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【赤】 会社員 雷恩[ストーカー呼ばわりで怒らせても、 今度は許しを乞わなかった。 訂正をする気はない。 その「好き」は、自分が思っているものとは違う。] (*32) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:53:22 |
【赤】 会社員 雷恩[目が開けられないというのは自己催眠かもしれないが 実際に瞼は強く閉じられてしまった。 衣擦れの音や陰茎に触れられる感触で恐怖が煽られる。 何度か擦られたがそこは芯を持たないままだ。] ル、ミ………… [首を横に振って否定したかったのは何か 自分でもわからなくなっていた。 先端に爪が食い込むと痛みを感じる。 動けないのに痛覚は通っているのか。理不尽だ。 それとも薬は本当に効果が人体に害とならないように 濃度は抑えられていて、下肢に感覚が戻り始めているのか。] (*34) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:54:13 |
【赤】 会社員 雷恩ルミ、 [そのまま続けて、行為が可能な形を作ったとして、 ルミはそこに跨るのだろうか。 もしかすると、それが命に繋がるかもしれないのに。 望まれないで生まれてしまう命がどうなるのか ルミが一番よく知っているのに、 自分と繋がることだけを目的としているから、 そのリスクは考えていないのか 何れにせよ、本懐を遂げられてしまうのだろうとは思う。 頭ではどんなに拒否していても、身体は少しずつ 生理的反応を見せてしまっている。**] (*35) Ellie 2024/05/08(Wed) 0:55:05 |
【赤】 従業員 ルミ[ 恋にもっと理由は必要なのだろうか。 ただあの時わたしに優しくしてくれたから、 だから彼を好きになったでは足りないのか。 インプリンティングと言われればその通りで、 けれど女は確かに己の意思で恋をしている。 毒林檎からキスで目を覚ましてくれたから? 或いはガラスの靴を届けてくれたから? お姫様たちの恋だって、 始まりは皆思ったよりも大仰では無いのに ] (*36) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:54:55 |
【赤】 従業員 ルミ[ 相手を傷付けないのが愛ならば 自分にはやっぱり人を愛する資格が無いのだ。 彼は今度は許してと甘えなかった。 過去すら容易く掘り起こすあの惨さはなく、 代わりに別の痛みが横たわっている。 ] (*37) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:55:11 |
【赤】 従業員 ルミ………綺麗な思い出として忘れられるくらいなら 私みたいに、痛いってこと、覚えててよ ふふ、名前ばっかり呼んでどうしたの? ルミだよ。 …………嬉しいな 久しぶりに名前、いっぱい呼んでくれた。 [ 働き始めてからは源氏名でしか呼ばれず、 ルミという名前で呼ぶ存在もいなかった。 ひつじが良かった、と憧れた少女はそこにおらず いるのはボタンを掛け違えた亡霊だけ。 ──ああ、こんなことなら 正しく愛する方法を知っておけばよかった。 傷付け方なら、いくらだって分かるのに。 ] (*38) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:55:26 |
【赤】 従業員 ルミ…………………雷恩お兄さん [ ライ、は他の人も呼んでいるから嫌だった。 けれど雷恩と呼ばれるのを厭われてしまえば 我儘だけで通せる呼び名でも無かった。 別れた理由なんてどんなものでも知っている ──そうなるように仕向けたんだから。 呼び方なんて小さいことに拘るのが不満だと そう言っていたのは何番目の女だったか。 わたしはただ、呼び出した場所で ブランドバッグを差し出してお願いしただけ。 ] (*39) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:55:39 |
【赤】 従業員 ルミ[ 噛み締めるように名前を呟いた。 会話で意識を向けさせるためでも何でもない。 ただ、自分が呼びたいから、そう呼んだ。 再会した時は、幼い頃と違って 名前呼び自体を面と向かっては厭われず 表面上は許されたようにも聞こえたけれど ──自分ですらそれが本当に許されるなら 今までの、彼に近しい人たちは、? ] (*41) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:56:06 |
【赤】 従業員 ルミ[ 私にとっての“らいおん”の響きは彼だけ。 そこに肉食獣の影なんてひとつもない。 彼だけ見つめて、彼だけを望んで、 なにもかも煮詰めた砂糖色の声。 まるでわたしはおとぎ話の魔女みたいだ。 甘く美味しく作り上げた死への道。 無警戒な存在に毒林檎を齧らせて、 最後には裁かれてしまう悪いひと。 ] (*42) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:56:20 |
【赤】 従業員 ルミ[ 望まれない命は不幸だ。 今ですら正しく彼を愛せない自分ひとりで何が出来る。 命で縛り付ける気なんてない。 わたしの罪はわたしだけのもの。 ──アフターピル、って便利でしょう? ベッド横のデスクに幾つか予備を置いてある。 わたしは少しづつ兆し始めた熱に触れて、 嬉しさを隠しもせず顔を綻ばせた。 ] 好き、──大好きだよ、お兄さん [ 愛を囁かれても萎えちゃうだけかもね。 どうせ今夜限りの魔法の夜なら 喉すら焼けるような蜜も許してよ。 りんご飴、わたしとなら食べ切れるでしょう? ] (*43) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:56:34 |
【赤】 従業員 ルミこれでもう、わたしを忘れないよね これでもう、綺麗な思い出として消えないよね ────なにかある度に痛む傷になって 忘れたくても忘れられないくらい、 痛くて熱い存在になれるよね? [ 本当にわたしが羊だったら、 本当に貴方が獅子だったら。 食べて貰って貴方の血肉になって そしたら、好きな人の一部として生きていけて ──なんてろくでもないたられば話。 ] (*44) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:56:47 |
【赤】 従業員 ルミ[ 彼の熱芯をやさしく、柔く包み込む。 これは愛を交わす行為ではなくて、 わたしの一方通行で、彼を苦しめるだけ。 過度な愛撫も快楽も必要無い。 あくまで生理的反応で仕方なかった、って 彼が言い切れるように────なんて 加害者がせめてと与えるものなんか、 害を与えた時点で無意味か。 ] ……お兄さん、目、閉じててね [ 挿れる、だけなら不都合ないようになるまで 熱を甘く柔く触れて、擦って、刺激を与えれば わたしは彼の反応も見ずに己の下着をそっとズラした ] (*45) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:57:02 |
【赤】 従業員 ルミ────ッ、 [ ろくに慣らしてもいない中へ熱を入れれば さすがに痛みが訪い、すこし眉を顰めた。 それでも人体とは不思議なもので 防衛本能で分泌される愛液が刺激を緩和し、 膣肉も広がって、熱を難なく飲み込んでいく。 ───これがわたしの、望んだ形。 欲しくて欲しくて仕方なかった熱も やっと手に入れた彼の傷も。 ] (*46) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:57:28 |
【赤】 従業員 ルミ[ 叶っていくのに。叶っているのに。 どうしてこんなに虚しいばかりなのだろう。 ────どうして。 わたしは、 ] ………………っふ、あは、は お兄さん、……だいすき ……あいしてるんだよ、本当に…… [ 目から流れたものはただの汗で、 きっと目を閉じていれば彼は気付かない。 誤魔化すように笑って、身体を動かした。 中に彼の熱を吐き出させるためだけに、 それだけを目的にした虚しい動きで。** ] (*47) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 8:57:47 |
【赤】 会社員 雷恩[白雪姫は毒林檎から救ってくれた王子に惚れた。 殺害を命じられても、自らが罰を受けるかもしれないのに 見逃してくれた狩人でもなく、 森の中で出会った自分の何倍も大きな姫に 衣食住を提供してくれた小人たちでもなく。 恋とはそういうものなのだろう。 ルミの人生で、自分と過ごした時間よりも 長く見知った顔もあったかもしれないが 恋をしたのは自分だった。 それ自体には何の罪もないが、 そこから王子は白雪姫の手を取ったのに対し 自分はルミの手を握ったままでいられなかったから 物語は誤った方向に進んでしまったのだ。] (*48) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:23:58 |
【赤】 会社員 雷恩[過去には自分がたくさん呼んでやると言った名前を この10数年で口にしたことはあっただろうか。 自分の名前程人名として珍しい訳でもないが 親しくした中に同じ名前の女性はいなかった。 別の人間を「ルミ」と呼ぶことを 無意識に忌避していたのかもしれないが、 そんなことは目の前の「ルミ」の気持ちの慰めにも ならないだろう。] ……っ、 [ああ彼女は痛かったのか。 他に誰も彼女の痛みを手当てする人間はいなかったから 自分にとって「思い出」とカテゴライズされた日々は 彼女にとってはまだ鮮明な「今」なのかもしれない。] (*49) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:24:24 |
【赤】 会社員 雷恩…………………うん [きっと後にも先にもその呼称を許すのは彼女にだけだ。 甥が喋るようになっても「おじさん」と呼ばせる心算だから。 「お兄さん」が後ろにつくなら名前も平気な気がした。 実際には、ルミにとって初めて触れた「らいおん」が 自分の名前だったから許せただけかもしれないが。] (*50) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:24:47 |
【赤】 会社員 雷恩[生理的反応でも嬉しいものなのか。 この手は彼女を抱き締めることはなく 瞳も閉じられたままなのに。] …………ゃめ、 [そんなことをしなくても、 1人の男と女として知り合っていれば、 今ならば思い出を今に出来たのに。] (*52) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:25:54 |
【赤】 会社員 雷恩[弱弱しい声だけの抵抗も空しく陰茎に圧がかかる。 引き攣れるような圧迫が痛くて歯軋りした。 恋ゆえに繋がりたいなら、何故その裡は愛液で 満たされていないのか。 摩擦で生じる滑りは自分の勃起と同じ生理的反応で、 まるで自らも痛むことを課しているようだ。] ………………な、 ぃて、ンの、か、 [掠れながらも口を動かして声を発する。 力を込めれば手も動かせることに気づいた。 その手を使って虚を突けば、彼女の強姦行為を 辞めさせることが出来るかもしれないが。] (*53) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:26:22 |
【赤】 会社員 雷恩[ルミの言葉はまるで本心を誤魔化すような印象を受けた。 あいしてると言いながら、相手からそう思われないことが 自分でもわかっているかのような。] なでられ、ンのと、 …一人でっづけ、 ンの、 どっち、 [このまま騎乗位を続けていれば、徐々に感覚を取り戻している 下肢が身体的本能で放熱することは免れない。 それを阻止しようという計算からの問いではない。 ルミ自身が欲しいのは、セックスしたという事実ではないと ルミが気づいたのではないか。 ただ、泣いている子を撫でたかった。 そしてそれを彼女にも望んでほしかった。 それだけ。**] (*54) Ellie 2024/05/08(Wed) 17:27:20 |
【赤】 従業員 ルミ[ 恋は万有引力なのだと誰かが言っていた。 ツバキの花が落ちるように音もなく、 りんごの実で堕ちたように先もない。 原初の罪というものがある。 禁断の果実を齧って神に背いた二人の話。 彼らには口にせず共に在り続ける未来があったのに 罪を犯してでも手にしたい何かがあった。 それならば、この恋は。 わたしと貴方、原初の罪の ──その対価は。 ] (*55) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 20:01:58 |
【赤】 従業員 ルミ[ 初めて食べたアイスの甘さも。 焼き芋の舌を焦がすような熱も。 名前を呼ばれることの嬉しさも。 誰かに花をあげることの情動も。 貴方と同じ名前の生き物がいることも。 痛みも苦しみも愛しさもなにもかも。 貴方が与えて、貴方は消えた。 ────忘れようとするたびに、あなたを思い出す。 ] …………なぁに? これでもまだ名前で呼んでくれるんだ。 そうすれば逃げられるとでも思ってる? [ 力も抜けて上手く喋れない状況なら、 いっそわたしに絆された振りをして 隙を突いて逃げる方が現実的かもしれないものね? ] (*56) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 20:02:33 |
【赤】 従業員 ルミ[ 今更男と女として知り合うなんて出来やしない。 もう一度最初からの幻想は夢のまま。 出会い方が選べないなら、 手離し方は選べるのが人間だよね? ────今度はわたしがそうする番。 一緒に同じ傷を負って。 何を見ても、なにに触れても、どんな日常でも わたしを思い出して、──死ぬまで傷の中で会おうよ。 制止の言葉は聞いてあげない。 かさぶたを剥がして傷口を抉って貴方を手にする。 夢すら果てる程に焦がれたこの結末が、 ──きっと何よりも喜べるはず、だった のに、 ] (*57) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 20:02:38 |
【赤】 従業員 ルミ…………? ……あぁ お兄さん、薬切れ始めちゃった……? [ 先程よりも明確な音になった言葉を耳に入れ、 わたしは問いに答えず小さく呟いた。 視界の端で彼の手がすこしずつ動いている。 身体でも押すか、力に任せて暴れるか。 薬剤の追加投与なんて危うい真似は出来っこない。 ならばと抑えつけるために、彼の肩へ そっと手を伸ばそうとして── ] (*58) 鬼葉 2024/05/08(Wed) 20:03:08 |