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人狼物語 三日月国

258 【身内】冬融けて、春浅し


【人】 靖国 冬莉


[眼差しが逸れて 手元を見詰める彼は何時ものと同じく 表情を保ったまま。ひと時の沈黙、———彼の迷いも全て受け止めたいとそう思うが、直ぐ様の優しい否定がその口元から零れないことへ 僅かながら期待を覚えてしまう。
 凄い、と 自身へと目の前の彼は称するが きっとこのような己の底の浅さを未だ隠せているのだろう。彼を求めるが故に、彼の意思問わずに己の欲を押し付けようとする自身の浅ましさ。
 覚悟を伝えたのも、その浅ましさから彼を逃すための防御線だった。 ]
 
(5) 2024/05/10(Fri) 1:11:25