ーー先代の記録:103年前ーー
[家は2つに別れきる、とまでは行かずとも、割れていた。
直系長子の眞澄こそ灯守りに相応しいという意見と、
現灯守りである菴にこのまま任せるべきだという意見だ。
どちらも付いている側が違うだけで、考えていることは同じだった。
要は2つとも“灯守り”に取り入り、暴利を貪りたいのだ。
傍迷惑な話である。
灯守りの仕事に、暴利を貪りたいだけの無能はいらない。
だから集る蝿を適当に“払い”続けていたわけだが。
一番汚い大きな蝿共を払い終わった今でも、まだ意見が割れている。
せめて僕と眞澄が実の兄妹なら、ここまで面倒にならなかったんだろうけど。
これ、どっちか消えないと収まらないだろうなぁ……。
そう思い至ってから、眞澄に統治の仕事をまるっと
おしつk
任せることにした。
元々手伝わせていたけれど、統治の仕事を大体卒なくこなす妹に感心していた。
まあ、たまに悩む素振りを見せるので、ヒントぐらいは出していたけど。
それで何とかしてしまう辺り、結構素質があるのでは。
これなら安心して号を譲れるな、なんて考えていた。
だから妹の質問には簡潔に答えたのだ。そうだけど? と。]