【墓】 妄執 ユウキ>>4:49 >>4:50 >>4:51 三十三 青年の瞳が、蛍光灯の輝きを反射してほのかに光っている。 ビー玉にも似た瞳が、ただじぃっと貴方を見つめ、過去をなぞっていく。 人の救出よりも現場の保存を優先した行動が批難されることは想像に難くない。けれど、青年は貴方が自分を貫いたことに対し酷く嬉しそうに微笑んでいた。 「……いいですね。とってもいい! 人を救うことは確かに大事です。でも、それまでの歩みを記録することだって同じくらい必要なことだ。 人の進化は日々の積み重ね。礎を築いて届くもの。 その礎となった者たちを忘れてしまったら。誰の記憶からも無くなってしまえば、その人の存在は誰からも証明されなければ、無かったものと同じことです。 人の進化の歴史と、今の俺たちは数多の生死の積み重ねで出来ている。それを知らずに生きていては、これからの歩みが軽いものになってしまいますよ。きっとね」 ▽ (+0) 2022/06/10(Fri) 17:08:08 |