23:34:48

人狼物語 三日月国


131 蕐の残香、追憶のブーケトス

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到着:ピアニスト イングラハム

【人】 ピアニスト イングラハム




The secret is just like a wedding veil.

女の秘密とは、花嫁のベールだ。




(15) 西 2022/02/13(Sun) 16:38:16

【人】 ピアニスト イングラハム



   そう、私の父は言っていた。
   その意味を幼子の私が知るはずもないが。

   
   ピアニストの父と母もしかり
   私の家系は芸術に対するバイブスが高めらしい。
   それは私自身もそうで、ピアノの演奏には
   幼い頃からずっと魅了され続けている。

   ボランティアとして病院でコンサートを
   開催することだって何度もあった。
   私としては慈善なんてない純粋な演奏を
   味わい、楽しみたかったのだが。そうも言えない。



(16) 西 2022/02/13(Sun) 16:41:07

【人】 ピアニスト イングラハム



   兎角、想い馳せるは薄れゆく記憶。
   ベールにその素顔をひた隠す少女。>>12

   いつか出会った君の真っ白なヴェールを
   私が外すことは叶ったのだろうか。

   今の私にはもう、その答えが、分からない。


(17) 西 2022/02/13(Sun) 16:44:55

【人】 ピアニスト イングラハム



  ***

   遡ること数年前。
   私にとっては数あるボランティア活動のひとつ、
   病院でのコンサートに出向いた時だ。

   「音楽は人の心を癒し、勇気を与える」と
   そんな両親の言葉を胸に臨む演奏は
   首輪を繋がれた犬のような息苦しさを覚えて。

   休憩と称した期間限定の逃避行の果てに
   私は
彼女
のいるその場所へ、辿り着いた。


(18) 西 2022/02/13(Sun) 16:46:38

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   いや、違う。
   本当は君をずっと探していたんだ。

   病院の中ですれ違った時の君の顔色が
   まるで春を迎えた白雪のように今にも溶けて
   どこかへと消えてしまいそうだったから。

   だから中庭で僕らが出会ったのは、必然さ。


(-1) 西 2022/02/13(Sun) 16:53:11

【人】 ピアニスト イングラハム



      「やぁ。こんにちは。」


(19) 西 2022/02/13(Sun) 16:55:39

【人】 ピアニスト イングラハム



   演奏者として恥じない礼装姿のまま
   先客にそう声をかけた。
それが始まり。


   彼女の反応なんてお構い無しな私は
   まだ子供のように無作法なままで
   彼女が何を思うかなんて知らずに。

    「本、好きなの?」

   そう言って手元の本に視線をやったりもした。


(20) 西 2022/02/13(Sun) 16:57:03

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   本当は君の指先を見てたんだ、なんて
   そんなことは口が裂けても言わないよ。
   詰め寄られたら分かんないけどね?


   なんで指先なんか見てたかって?
   それは、そう、綺麗だったから。それだけさ。*


(-2) 西 2022/02/13(Sun) 16:58:06

【独】 ピアニスト イングラハム

/* 何この子めっちゃ可愛いんだけどなんで死んでしまうん???
(-10) 西 2022/02/13(Sun) 18:01:47

【人】 ピアニスト イングラハム



   病院が慈善活動の溜まり場にされたとして
   命懸けで戦う患者からすればいい迷惑だろうに。

   そんな承認欲求のために患者を利用する気分は
   当然、いいものとは到底思えない。

   だがまさか鍵盤の音色に隠れた私の顔色を
   見抜いてしまうような者がいたとは思わない。
   全く、不思議なこともあるものだ。>>22



(28) 西 2022/02/13(Sun) 18:33:33

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   その出会いは、冷えた心には心地いい。
   いい天気だという彼女に同意を示し、
   隣へと腰かければ見えぬ物も見えてくる。

   太陽を知らぬ純白は外界との距離を感じさせ、
   その程度は知らずとも、病院にいる理由が
   私にもなんとなく分かる程だった。


(29) 西 2022/02/13(Sun) 18:34:04

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   何を着るかではなく誰が着るか
   男はそんなことしか見てはいないよ、と。

   いつか君に話す機会があって欲しいものだ。
   僕はそう...願わずにはいられない。


(-11) 西 2022/02/13(Sun) 18:34:56

【人】 ピアニスト イングラハム



    「退屈、か。」


   正直、驚きはしなかった。
   少し考えれば想像がつく話なのだから。
   それでもってこの事は
   周知の事実というわけでもないらしい。

   脳裏に浮かぶ「同情」の二文字は
   ぐっと脳の奥深くへと押しやった。



    「その本は僕も見た事がある。
     確か本屋でも最近見かけたやつだよね。」


   面白いの?そう聞かない理由は、
   彼女の言葉がその答えだ。>>26


(30) 西 2022/02/13(Sun) 18:36:46

【人】 ピアニスト イングラハム



   幸か不幸か、彼女を知らない私は
   彼女が造り上げたフィルターが効かない。
   本好きのアンネと聞いて首を傾げたのは
   言うまでもないこと。>>27



    「あぁ、ごめん。最初に名乗るべきだった。
     僕はエドワード・イングラハム。

               よろしくね、アンネ。」


   間違えていた順序を正すと
   私は彼女に倣うように自身の名を名乗る。


(31) 西 2022/02/13(Sun) 18:38:58

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   僕の意図を知ってか知らずか
   君の口元を向く僕に示されるは二本の指先。
   
   透き通るような真っ白なそれは
   僕にとっては魅了の対象であり
   同時に羨望の対象でもあった。

   いいピアニストは指先が綺麗だと
   僕はそう教えられてきたのだから。

   不思議そうにしているアンネに
   僕は小さくふふっと笑う。


(-12) 西 2022/02/13(Sun) 18:40:57

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   「今アンネが言ったことは秘密にするよ。>>27
    だから僕が君の指先が綺麗だって見惚れた事も


        他の人には内緒にしておいてくれる?」



(-13) 西 2022/02/13(Sun) 18:42:53

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   それでお相子だよね、って。

          君は納得してくれたかな?*


(-14) 西 2022/02/13(Sun) 18:43:36

【独】 ピアニスト イングラハム

/* 詰め寄られてないのに結局言ってんじゃねーか、ってなりそう。おっしゃる通りです...(((
(-15) 西 2022/02/13(Sun) 18:51:31

【人】 ピアニスト イングラハム



 ***

   分かるよ、と共感を示すべきか?
   生憎と消毒薬に満ちた病室の虚無感を
   私は知らなければ、知ることも無い。

   私が知っていることはただひとつ、
   共感こそ毒に他ならないことのみだ。>>32

   毒を毒に思わせない器用さがあれば
   少しはマシなことも言えたかもしれないが。



    「確か、恋愛小説だったっけ。
     僕も詳しくは知らないんだけどね。」


   表紙とタイトルからの予測だったから
   その辺はあまり自信がなく答えてしまった。

   それなら読んでみようかなって
   そう思う理由は、秘密だ。



(35) 西 2022/02/13(Sun) 22:27:23

【人】 ピアニスト イングラハム



   恐らく他者とアンネの間にとって
   本好きというのは演劇の役であって
   それでいて私とアンネの間に演目はない。
   笑うアンネの姿に尚更首が傾くばかり。

   それから思いついたように目を見開いて


    「せっかくだし、エドって呼んでもいいよ。
     僕と仲のいい人は皆そう呼ぶんだ。」


   彼女が私にアンネと呼ぶことを望むなら
   それと同等のことを望んでいたい。
   そんなわがままを伝えてみせただろう。


(36) 西 2022/02/13(Sun) 22:28:23

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   人は見たいように見、信じたいように信じる。
   だからきっと君は前のめりでいてくれたんだろう?
   僕がそれを望んでいたんだから。



    「これでも一応ピアニストだからさ。
     指が綺麗な人は、羨ましくてね。」


   そう本心を伝えて。
   自分の指を褒められれば意外そうに
   今度は自分の指先を見つめてしまう。

   もちろん光栄ではあったが
   君からそんな言葉を貰えるほどの
   自信はなかったからね。

   けれど付け加えられたわがままには
   僕は思わず目を丸くしてしまったんだ。


(-22) 西 2022/02/13(Sun) 22:31:10

【独】 ピアニスト イングラハム



   狡いな、君は。

      そう言いたくなる気持ち、わかるかい?

(-21) 西 2022/02/13(Sun) 22:31:32

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   「冗談にしてはタチが悪いな、全く。」


   掴み所がないその様子は僕の気を引くには
   充分すぎるほどのウェディングベール。

   悪戯な笑みを浮かべるアンネの姿に
   苦笑いを浮かべていた僕の表情は
   きっと明るいままだったはずだ。

   彼女の手に包まれる僕の手は
   不思議と熱を帯びていくような感覚がする。
   それはまるで、暗闇に火が灯るように。



(-23) 西 2022/02/13(Sun) 22:32:42

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   「じゃあ、僕の秘密をもっと明かしたら
    そしたらもっと...君と話していられるのかい?」


   
(-24) 西 2022/02/13(Sun) 22:33:27

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   上乗せされるわがままへの答えはイエス。
   仕返しだと悪戯な笑みを浮かべて
   彼女が振ってくれる話題に答え始めるのだ。

   と言っても普段やってる事は演奏ぐらいで
   好きな物が実はチョコレートだったりと
   話題性のなさに我ながら情けないと思うのだが。



(-25) 西 2022/02/13(Sun) 22:35:35

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   話し始めれば話題は無限に湧くが時間は有限だ。
   終わりは僕の逃避行が終わりを告げたと同時。

   「エド」と、こちらに手を振る両親に
   今行くよと答えれば、途端に名残惜しさが募る。

   しかし今度ばかりはわがままも言えずに
   アンネとはその日は別れることになったのだろう。


(-26) 西 2022/02/13(Sun) 22:36:45

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ



   しかし別れ際、君にだけわかるように重ねた手は
   両親に見えないように二人の身体で隠す。

   それからアンネの指先に自身の指先を合わせると



(-27) 西 2022/02/13(Sun) 22:38:59

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   「ねぇ。アンネ。
    君の為だけに、僕はまた病院ここへ来るよ。

    そしたら、今日の話の続きをしよう。」



(-28) 西 2022/02/13(Sun) 22:41:43

【秘】 ピアニスト イングラハム → 患者 アンネロズ




   それは僕から再度重ねた、わがままだった。**


(-29) 西 2022/02/13(Sun) 22:42:19
 




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