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人狼物語 三日月国


267 冬暁、待宵の月を結ぶ

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[ 逃げ道が必要なら作ればいい。

  痛みを伴うとしても、私は…………。 ]


 



[ 逃げ道を作って、退路を断ってしまう。

  嫌じゃないから、この先も大丈夫。
  恋人ならみんなしてるでしょう、と。

  この先にすることも全部、
  役割の延長だから、気持ちに見ないふりできる


             
―――つもり、だった。 ]


 



[ 君には、君にだけは置いていかれたくない。

  ずっと、ずっと一緒にいたい。



        
そんなの叶わないと知っている。 ]


 



[ 外の音が微かに聞こえるほど静かな部屋の中
  二人しか知らない甘い時間に浸る。

  全く不安がなかったわけじゃない。
  何もかも初めてなんだから。
  それでも私がすべて受け入れられたのは
  君が丁寧に大切に愛でてくれたから。

  何度も唇が重なって、触れた場所から
  君の気持ちが、欲が伝わってくる。
  目を閉じて、君の想いをひたすらに受け止めて。
  時折目が合えば、頬を染めたまま微笑んだ。
  今、すごく幸せだよ、って。
  
  明るい中で肌を晒すのは恥ずかしい。
  その相手が暁なら、尚更。
  日焼けしていない白い肌。
  呼吸するたびに上下する柔らかな膨らみ。

  全て晒されても隠さないけれど、
  恥ずかしさから君を直視できなくなって
  ふっと目を逸らしてしまう。

  でも、嫌じゃないのは伝えたかったから
  君の手を取ると、胸元まで持っていった。
  触って、ってお願いするみたいに。 ]


 



[ 君が触れた場所全てから熱が広がっていくみたい。
  愛でられた花は少しずつ色づいて、花開こうとする。 
  君に触れられて上気した身体が
  色香を放っているのが自分でもわかる。

  大切な人を惑わせて、誘って。
  誰も触れたことのなかった花弁が蜜にぬれる感覚も
  閉じていた蕾を花開かされる快感も
  部屋に響く、甘くて切羽詰まったような声も。

            全部、全部知らない。
            君に初めて教えてもらった
            君に初めて、見せた。   ]


  



[ 乱れて濡れたシーツをぎゅっと握って
  皴を増やしてしまいながら
  奥深くまで、君のことを受け入れて。
  慣れない刺激に戸惑うように零れる涙。 
  誤魔化すように、口付けを強請って
  二人の息を混ぜ合えば、嬌声も君に呑まれていく。

  いつの間にか倒れてしまった私の鞄
  その中から覗く日記の事なんて
  今の私は気にかけることも出来なくて。

  求められるまま、応えて、こたえて。 ]


 



    もう、そうなってるよ。
    暁で満たされて、すごくしあわせ。

        君のことしか考えられない。


  



[ ずっと、言われたかった言葉。

  それがまやかしだと分かっていても
  他でもない君から言われたことが、嬉しくて
  救われた気にさえ、なって。

  頷いて、ぎゅっと君にだきついた。
  布一枚も隔てないと、こんなにも熱くて、近い。 ]


 




   
[ 私は、君の事―――――。 ]



  




     私も、だよ。

            暁のことが大好き。**



  



[ 役割通りの言葉なんだから。
  これで何も間違ってないはずなんだ。 ]


 



   
[ ―――――噓つき。 ]*


  

【人】 宮崎暁



  [   転校が決まったのは、昨日。   ]



(37) 2024/06/16(Sun) 8:16:06

【人】 宮崎暁



 [ いつものように幸阪との時間を堪能して
   家に帰ってくると
   珍しく父さんが早く帰ってきていた。

   嫌な予感が胸中をよぎる。
   この空気感、もう何度目だろう。


   リビングに入ると
   父さんと母さんが飛行機のチケットの
   予約をしているところだった。

   次は今の場所から飛行機じゃないと行けない
   かなり離れたところらしい。
   海外じゃないだけいいって
   母さんは言うけれど

   悪気がないといっても
   二人でヘラヘラと楽しそうに笑う姿に
   僕は耐えることが出来なくて。        ]


(38) 2024/06/16(Sun) 8:16:51

【人】 宮崎暁



   あんたはいっつもそうだよ!

   あんたの都合で振り回されて!
   僕の大事なものは
   いつだっめあんたのせいで壊れる!

   家族のために仕方ないんだって
   育ててやったなんて
   そう言ったら僕も母さんも
   何も言えなくなるの知ってて

   僕がどんな思いで
   いままで生きてきたと思って…!



(39) 2024/06/16(Sun) 8:20:11

【人】 宮崎暁



  [ 僕は初めて、父さんの胸ぐらを掴んだ。]


(40) 2024/06/16(Sun) 8:20:53

【人】 宮崎暁



 [ 頭では分かっている。

   こんなの僕の責任転嫁なんだって。

   それでも僕は
   この現実を受け入れられなくて。  ]


(41) 2024/06/16(Sun) 8:22:14

【人】 宮崎暁



 [ 今日に至るまで
   僕は、両親と一度も口を聞いていない。  ]**

(42) 2024/06/16(Sun) 8:24:41

【人】 宮崎暁



   ……………ごめん、幸阪。


 [ 彼女の前では僕は被害者の顔をしたらいけない。

   彼女を巻き込んだのは僕で
   始めたのだって僕だ。

   風に飲まれて消えてしまった小さな棘は
   耳に届くことはない。

   受け止めてくれた彼女に
   僕はただ、謝ることしか出来なかったんだ。  ]

(43) 2024/06/16(Sun) 15:17:45

【人】 宮崎暁



 [ あれから二人でいつものように登校して
   そらからはいつもと同じなのに空気が重い。
   学校の授業にも集中出来ないし
   なんだか落ち着かなくて、

   今朝の凍りついた空気と
   幸阪の顔が頭から離れない。

   どんな顔をして
   僕は彼女に会いに行けばいいんだろう。
   そんなことばかり考えてしまう。   ]


(44) 2024/06/16(Sun) 15:18:54

【人】 宮崎暁



     "僕だけは、結月の味方…だから。>>27"



(45) 2024/06/16(Sun) 15:19:34

【人】 宮崎暁



 [ 一体どの面下げて、会いに行けばいいんだろう。 ]



(46) 2024/06/16(Sun) 15:20:04

【人】 宮崎暁



 [ 心に大きな蟠りを残したまま
   放課後、僕は幸阪のクラスに顔を出す。
   目的はもちろん、彼女に会うため。

   ここで逃げたらもう会えない。
   それが分かっていたから
   自分の面目よりも彼女のことを考える。
   こんなの、当たり前だ。


   でも、そこに幸阪は、いなかった。>>29  ]


(47) 2024/06/16(Sun) 15:20:43

【人】 宮崎暁



 [ 何故か王子様とあだ名をつけられている事も
   今は反応している余裕がなくて

   事情を知らないかクラスの人に聞いてみると
   幸阪は今日、体調不良で早退しているらしい。

   その理由なんて明らかだ。
   だって、彼女からは何も、連絡がなかったから。 ]


(48) 2024/06/16(Sun) 15:21:05

【人】 宮崎暁



 [ 心配になって電話をかけても
   繋がることは無かった。>>35

   『体調、大丈夫?』と一本のLINEも
   既読になることは無く

   一か八かで家に行ってみるも
   その結果は言うまでもなく惨敗だ。  ]



(49) 2024/06/16(Sun) 15:21:43

【人】 宮崎暁



 [ 思い知る。

   この学校にいる間
   僕にとって、幸阪は僕の全てで。

   幸阪のいない学校は
   また昔みたいに息苦しいだけ。

   どうせ三月にはさよならだと余計に。
   彼女のいない場所なんて
   いても辛いだけ、なんだって。     ]


(50) 2024/06/16(Sun) 15:22:30

【人】 宮崎暁



 [ 幸阪に送った一本のLINE。
   家に帰った僕は父さんはおろか
   母さんのことすら無視をして

   携帯をベッドに投げ捨てながら
   不貞寝をするように飛び込んだ。

   その時が来たら昇華しよう。
   いつか来るサヨナラのとき
   二人で思い出にするために。


   僕達が結んだ盟約は
   地に堕ち、涙を流していた。   ]*


(51) 2024/06/16(Sun) 15:23:45

【人】 宮崎暁



 [ 結局二日はもう幸阪と会えていない。
   相変わらず体調不良みたいで、

   送った連絡の返事を貰えたのは
   その翌日の夜だった。

   最初に既読がついてから
   返ってくるまで時間が空いていて
   その間は落ち着かずにそわそわしていた。
  ]


(66) 2024/06/16(Sun) 21:46:02

【人】 宮崎暁



 [ 風邪、という言葉は

   残酷な真実を目の当たりにしないための
   幸阪の優しさにも聞こえて。

   それ以上を聞くことが
   今の僕には出来そうにない。

   幸阪の優しさを、棒には振れそうにないから。 ]


(67) 2024/06/16(Sun) 21:47:02

【人】 宮崎暁


 [ 人を傷つける真実>>7
   人を傷つけない嘘>>57


         どっちがいいかなんて
         僕には分からないけど


   それを責めることは出来ない。
   僕も似たような酷いこと、しているから。  ]

(68) 2024/06/16(Sun) 21:47:34