【神】 口に金貨を ルチアーノ>>G13 「あいつはなあ……一緒に来るかと言われて、断った。 そして殺し損ねた、次はロメオと仕留めてくる。 外国混じりの挨拶をしやがって……、また明後日なだとよ」 明後日、そんな日は来ない癖に。 自分たちにとって五年など一瞬だったことのように彼は語っていたような気もする。 嫌な話である、早く静かに墓の下に入っていて欲しいと願うその表情は何処となく穏やかだ。 「まあ確かに。 撃てると思った理由はまた別なんだが。 お陰で頭もすっきりで変なもんは見えんくなった。 やっぱり面倒事を断つにはぶっぱなすしかないのかね?」 恐ろしく冷静にそこに愛憎なくとも淡々と告げる姿は珍しいものかもしれない。 件のファヴィオに対しても、ついでに言えば黒眼鏡に対しても既に心から完全な死を願ってお悔やみ申し上げようとしている。 尤も端から失うことが苦手だっただけで、 死によって与えられるものがあると知ってしまえば その価値観は上書きされるぐらいに素直な人間であったのだ。 誰かに似ているとはあまり自分からは考えたくなかったが。 結局は自分の手で始末がつけれてしまえばそれですっきりするような性格だったのかもしれない。 (G14) 2023/10/01(Sun) 5:56:07 |