【人】 オーク フォボス 氷を打ち砕く音が聞えた。 >>314続けて飛来する氷柱は細やかで、立ち止まる必要もない。 腕を盾にし氷柱をも砕き、代わりに腕が砕かれ血潮が飛ぶ。 傷つくことは怖くない。 肺に吸い込んだ空気を漏らすことなくその距離に到達する。 ターコイズは距離を離そうとしたがそこは丸太がギリギリ届く範囲だ。 常よりも近いのは脳筋で真っすぐいくと決めた速度と獲物のはずの丸太を盾にしたからだ。 手は届かない距離、しかし――。 フォボスは大きく口を開いた。 ドラゴンブレスとはドラゴンの放つ炎の息である。 フォボスにそうした炎を放つ器官は残念ながら存在しないが、声は出る。 四肢を強化する技を見てきたフォボスが行きついた肉体強化系の奥の手は、肺と喉を強化して放つ咆哮だった。 気炎と魔力、体内の熱を伴った指向性ある咆哮は残り全ての力を使った短期決戦の奥の手は>>311纏う冷気を吹き飛ばす音響兵器として届くだろう。 (322) 2023/06/24(Sat) 21:09:27 |