【神】 影法師 宵闇>>G56 鬼走【3日目 夜時空】 「ずっといるのは無理なことは、わかってますよ。 ……ガキの頃にだって二度と戻れない」 乾いた笑いが零れる。それでも、そう思いたくなってしまうような ──まるで桃源郷のような夢見心地がする、夏の匂い。 優しい夢に弱い、だめな大人。 「……、……やっぱ、俺、ちょっと気抜きすぎてんのかも。 今日も海ではしゃいじまったしな、ガキみたいに 想像以上に居心地が良くて、楽しくなっちゃったかね」 客人の前で──信頼している鬼走の前だからか お構いなしに煙草を取り出し、火をつけて煙を燻らせる。 なにか気を紛らわすものが欲しかった。 (G57) 2021/08/16(Mon) 9:12:01 |