行中の世間話でもあった**]


 一応言っとくけど、昨夜の時点でもオレは柚樹のこと、女子として意識はしてたよ……?

 じゃなきゃあんな、ベッド離したりしないし。

[半年前のオレが柚樹に恋情がなかったと思ってたなら違うよ、とは言っておかないとな、と思って。

うっかり見てしまった胸や下着も、まるで気にしてないみたいだったから。

いや、女だと知られたことの方に意識が行ってたのはわかるんだが。]

 あれもあの時点のオレには、刺激が強くはあったので……。
 
[告白もしてない状態で手を出したりはしない(できない)のはあるとはいえ、何かあったら困るわけで。

いや、あの場合オレはオレだからいいのかな。
でも経験の記憶がない状態では、またもたつくかもしれないし、それはちょっとカッコ悪いから。

柚樹の心情を思えば、そんな状況でもなかったのはわかってるんだけど。]


でも、こうしてちゃんと触れるようになってよかったな。

[指を絡めて握ると、身を乗り出して軽く口付けた。

丸一日くらい一緒にいて、キスのひとつもしなかったことなんてそうそうなかったから、随分久しぶりに感じられた。]**


[共に死ねた日こそ、最も満たされる瞬間であろう、とも]
 

  大丈夫……はい、大丈夫です。


[辛うじて答える。
 気分が悪い。

 今のは、やはり“そう”だろうか? こんなに短時間で波がひくことは、今まではなかったはずだが。楓が同類であることが理由だろうか。

 ついさっきそれでも構わないと思ったはずなのに、実際に起こると暗澹たる気分になる。
 それは、椿に生きていてほしい、と言った楓にわざわざ殺させたくないのだ、と気がつく。

 ならば自害すべきだろうか。
 それにも、頭の奥でNOが響く。

『ヒトでないものが生きようとして、何が悪い』

 楓の言葉が繰り返される。
 そう、そうだ。どこかでずっと、そう思っていなかったか。
 認められなかった。それを認めてしまえば、あの人が悲しむ。同時に、やはり彼こそが椿を最も拒絶していたのだと知ることになる。あれほど愛してくれたというのに。]


 う……。
 意識されてたのは、……うん、わかってはいた、けど。

[寝室の隅に座り込んで。顔を覆って。ベッドは左右に思い切り、離されて。

でも、意識するしないとは別のところで、"私の身体に興奮するのなんて、私の武藤しかいないのだし"くらいのことは、思ってしまっていた。

女と知ってしまったショックとかはあれど、興奮材料になんてならないでしょう?みたいな感じ……だったのかな。

男として振る舞おうとし続けていて、そのあたりの回路の電源がぜんぶ、落ちていた────みたいな。

再び武藤の手が伸びてきて、今度は指ごと絡められ。
寄せられる唇に、こちらから首を伸ばす風なことが、なんだか、まだ出来なくて。

おずおずと少しだけ顔を傾けたところに、唇がごく軽く触れあった。]
 


 ………………っ。

[なんだろ、なん、か。

無視していた感覚が、一気に押し寄せてきた、みたいな。
ぶわりと顔が、熱くなる。きっと今の私、耳まで真っ赤だ。

キスなんて、"今の私たち"には挨拶みたいなもので、こんなことに顔を赤らめるとか、もう、全然、大丈夫なはずなのに。]

 …………うう……。

[にげても、いいですか?みたいな感じに指を引っ張ったら、あっさり繋がった指は解かれるんだろうか。そうはならない気しかしないよ。*]
 

[立ち上がった直後、楓は彼女の頭に手を伸ばして、ぽんと軽く触れた。
 何か声をかけようかとも思ったのだが、言葉は出て来なかった。

 何をしようとしたにしろ、望まないことをやりかけたのだろう。
 彼女の表情を見ていれば、簡単に推測できることだった。

 けれど負傷もせず未遂に終わった以上、咎める気は起きなかったのだ。
 それが今の仕草だけで通じるものかはわからなかったが。

 伝わらないからといって楓が気に病むことこそないだろうけれど、伝わったなら安堵するだろう]**

[楓の手が、椿の頭に触れる。
 振り返り、彼の表情を窺う。
 目を伏せて、また歩き出す。

 すぐそばに見えているはずの扉がやけに遠く感じられる。]


 ……そういうとこ、警戒心……って心配になる、ていうかなってた。

[男として振る舞うのが久しぶりすぎたせいもあるのはわかるんだけどね。

昨晩からずっと触りたかったし、キスもしたかったよ。

半年前に戻ってた感覚のおかげで何もせずには済んだだけで。]

 ……柚樹、かわいい。

[赤くなった顔を覗き込めば、キスひとつで照れているのがなんだか懐かしい気がして目を細める。

軽く口付けた先、絡めた指が離れていきそうになるのを引き留めて手を握り直せば、鼻先に唇を落として。

再び唇を重ねると舌で唇をなぞって、隙間に舌を差し入れる。
舌を絡めると、さっきまで飲んでいた紅茶の味が微かに感じられた。]


 っは……、抱きしめてもいい?

[吐息に熱いものが混じると、テーブルを挟んだ距離が遠いなとはどうしても思ってしまって、絡めた指先で手の甲を撫でながら問いかけた。

したいこともいろいろあるんだけど、今は柚樹に触れたいなと思ってしまった。]*


 …………っ……。

 ………………ふ……、む、と……。

[ちょっと待って、という風に引いた手はむしろ引き返されて、また顔が寄ってきて。

深く合わせた唇も、忍び込む舌も、全部、全然、覚えがあるものばかりなのに、なんだかひどく久しぶりのことのようで戸惑ってしまうし、薄く開いた瞳が困った風に彷徨ってしまう。

武藤のこと、昨日今日とずっと、雄だと思わないようにしてた。
自分が雌であることも、否定してた。

触れる指の熱さや、少しだけ強引な挙動、常より低い声で囁かれる"かわいい"に、見ないようにしていたことが、全部、引きずり出されていくような気がして。]
 

 
 …………、……うん。

["抱きしめてもいい?"の言葉 に、抗えるはずもなく。

え、と、どうしよう……ともたもたと立ち上がってる間、武藤の側が数段早く、近づいてきていたと思う。

性急に椅子が動く、ガタリという音も、どこか現実から遠く感じるまま、私は武藤に抱き締められていた。

同じ背丈だから、胸元に顔を埋めるとかはできなくて。
武藤の耳下に自分のこめかみを擦り付けるようにしてしまうのは、馴染んだ仕草。

すん、と鼻を鳴らすように呼吸すれば、見知った武藤のにおいがして、ああ、私の武藤だ────って、今更ながらに実感した。]
 

 
 ────おかえり。

 おかえり、武藤。

[一度は告げた言葉だけれど、あの時はまだ気を張っていたから。

やっと気持ち全部で"おかえり"を口にすることができて、じわりと滲んだ涙は見せないよう、肩口に顔を擦り付けた。

逢いたかったよ。ずっと。*]
 

[踏み締める地面の感触が薄れていく。

 もう死ぬべきだ、と誰かが言う。
 否、殺すべきだ、と誰かが言う。
 人として生きろ、と誰かが言う。
 生きて何が悪い、と誰かが言う。]


  私は。

[抱きしめてもいいかの問いかけに肯定が返ると同時に席を立っていて。

どこか戸惑ったように歩み寄るのを迎えに行くように近づけば、背に腕を回して抱き寄せた。]

 ただいま、柚樹。
 ……好きだよ。

[肩口に擦り寄せられた頭を撫でて、顔のすぐ近くにきた首筋へと唇を押し当てる。

腕の中にある温もりを確かめながら背を辿った片手を上着の中に差し入れると、肌をそっと指先でなぞった。]

 …………、

[抱きしめた体の感触や匂いは全て覚えのあるもので、やけに懐かしく感じる。

背中のラインを確かめていた指を脇腹から前面へと滑らせれば、胸元の布地の上から手のひらで押し上げるように触れて。]


 触られたりしなくてよかった。
 ……全部、オレのだから。

[首筋へと押し当てていた唇を薄く開いて囁くと熱い吐息が漏れて、甘く肌を噛んだ。

胸元をまさぐっていた手で下着を上方へとずらそうと布地に下から親指をかけたところで手を止めた。

このまま流れに任せると止まれないことはよくよく知っているし、一回や二回で終わりにできないこともままあるから。]

 ごめん、つい……また後でね。

[服に突っ込んでいた腕を引き抜くと、頬へと口付けてから背に腕を回し直すと、緩く体を離した。]

[扉の把手に手をかける。
 そこで、ひとつ大きく溜息をついた。]

 私、どこへも行けないのですね
 だから、ここなのかもしれない

[もう普段の芝居がかった口調はやめていた。
 何でもいいから仮面を被っておきたくて現味のない芝居を続けてきたけれど、それはもう、どうでも良かった。]


 外に出ても何もなくて
 何も選ばないまま、居心地のいい部屋に座っているしかなくて。


[己の無力を恥じる。
 どれだけの間、そうしてただ生きてきたのか。
 このまま扉を開ければ、きっと死ぬまで同じ無為な日々が続く。そんな気がした。]


 ……っ、ぅ…………、

[首筋を辿る唇と、柔く立てられる歯の感触と。

ぞくりと背を駆け上がるのは疑いようもなく快感だったのだけれど、でも、胸に手がかかったところでひくりと身体が硬直してしまった。

  ────や、だ。それは、嫌だ。


浮かんだ思いに自分に自分で驚いて。

意識せず逃げるように身を捩りかけた寸前、"ごめん"の声 と共に武藤の手指も身体も離れていった。

なんだったのかな、今の感覚……と、内心首を傾げるも、武藤の告げた"バーベキュー"の単語1つが思考全部が奪われてしまうくらいには、私はバーベキューをしたかったみたいだ。]
 

[俯き、振り返ることもしないまま。

 人であることを諦めながら人であることに縋り続けた女は、人として生きるために人ではない道を選んだ男に、人のものではない言葉で問うた。]**

[ああ、たまらない。嗜虐心が沸き立っていく。
自分の指では彼が一番気持ちのいい場所には届かない。
そこの質量を求めて自然と動く彼の腰。それがねだるものの意味を自分は知っている。

なんていけないコなのだろう。
そう、年上の恋人に対して笑みを浮かべる。

彼の目の端に浮かぶ涙を唇で吸ってあげよう。
視覚効果に煽られている、かもしれない。
自分はこんなに我慢が利かない子だっただろうか。

この旅行は、自分の慾を満たすことより写真とか、理性を優先しようと思っていた。
でも自分の克己心に自信なんかなかったから、彼の負担が最低限になるようにできるだけ準備もしていたのだけれど]

 ―――すこしだけ


[例えば浮気でも最初はハグだけ。それから裸を見るだけ、とかそういう制限は先っぽだけ、入れるだけ。そういう風に際限がなくなっていくのを知っている。
別に自分と彼は恋人同士で浮気相手ではないのだけれど、彼に囁いたそれは自分がつけていた心のセーブを取り払うのと同じだっただろう。
彼の尻に擦り付けるようにして、熱をごまかしてた自分の屹立をすりすりと押し付ける。


入れるだけ。
中で出さないから。

そう言い訳しながらも、彼の媚びる声に応えるように、甘くほぐれている箇所に熱を押し込んでいった*]

[扉の向こうから、呟くような声が届く。
 飾らない口調が胸に響くのを感じ、扉を開けようとして手を伸ばしたとき──

 囁きが届いた]


  ……、…………


[何よりも答えづらい問いだった。

 だが、答えずにこの場を終えることはできない。

 そう思ってもすぐに言葉が紡ぎ出せず、伸ばした手は扉近くの壁に伸びた。
 縋るように壁に触れながら、ゆっくりと息を整える。

 そうしてどれだけ間を空けたのか……あるいは然程の時は流れていないのか。楓の主観においては相当な時間が経った後のこと]

[それが正しいと思う自分もいた。
 人間として生きていても、他の生命を犠牲にするのだから。人間でなくなった以上、犠牲にする生命が人間であっても構わないはず。
 それに、人間でなくなったとしたって生きる権利はあるはずなのだ。

 でなければおかしなことになる。

 人間として生きる間に生命の危機が訪れ、必死に抵抗した結果、危機は去り、彼は人狼となった。
 人狼となっては生きてならないのなら、危機に抵抗しなければよかったことになる。
 だが、それでは、人間であっても命を奪われかけたとき無抵抗に死ぬのが正しいことになってしまう。
 生きようとした選択が誤りになってしまう。

 おかしいではないか。
 人間でなくなったら生きてはいけないというなら、人間ならば生きていていいはず、生きようとすることが正しいはずなのに。

 どうしても納得ができない。
 それだって、大きな思いなのだけれど]

[《死ぬのが怖い》
 死を選ばない最大の理由として、楓の脳裏にどうしても浮かぶものがそれだった。

 死ぬのが怖いから自害はできない。
 かといって大切な人たちを殺したくない。

 それは彼らが共に生きたい人たちだからでもあるが──

 身近な場所で人を殺せば簡単に露見するから。
 そうしたら自分が殺されるから。
 死ぬのが、怖いから。

 だから自分の生活と無関係な遠くに住む人々を殺めて、自分の命を繋ぎながら理性を保つのは、実に『理に適ったこと』なのだ──楓の感覚では、の話だが]**


 …………?

[胸元に触れた瞬間、体が強張る感覚が伝わってきたのは気のせいだろうか。

最初の頃、他の部位より殊更に胸を見たり触れたりすることは気づいていたから、この半年くらいかけて漸くその辺りのコンプレックスはなくなりかけてたと思っていたのだが。

確かめるのは怖い気もして、聞くことはしないままに体を離した。

バーベキューの話をしたら一気に元気になったようにも見えたから、せっかくキャンプに来るという貴重な夢を見られてるわけだし、楽しいことを優先しようと頭を切り替えることにする。

幸い現実では春休みに入っていることだし、“また後で“がいつになるかはわからなくても、正月明け程待たされるわけもないのだから、あの時開いた期間に比べたら我慢はできる、はずなので。]

  死ぬのが、怖い……


[人の声で、繰り返す。それは思ってもみない答えだった。

 椿は扉を開け、楓の顔を見上げた。
 彼は椿の知らない顔をしていた。]

[初めて、彼と自分は似ている、と感じたかもしれない。

 同じような存在であることは知っていた。しかし、何かが決定的に違う、と感じていた。彼には失いたくないものがあり、自分にはない。それが自分の空虚を、彼の強さを示すものだと思っていた。

 彼は与えられる死を恐れ、己は死を与えることを恐れている。真逆のように見えて、その実、どちらも自分のあるべき世界から“弾かれる”ことを恐れているのかもしれない。]

 




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