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人狼物語 三日月国


47 【半再演RP】Give my regards to Jack-o'-Lantern【R18】

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視点:


【人】 魔王軍幹部 フォルクス



[ 記念式典当日の朝は静かで穏やかなように見えた。

 夜には厚い雲が覆っていた空はすっきりと晴れ
 顔を出した太陽がその色を黒から紫へ、紫から蒼へと変えてゆく。
 未だ踏み入れられていない部分の多い白銀を輝かせる。

 眠っていた間に随分と天候が荒れていたことが、
 様変わりした景色から見て取れるものの
 吹雪など控えめに土を濡らす雨の如く他愛なく、心にも留まらない。
 魔族にとってはそれが常識だった。 ]
(11) 2020/10/25(Sun) 1:20:27

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



[ ……青空よりは、水に張った薄氷のほうが近い気がする。
 視線の先にはそうした色をしたマントの後ろ姿。

 幼少の頃、抱き上げて初めて外へ連れ出した時は
 そのまだ少女にも見えた愛らしい顔を好奇心で輝かせ、
 あちこちを眺めては腕の中で暴れていた。
 自分が吐く白い息を煙と勘違いし、
 危うく口から後頭部まで魔法の水流で貫通されかけたりもした。

 今やほんの少しこちらには届かないものの、すらりとした長身であり
 自らの足で雪を踏み締め、前を歩く。

 そんな我らが王が気にしているのは、昨夜の雪ではない。
 朝から自分が困っている理由も、それとは違う。 ]
(12) 2020/10/25(Sun) 1:20:41

【人】 魔王軍幹部 フォルクス




[ あれは部下に長年調べさせている情報だ。
 久しぶりに手に入った成果だというのに。

 落とした場所は地下と見て間違いないだろう。
 つい頭から抜けてしまうだけの理由も、その時あった。

 取りに行く時間がこの大切な日にあるわけがなかったが、
 オルフェウスは潔癖で神経質だ。研究施設には常に塵一つ無い。
 既に見つけている筈だ。見られてもいい、陛下ではなければ。

 そう思いながらも何度も頭に浮かび、失態を悔いてしまう。
 辿り着くまでには忘れてしまわなければならない。 ]
(13) 2020/10/25(Sun) 1:21:00

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



はい。
これ程の規模であったことが、原因の解明に難航した理由でしょう。

[ 答えながらこの事件について思い起こす。
 傍らへ近づき、共に焼け跡を眺める。

 魔族及び魔物は、聖魔法が扱えない。
 人類のそれを遥かに超えた自己治癒能力が代わりとは言えるが、
 境界の森の人類側に生息し、被害にあったのは
 氷雪を避け在るべき場所から外れねばならなかった
 比較的穏やかで弱い種の魔物。

 いかなる時代いかなる場所、どのような種族であれど
 一番に苦しみを被るのは弱者であった。

 エルフ族と共に治療に励んでいるであろう、
 迫害により人里を遠く離れなければならなかった魔女も
 或いはその一人と、言うべきかもしれない。 ]
(15) 2020/10/25(Sun) 1:22:17

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



……行きましょうか

[ 背後から声が掛かる。あまり時間を取ることは出来ない。
 振り返った先には魔馬が繋がれた数台の馬車がある。

 一つは陛下と自分が乗り込み、
 残りはそれぞれに幹部一名と幾人かの部下が乗る護衛用だ。
 人類の中、唯一の異種族王として式典へ足を運ぶ御方につけるには
 随分頼りない人数であるが、色々ままならないのだ。

 以前の医術会議の警備に、良かれとして人狼族を付けた時も
 理由は分かるとはいえ散々に各国から難癖をつけられる結果となった。
 我々は相変わらず、人類の脅威であった。 ]

あちらの王が、国で陛下をお待ちかねです。

[ さて、本日の予定はこうなる。
 魔王城で馬車に乗り、境界地点を通って人類の領域へ
 最も近い森の国より、転移魔法の装置を使用する。
 別に歓迎されているわけではないが、あちらとしても仕方ない。
 当国の王もその手段を使わねば何日も前に発たねばならぬのだから。 ]
(16) 2020/10/25(Sun) 1:23:50

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



[ 魔法により人魔の領域を繋ぐ移動手段は
 終戦から50年後に両種族の合意を経て設置されたものの、
 未だ人類へ恨みを抱き、摂関政治による方針に従わない下位魔族が
 足取りを追われずに攻め込む手段として活用してしまった為
 その後すぐに廃止され、現在まで徹底して禁止されている。

 故に我々は、かつて世界の最果てと呼ばれた魔王領より
 同じくあの時代世界の中心であった都へと、
 手間の掛かるやり方で間に合うように向かわねばならない。
 一番近いのは森の国、それは距離ではなく消去法の話だ。
 一体誰があの頃魔王領の側になど国を作るだろうか。
 
 数日前より城を出てしまえば、一見問題は無いように思えるが
 陛下を人類の元で眠らせることに積極的な者はいない。

 これが最善策だった。
 先代王に愛されていた八本脚の魔馬スレイプニルらは、
 軍馬としても使われた俊足であるのが、幸いである。 ]
(17) 2020/10/25(Sun) 1:24:10

【人】 魔王軍幹部 フォルクス





[ 魔馬は夜明けの刻を駆ける。

 焼け焦げの無く生い茂る緑が、やがて再び森へ変わる頃には
 目的の国が見えるだろう。太陽は、頂点に座す為巡り昇るだろう。

 式典が行われるのは、かつて聖都と呼ばれた都。
 決して忘れ得ぬ始まりの場所。** ]
(18) 2020/10/25(Sun) 1:24:29

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



[ 400年目の記念式典、聞こえでは長く続いているように響くだろう。

 しかしこの地はかつて、魔王が討たれた後に激しい戦いが行われ、
 明らかになった真実により、再興の声すら十年以上出ることはなく
 ヤドリギ諸共永遠に封印されるかと思われていた。

 聖都が忌まれたからだけでなく、世界が変革を迎えていたことも要因。
 新しい形で都が動き出してからも、
 条約の取り決めや対談ではなく祝の為に各国のトップを集める場は、
 中々に実現が難しかったらしく、ごく近代から始まった試みだ。

 現在も開催は毎年ではなく、世界情勢により中止になることもある。
 更に魔族の出席が許されるまでには時間がかかった。

 硝子の破片を怪我をせぬように拾い上げ、形を整え繋ぎ合わせる。
 人類が現在している苦労は、そういったものかもしれない。

 教会がしていたことはただの悪と断じられるものではない。
 その威名が崩れ落ちたことによる不利益も、確かにあった。 ]
(51) 2020/10/26(Mon) 23:30:35

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



[ 人類の王侯貴族達と並び、用意された席に腰を下ろしている姿を
 距離の離れた場所から他の幹部らと共に眺めていた。
 それでも自分達は、広場の中にいる。

 厳重な警備により、民の立ち入りは許されていない。
 しかしその外側から式典の様子を見ることは出来る。
 拡声魔法により、声も届くだろう。

 我らが王同様の、戦争を知らない人類達は
 どのような気持ちでこの光景を見ているのだろうか。
 同行する度にこの時間、同じようなことを考えている。 ]
(52) 2020/10/26(Mon) 23:30:55

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



[ 陛下の名が呼ばれるその瞬間までは、いつも。 ]
(53) 2020/10/26(Mon) 23:31:08

【人】 魔王軍幹部 フォルクス



[ その時、何故か右手の痣が熱くなった。** ]
(55) 2020/10/26(Mon) 23:32:43