【秘】 Commedia ダヴィード → Il Ritorno di Ulisse ペネロペ>>-147 『世界が終わったような』気分になったって腹は減るし眠くもなる。 そんな当たり前に傷つく歳ではなかったが、代わりに両親のことを少しだけ想起した。何故だろうか。 「うーん、その通り。 ごはんだけでもって聞いて行きたかったんですけど。 もう……すぐにはちゃめちゃになっちゃったし」 忙しかったのは本当。迷惑を避けて近寄らなかった面もあるだろうが、わざわざ言うほどではない。 いつぞやに三人で話した時は、まだいつも通りが続いていたから、いつだって行けると思っていた。 「あ〜〜、シチューいいなあ。俺シチュー好きです。 お手製さいこーだしあったかいし、うれしくなるし……」 外で貴方と二人で歩いているというのに、子どもの口調はいつもより砕けたもののままだった。 会話の中身も無に等しい。 口も足もちゃんと動く。 生きている。 貴方と食事に行けるのは嬉しい。貴方の企みはしっかりと効果を発揮したようで、当たり前がひとつずつ取り戻されていく。 (-172) 2023/09/29(Fri) 7:52:38 |