【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[広告塔の仕事を始めて、 洋館の外に出るようになっても、 外の世界は話に聞いた通りきらきらしたままだった。 政治の広報の傍らに東へ赴いても、 豊穣の祝いの祭りに歌を歌って欲しいと北へ赴いても。 以前のように私を証持ちだと蔑む人は少なくなっていた。 認められたのかと思った。 証持ちとして在ることが、罪ではないのだと。 証持ちである私が顔を表に出すことで、 横腹に刻印のように残る、 太陽にも向日葵にも見える丸い痣を晒すことで。 受け入れてくれる人も居るんじゃないかって、 最近はそんなことを思い始めていた。] (185) 2022/12/16(Fri) 22:26:09 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[私の知らないところで、 証持ちの広告塔など不快だと、 そんな誹謗中傷が数多の数届いていることは知らない。 私が傷付かないように、 周りが絶対私の目は入れないように守っていることも。 私は未だ知らずに、無邪気に笑っている。] (186) 2022/12/16(Fri) 22:26:49 |
XII『吊された男』 ユグは、メモを貼った。 (a40) 2022/12/16(Fri) 22:27:08 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[私は世界が好きだ。 滅んでほしくないと思っている。 賑やかで華やかな中央の街を、 港から溢れる商業血気盛んな東の街を、 厳かで清廉な空気を纏う西の街を、 磯の香りと鉄の匂いが交じる北東を、 動物たちが草木を揺らす北の街を、 寒さに震えながらも美しい景色の北西の街を、 長閑で豊かな蓄えを持っている南の街を、 神秘的でまだ未知の調べさえある南西の街を、 独創的で異文化すら漂わせる島群を、 そして、私が生まれ育った南東の街を。 この目で見てきたものが、全て美しいと思えるから。] (187) 2022/12/16(Fri) 22:27:46 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a41) 2022/12/16(Fri) 22:27:56 |
【人】 ]X『悪魔』 ゼロ── ユグと、話す>>161 ── そもそも全員に悩みがない状況、 なんて事があり得ないと思うけどね。 ベルだけじゃなく。 それが表出したから気になるのなら、 それは彼女のためではなく、 表面上の調和を基準としてるんじゃないのか? [ベルが俺の手を断った。 その事実がなければきっとここまで気にしないのだろう。 だからといって、 表出するほどの問題が起こったために気に掛けるという理屈は解っているのだが。相手の言葉に理屈を捏ねているだけでもあるけれど。でも、変えるのならばきっともっと、根本的なものが必要にも思えている。] (188) 2022/12/16(Fri) 22:28:13 |
【人】 ]X『悪魔』 ゼロ[冷静に、毒をはらまぬように、嫌味を混ぜないように、他の人間にはできる事が、ユグ相手には難しい。 これではいけない、とわかっているのに。 魂の関係の有無は解らなくなってきている。 けれど、その言葉を聞いて、] …… 根本が、違うな? [と、呟いた。] (189) 2022/12/16(Fri) 22:28:22 |
【人】 ]X『悪魔』 ゼロ俺は世界が滅びたとしても、 箱庭を維持する義務があると思ってない。 もし壊した方が良いと判断したら、 俺の意思で箱庭を壊そうと思うだろう。 そしてその可能性はないとは言い切れない。 脅しとかじゃなく、これは単なる事実だ。 それをお前が阻止しようとするなら、 それこそ前世の再演じゃないか? (190) 2022/12/16(Fri) 22:28:33 |
【人】 ]X『悪魔』 ゼロ…… 俺たちは、証持ちで、 箱庭の子"だった"かもしれないけど。 今は、違うからな。 押し付けられる寵愛を、 迷惑にしか思わない人間だっているだろう。 [ああ、そうか。神様は俺にとって、 親のいない俺にとって、自分を作ったと解る唯一の存在。 もはや親みたいなものなのだ。だから、] (192) 2022/12/16(Fri) 22:29:26 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[だから、ユグの言葉には頷くことは出来なかった。>>1:424 それでも。 此処に訪れた証持ちは多かれ少なかれ、 私と同じように迫害されてきている経験もあるだろう。 そう思えば、世界を憎んでしまいたいと 思う人も中にはいるかもしれない。 たった一日で二十一人の意見を纏めるのは難しい。 皆が私と同じように、壊さないほしいと思っているか。 今それを尋ねられたら、答えに窮してしまう。 気分が悪いというアリスをベッドに横たわらせ、 小さな身体を眠りに誘うように一定のリズムで叩く。 既にアリスは眠りに就いていたけれど、 物思いに耽っているせいで気づかないまま、 とん、とん、とシーツを撫でる音だけが響く。 でも、あの人が言うように、] (193) 2022/12/16(Fri) 22:29:33 |
【人】 ]X『悪魔』 ゼロもしあいつが、あの神が。 生まれた時に迎えに来てくれていたら、 俺はきっと、幸福に暮らせたと思うよ。 [零れるような呟きに返るのも、また似たような響き。 洋館の中にある小さな天変地異は、思ったよりも静かに思う。*] 今更だよ。 (194) 2022/12/16(Fri) 22:30:04 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク……簡単に壊すなんて、できないよ……。 [その声に応えるものはなく、 聞こえたのは、小さな少女の寝息だけ。*] (195) 2022/12/16(Fri) 22:31:23 |
]X『悪魔』 ゼロは、メモを貼った。 (a42) 2022/12/16(Fri) 22:34:27 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[アリスの寝息が静かに落ち着いていくのを確かめた後、 何か温かな飲み物を用意しようと席を立った。 万が一目が覚めてしまって誰も居なければ、 不安になるかもしれないけれど。 少しの間なら、この様子なら起きないだろう。 彼女の部屋を後にして、渡り廊下を渡り、 生活棟へ赴けば、 使用人の人たちが妙にばたばたとしていた。] 何かあったの? [忙しいと分かっていながらも、 メイドの一人を捕まえて尋ねれみれば、 『ヒナギク様!』と腕を掴まれて。 中継機のある部屋まで連れて行かれた。] (196) 2022/12/16(Fri) 23:06:17 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[中継機のある広間は二十二人が入っても、 何ら問題ないぐらいの広さをしていた。 部屋の片隅を占拠するように 大きな中継機が鎮座している。 そこには何人もの使用人たちが集まっていた。 中継機から映像と共に音が響く――……。] (197) 2022/12/16(Fri) 23:06:54 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク『……地域では大きな地震が起こり、 道路に大きな陥没が起きています。 建物も半壊しており、避難を余儀なくされて……』 『……では、大きな津波が発生し、 海沿いの地域は大変危険です。 今すぐに海沿いからは離れ、急いで……』 『……の街には大きな嵐が訪れる予報です。 既に風は強くなっており、外出が困難となるでしょう。 予定のない方は外出を避け、自宅で待機を……』 (198) 2022/12/16(Fri) 23:07:56 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[その映像に、報告に、大きな目を見開いた。 チャンネルを変えても、どこも。 異常気象や、天災のことで持ちきりになっている。 この目で見てきた美しい光景が、罅割れ始めている。] (199) 2022/12/16(Fri) 23:09:02 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク『故郷が、故郷が……』 『家族は大丈夫だろうか。妻は、娘は……』 『今すぐに暇をもらって……』 [ざわつく使用人の中の誰かが、呟く。] 『これって、証持ちが全員揃ったから……』 『しっ!ヒナギク様がいらっしゃるのよ!』 (200) 2022/12/16(Fri) 23:10:02 |
【人】 XIX『太陽』 ヒナギク[嗜めるメイドの声に、ばっと視線が集まった。] ……ぁ、…… [憤りのような感情、縋るような思い。 哀しみにくれた瞳、今にも懇願を向けられそうな。 気圧されるように後ろに一歩。引いた。 世界が、崩壊してしまえば。 この人達は、どうなる――――?] (201) 2022/12/16(Fri) 23:10:45 |
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