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【人】 軍医 ルーク[ 耳を撫でる指から伝わるあたたかで柔らかな感触。 自分もいつもよりもずっと、 柔らかな表情をしていたことには気付かない。 少しいいかなと指を伸ばされ、驚いてぱちりと瞬き一つ、 こくりと小さく頷いた。 頭の上の白い耳に、左手の指が触れる。 ひとに触られるどころか、 フードの外に出ることも慣れていない耳は、 擽ったさにぴくりと動き、 ひゃ、と思わず声が出て、 背中の後ろで、尻尾がぶわりと膨らむ。] ……嫌じゃないけど、慣れてない。 [ 指が離れる前に引き留めるように、 咄嗟に言い訳みたいな声が出たのはどうしてか。] (56) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:32:22 |
【人】 軍医 ルーク[ このうさぎの方は 耳に触れられることもあったみたいだけど――と、 以前医務室に彼の部下たちが、 見舞いに来ていた時のことを思い出す。>>0:280 楽し気な歓談の声を、 聞くともなしに遠くで聞いていたときのこと。 いまにして遡れば、そのときの自分が何を感じていたのかも 朧気に分かってくるようで、 あー、と呻きそうになった。 けれど、触れられているうちに、 耳と尻尾は落ち着きを取り戻し、耳の震えも止まり、 長い尾は、背の後ろで心地よさそうに揺れ始める。 こうして触れていられる今は、 足を踏み外せば、真っ黒な穴に吸い込まれて 落ちてゆきそうな不安と背中合わせで、 けれど、どうしようもないほどに、大切で。 ――確かめるように、触れていた。] (57) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:33:40 |
【人】 軍医 ルーク[ タブレットを取り出せば、彼は驚いたような顔をする。 相手が自分だということには、 気づかれていたのか、いないのか。 少なくとも自分が日記の主の正体を『知っていた』ことは 想定外だったようで、 穴でもあったら潜りたいような顔をしている。 ……うさぎってそういうところあるよね、と、 きつねの習性を棚に上げて思ったりもして。] ひとつ、教えてやろうか。 君は自分で思ってるより隠し事が下手。 [ それに、きっとそれだけではなくて。] (58) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:34:17 |
【人】 軍医 ルーク でも、他の誰かだったら、 きっとわたしは気付かなかった。 君の日記だったからだ。 [ もし誰か他の物が書き記した文章を 目にする機会があったとしても、 それが誰のものかなんて、分からなかったに違いない。 見張りに見つかった話をすれば、 この期に及んで此方のことばかり心配する彼に、 もどかしいような、それでいて暖かな感覚がある。] (59) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:34:48 |
【人】 軍医 ルーク[ 自分の書いたものを自分の前で読まれるというのは、 気恥ずかしさ、というのを感じるものだろうか。 頬のあたりが熱を持っていて、 下ろした指が自然と握り込まれているのは、 もしかしたら、そうなのかもしれないけれど。 それでも、伝えたいという気持ちが勝った。 ――“いなくなること”への怖れ。 自分がそれに気づいたのは、 表現の端々が気にかかったからではあるけれど。 この日記の主が彼であることが分かったとき、 強い確信に変わった。 通信機を探しに行った時のこと。 記憶を取り戻すことへの不安がにじむ口調、>>1:314 通信機を見つけ出したときの、 いつもとは明らかに違っていた様子。 そういったものを、はっきりと覚えていたから。 だから、やはり、 この日記を書いていたのが彼だったから、 自分は気付いたのだろう。] (60) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:36:10 |
【人】 軍医 ルーク[ 離れたくないと、手をとっていたいと、そう願いながら、 ざわりと騒がしくざわめく空洞は、 彼のことを“心配”してのものであったけれど、 それだけではない不安が、片隅にある。 拒絶への怖れ、そう名付けられるものだろう。 それでも、手を伸ばすのをやめることは考えられない。 拒まれることの痛みなど、 何もできずに手を離してしまうことに比べれば、 比較にもならずに押さえつけられる。 それでも、“もう君も、僕からは、”と、 告げられかけた言葉の続きを察せば、紫の目が揺れる。 泣きそうな顔で、何度も口にしようとする彼に、 吐息が喉の奥で、引き攣れるような音を立てた。 ――… きっと、その先を口にしようとしているのは、 身を案じてくれて、いるからなのだろう。 そのような顔をさせてしまっていることへの辛さ、 拒絶への怖れ、 そして、その言葉が最後まで聞こえなかったことへの ――“嬉しさ” そのようなものたちが、ぐちゃぐちゃになって、 指で触れて名前を付けるのが、追いつかない。] (61) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:38:28 |
【人】 軍医 ルーク[ タブレットに、最後まで文字を綴り終えて。 離すまいと抱きしめながら、 背に回される、手の感触を感じる。 まるで泣く子供をあやすように優しく撫でていた手に、 不意に力が篭り、強く抱きすくめられる。 白い尻尾が、ふるりと跳ねる。 涙が、止まらない。 強く、強く、力を籠める。 わたしは、強くはない。 行かないでと、自分の心をぶつけながら、 それでも、縋るだけの両手にはなりたくなかった。 この心と体のすべてで、 出来ることがあるなら何でもしたいと、 願いと決意を込めて、腕に力を込めている。 ――鼓動の音がする。] (62) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:39:09 |
【人】 軍医 ルーク離れて、と、 言わないでいてくれて、嬉しかった。 分かってるんだ、 どうしてそう言おうとしていたかは。 それでも、わたしは、 そう言わないでいてくれて嬉しかった。 [ 一緒にいてくれるなら、それが一番いいと、 言葉にしてくれたことが。 いつの間にかこんなにも、彼が特別な存在になっていた。 それでも思い返せば――そう。] いつからかな、 ……うん、最初から。 自分のことなんか気にしようとしない君を見てた。 ひとの輪の中にいながら、 皆が笑うのを見ていながら、 どこか、自分のことを度外視してるみたいに見えて。 きっと、怒っていて。 心配、していたのだと思う。 ……でも、いまは、それだけじゃない。 [ 検査のことも、治療のことも、誰が患者であったとしても 同じことを主張していたはずだけれど。 それでも、そのような思考とは別の所で、 自分の中で何かが動き始めていた。] (63) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:41:02 |
【人】 軍医 ルークわたしのことも、 聞きたいと言ってくれて、ありがとう。 でも、いまは、 君の話を聞かせてほしい。 [ 誰にも話せずにいた話。 それは翻って、その話の重さを物語る。 誰かに話すには重すぎるなら、ひとりで抱えるのは尚更だ。 日記の返事にも幾度も書いたように、 自分の望みは、彼が抱えているものに、 立ち向かわなければならないものに、 “一緒に”立ち向かうことだから。] (64) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:42:07 |
【人】 軍医 ルーク[ ――それでも、 堰き止められていた水が溢れ出すように語られた言葉に、 これ以上ないほどはっきりと突きつけられる現実に、 恐怖に、目の前が暗くなる。 “全て思い出した時、僕は僕で居られるのか” 時間がないというその言葉は、 本当に、その通りだったのだろう。 次に眠れば、もう次はないかもしれない。 そうして目を覚まそうとしていたとしても、 人はいつまでも眠らずにはいられない。 顔を上げて顔の様子を見れば、 やはり、もう既に長いこと眠っていないことが分かる。 けれど、いま一番不安なのは誰なのかを思うなら、 泣き崩れてしまいそうになる全身を励まして、 必死にその話に耳を傾ける。] ……黙っていたことがある。 [ 流れ落ちた涙をぬぐうこともなく、 自分もまた、顔を上げる。 この話をすることには、躊躇いもあった。 突きつけてよいものか、分からなかったからだ。 けれど、何も分からず不安定な場所にいるだけでは、 次に踏み出すことも出来ない。] (65) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:43:27 |
【人】 軍医 ルーク通信機を探しに行ったときのこと。 君は頭痛の後に、通信機を見つけてくれた。 そのとき君は、 通信機が機獣のどの部位に格納されているか、 どちらに飛んだか、 知っている口調で、話をしてた。 この話は、誰にもしなかったから、 まだ、基地には知ってる者はいないけれど。 ……きっと、その頭痛はそういうことなのだと思う。 その暫く後、検査に携わる者に 総司令からの通達があった。 頭痛は記憶の兆候だろうと。 [ それは、不安を現実にしてしまう、 そういった情報でもあっただろう。 けれど、それだけでは終わらせず、続きを口にする。] (66) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:45:08 |
【人】 軍医 ルーク過去の君の記憶が、今に追いつこうとしているとして。 それが夢という形で、見えているとして。 それは、君の身体に刻み込まれたものなのだろう。 でも、だとしたら、 『今の君の記憶だって、 その体に、同じくらい、刻み込まれてるはず』 わたしは、そう思う。 記憶障害の症例は個人差があるから、 はっきりしたことは言えないけれど。 君がこの基地で過ごした時間は、感じたことは、 いまの君を、形作るもののはず。 ――… 不安に違いないのに、 勝手に知ったようなことを言って、ごめん。 でも、君がここで皆を守るのを、日々を過ごすのを、 わたしは、見てた。 それに、いまは……、 わたしに向けてくれた、いくつもの言葉とか、 心を、知ってる。 (67) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:46:21 |
【人】 軍医 ルーク[ どちらが本来の彼か。 最初の記憶? 違う、それだけじゃない。 きっと、『どちらも』だ。 それは、希望的な観測かもしれない、 願いであったかもしれない。 けれど、只の気休めのつもりもない。 記憶が囁くというのなら、いま目の前にいる彼の記憶だって、 何が変わるというのだろう。] 最初の記憶が戻ったからといって、 今の記憶が泡のように消えてなくなってしまうなんて、 絶対に、思うものか。 [ 両手が包まれる。 あたたかな手、冷たく固い義手の手、 最初はきっと、守るためのものではなかったはずなのに、 皆を守り続けていた手。 使うべきではないと思っていることは、 今も変わらないけれど。 暫くの間、そうしていた。] (68) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:47:44 |
【人】 軍医 ルークそれでももし、なにかがあって。 君が寝坊してたら、たたき起こしてやろう。 あまり寝過ごすようなら、 起きたらそれはもう、 苦い物でも飲ませてやろうかな? ――… 絶対に、そのときは、 わたしがいる。 この手は離さない。 [ わたしも、と、指を動かす。 そうして、手がほどけたなら、 今度は自分がその両手を自身の手で包もう。 冷たくて、人に触れたら悲鳴をあげられてしまうような、 そんな手だ。 それでも、いまはいくらかは、熱が灯っていて、 あたためてくれた温もりがある。 両の手に強く力を込める。 向けてくれた穏やかな笑顔に、 大丈夫――と、語り掛けるように、 笑顔を、返した。] (69) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:49:38 |
【人】 軍医 ルークああ、そうだ。 時間は全くかからないから、ひとつだけ。 わたしのはなしを、伝えようかな。 [ 秘密にしているものではない。 記録を見れば、誰だって気付く。 その機会は滅多にないだろうから、 まあ、知る者はあまりいない、ということになるだろうか。 タブレットの画面を開き、指を滑らせた。]* (70) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:51:34 |
【妖】 軍医 ルーク“ルクレース” [ そんな、自分の本当の名前。 慣れた呼び方もあるだろうから、どう読んでも良いよ、と、 そんな風に、わらいながら。]* ($0) zelkova 2020/05/24(Sun) 21:53:06 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a7) zelkova 2020/05/24(Sun) 22:01:04 |
【人】 軍医 ルーク[ 言葉にするうちに、自分がどれだけ彼のことを見ていたのかを 改めて理解してしまう。 最初は当たり前のように、 自分が此処にいない方が良いと思っているに違いないと、 そんな風に考えていたけれど。>>1:236 そう言われたことは、今思えば一度だってなかったのだ。 いや、苦い薬から逃げようとはしていたけれど。 義手を使って倒れて担ぎ込まれて、目が醒めた途端、 窓から逃げようとしていたことなんかはあったけれど。 それでも、“姿が見たい”と、 そんな風に探してくれていたとは、 ほんとうに、思っていなかったものだから。] ……、 それは、物好きだと思う。 [ この期に及んでそんなひねくれたことを、 言ってしまいもする。 口ではそう言いながら、微かに綻んだ口元は、 どう見ても“嬉しそう”に見えただろうし、 背の後ろで白い尻尾がぱたり、と揺れたりも しているのだけれど。 自身の目で見てくれていたから、 噂に偏見を持つこともなく接してくれていたのだろう。] (169) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:00:28 |
【人】 軍医 ルーク君に個人的に関わろうとするなって、 念を押されたこともあるんだ。>>0:305 仕事に徹しろと。 いまにして思えば、 わたしには知らされていなかったけれど、 上の方もある程度は、 君に対しての予測や警戒があるのかもしれない。 [ “天”の向こうには何者かがいるということは、 知る者は知っている事実だ。 第二研究所には、彼女がいた――カイキリア。 最初の襲撃の際に現れた、 身元が分からず極めて戦闘能力が高い、だれか。 可能性としては、当然考えることだろう。 彼もまた、天の向こうから来たのではないか――と。 そうであるならば、治療の体面すらかなぐり捨てつつある、 実験めいた検査の理由もわかる。 到底、納得できるものではないけれど。] (170) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:01:58 |
【人】 軍医 ルーク“葬儀屋”が関わったところで、 迷惑だろうってね。 そのシロップ、ずっと作ってはいたけれど、 きっと渡せないだろうと思ってた。 でも、結局、ダメだった。 関わらないようにするなんて、出来なかった。 [ 通信機を探しに行くときに、 研究班に声をかけるやり方だってあったはずなのだ。 あの研究馬鹿たちなら、捜索に加わる者もいたかもしれない。 そのことに、思い至らなかった理由。 真っ先に思い出したのが彼だった理由。 司令直々に念を押されながら、従うことが出来なかった。 自身の感情を理解するよりも先に、 きっと、心が歩き出していた。] (171) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:03:11 |
【人】 軍医 ルーク[ 通信機を探しに行ったときのこと。 それを口に出すのは、やはり恐怖もあった。 今はもう、何が引き金になるか分からない状態だ。 それでも、状況も分からず手探りで立ち向かうことと、 自身の状態について何らかの知識を持って臨むこと―― どちらがより安定していられるだろうかと考えた。 何より、他ならない彼自身のことなのだから、と、 そう思って伝えることにしたのだ。 ――重なるような鼓動の音が、 先ほどまでよりも落ち着いて聞こえたことも、 その理由であったかもしれない。 それでも、痛む素振りで頭に当てた手に、 咄嗟に息を呑み、手を伸ばす。 頭に触れた手の上から、そっと添えるように。] (172) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:04:41 |
【人】 軍医 ルーク そうか、総司令に―― あの通達は、それでか。 あのひとは、多分、目的のために 自分が必要で最適と判断したことは、 きっと、何でもする。 情がないとか感情で動くとか、 そういうことはなくて、 私利私欲で動くということもなくて。 目的はきっと、“前線の死守”。 先の先を考えていることも あるかもしれないけれど、 そうだね、わたしにも、本音は見えない。 [ 総司令と関わる頻度は彼と似たり寄ったりだろうけれど、 ここに来る前から多少の面識はあった。 学問所にいたころの父の後輩だったと聞く。 判断は下していない、というのなら、 きっとその通りなのだろう。 いつかその『判断』が下されたとき、 それが承服できない内容であったなら―― もう、目を閉じて耳を塞ぐようなことはしない。] (173) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:06:22 |
【人】 軍医 ルーク じゃあ、起こすときは念のために、 とびきり苦い薬も準備しておく? びっくりして飛び起きるくらいの。 シロップかあ。 それで目が覚めるなら、 どれだけ君は甘党だということになるな。 ――考えとく。 [ そのとき何が起こるかということも、 どうすればよいかも分からない。 それでも、“手を握ってくれていれば”と、 そう伝えてくれた言葉が。>>55 今もこの足元に深く広がる、底のない不安と恐怖に、 立ち竦みそうになる足を励ましてくれる。 ひとよりはひどく遅い足だけれど、何処にでも行く。 この手で出来ることは、何だってする。] (174) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:07:01 |
【人】 軍医 ルーク[ 名前をタブレットで告げたのは、 言葉で話そうとして、少しだけ躊躇ったから。 いざ口に出すのが、どうしてか―― そうだ、これは気恥ずかしいというやつだ。 “大きな秘密”、“宝物”なんて言われて、 実際にその名を口に出してもらったなら、 泣きすぎて赤くなっていた顔が、またすこし、 かっと赤くなってしまう。 咄嗟に俯いたから、 向こうも微かに顔を赤くしていたとは気づかない。 それでも、やっぱり顔を上げて、] うん……、 わたしも、普段通り呼ばれる方が慣れてるな。 ありがとう、シュゼット。 [ 名前一つ呼んだり呼ばれたりするのに、 どうしてこんなに心臓がうるさい。 すこしだけ緊張したように、 けれども嬉しそうに笑い返した。] (175) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:08:07 |
【人】 軍医 ルーク[ ――記憶のこと。 彼が考えていた内容は、自分も心の何処かで あるいはと思っていたことだった。>>120 一番新しい日記に記されていた内容。 零れた写真へと手を伸ばす、その姿は、 他ならない“彼”のものであるように、見えたのだ。 旅の中、朽ち果てた亡骸が握りしめていた一枚の写真。 それを“大事な宝物”として持ち続けていたのは。] 最初の機獣を君が倒したというのは、 確かに、事実だと思う。 公的な記録がそうなっているというだけじゃない、 わたしの参照した残骸の記録とも、 矛盾なく一致するから。 君は、機獣とともに降りてきたのに、 下にいたひとたちを殺そうとすることはなかったと、 わたしも、そう信じたい――… ううん、信じている。 [ “信じたい” それは、“下にいたひとたち”を―― 父を殺したのが彼だったと、思いたくないから? もし万が一そうだったとしたら、 自分はきっと、ひどく葛藤もするし、苦しみを感じる。 それは否定が出来ないことだ。 けれど、信じていると言った理由はそうじゃない。] (176) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:10:13 |
【人】 軍医 ルーク[ あの日記に綴られていた言葉たちが、 いまも強く語りかけてくる。 感情がなかった彼が、はじめて強く感情を感じた、 その瞬間の記憶。 その記述を読んだ時に、貫くように胸を打った何かを、 言葉で言い表すことなんて、できやしない。 だから――信じている。] そうだね、きっと―― 君は、君だ。 [ 自分を信じてみる、と彼は言う。 怖れを知らない勇敢さではないだろう。 それどころか、怖がりなところもあって、 苦手な薬にぷるぷると怯えてしまうこともあるくらい。 自分が自分ではなくなるかもしれない恐怖だって、 想像してもしきれないものだろう。 怖さを知っていて、感じていて、 それでも立ち向かう。 ―― それは、本当の意味で勇敢ということだと思う。 その真っ直ぐな眼差しに、目を細めた。 だから、自分ももう、逃げない。 この先へと、歩みを進めてゆく。] (177) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:13:17 |
【人】 軍医 ルーク 連絡手段か。 うん、わたしも一応自室はあるけれど、 あまり戻らないしな。 どうしようか。 [ 首を傾げていると、ぺんぎんがくいくい、と 彼の服の裾を引っ張る。 まかせて、と胸を張った。 胸を張る――というか、 どこまで胸でどこからおなかなのか微妙な丸さであるから、 おなかをぺんっと突き出したような体勢ではあるけれど。] ああ、どうか。 基地の中ならぺんぎんに頼むといいんだ。 こいつら、何かこう、 独自のネットワークがあるから。 手近なぺんぎんに聞けば、 どこにこのぺんぎんがいるか、 そう待たないうちに分かるはず。 [ 本当は、次にいつ会えるか分からないのは、 ひどく不安でもあった。 次に眠ればどうなるか分からないと、 そう聞いてしまえば猶更だ。 けれど、此処が前線基地で、 互いにしなければならないことがある以上、 ずっとこうしていることは出来ない。] (178) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:15:00 |
【人】 軍医 ルーク[ 何かあったならすぐに駆け付けると、 そう心に決めて。 医務室を去る後姿が、角を曲がって見えなくなるまで、 扉を閉めずにそこに立っていた。] [ 敵の総攻撃の情報が、 *前線基地の総員に伝えられたのは、翌朝の事。 攻撃の日は、 ] (179) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:16:14 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a12) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:18:11 |
【人】 軍医 ルーク『ああ、探した探した! そこの兎君、えーと、ゼット!』 [ 皆がせわしなく動きまわる前線基地を、 ぱたぱたと走る人影がある。 一斉攻撃の情報が齎されて後、基地内の空気は一変した。 当初は絶望に近いものでもあっただろう。 一度の降下で一体の機獣を倒すにあたり、 犠牲を出さずに済むこともあったけれど、 これまでどれ程の死傷者、損害を重ねてきたことか。 けれど、此処は最前線にして最後の砦であるという認識は、 否応なしに、基地にいる者皆が感じていることでもある。 廊下で第一攻撃部隊隊長に声をかけてきたのは、 技術班長、ジルベール。 賑やかに両手をぶんぶん振って、駆け寄って来る。] (181) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:48:46 |
【人】 軍医 ルーク 『君に渡したいものがある、 暇かい? あはは、愚問だったね、 いまこの基地は、年中行事を袋詰めして振り回して ごちゃまぜにしたような有様だ、 窓を開けたら年始の祭りの飾りが仮装して 菓子を強請り始めたっておかしくない。 けれど、いくら暇じゃなくたって、 これは来てもらわなきゃいけない』 [ そう言った彼女は、彼をぐいぐいと 武器倉庫に引っ張ってゆくだろう。 天井が高い堅牢な倉庫には、 整備された通常の装備に加え、 新たに運び込まれているものがある。] 『実戦への投入はまだ先の予定だったのだけれどね、 “いま使わずにいつ使う!”っていうやつさ。 技術班総出で、徹夜突貫で整備した。 機獣から回収された装備を元に開発したものだ。 各部隊長に支給して回っているところだったんだが、 実際、今この基地の最大戦力は君と言っていい。 最大の戦力に出来るだけ火力を集中するのは、 理にかなったことだよ、うん』 [ 一画にある金属製の筒を、ずるずると引きずって来る。 彼女の腕力でぎりぎり動かせるくらいの重みのようだ。] (189) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:58:54 |
【人】 軍医 ルーク 『それに、こういうのを軽々持ち運べるのは、 馬鹿力の連中のなかでも そう多くはないだろうからね。 携帯式対機銃弾発射器といったところか、 反動はかなりのものだが、君のそれと違って、 物理的な反動だけだ。 つまり一言で言うと、筋肉でなんとかなる!』 [ 義手の解析に携わったこともある彼女は、 彼の義手の性質もある程度は心得ているようだった。>>2:65] 『それからこっちは、対機獣の手榴弾。 爆発の威力は前方にだけ収束するわけじゃなくて、 周囲にも爆風が来るから、 離れたところから投げるんだ。 機体に吸着して爆発する。 立ち回りによっては中々の効力を発揮するだろう。 それから――』 [ 部隊長のみならず、 部隊全体への一通りの追加装備について説明をした後、 彼女は顔を上げる。] (190) zelkova 2020/05/25(Mon) 21:59:38 |
【人】 軍医 ルーク『ルースに頼まれた。 通信機を運んできてくれたときにね。 君のその義手の代わりになる、 身を守れる武器が何かないかと。 わたしもその考え方には賛同する。 最大戦力が行動不能になるような武器は、 実に非効率的だから』 [ 自分たちの発明品を嬉々として解説する彼女の様子は、 状況分かってるのかこのひと、と、 装備の確認に訪れた他の部隊の兵士たちの 胡乱な視線を受けていたけれど。 気にせず、にやりと笑う。] (192) zelkova 2020/05/25(Mon) 22:00:11 |
【人】 軍医 ルーク『我々は技術者で、非戦闘員で、後衛だ。 でも、我々なりの戦闘というものがある。 この世界の技術は、どこかで唐突に始まっている。 遺失技術だって、どこからともなくもたらされたものだ。 そのことについて話し出すと 三日三晩かかるから割愛するとして―― けれど、そこから積み上げた我々の技術と 生きるための知識は、我々のもの。 成果の多寡じゃない、 わたしたちは、 先人の成果の上に自分たちの石を詰むのさ。 その石の一つに、この基地が調査拠点であった頃、 命を落とした学者たちの成果もある。 君は、何があったか覚えてないそうだけれど―― 機獣を退けたのは君なのだろう? そう聞いている。>>1:213 だとしたら、そのおかげで、 彼らの研究はごく一部なりとも此処に残っていたんだ。 彼らに代わり、一度礼を言いたかった』 [ そうまくし立て、部隊長の兎の肩をばしんと叩き、 また次の部隊へと、装備品の支給に走り出した。]* (194) zelkova 2020/05/25(Mon) 22:01:13 |
【人】 軍医 ルーク ―― 前線基地・外壁 ――[ 基地の周りをぐるりと取り囲み、 高く高く張り巡らされた壁面の上に、 一つの人影がある。 針金のようなその人影は、 爆風の一つも食らおうものなら吹き飛ばされそうに ひょろりと頼りなく、細い。 ――けれど、何が起きたとしても目はそらさない、 退くことはしないと、二つの脚でそこに立っている。 爆風に吹き飛ばされないようにと、 ぺんぎんをしっかり両腕で抱えて。 サイレンが叫んでいる。 この基地が始まって以来発せられることがなかった、 最大の警戒レベルを告げて。 高く遠く、『太陽』に照らされた天の岩肌に、 穿たれた大穴がある。 世界の蓋に闇が口を開け、 数多の死が吐き出されようとしている。 けれど、届かない場所へと手を伸べることは、 もうしなかった。 ――彼は、あの大穴の向こうの世界から来た。 この地に降りてきたとき、 彼は何を思い、何を見たのか。 これまでに読んだ、日記の記述は、 一語一句たりとも忘れられるものではない。] (204) zelkova 2020/05/25(Mon) 22:24:53 |
【人】 軍医 ルーク[ 赤茶けて荒れ果てた荒野に、 前線基地の兵士たちが隊列を組んで散開してゆく。 西側の外壁の砲台が、一斉に『天』を、 そして荒野を差して動き始める。 降下が予測された刻限まで、もう間がない。 此方からは向こうがよく見えるけれど、 向こうからは、此方のことは見えないだろうか。>>0:14 前回の襲撃と同じように。 そうだったとしても、そうでなかったとしても――… 自分がここにいることは、 きっと、知っていてくれるだろうと思う。 他の医師や技術者たちとともに、 建物の最深部に籠ることを選ばなかった。 戦場は彼らの領分と心得ていたとしても、 近くにいては足手纏いになってしまうことが分かっていても。 それでも近くにいて、 もし何かが起きたなら―― ここにずっとこうしている、心算だってない。] (205) zelkova 2020/05/25(Mon) 22:26:00 |
【人】 軍医 ルーク[ それから、いくらかの時が過ぎる。 耳鳴りがするような静寂に、大気が張りつめる。 そして、 ――風が、吹いた。]* (206) zelkova 2020/05/25(Mon) 22:26:38 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a13) zelkova 2020/05/25(Mon) 22:28:32 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a14) zelkova 2020/05/25(Mon) 22:29:41 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a15) zelkova 2020/05/25(Mon) 22:33:20 |
【独】 軍医 ルーク/* 打ち合わせでは最終日大規模襲撃の予定だったから進めてみたけど、その前にやりたいこととかあって、やりづらかったらごめんよ…!(どきどきと (-40) zelkova 2020/05/25(Mon) 22:35:56 |
【人】 軍医 ルーク[ 少しばかり前のことだ。 人の波に逆行して外壁へと向かおうとしていた自分に、 ぺたぺたと駆け寄って来る足音がある。 先に足を止めたのは、一緒に歩いていたぺんぎん。 視線を向ければ、一羽のぺんぎんが此方に向かってくる。 抱えているのは、あの赤い袋。 それを見た瞬間、心臓が一歩、早足のように打つ。 ぺんぎんはぺんぎんに袋を渡し、 きゅいきゅいと鳴き交わしていた。] 預かってきてくれたのか。 [ 軽く屈みこみ、ぱたぱた手を振る二羽の頭を軽く撫でた。 袋を受け取り、落とさないよう大事に抱えて外壁を上る。 それまでよりも、少しばかり早足で。 何が記されているのか、直ぐにでも開きたくてたまらない。 一歩の歩みごとに名前のつかない感情が噴き出して、 次の一歩でその正体に名前を付ける。 一体の襲撃ですら食い止められる保証もなかった戦線に、 数も知れない敵が押し寄せようとしている。 それを、先頭に立って迎え撃つのは。] (274) zelkova 2020/05/26(Tue) 20:59:15 |
【人】 軍医 ルーク[ 石造りの階段を上がる脚は、思うようには動かない。 漸く外壁の上へと昇り切れば、 袋を開き、タブレットを取り出す。 ノートには、また新しいページが付け加えられていた。 今までのように、日付から始まる日記ではない。 それは確かに、この自分に向けて綴られた言葉だ。 食い入るように最後まで読んで、読み切って、 じいっと此方を見上げていたぺんぎんに、振り返る。] ……莫迦なこと、たくさん書いてた、 あの莫迦。 [ それは、いつかの防衛線で、義手が放った光を見た後に、 自分が言った言葉と、似ている。 けれど、その声も、その表情も、 何一つ比べ物にならないほどに違った色合いを帯びて。 底にある感情は、やはりどこかしら繋がるものだった。] (275) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:00:31 |
【人】 軍医 ルーク総司令に直接? それは確かに、このタイミングで君に何かをする程、 戦局が見えてない人じゃないけれど。 [ 声に滲み出るのは、どうしようもないもどかしさだ。 彼が自身を身を危険に晒しているとき、 自分は何も出来ずにいる。 今も、だ。 後方にいて、黙って待っていることしか出来ていない。 眠れていることは安心したけれど、 あの頭痛は今も彼を蝕んでいる。 けれど、声に滲むのはそれだけではなくて。 表面の硝子に、そっと掌で触れる。 そこに綴られたいくつもの言葉たちに、 いま、ここにはいないその人に、 せめて、想いだけでも触れようとするかのように。] (276) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:01:37 |
【人】 軍医 ルークしかも、そのやり方…… ええ、反動とか…? いや、確かに理屈なら出来るとは思うけれど、 ああ、いや待て、少し考える。 他にも方法はあるはずだ。 [ そんな風にぶつぶつと独り言を言いながら、 指は自然と、タブレットを滑り出した。]* (277) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:01:56 |
【妖】 軍医 ルークシュゼットへ 君が君でいてくれることを、伝えてくれてありがとう。 何より、本当にほっとしてる。 総司令に話をしに行ったのは博打だったけれど、 確かな判断だったと思う。 皆が生き残るために、 機獣の情報はとても重要なものだったはずだから。 そのときも、いまも、 君が危険な目に遭っているとき、同じ場所に居られないことが 何より悔しいし、辛い。 でも、総司令は今は何もしてこないという読みは正しい。 あの人は、理屈で考える人だから。 名前のことも。 君が見たという写真のうさぎのことも。 聞かせてくれて、ありがとう。 見たこともないはずなのに、 わたしにも、その写真が見えるような気がした。 ―― その写真を見ている、君のことも。 ($11) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:03:16 |
【妖】 軍医 ルークほら、感じていた通りだった。 君は、自分が本当に優しい人なのかは分からないって、 前に書いていたけれど。 そこに生きていた誰かが残した写真を見て、 兎の姿を見て、 大事な人の笑顔を守る、そんな兎になりたいと願った君を、 優しい、という以外に、例える言葉をわたしは知らない。 黙っている事だって出来るのに、 皆が生きるために総司令に自分が知っていることを 伝えにいった君を―― ああ、でも、 見ていて危なっかしくて、少しでも近くに居たいと思ったり、 心配が過ぎて時々こう、 とびっきり苦いものを飲ませてやりたくなったりするのは、 さすがに許してほしいと思う。 放っておいたらどこに飛び込んでいくか分からないんだ、君。 ($12) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:05:16 |
【妖】 軍医 ルーク隣にいる子供を守っているようだった、そのうさぎ。 でも、わたしは、きっとその子供だって うさぎを守りたかったに違いないと思う。 想像することしかできないけれど――… 彼らがせめて、最後まで一緒にいられたならと、そう思う。 君がそうして、皆を守ろうとしてくれているのなら。 君のことは、わたしが守りたい。 前からずっと、思っていたから。 例えば、食堂で君の部下の人たちが 楽しそうにしているのを見ているその背中は、>>0:69 彼らと一緒にいて、守っていても、 誰が守ってくれるのだろうと。 弱くて、一緒に戦いにいけないことが悔しいけれど。 わたしも、わたしが出来ることを探すから。 一人きりで、旅をして。 世界の何処かにひとが生きていられる場所を夢見た君の心が、 今ここに居て、皆を守ろうとしている君の心が、 いまの私には、何よりも、大切なものに思えてる。 寂しい思いなんて、決してしないように。 だから、最後まで見守っていてほしいと、 そう言ってくれることが嬉しい。 ($13) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:07:58 |
【妖】 軍医 ルーク[ そうして、続きに記すのは、上に上る手段のことだ。 何があるか分からない場所に行くことに、躊躇はない。 そう、一人で行かせるつもりなんか、これっぽちもなかった。] 理屈では、そのやり方で上方に飛ぶこと自体は出来るはず。 発射速度も相当のものだろうから。 ただ、計算してみないと分からないけれど、 相当の反動があるだろう。 無事に上に着けるかは、かなり危険な賭けになると思う。 それに、気になっているのが、大穴の形態。 あの穴の向こうは、何も見えない闇だ。 まるで蓋でもされているように。>>0:400 君の夢からしても、天の向こうの世界には、 時刻によって光があると思われるのだから、 あれがただの孔なら光がそのまま差し込んでもいいはずで。 攻撃時のみ開かれる蓋か、 それに類する何かで覆われているとしたら、 破る方法も必要になるし、 それを超えたとしても、向こう側にあるのは、 恐らく機獣の攻撃拠点。 もし他に方法がなく、急を要するなら、 そのときはそうするしかないと思うけれど。 ($14) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:09:25 |
【妖】 軍医 ルークいま咄嗟に思いつくことは、そう多くない。 ただ、君の話を総合的に考えれば、 この世界に在る遺失技術は、 元々は天の穴の向こうから齎されたものではないかと思う。 君が訪れた建物の硝子細工、写真、 そして何より、機獣そのもの。 どうしてそのような技術がこの世界に運び込まれたのか、 その目的は分からないけれど。 一つだけ言えることは、 『運び込まれたなら、その時点では出入り口があったんだ』。 あの大穴は、機獣を送り込むために開けられたものだろう。 最初の襲撃の際に穿たれたあれだけが、 地上との連絡孔だったんだろうか? 今は塞がれているかもしれないけれど、 他にも出入り口はあった可能性はある。 発掘現場と、開拓時代の地殻調査の図面を照らし合わせれば、 分かることがあるかもしれない。 それに、もしそういうものが見つからなかったとしても、 周りの協力が得られるなら、 あの大穴から上に出る手段も開発は出来るだろう。 もしそれも無理な状況のときは―― そうだな、君の方法に賭けてみるか。 ($15) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:11:04 |
【妖】 軍医 ルーク[ 皆の協力が得られないとき――それがどういうときかは、 言葉にするまでもないだろう。] 必ず生きて戻ってきてくれると、信じてる。 待ってる。 わたしは、大丈夫。* ($16) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:11:37 |
【人】 軍医 ルーク[ 帰って来る彼を待って、言葉で伝えても良い内容だった。 けれど、降下の時を待ちながら、今ここで書き記したのは、 どうしても、直ぐにでも伝えたいと、指が動いたから。 綴ったところで、届けられるのは この戦闘が終わった後のことだというのに。 それでも、ただ黙って言葉を抱えていることが出来なくて。]* (278) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:13:57 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a22) zelkova 2020/05/26(Tue) 21:19:57 |
【人】 軍医 ルーク ―― 外壁 ――[ 天の孔から落ちてきた機獣の先鋒は、数体。 四足型、蜘蛛型、それから―― 自分の視力では、落ちてくるその姿を すべて捕えることは出来ない。 手足を折り畳み、地上へと真っ逆さまに落ちてくる。 隕石――という言葉は知らないけれど、 もし知っていたなら、それに例えたことだろう。 それらは轟音と共に地に落ちて、 一斉に、金属が軋むような咆哮を上げた。 防衛部隊の陣取る外壁の長距離砲台が、 着地点に火を吹いた。 轟音が地を揺らし、砲声が空を貫き、 もうもうと舞い上がる土煙の中で、戦いが始まる。 地上に居て近接戦を行っているであろう攻撃部隊の姿は、 土煙と爆炎の向こうに紛れて、 此処からでは既に視認できない。] (292) zelkova 2020/05/26(Tue) 22:55:30 |
【人】 軍医 ルーク[ 此処から見えていた一体――蜘蛛型の身体が沈み込み、 脚が力を溜める。 地を蹴りひと飛びに、まるで獲物を狙うように跳躍し、 着地するや、回転を始めた頭部から、 四方八方に弾が放たれる。 胴体を狙った防衛部隊の砲撃は、 その装甲に弾かれたようだった。 振り上げた鉤爪が、 その巨体からは想像もつかない速度で振り下ろされ、 その切っ先が足元を穿とうとしたその瞬間、 跳ね飛ばされるように、蜘蛛脚が千切れて宙を舞う。 外壁からの長距離射撃か、 あるいは近接で誰かが撃ったか、切り飛ばしたか、 それすら分からない。 千切れた脚は宙を舞い、荒れ地に今も残る建物の残骸を、 まるで紙で出来た箱のように押しつぶした。] (293) zelkova 2020/05/26(Tue) 22:56:55 |
【人】 軍医 ルーク[ 戦場は此処から遠く、けれどもその距離は近い。 機獣が全速力で駆け出したなら、 瞬く間に射程圏内に入るだろう。 その場所は此処から近く、けれどもひどく遠い。 帰ってきてくれるとどれ程に信じていても、 爆音が轟くたびに、閃光が閃くたびに、 どうかその場所に彼がいないよう、無事であるようにと、 ぺんぎんを抱く腕に力が籠る。 潰してしまわないようにと腕を戒めながら、 かたかたと震える指に、 きゅう、と小さな声を上げて、ぺんぎんの羽が触れた。] 大丈夫だ…… [ 自分自身にそう言い聞かせるように呟いた声もまた、 ひどく震えていて。 それでも目を逸らすことは、しない。 最後まで、ちゃんと見守っている。見ている。] (294) zelkova 2020/05/26(Tue) 22:57:46 |
【人】 軍医 ルーク[ どれほどそうしていただろう、 天の大穴から、再び落ちてくるものがある。 ぞくりと、背筋が凍り付く。 “総攻撃” それは、どれほどの規模の攻撃なのだろう? 天の大穴の上には、どれほどの兵器が残されている? 押し寄せる濁流のように、次々と投下される機獣は、 その一体がどれ程のひとを殺すだけの力を持っているのか。 ―― ぎらり、と、 視界の片隅で、何かが光った。 落ちてくる一体の軌道が変わる、 此方へと、落ちてくる。 ]――…っ! [ これまでにはいなかった機体、 これまでにはなかった状況だった。 それが何かを頭が理解するよりも先に、 総毛立つ尻尾が、耳が、その危険を全力で告げる。] (295) zelkova 2020/05/26(Tue) 22:59:37 |
【人】 軍医 ルーク[ 咄嗟にぺんぎんを庇い、物陰に飛び込み、伏せる。 耳を劈く轟音が、先ほどまでよりも遥かに近くで炸裂し、 爆風が巻き起こり、外壁を打つ。 吹き飛ばされそうな衝撃を、うつぶせに伏せたまま、 地面にしがみ付くようにして必死でやり過ごす。 フードが風に飛ばされ、白い耳が露になる。 その耳が捕らえたのは、二重三重に轟く砲撃音だ。 外壁の方向が攻撃された、 けれども、直撃はしていない。 狙いを外したのか、防衛部隊が防いだのか、 あるいはそれとは別の何かが起こったのか、 何が起こったのかは分からない、けれど――… 言うことを聞かない脚を励まし、よろりとたちあがれば、 外壁の向こう見えたのは、 今までに見たことがない形の機体が、三体。 捻じれた首が回転し、昆虫のような複眼が、 ぎろりと外壁を――その向こうの前線基地を睨み据える。 遠くにあるはずのその目が、酷く間近に見えた気がした。 射抜かれたように、脚が竦んで動かない。 直感する。 あいつらは、基地を狙っている。] (296) zelkova 2020/05/26(Tue) 23:00:46 |
【人】 軍医 ルーク――…、 いいか、逃げるよ、 この場所は駄目だ。 [ 先程の爆音のせいか、 ぺんぎんに語り掛ける自分の声が遠くに聞こえる。 以前の自分であったら、自身の命にすら頓着せずに、 外壁に留まり続けていたかもしれないけれど―― 今は、違う。 自分のいる場所に敵は近づけさせないと、 彼はそう言ってくれた。 何かあったら、名前を呼んでと。 けれど、自分だって、足手纏いになるだけじゃいけない。 外壁どころか基地のどこにいたとしても、 安全な場所なんてきっとない。 それでも少しでも逃げやすい場所で、自分の身を守らないと。 戦いが終わったら、怪我人だって出ていることだろう。 彼が守りたいと思った者たちだ、 自分の責務でもある、皆を“死なせない”ようにするために。 それに、なによりも。 ちゃんと、最後まで見守って、 帰って来るのを “ 待っている ”。 足を励まし、ぺんぎんと共に外壁の階段へと。] (297) zelkova 2020/05/26(Tue) 23:02:36 |
【人】 軍医 ルーク[ 蟲型の機獣三体の“前方からの”突撃に紛れるように、 静かに戦場を迂回して移動する“もう一体”の存在に、 いまはまだ、気付かない。]* (298) zelkova 2020/05/26(Tue) 23:03:13 |
【独】 軍医 ルーク/* もうね、日記の内容がね、 うさぎのところがものすごく胸に迫って、こう… 一人きりで旅してきて、その写真を見て、憧れて、 穴から落ちてくるときに写真を無くして感情が爆発する瞬間の事とかを思うと、ものすごく鮮やかに思い浮かぶし胸が締め付けられるというかふああああってなる… もう全力でもふもふしたい。 しかも頭痛の件がまだ心配で心配でこう。 部隊長で来るっていうのは前もって聞いてたけど! そう来たか―ってなって! ほんと天才だなってなってる…!><。。 (-58) zelkova 2020/05/26(Tue) 23:08:18 |
【独】 軍医 ルーク/* しかし自分が戦わない視点の大規模戦闘書くの難しいな!? 自分の一対一のバトルとかより、スピード感が出なくてぐぬぬとなる… 能力戦とかと違ってどんどん装飾していくのもイメージつきにくいしなあ (-59) zelkova 2020/05/26(Tue) 23:10:14 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a23) zelkova 2020/05/26(Tue) 23:47:59 |
(a25) zelkova 2020/05/27(Wed) 0:43:12 |
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