【人】 雅楽 雅 ── 和食レストラン ── (たっか! たっかっ! )[席に着き、渡されたメニューを見て心の中で叫ぶ。 膳の種類は3つあったけど、どれも私の知っている モーニングの値段じゃなかった。 というか、一番安価なものでも私の5日分くらいの 食費を超えてきているのですけど!!!!] ……… (せ、せっかくだから一番高いの頼もうかな。) [典型的な貧乏人の思考で、注文を決める。] (えっと、内容は…… ) [お浸し、乾物の煮付け、煮物、明太子、甘味、 ちりめん山椒、もずく酢、焼き魚、卵焼き、海苔、 お新香の11品にごはんと赤だしのお味噌汁。 ごはんとお味噌汁はおかわり自由。] (69) springkraut 2020/07/26(Sun) 14:34:29 |
【人】 雅楽 雅たっかっ!!!!! [つい声に出してしまい、慌てて顔をメニューに埋めて 人目から隠れたりしていた。*] (70) springkraut 2020/07/26(Sun) 14:34:35 |
【人】 雅楽 雅 ── ホテル ── [無事?朝食も終わり、通りすがり、 なんとはなし売店を覗いていた。 昼食の材料になるようなものがあればいいなと 思ったのだけれど、やっぱりというか、 お土産物ばかり。] (ホテルの宿泊客は自炊しないのかなぁ。 せっかくキッチンがあるのに… ) [敷地外まで足を伸ばすしかないかなと 踵を返しかけて目の端に、お豆腐のエリアを見つけた。] 何……、名産品なのか──… はっ?! [掲示されている値札を二度見する。 なんか、私が普段買うお豆腐の値段の横に0が二つくらい 余分に並んでいるのですけど!!] (106) springkraut 2020/07/26(Sun) 17:16:05 |
【人】 雅楽 雅(え?!もしかして、支えようとしてくれてる?) [親切なひとからさり気無く背中に充てられる手に、 戸惑いと共に申し訳なさが込み上げてくる。>>111 というか、昨日の麗央くんもそうだけど、 何、ここに居る人達ってみんなこんな、紳士なの? 紳士ってフィクションじゃなかったの?] 、 …え。 ち、 違います違います!違いますっ!!! 食べたくないわけじゃないけど、 食べたいわけじゃなくて…… [持っていた巾着をぽとりと落として、 両手を上げて全力で否定する。 一部始終を見られていたなんて知らない。] (119) springkraut 2020/07/26(Sun) 18:25:43 |
【人】 雅楽 雅…違うけど違わない? [自分のことなのに確認するように見つめて、] あ、いえ、その。 私、こんな値段のお豆腐み見たことなくて… なんていうか、お豆腐は安くてヘルシーな 庶民の味方だと思っていたけど、ところ変われば、 こんなに遠い存在だったんだなって── [結局正直に告白しているのだった。*] (120) springkraut 2020/07/26(Sun) 18:25:46 |
【人】 雅楽 雅[そう言われているのは知っているけれど、けど。>>121] ……そうです。 [紳士はあっさり折れてくれた。 こういうところも紳士たる所以というか──あれ? なんかこのひと、笑い堪えてない? 口、口の端、プルプル震えてない? ] 買うんですか?! [こんな高いお豆腐。と言わんばかりの 見開いた瞳を向ける。] (うわぁ、誰が買うんだろうと思っていたら… このひと、もしかしてお豆腐マニア?!) [巾着を受け取りつつ、立ち去るでもなく紳士が 会計をする様子を眺めていると、買ったばかりの お豆腐の半分を差し出されて、また驚いた。] (143) springkraut 2020/07/26(Sun) 19:24:33 |
【人】 雅楽 雅だ、だだだだ、駄目ですよ。 こんな高価なお豆腐、見ず知らずの私に渡すなんて、 何のお返しも私、出来ないし…… 受け取れない。 [このやり方。 紳士にも程がありませんか。 最初からそのつもりで、 要らないっていうのも方便なんでしょう?*] (144) springkraut 2020/07/26(Sun) 19:24:37 |
【人】 雅楽 雅 [そうだよ。>>163 だって、ちょっといい外食が出来るくらいするお豆腐。 きっと美味しいんだろうし。 まさか、面白がられているなんて。 今の私の貴方への好感度、後で返して貰わないと。] は?なんで捨てるの? 食 べ な よ!! 豆腐を馬鹿にするものは豆腐に泣くよ? それこそ豆腐の角に頭をぶつけて───…はい? [このひと、私を驚かせるプロなの? ただでさえ、あんな高いお豆腐買ったばかりなのに] お茶って……まさか、このホテルにあるお店で? [高いって!絶対高いから!!] 自販機のなら、なんとか足りるけど、 お店は持ち合わせが…… ってなんで笑ってるんです? [むぅ。] (180) springkraut 2020/07/26(Sun) 20:27:44 |
【人】 雅楽 雅…………そのお豆腐、 そのまま食べても美味しいと思うけど、 イタリアン風の味付けにしても良さそう。 [でも、なんだろう、これ。 なんか私、このひとと話すの楽しくなってきた。*] (181) springkraut 2020/07/26(Sun) 20:27:48 |
【人】 雅楽 雅……別に面白いこと話してないんだけど。 [とうとう声を上げて笑い出した男性に 不服そうにして、けれどそれは長続きせず すぐに表情は解けた。>>182] だって、気軽に奢られていいような場所じゃない でしょう、ここ。 [どう考えてもさ。] シェフ?!え、あ、それはプロに頼めば美味しいだろうけど。 お金取られるよね? 勿論、貴方が構わないなら、いいと思うけど。 私のは家でもよく作ってるなんちゃってイタリアンだよ。 それでもいいなら、少し材料の買い出しが必要になるけど、 元々行こうと思ってたし。 貴方のお豆腐だから、貴方が食べたいほうを選んで? [再度差し出された2丁の豆腐を見て、 そっと柔らかく笑いかけた。*] (197) springkraut 2020/07/26(Sun) 21:24:53 |
【人】 雅楽 雅 ── スイートルーム(自室) ── とりあえず荷物はそこのカウンターへ置いて貰って… [専用エレベーターで直通の部屋。 広々とした空間のあちこちに、見るからに高価な調度品が 設えられている。 買い出しに行ったスーパーでたまたま鮭が安売りしていた から、おかずはそれを使ってバターポン酢炒めを作ることに 決めた。 なんちゃってイタリアン冷奴はお豆腐に玉ねぎの微塵切りと プチトマト、塩昆布を載せてオリーブオイルを回しかけ、 ブラックペッパーをまぶして出来上がり。] あ、そうだったね。なんだか今更って気もするけど。 羽井?…下の名前は秘密? [使う食材を整理しながら、尋ねる。] そっか、都内で飲食店経営……ってことは ちょっと、もしかして凄く舌肥えてるんじゃ?! (293) springkraut 2020/07/27(Mon) 0:31:38 |
【人】 雅楽 雅……もう、早く言ってよ。 言っておくけど、私、素人だからね? 肝に銘じておいてね。 [大真面目に見つめて、返事を取り付ければ満足そうに、 よし、と頷いた。] 私は雅(みやび)、雅樂 雅(うた みやび)。 でしょう?新聞紙みたいに、上から読んでも下から 読んでも同じになるんだもの。 [言われ慣れた感想に笑う。] あ、イタリアンなのはお豆腐だけだよ。 他は和食になるけど───… (294) springkraut 2020/07/27(Mon) 0:31:43 |
【人】 雅楽 雅しめじの梅味噌汁、要らない? [イタリアンならとワインを冷やす姿に苦笑しながら 小首を傾げた。] じゃあ、使い終わった調理器具、渡していくから 洗って貰っていい? [普段は調理しながら洗い物をしているけれど、 手伝ってくれるというならお願いしよう。**] (295) springkraut 2020/07/27(Mon) 0:31:47 |
【人】 雅楽 雅 ── 調理中 ── ……っ [額に汗が滲む。 背中にも伝っているのが分かる。 この季節にウィッグを付けたまま、火を扱うのは 思っていたより体力を消耗するよう。 一人ならば外すところだけど。 時々眩む視界は固く目を閉じることでやり過ごす。 これは薬の副作用も併発していそう。 傍らにあるペットボトルに視線を送れば、 ミネラルウォーターの量は調度半分くらいだった。] ───…ね、貴方はコップに半分の水が あったらどう思う? 未だ半分もある、か、 もう半分しかない、か。 [男性が傍らで洗い物をしていたら、ふとそう尋ねただろう。 その時、涙のような汗の粒が睫毛を濡らして、 頬に伝い零れた。*] (313) springkraut 2020/07/27(Mon) 3:26:36 |
【人】 雅楽 雅[コップに半分の水があって、それを見て、 もう後、半分しかないと考えるか、 まだ半分もある。と考えるか、 私は昔からずっと───…。] (314) springkraut 2020/07/27(Mon) 3:26:46 |
【人】 雅楽 雅 [今のままでは駄目なんだって、 いつも焦燥感に駆られていた。 両親の苦労。 決して怠け者ではなく、寧ろ休みなく、 夜中まで仕事しているのに、けれどちっとも裕福に ならないのには、彼ら自身にも原因があった。 父は家族よりも、口が上手い友人を優先して 考えられないような値段で車や家電、 布団などを買わされていた。 付き合いだからと周囲に見栄を張って、 貯金がないことを母のせいにして責め立てる。 母はその苦しさを何かにつけて、私のせいに して、私が居るから父と別れられないと責める。 けれど、そんな日々の中でも、きまぐれに優しく されたりすることもあって、だから彼らの愛をずっと 諦めきれずにいた。] (315) springkraut 2020/07/27(Mon) 3:26:59 |
【人】 雅楽 雅[母は毎日、私が出来ないことを探しては否定した。 理由なんてない、ただ、自分より幸せになることは 許せなくて苦しくて、私が笑顔でいると自分を保って いられなかったかもしれない。 その証拠に泣いていると嬉しそうに慰めにくる。 学校で成績が一番になっても、絵画や読書感想文 のコンクールで入賞しても、誉めてはくれない。 それでも私は認めて欲しくて、どうしようもなく 彼女の承認を得たくて。 否定のための否定を、そうと知って、 それでも母を求めてしまう。 彼女も酷く苦しんでいたことを知っていたから 助けたかった。] (316) springkraut 2020/07/27(Mon) 3:27:16 |
【人】 雅楽 雅[認めてもらうためだけに、世界がいう、これが 幸せなんだっていう生き方を目指して、 これが真っ当なんだっていう、 誰からも認められるような自分を目指して そうなれば、父も母も、私を認めざるを得ないだろうって。 それだけが、この地獄から抜け出せる手段だって。 でも、私は結局、世界が示す幸せの参照枠に、 上手く当て嵌まれなかった。 いつ終わるかもしれない、永遠のような世界で、 なるべき私と本当の私の間に苦しんだ。 どれだけ心を殺して周りに合わせても、最後は 耐えられなくなって、上手く出来なくて破綻する。 それを何度も何度も繰り返しながら生きて、 何も出来ないまま、身体が壊れた。] (317) springkraut 2020/07/27(Mon) 3:27:52 |
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