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人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 路地の花 フィオレ → 幕の中で イレネオ

「っ、!」

口内を堪能するような時間は与えられず、女の細い首はその手に捕えられて。再びこの地に縫い付けられる。
ギリ、と締め上げられて。首に回していた腕で、あなたの片腕を握って離させようとする。
女の腕力だ、敵いっこない。

この口付けは、咄嗟に思い付いたものだ。
故に、何かを仕込む余裕などなかったのだが。あなたを疑心暗鬼にさせたならそれで十分仕事を果たせたと言える。


打って変わって、あなたの下の彼女は苦しげに顔を歪ませている。
結局のところは引き剥がせなかったわけだから、形勢逆転とまではいかなかった。
(-81) otomizu 2023/09/28(Thu) 11:21:47

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

その名前にも男が揺れることはない。
信じている。警察を、正義を、善性を、彼のマフィアへの嫌悪を信じている。

信じているのだ。純粋に。この行為が真実正しいものであると信じている。
だから止まらない。止まらなかった。

刃の冷たさを内側に感じたはずだ。
ついで熱の感覚に近い痛みが襲う。
それは男が貴方に与えるもののはずだった。
緊張した身体に油断していた。緊張しているからこそ、抵抗はぎこちなくなるものだと思い込んでいたのだ。

(-82) rik_kr 2023/09/28(Thu) 11:22:20

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

どん。
衝撃を感じたのはこちら。
反射的に視線をやればかち合った。きっと貴方の瞳は激しく反抗に燃えて、それを裏付けるように歯を剥き出しにする。それで怯んだとは言いたくないが、見た事のない表情に一瞬動きが止まった。
がち。
骨と歯がぶつかる音。昨日も聞いた音・・・・・・・
まずい、と思ったのはそれも反射だ。

髪を掴んだ左手を引き倒すように横に振った。
薬を飲んでいるとはいえ負荷がかかる。親指の軋む痛みに顔を顰めたが構わない。右まで奪われるのはまずい。
そうしてその抵抗が叶うなら。
貴方は男ごと床に倒れ込むことになるはず。急激に揺らされた頭はくらりと遠のくはず。隙ができるならばそのまま、動きを封じるように腕を固めようとするが。
(-83) rik_kr 2023/09/28(Thu) 11:22:29

【秘】 幕の中で イレネオ → アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

「違う」

何が? 以前もこうなった。


「違う!」

ならば否定しなければならない。
堂々と。理路整然と、正しく。これは正義なのだから。


「如何なる手段を持ってしても聞き出せと命令だ」

吠える。
自分の頭で考えた、わけではない。


「したくてしているわけじゃない」

吠える。その嘲笑を掻き消したい。
どうあれ事実は事実であるのに。


「大体」「お前たちが」
お前たちが何もしなければ・・・・・・・・・・・・
こんなことにはならなかった・・・・・・・・・・・・・!」


吠える犬は噛まないBarking dogs seldom bite.。ならこの男は犬以下である。
貴方の口に手が伸びた。せせら笑う舌に向かって。閉じないなら引き掴んでやると。

他責の正義。
調和でも融和でもない排除の正義。
白と黒の黒を徹底的に焼き尽くす愚直な暴力。
男の手の中にあるのはどこまで行ってもそれだけだ。
(-84) rik_kr 2023/09/28(Thu) 11:59:27

【秘】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオ

「どんな命令があったって
 誰の命令だって
 "いかなる手段も"合法になるわけねェだろ!
 法律ってのはそういうもんじゃねエんだよ、
 それが通るならマフィアだって必要悪とか言えちゃうだろ。
 そういうバカな言い訳を封じるためのモンが法律だろうが」

げらげらとした笑い声はますます大きく、
煽るように高鳴るばかり。

「何をしてどうなったかちゃんと言えよおめェ!
 ほんとにわかってやって──」

伸びた手を避けることも無く、ぐにり、と筋肉の束をひっつかまれて。

「……へ、へ、へ。」

舌を掴まれても笑えるぞ、と。
口の端をぐにい、とゆがめた。
(-85) gt 2023/09/28(Thu) 12:08:51

【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ

ぐらん、と。
貴方の頭が傾ぐのが見えた。見えただけ。
避けるに間に合わぬ近い距離。ごん、鈍い音と共に脳が揺れる。

「ッ​────」

勢いはそうなかったはずだが頭骨は硬い。それは怯ませるには、かつ貴方の反撃の意志を伝えるには充分なものだった。
次いで蹴飛ばす足も入る・・。ずぐ、と男の硬い肉を、貴方は膝か脛かに感じたはずだ。しかしだからこそわかるだろう。
命中したわけではない。


男は目が良かった・・・・
外している時の方が良い・・のだ。だから、反応が遅れることもなかった。完全な一撃として食らう直前、距離を取って避ける。

チ、と舌打ちが聞こえた。
一転、表情に不機嫌の影が差す。
(-88) rik_kr 2023/09/28(Thu) 13:40:14

【秘】 法の下に イレネオ → 路地の花 フィオレ

くそ・・女、とは言わなかった。
それなりの自制、それなりの理性、それなりの当然の善性は、男にもあった。
この時は、まだ。


焦りで鼓動が逸る。それで思考が鈍くなり、貴方の首を押し付けるようにする力ばかり強くなる。はっと下を見れば酷く歪んだ顔があって、男はそれにも動揺した。動揺した自分に、それを催させた貴方にまた苛立ちが募った。
舌打ちがひとつ飛ぶ。ままならない思考とこの行為に対して。伴って男は貴方の上から退き、同時にその半身を蹴り飛ばした。
八つ当たりだ。

貴方の身体が再び砂利を擦って転がるだろう。壁にでもぶち当たればどこかしらが切れるかもしれない。しかしむしろそれを利用して、距離をとって立ち上がろうとすることは不可能ではない。かもしれない。
(-95) rik_kr 2023/09/28(Thu) 14:48:28

【秘】 幕の中で イレネオ → アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

「マフィアが必要悪なわけがあるか」
お前たち・・・・が必要悪なわけがあるか」


へらへらと笑う表情が嫌いだ。
楽しげに全て奪ったお前たちが嫌いだ。
それは骨の髄に染み付いた偏見からくる嫌悪だ。


「​────アルバ・・・を亡くしたのはお前たちだろうが!」


笑う度にかかる息が、挟んだ指の間で震える濡れた肉が、自分と同じ温度が、不快だ。
見縊って笑う横面に拳を叩き込みにかかる。憤怒の衝動にかまけた渾身の一撃。成功すれば貴方は音を立てて転がってくれるか。その体躯に対しこの力ではまだ足りないか。少なくとも舌を噛むくらいはするだろう。

「黄昏抗争で何人が死んだ」
「アルバからの提案がなければ更に何人殺した?」
「お前たちの切った舵で警察との関係は悪化した」
「そうじゃなきゃこんな法案が施行される必要もなかっただろうなあ!」


椅子を立ち上がって回り込むのすら面倒で押し除ける。ぎぎぃ、摩擦で軋むような音が鳴った。
────イレネオ・デ・マリアは、
ノッテファミリー・・・・・・・・
が嫌いだ。
(-98) rik_kr 2023/09/28(Thu) 17:19:17

【秘】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオ

がじゃあん、と派手な音をたてて椅子ごと床に転がり、倒れる。
ぺ、と吐き出した唾には赤いものが混じっていて、舌か何かを切ったようだ──だが。

「……げほ。……はぁ?」

そんな痛みや衝撃よりも、きょとん、とした顔。

「アルバってお前…ジジイの代の話だろ。
 確かアルバの残党はノッテが吸収したらしいが、
 知らんよそんなの」
「つうか、あれなの?
 アルバならよかった・・・・・・・・・なんて、完全に『マフィアでもやってることによっちゃ必要悪』って話だろ。
 それは」
「……当時のアルバとノッテのやってることの違い、分かってる?
 時代背景との相関性とか〜……」

うーん、と考えるように転んだままで目をさ迷わせて。

「いや、そういうこっちゃないか。
 黄昏抗争なんて今時、学校で習うのか?
 それともネット・サーフィンしてて見つけたのか。
 お前あれだな。そんなに叩いていいモノが欲しかったんだなあ。そんなに殴っていいものが欲しかったのか。
 それは昔から? ママにしつけられたからか? 学生時代は殴るモノがなくてベッドの中でシコるくらいしか暴力衝動を発散できなかったのか?
 じゃ〜〜お前、俺に感謝すべきじゃねえのか。
 
法案通してやった
んだから」

わはは、と。血が混じった声で、笑った。
(-99) gt 2023/09/28(Thu) 17:51:51

【秘】 幕の中で イレネオ → アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

そうだよ・・・・
「ジジイの代の話だ」「俺の爺さんはアルバのソルジャーだった」
アルバこそ必要悪だったアルバなら上手くやってた
ノッテお前たちがバランスを崩した!」


不自然なまでの怒りで声は震えていた。嘲りに、侮りに、謗りに返す言葉は既になく、ただ貴方を黙らせようとするだけ。どうにかして抑えつけようとして、それが出来ずに手段だった暴力が目的化していく。起き上がらないのをいいことに胸元を蹴りつける。反撃がなされないのをいいことに腹を踏み付ける。足りない。
足りない。


秘密というほど隠す意思があるわけではない。
正体というほど裏表があるわけではない。
それでも、男の中にそう呼べるものがあるなら、そこだった。

50年の昔、この国に存在したもうひとつのマフィア。
アルバファミリーの忠犬。
その末裔。


足りない、と踏み込んだ足とともに言葉は吐き出されたのかもしれない。それなら一層、その声は大きく届いたはずだ。
肩で息をした男はそれを聞いて一際大きく吸い込み、唸るような問いを呼気に乗せる。

「法案だと?」
「裏切ったのか? お前」「ノッテ身内を?」
マフィアを名乗っておいて・・・・・・・・・・・・?」

「風上にも置けない……」
(-107) rik_kr 2023/09/28(Thu) 20:18:20

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ

貴方が距離を取ったのが見える。
頭突きのせいで此方まで脳が揺れたが、誤差だ。

「っつぅ…浅かったか。」

息を切らしながら身を起こして
袖で唇を拭う。

「薬で動けないからって好き勝手にしやがって……
これは立派な犯罪だぞ。分かってんのか?
躍起になって検挙しようとしているマフィアと変わらねえ。
いい加減に無意味だって気付けよ。」

如何に薬そのものがシンプルで副作用がないものだとしても
個人の体に掛かる負担は別問題だ。

少しは落ち着いたが、くらくらするのは変わりない。
しかしこれ以上手を出せば、
今度は抵抗するという意思を見せるだろう。
(-111) ぴんじぃ 2023/09/28(Thu) 20:49:50

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



別に、名を出したのは揺れることに期待した訳じゃあない。
ただ少し、思うことがあったからこそ告げただけ。
その意図が伝わらないなら結局、そこまでなんだ。

だから、
止まらないというのはまぁ──やはり予想通りの事だった。

刃の冷たさを内に感じた時、
僅かにも跳ねるように震えたのは嘘じゃない。

それもきっと、抵抗への油断を誘うもので。


(-112) sinorit 2023/09/28(Thu) 20:55:47

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



人間の歯というのはそれなりに武器になるらしい。
加減もなく噛み付けば、歯が骨にぶつかる音が脳に響く。

しかし、それもほんの一瞬のこと──にするはずだった。
何も噛み切ろうという訳ではないのだ、この男は。
ただ、今の行為を止められるならそれで、良かった。

次の思考をするよりも早く、脳がぐらりと揺らされる。
男のは小さな呻きとともに君の腕から離れ、
今度は抵抗もなく、抵抗する間もなく君ごと床に倒れ込む。

男は、脳が揺れた事は勿論、
倒れた衝撃で右手に走る痛みにまた僅かに呻きを零す。

それは明確な隙だ、
腕を固めることなど容易すぎる隙だった。

痛みには、慣れている。
我慢することなら、いくらだって出来る。

だとして、それが痛くはないという話にはならない。
苦痛に顔を歪める代わりに男が零したのは──。


「………………………ははッ」
 
(-113) sinorit 2023/09/28(Thu) 20:56:49

【秘】 路地の花 フィオレ → 幕の中で イレネオ

首がギリギリと、強く強く締め上げられる。
息が出来ない。視界が歪んで、腕を剥がそうと掴む手から力が抜けそうになるのを何とか気力で堪える。
舌打ち一つ、耳に入ったかと思えば。
空気が入り込んでくる。気道が塞がれ続けていたせいで、異物が入ってくるような感覚に咳き込んで。

ガッ!!


それも長くは、許されない。
蹴り飛ばされた体は、砂利の散らばる石畳を勢いづけて転がっていく。
尖った石が肌を傷つけ、白い肌に小さな赤い花を咲かせる。

壁に背中をぶつけ、今度は身体を丸め大きく咳き込んだ。
痛みと、苦しみとで表情は歪んだまま。
あなたの方に、顔を向ける。

「っ、けほ……は、……」

苛立ちを見せるあなたに、女が笑みを浮かべてみせたようにみえたかもしれない。
(-117) otomizu 2023/09/28(Thu) 21:50:08

【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ

「犯罪者がまともぶる・・なよ。」

たたん。靴底の音。

「躍起にならざるを得ないだろう。何度同じ説明をさせる。」

たたん。苛立ちの音。

「強引にでもしなければ後手に回る。」
「お前たちは嘘と隠し事だけは上手いからな。」

たたん。たん。
鳴らしながら貴方の様子を伺う。ふらついている。警戒している。
けれど難しい相手ではないな、と思った。それは半分事実であって、半分は状況も含めての侮りだ。
息を吐く。溜息のようだったろう。貴方への哀れみだ。

「自白剤がなかったのは不運でしたね。」
「続けます。座ってください。」

取った距離を一歩で詰めて、足首目掛けて蹴りが飛ぶ。
(-122) rik_kr 2023/09/28(Thu) 22:13:47

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ

「犯罪者はお前だろ、イレネオ。
一体何人をそうやって問い詰めて拷問して来た。」

靴底の鳴る音が聞こえる。

「お前らが正しく尋問していれば
何度も説明する事なんてないんだよ。一度で済むかもな。」

ああ、苛立っている。

「一理はあるが、正論とはとても言えねえよ。
自白剤や拷問で引き出した言葉なんて、それこそ嘘だ。」

違うか?と笑う。

此方も、貴方の様子を伺っていた。
警察に属する以上、最低限の体術は身に着けている。
主に護身用ではあるけれど。

足首を狙った蹴りは
数歩後ろへ下がる事で位置をずらして避けるだろう。
これ以上貴方が手を出すならば、反撃の構えをしながら。

「拷問に付き合う趣味はねえよ。
話す事もねえけどな。」
(-125) ぴんじぃ 2023/09/28(Thu) 22:38:42

【秘】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオ

何度も殴りつけられながら、哄笑がやむことはない。
いや、殴りつけられれば途切れ咳き込むが、
それが収まるたびにまた吹き上がる。
押さえても抑えても溢れる泉のように、
沸騰し沸き立つ泡のように、
ぼこぼこと音を立てて。

「やっぱお前、マフィア向きだな」
「うまくやってけるぜ、なあ」

──にぃ、と笑い。

「ただ、お前の爺さんはダメ・・だな」
「あの抗争で死んでねぇし、
 ノッテに迎えいれられてもねえんだろ?」

    そりゃあどういうことだ、と。

「じゃあ、そのジジイは
最後まで戦わなかった
んだな。
 そしてその後戦うこともせず、
 ノッテの陰口を孫に吹き込み、家族と自慰オナニーするしかなかった、

 お前のジジイは情けねえ落ちこぼれだな!!
 お前が見返してやれよ、なあ!」
(-129) gt 2023/09/28(Thu) 22:48:52

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

そこで止めるべきだった止めてもよかった
制圧したいだけならそれでいいはずだった。
貴方が知っているこの男はそういう男だったはずだ。

間接に負荷がかかる。可動域とは真逆に向けて体重をかけられる。当然苦痛の伴うそれは、貴方の喉から呻き声を漏らさせもするだろう。

めり。


なまじ真っ直ぐに硬い部位ではないがために一撃でとはいかず、逃げないのであれば貴方はそれなりの時間苦痛に呻くことになる。ゆっくり、ゆっくりと断裂していく感触が伝わったかもしれない。

めり。り。


男は声を発さない。ただまだ少し荒いままの息を繰り返して、煮えた瞳で貴方を見つめている。
貴方を屈服させることだけを一意に考えている。やはりこんな仕事には向いていないことが明らかだ。

めり。 めり、
めき。


それでも。
それでもなお抵抗しないなら、いつかその腕も自然な反発すらなくすはずだ。だらりと左腕が垂れ下がれば、男はようやく安心したように息を吐いた。
(-144) rik_kr 2023/09/29(Fri) 0:47:24

【秘】 法の下に イレネオ → 路地の花 フィオレ

再び踏みつけにしようとした足はそのまま地に降ろされ土を蹴った。それは子どもの癇癪じみた仕草だった。
二度もあんな気色の悪い声を聴かされるのはごめんだ。

けれど男は子どもではないから、続く動作には悪意が込められて遊び・・がない。

裏路地の砂ぼこりが巻き上げられてぱらぱらと貴方の顔やら身体に降り注いだろう。荒く息をした口にも僅かに入り込んだかもしれない。浅い青の瞳に触れそうで咄嗟に瞑ったかもしれない。
男はその隙を狙う。

ざり。体重の位置を僅かに変える音。そのすぐ後。

丸まった腹を目掛けて蹴りが飛んだ。上手くいけば薄い腹に深く入るはずで。
加えて再び弾かれた身体はまり・・のように弾むはず。

「盛ったか?」
「何か。」

この国じゃサッカーは人気のスポーツだ。
蹴飛ばす以外に同じところはなく、全く愉快にはなれなかった。
(-146) rik_kr 2023/09/29(Fri) 1:10:45

【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ

よくよく素直な男だった。分かりやすい男だ。
犯罪者と声をかけられればあからさまに表情を変えたろう。顔を顰める。眉間に皺が寄る。

「拷問じゃない。」
「仕事です。」

詭弁だ。
物分かりが悪い人間の相手をしている。そういう億劫さでやれやれと首を振る。蹴りが避けられればまた口の端を引き攣らせた。たたん。落ちた靴底が音を鳴らす。

ガードが邪魔だ。
ならばそこを砕こうか。
次には左腕が貴方の腕を上から、同時に右膝は下から。上下方向からの勢いで骨に衝撃を食わせようと。

抵抗せずともこの暴力が止むことはなく、
抵抗すればなお止むことはない。
障害があれば人は乗り越えようとするもので、
男は殊更、そういう時に周りが見えなくなるたちだった。
目的がずれていく。
(-149) rik_kr 2023/09/29(Fri) 1:29:08

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ

「よく言うぜ。」

顔を顰めて
それでも仕事だと言い切る貴方。
男は今度は避けなかった。

貴方の左腕と右膝が、利き腕である右腕を捉える。
ミシ、と嫌な音を立てたのに呻き声を漏らしながら
けれどこの状態ならば、貴方は避けられまい。

「これのどこが、拷問じゃないって言うんだ?」

相手の腕をへし折ろうとするその行動。
どう見たって、尋問の仕事ではないだろう、と。

目を覚ませ、と言わんばかりに
貴方の頬へ、左手の拳を振るうだろう。
(-152) ぴんじぃ 2023/09/29(Fri) 1:53:13

【秘】 幕の中で イレネオ → アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡

がちん。

それは男が自分の歯を打ち鳴らした音。噛み締めるだけでは足りずに、威嚇でもするように強く噛み合わせた音だ。
音を立てて沸騰するのは貴方の笑いだけではない。高温でぐらぐらと煮立っているのはこれもそうだった。比にならない怒り。不快や不愉快では片付かない圧倒的な憤怒。激情。心火が理性を薪にして燃え上がる。

ばきん。


横面を蹴飛ばした。
貴方が避けないなら、の話。


だん。


心臓の上を踏みにじる。
それも避けないなら、の話。


衝動的に、酷く冷静に、机の上に放ったペンを引っ掴んだ。
それも邪魔されないなら、の話だ。


「爺さんはな」「逃げてない」
「お前たちに愛想を尽かしたんだよ」

長身が遮る室内灯。
逆光の中でも歪んだ表情はよく見える。
貴方が結局そのままでいるのなら、男はそのまま馬乗りに体重を掛けるのだ。ウェイトではそちらに分があるのだから、この行動はやはり賢いとは言えない。
(-154) rik_kr 2023/09/29(Fri) 1:54:48

【秘】 路地の花 フィオレ → 幕の中で イレネオ

げほ、げほ、と咳き込んでいれば。
少しだけの間を置いて、砂埃が女を襲う。
口の中がざらつき、目に入らぬよう瞑った目を両腕でかばって。
あなたの思惑通り、大きな隙が出来る。

が、っ!
う……ぐぇ……っ」

靴先が、女の腹に突き刺さる。
一瞬浮いた体は、もう一度壁に思い切りぶつけられて。
再び地に落ちた。まるでボールのような扱いだ。
膝で圧迫されていた時とは比べ物にならないくらい、抉るような衝撃が内臓を襲って。
その場に胃の中のものが吐き出される。
つんとした匂いが鼻を刺激して、口の中がきもちわるい。

その衝撃で、ポケットから
注射器
が転がり落ちる。
中身こそ空になっているが、使用された形跡のあるもの。
疑心暗鬼になっているあなたは、これをどう取るだろうか。

「っ、ぐ……あ、は」
「どう、おも、う?」

青い顔で、しかし。
負けるわけには、いかなかったものだから。
(-157) otomizu 2023/09/29(Fri) 2:05:05

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



「………ぅ、ぐ………は…はは…………ッ」

止まることなく感じる負荷に、やはり笑いは途絶えない。
呻きもあれど、この取調室に響く声は
そちら
が多めだ。

「あは…、………は、ぁッ…………は、」

まずは、ずり、と床に顔を擦ろうが、
男は君に顔を見せぬよう煮えた瞳から視線を逸らす。

「な、ぁ……イレ…ネオ……………君、たのし……かぁ?」

そうして、声を発さぬ君とは反対に、問う。
問いかける。既に制圧は完了しているはずの人間に、
こう
することは楽しいのかと問うている。

「いや、…な、に………つい、口が滑って、な……ァ、」

痛みに藻掻くように指先を跳ねさせながらも語り続け、

「わる………か、…………ふ、……はぁ、はッ」

荒い呼吸で体を上下させながら、
抵抗もなく、その行いを
受け入れ続けた


(-160) sinorit 2023/09/29(Fri) 2:26:40

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



「…………
゛」


日常ではあまり聞かない音とともに漏れた声は、
より一層強く跳ねた指先とともに静かさを君に届けるが…。

それでも尚、「ふ、」と笑う声が聞こえるのだから
君は、この男がまだ落ちていないのだと理解出来る。

痛みには、慣れている。
だけどやっぱり、痛みがない訳ではない。

叫びそうになった声は口内に広がる血とともに飲み込んで、
長い苦痛で生理的に零れかけた涙は、
逸らした視線のまま目を閉じることでせき止めた。

だからきっと、安心するように
吐かれた息はより強く感じられたのだろう。
(-161) sinorit 2023/09/29(Fri) 2:30:47

【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロ

押し問答だ。
貴方は正しい。けれど男は肯わない。
その言葉をあくまで否定する。男にとって、これは正義の行いだった。

正当な手続きを踏んでいる・・・・・・・・・・・・。」

その通り、踏んでいる。
机の上の書類こそその証拠。貴方の名前とその嫌疑、何をもってしても自供させよと令の刻まれたその紙面。
これは男の勝手な判断ではなく、
趣味や高揚を得る手段でもなく、
飼い主に下賜された仕事だった。

男の骨の抵抗。それがぐいと引き攣って僅かに薄れる感触。治る傷だ・・・・問題ない・・・・
けれど、だからこそほぼ同時。ほんの少しだけの時差での攻撃は避けきれず。
右頬に攻撃を食らえばぐるん! と顔が横向いた。ぐら、と視界が揺れてたたらを踏んだ。追撃がないのならそれは運よく踏み込みに変わるだろうか。必然的に低い姿勢、下から顎を狙って肘を振り上げる。命中すれば、そちらの視界もまっすぐなままではいられない。
(-162) rik_kr 2023/09/29(Fri) 2:37:59

【秘】 法の下に イレネオ → 路地の花 フィオレ

びちゃ。

きっとそういう音。濡れた音が地面に散った。
同時にすえた臭いが立ち上り、男は厭うように距離を取ったろう。誰だって汚物で衣服が汚れるのは嫌だ。

────それでもきっと、
ここにいたのが貴方ではなく一般市民であれば、
迷いなく助け起こそうとしたはずだ。


潰れた蛙のような声を上げて身を震わせる貴方を、視線で見下して男は眺めていた。
月色の目を丸くして見ていた。そうしてひとつ、静かに息を吐いた。ぱち、ぱち。瞬きは油断の合図であり、転換の印。

一度目の暗転の後、瞳はまだ貴方を見ていた。
二度目の明転の後、瞳は転がる注射器に向いた。

男が手を伸ばす。貴方が奪い取らないのであればそれを拾い上げるだろう。しゃがみこんで、針先を見つめて。

「使ったのか?」

誰に、と言わなかった。
むしろそれは、自分ではないと確信した落ち着きだ。
逸っていた鼓動は今は収まっている。体温の上昇や低下、発汗等もない。それに針を刺された感覚はなかったし、液状なら──思い出したくもないが──口づけで仕込むのも不可能だろう。
だからこそ。
だからこそ問う。

無辜の民を犠牲にしたかと問う。答えの見えた問いだ。
見えているから、畳みかけて問い質す準備は出来ている。
(-163) rik_kr 2023/09/29(Fri) 2:55:48

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ

「だったらその飼い主がクソって、事だな…っぐ…
この場合は、署長代理殿か?」

腕が軋む。
骨が、筋が圧迫で押しつぶされ、嫌な音がした。
同時に拳で感じる、確かな感触。

「あ、がッ…!」

そして次の瞬間には、貴方の肘が顎を撃ち抜いて
自分の脳が揺らされていた。

同じように、たたらを踏んで
一歩、二歩と下がり、首を横に振る。
お互いにほんの僅かな隙となる、かもしれない。

「そんなくそ野郎に従ってたら
お前だけじゃねえ。家族も大事な奴も何もかも。
全て地の底へと落とされることになるぞ。」

言葉を紡ぎながら
次の一手へと構える。

顎を打ち据えた貴方の肘を狙って、蹴りを一つ見舞おうと。
足を振り上げた。
(-164) ぴんじぃ 2023/09/29(Fri) 2:56:57

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

楽しいか、と問うたなら。
かかる力は強くなったことだろう。それは男にとって侮辱だった。
暴力を好む野蛮人。そう評されることを、男は好まない。
だから一層静かになった。
淡々と、粛々と、機械のように。貴方の身体を、悪いとも思わず痛めつけて。

そうして一際大きくなった声に嘆息した後、
男は、その頭に手を伸ばした。

金糸の髪に指を通す。
その下の頭皮に指を添わせる。無理矢理こちらを向けと首を回させる。
青い瞳は未だ閉じているだろうか。
閉じているならそれを無理矢理開かせることはしなかった。
男は自身の欲求を知覚していない。

浅い金色。月の色に似た瞳が、やや遠巻いて貴方のかんばせを眺めてから。

「楽しいわけがないでしょう。」

さて。
そう言った男は、どんな顔をしていただろう。
(-165) rik_kr 2023/09/29(Fri) 3:10:21

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



意識を落としてしまえたなら、楽だったんだろう。
しかしそうならないからまだ続く。
しかし抵抗する気力もないほどに、弱っているのは確かだ。


目を閉じ、顔を逸らす男では伸ばされる手に気付けない。
最も気付いていたとしてもその手を避けることはなかった。
君の指先が己の髪に触れ、頭皮を添い、
君に与えるのは、熱や苦痛による汗ばんだその感触で。

無理やりに向かされるその行いまでを感じてから
閉じていた海にも似た翠眼を僅かに開いて。

「………そうか」

たった一言。どんな表情であれその一言だけを返し、
汗に濡れる額を、張り付いた髪を、火照る頬を、
涙の滲む瞳を、唾液に濡れた唇を君に向け、
小さく吐息を零しながら緩やかに、微笑んでみせるのだ。

苦痛に歪む顔など、そこにはない。
ただぼんやりと両手が自由でない不便さと、
君の表情についてだけを考えている。

そうして再び、どこか気怠そうにも見える緩慢さで
もう一度、翠を閉じていこうとする。

ここに君が望む答えはない。
あるのは無駄な時間と、意味のない暴力だけだ。
答えられることなど何もない男は、ただ、笑っている。
(-171) sinorit 2023/09/29(Fri) 7:20:03
 


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