【人】 経理課 望月 ロビン>>+10 忌部 「…………」 今のは間違えたな、というのはわかった。っていうのがすぐに感じられるくらいわかりやすい顔。 実際のところ人より多弁で身振り手振りも多い、けっこうお喋りな男としては珍しい態度だ。 何か口を利こうとして手を軽く挙げて、第一声が出てこなくて口を閉じる、というのを繰り返す。 そう長い間ではなかったが、話題も出ないし目が泳ぐ。 そのうちに完全に困り果てて、フローラル系の匂いのする金髪をぐしゃ、と手の内で潰した。 他の人と言葉を交わせるくらい十分な沈黙があってから、ようやく息を吐く。 「信、……今日。…… ……、別のところで、夕飯食べよう。 迎え行く、……うん」 散文というにも意味の通らない言葉を一方的に向けて、一人で頷いて。 なんとなくしっかりしない足取りで、朝食会場を離れた。また今日も、皆と食事を共にしない。 (10) 2022/09/28(Wed) 22:29:23 |