![]() | 【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ折れて動かない左も、力比べによる消耗で落ちた右も。 まるで壊れた人形のようだと思考出来るだけまだマシだ。 そうして君 に 顔を見せない よう背け続けるが、顎に伸ばされ無理やりに向かされるようであれば、 それも結局、見え透いた結果しか齎さない。 「…………は、」 愉快そうな君に、精一杯の笑顔を返す。 それでも苦痛に歪む顔も余裕のなさも隠しきれはしない。 無駄な抵抗と言われればそれまでだが、 笑顔は己の心を守るための砦だからこそ崩せない。 せめてと、視線だけでもと逸らすことを試みるが それもまた、結局は無駄な抵抗となってしまう。 揺れる海が君の月に映し出される。 隠しきれない弱さが、間近で、 自らにも見える形で映されている。 男の部屋にある鏡は洗面台に取り付けられたものだけ。 本当はずっと、弱さを映すその存在がとても、苦手だった。 ▽ (-276) 2023/09/30(Sat) 5:22:38 |