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人狼物語 三日月国

70 【第36回TRPG村】百鬼夜行綺譚


【人】 京職 一葉

湯殿の格子窓からは屋敷脇で咲き乱れる桜の木が良く見えた。

流石の百継豪邸、湯殿は私たち3人が使っても十二分の広さがある。

「ひさかたの 光のどけき春の日に」

高名な歌人の歌を中途まで諳んじたのは、百継様、継置様、さてどちらだったろう。

昼日中に花見をしながら湯浴みとは贅沢極まりない事でございますねと、御機嫌な私は檜の浴槽に頭を凭せかけながら調子はずれの節をつけつつ続きを詠んだ。

「つぐおきももつぐ 池に落ちけり…………、ぶはっ」

ちゃっかり己の名は組み込まなかった私に、2方向から盛大に湯飛沫が飛んでくる。

ずるいとかひどいとかへたくそとか、ぎゃあぎゃあと湯殿での騒ぎを再開した私たちに、また徽子様からの叱責が飛んできたのだった。*

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(24) Valkyrie 2021/04/23(Fri) 15:00:22