23:05:30

人狼物語 三日月国

184 【R-18G】ヴンダーカンマーの狂馨


【人】 住職 チグサ

[死にかけた日のことを、今でも覚えています。
 小僧は大声で呼びかけていたそうですが、私にはその声は聞こえませんでした。
 呼吸ができず、目の前は暗くなって、何も聞こえず。
 ただ、体の芯に冷たい杭を打たれたような寒気が、私の心をかき乱していました。
 暗闇に向かって、声ならぬ声で叫びながら、必死にもがいているつもりでした。
 実際のところ、手足は全く動いていなかったことでしょう。
 やがてそれにも疲れ果てた頃、強烈な眠気が訪れました。

 その頃には私の体は病院に運び込まれ、周りには関係者が集まり、口々に声をかけてきました。
 聴力が戻ったとはいえ、耳に聞こえる言葉は水中にいるかのように不明瞭で、ただうるさくて仕方がありませんでした。
 時折眼に当てられる強い光もまた、眩しくて不快でした。]
(63) 2022/11/05(Sat) 13:25:34