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![]() | 【秘】 『一番星』 スピカ → 受容者 ルヘナ>>-114 「まあ、結構へこんだりもしたけど…… いつまでもそうしてもいられないなって。 前を向くことにしたの。 いろんな人に支えてもらっちゃったけどね」 もちろんあなたの存在もある。 簡素な部屋だな……などと失礼なことを思いながら 勧められるまま椅子に座ると、 一番気になっていたことを切り出した。 「えーっと……セキレイさんとは仲良くやってる? ほら、色々変わっちゃったから、 セキレイさんもどうなってるのか私知らないし」 そもそも誰かも知らないどころか、性別すら知らない。 でも、ルヘナとセキレイの関係は応援するべきなんだろうなと 思っている。 思い込んでいる。 (-115) 2021/06/05(Sat) 17:27:22 |
![]() | 【秘】 『一番星』 スピカ → 受容者 ルヘナ>>-116 「仲良く……」 まあ、そうだとは思ったが、 そこに一抹の隙がないかなと思ってしまった自分を嫌悪した。 「まあ、ルヘナがいいならいいんだけど…… ダメそうなら、というなら、多分…… 大人側についていくのが、 そもそもあんまりよくないと思うわね。 そう言われてやめるなら、そもそも突っ込んでないだろうけど」 ため息が、一つこぼれた。 いくらアフターフォローをしてもらっても、 大人のやることはやっぱり善行とは思えなかったからだ。 「……お互い難儀な身分よねぇ。 あなたは大人側であることを捨てられないし、 私もそんなあなたが好きだなんて。恋は盲目ってやつかしら」 (-117) 2021/06/05(Sat) 18:09:28 |
![]() | 【秘】 『一番星』 スピカ → 受容者 ルヘナ>>-119 「本当ね?嫌よ、私。またあなたが『いなく』なるのは。 まあ、今回はきっとあなたの手を取ってみせるけど」 そんなことをすればまた目をつけられるのだが、 きっと、彼女はルヘナを救えるとすれば、 いくらでもその身を投げ出す。 「そう……そうね。 私達、きっと、何かを変えるにも、 先に歩んでいくにも、 まだ見えてないものが多いと思うの。 でも、不安じゃないわ。 前よりも色々なことを知っているし、 人間は知識を得ながら前に歩けるんだから」 何より、あなたがいるから、という呟きは耳に入るだろうか。 二人は。似たもの同士なのかもしれない。 それでも、少なくとも、つかの間の平和が崩れるまでは。 きっと、破滅に見舞われることもない。 (-121) 2021/06/05(Sat) 18:40:56 |
![]() | 【秘】 『一番星』 スピカ → 受容者 ルヘナ>>-123 「もう……みんな一番星って呼ぶわね」 でも、悪い気はしなかった。 自分の想う一番星とルヘナのいう一番星は 形は違っても、 想いを込められているのは確かだと感じられる。 「うん、大丈夫。 周りにも星があることだって、今はわかるの。 一人きりで輝く星じゃないんだって。 みんなが私を支えてくれるし、 私もみんなを支えるから。 ……だから、私はみんなと歩んでいきたい」 でも、願うことならば。 ルヘナと連星として輝きたい。 その想いはもう告げることはないだろう。 ……ギムナジウムの日常は続く。 平和な日常の中に不穏な影が混ざろうとも、 もう星が昇るのを妨げるものはない。 いつでも、星を仰げば光が見えるように、 皆で歩んでいこう。 (-124) 2021/06/05(Sat) 19:47:10 |
![]() | 【独】 『一番星』 スピカ―――ある朝。 今回の騒動に関係した者が、 みな特別な事情を持っていたように、 スピカもそれを持っていた。 厨房でパンを捏ねるスピカの姿。 ああ、数日『いなかった』だけで、 こんなにもパンが恋しいなんて! 彼女にとってパンを捏ねることは 日常の象徴であり、だからこそ、 今こうしている自分に、何より安堵できる。 食堂のパンは、再び美味しくなった。 毎朝、食堂にみんな『いる』ことに安堵できるように。 いや、安堵しなくても、それが当たり前になるように。 その当たり前に、美味しいパンを添えたくて、 今日もスピカはパンを捏ねた。 (-127) 2021/06/05(Sat) 19:59:54 |
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