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人狼物語 三日月国

70 【第36回TRPG村】百鬼夜行綺譚


【人】 京職 一葉

「お前が望むもの、は。何も出ないと、言うに…………ッ!」

出ないゆえに、終わらない。

執拗に身体を這い回るそれが、困ったことに心地良く、もういっそこの河原でひっそり其奴を"飼う"のも悪くはないかと思い始めてしまっていたのは、あるいは其奴の毒気に当てられていたのだろう。

  い、や……駄目、だ。
  もし百継様継置様がこの河原にいらしたら。


継置様はともかくとして、百継様では事案案件だ。
絵面的に
倫理委員会
京職風紀役が黙ってはおるまい。

「……っ、さくら、の……ふうじめ……ッ」

吐息混じり、絞り出すように唱えた呪に応え、ざあ、とあらぬところから桜の花弁が周囲を舞い始める。

それは、来たるべきに備え、修練中だった緊縛の術。
私の宝を御守りするためのそれは、対象が何であれ桜の檻で封じ込め────、

カキーンと薄紅色に固まったのは、私と大蚯蚓とが綺麗に閉じ込められた空間だった。

「!?ちょ、私ごと、封じ込めてどうする!?」

斯様な河原で外から見えぬとはいえ
マジックミラー号プレイとか
、今更ながらに羞恥心が湧き出た私は、真剣に、それはもう真剣に、抵抗し始めたのだった。

[終わらない]
(26) Valkyrie 2021/04/24(Sat) 8:52:43