宵闇
「…あ……・」
一本一本の糸から走った音が海の香りを夏を導いて奏でられていく。
不思議と涙がこぼれ落ちそうになって思わず拍手を遅らせてしまいました。
「ありがとう、ございます。
素敵な曲でした、宵お兄さんのような……なんていえばいいのでしょうか。
綺麗で、少し寂しくて、切ないのに、また聞きたいと思えるような曲でした。
優しい歌だったわ……?」
小さな声が紡がれて、暫くの間言葉を発せずにいたが、やっと思い出したように笑みを浮かべる。
「―――いい歌だった、お兄さん。
中毒性があるっていうのかな、どんな風に曲を作っているんだろう。
やっぱり誰かを思い浮かべたり、何かを考えているんですよね?」