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【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[凍てついた不死鳥の赤い瞳の向こう、 黒の少女の手を振る姿が、 その笑顔が見えたような気がした>>1:165] ……。 [優しい、と。 黒の不死鳥の少女はそう言った>>1:168] どう、かしらね。 わたしが本当に優しいのならば。 ……こんな馬鹿げた儀式《すべて》 もっと早くに終わらせていたでしょう。 (28) 2018/12/16(Sun) 11:49:11 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[わたしが、真に心優しい存在であったならば。 きっと、星継ぎ《ネクステラリア》なんてもの 最初から許容したりなどしなかっただろう。 代々続く黒山羊の犠牲も、 その代わりの巫《アイドル》を生み出すようなことも。 如何に、自分が天の理に無力な存在と言えど、 幾百の刻が巡り、星継ぎ《ネクステラリア》が行われる度 紡がれる哀しみも嘆きも、繰り返させはしなかった。] わたしが、優しいとするならば。 それがわたしにとって、大切なものだからよ。 (29) 2018/12/16(Sun) 11:49:32 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ――…幻影月《ファントム・ルナ》? [>>1:169それがなんであるかは、今はまだわからない。 ただ。] 箱庭でわたしは飼えない。 あなたはコップでジンベイザメを飼える? それと、同じこと。 [もしできると言われたなら、 …………溜息と共に説得を諦めよう。] (30) 2018/12/16(Sun) 11:50:27 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ (31) 2018/12/16(Sun) 11:51:47 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[命が潰えたわけではない。 それは間違いない。 だけど……あの人から感じられるものが何もない。 何も見えず、何も聞こえず 何に触れた感触も、匂いもない。 ただ、真っ暗な闇に包まれるようなそんな感覚。] ……あなたってひとは……。 [油断した。 そう、油断していた。 命を繋いだことで、あの人のことを護れた。 そんなふうに考えていて、結果、黒の少女が あの人のチカラ《権限》を奪うことを黙認してしまった。] (32) 2018/12/16(Sun) 11:52:20 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[臍を噛むとはこのことか。] ……っ。 [泣き叫びたい。 この身体の、人の子に流れる激情のままに、 泣いて叫んで怒り狂って、黒の少女を殺してやりたい。 そんな衝動にじっと唇を噛んで耐える。 今は、そんなことをしている場合ではないし 何より下手に手を出すのは悪手にしかならない。 最低限、あの人の――コーネリアスの命は繋いだ。 今は、耐えるときだ。 ……耐えて、為すべきことをするべきだ。] (33) 2018/12/16(Sun) 11:53:48 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ――……あなた、お名前は? [わたしが白の不死鳥そのものではないように 彼女もまた、今は黒の不死鳥ではない。 不死鳥越しに視えるその身形からして、 きっと彼女には他のニンゲンたちから呼ばれる 名前があるのだろう。 それを教えてもらえるかは、わからないが。 いずれにせよ、今は。 ――…友達のもとへ戻るのが先だ。]** (34) 2018/12/16(Sun) 11:54:29 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[人が「石か果か」を神々に問われて そして果実を選んだとき>>1:19 その頃からヒトは、短命の業を背負った。 永劫を生きる神にとっては刹那の如くに短い命。 群れを為すにも関わらず集合知とは程遠い知性。 そんな儚く弱く愚かなヒトのありようを 嘆いた一柱の神がいた。] (58) 2018/12/16(Sun) 16:49:41 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[やがて、神々がこの蒼い星から去るとき>>0:41 その神は人々に一つの命を贈った。 名前を持たぬ『それ』は、 在りようを示すならば神の落とし仔たる『神子』であり、 人のために作り出された『願望機』。 人の子の願いを聞き入れ、その願いを叶えるもの。 病を傷を癒し、飢え渇きを満たし、 乾いた大地に雨を降らせ、 凍える冬の向こうに暖かな春を齎すもの。 人の願いを叶える『それ』は、人が望めば『神』となり、 人が拒めば人に殺めることのできる『バケモノ』になり得る、 そういうものだった。 そういうものとして、生み出された。] (59) 2018/12/16(Sun) 16:50:09 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[『バケモノ』と呼ばれたそれは 生まれ落ちてすぐに霊峰富嶽の山の中にある大空洞、 『風穴』と呼ばれる場所に落とされ封じられた。>>0:127 『バケモノ』と呼ばれ拒絶された『それ』は、 けれども完全なバケモノになることもなかった。 封じられた霊峰富嶽は、神が御座す場所とされていた。>>0:13 人の願いが、集まる場所だった。 『それ』が、自分の周囲にいる ニンゲンたちの願いを叶えるようになったのは 神によって定め《プログラミングされ》られた 謂わば本能のようなものだったのかもしれない。] (61) 2018/12/16(Sun) 16:55:19 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[なんにせよ、『それ』は人の願いを叶え続けた。 長い長い、気の遠くなるような時間、 誰にも気づかれることなく、省みられることなく、ずっと。 そして人の願いを叶え続けたことで、 『それ』は『バケモノ』にも『神』にも 条件的に該当しない存在に変わっていった。 後の世に"白星の不死鳥">>0:267と 呼ばれるようになった存在と混同される 空白《マシロ》と呼び表される存在に。>>0:38] (62) 2018/12/16(Sun) 16:56:52 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[――…そうして、いつからだったろう。 『それ』が、いつしか『わたし』という 自我を持つようになったのは。 神にもバケモノにもなれず、 ただ愛しかったヒトと引き離されて。 ただ、ただ、心を殺され自身も殺しながら、 霊峰の地中深くに潜みながら 長い時間を独り、生きてきた。 ―――…最期にもう一度、あの人に出会うため。]* (63) 2018/12/16(Sun) 16:57:59 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ (65) 2018/12/16(Sun) 17:07:50 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[よかった、と彼女の姿を見て、 視界が少し――ほんの少しだけ、潤むのを感じた。 ふと、脳裏に浮かんだのは 先程、アナベルがあの人の心を闇に閉ざしたあの瞬間>>2>>3 あのとき感じた、言葉にできない後悔と絶望が 胸の奥深くに刺さって痛みを生じさせる。 ニンゲンは、ほっと安堵を感じたとき、涙が出るというけれど。 これが、そうなんだろうか。 なんにせよ、今、彼女のもとに辿り着いて。 間に合うことが出来て、よかった。] (66) 2018/12/16(Sun) 17:10:59 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ[なんにせよ、泣いている場合などではなかった。] ……待たせてごめんね。 今、用事を終わらせてきたわ。 [動く左手で涙を拭うと、 彼女と同じく、スピカ――いまや世界の敵となった 綺羅星の少女と対峙する。 先程ミルフィーユが紡いだ《唄》。 心に温かなものを与えてくれたあの唄の歌い手と 今、こうして大気に満ちる悪感情が、 同質の存在から放たれているというのは、 なんとも、信じがたいけれど] (67) 2018/12/16(Sun) 17:12:13 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ(……、嗚呼、でも) [色々なものを、内包する。 光も、闇も、正も負も。 白も黒も、形容しがたい様々な色も。 それがわたしの知る、 意志持つものたちの在り方だった。 ヒトもイシも、そのあたりは似ていて。 もしかしたら、彼女もまた、 似たようなものなのかもしれないなんて そんなことを、ふと考える。] (68) 2018/12/16(Sun) 17:14:12 |
まつろわぬ白の神子 マシロは、メモを貼った。 (a12) 2018/12/16(Sun) 17:21:40 |
まつろわぬ白の神子 マシロは、メモを貼った。 (a13) 2018/12/16(Sun) 17:25:51 |
【人】 まつろわぬ白の神子 マシロ これが、アイドル……。 [>>84街中のビルの一つ、それが形を変え、 この地上に顕れ出でた超新星光輝神殿《ザ·ビックバン=スーパーノヴァ》 これが、現在に生きるニンゲンたちにとっての神殿、 心の拠り処、或いは信仰対象《推し》とも呼べるものなのか。] (96) 2018/12/16(Sun) 20:01:51 |
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