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人狼物語 三日月国

70 【第36回TRPG村】百鬼夜行綺譚


【人】 封じ手 鬼一 百継

■フレーバーシーン:この都について

その昔……遠い昔。
あやかしの湧き出る間欠泉のような、人間が近付くことが能わぬ地があった。

当時の帝に命じられ、そこに陣を敷き、封印を施したのが、鬼一の先祖だ。
鬼一は、封印を監視し、護るために、この地に居ついた。
すると自然と、鬼一家に仕える豪族や民たちもそこに住む。
こうして、鬼一が治める今の都が出来上がった。


百継は、この都のことが好きだった。
民は良く鬼一を慕い、官人たちはみな有能で、情に厚い者ばかり。
百鬼夜行という困難が、一層、この地を愛する心を強くした。


さて、貴族とは自分の足で歩くことを好まぬらしい。
このような都の往来、大通りなら尚のこと、牛車の中から姿を現さぬのが常である。
しかし、百継は、都を歩くのが好きだった。

わざと宮仕えの小童に見える服を着て、目立たないようにすることさえある。
今日も、そんな日だ。
自分が護る地を自分の目で見てまわること、それが百継の喜びのひとつだ。

冬を越え、はっきりと明度をあげた陽が額に差し、頬に当たる風も温もりを帯びている。
春ももう終わろうとしている。
大通りは行きかう人々の活気であふれていた。
(5) TSO 2021/04/20(Tue) 22:59:36