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人狼物語 三日月国


148 霧の夜、惑え酒場のタランテラ

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[僕は運命の出会いだと思った。]

 
 

 
 
  [生きている間に、終ぞ叶えることが出来なかった。


          ―――
復讐
を果たすことが出来る。]

 
 

 
[この五年ほどの間、
 憎い奴らの顔を忘れることはひと時もなかった。
 全員しっかり覚えている。
 
……残念ながら、未だ巡り会えてはいないんだけどね。

 僕が知る限りお客様たちは、基本良い人ばかり。
 それが世界中の善人比率が高いということの証左なら、
 それはそれで良い事だとも思うけれど。


 流石に僕も良い人相手に悪さをすることはしないよ?
 あんな死を遂げたからこそ、
 良い人が理不尽に不幸な目に合うのは、大嫌いだし。]

 

 
[復讐は何も生まないとはよく言ったもので。
 確かに生まない。
 僕が悪党の魂をその身から引き抜けば、

 悪党から生まれる筈だった被害者も
生まれなくなる




 だからといって、自分の行いを正当化するつもりはない。
 命を奪う事は、例え相手がどんな人間であろうと、
 それが正しいなんてことは、決してあり得ないと思う。]

 

 
[運命の再会を果たし、
 内心で
「ここで会ったが百年目」
なんて
 ほくそ笑む日はきっと来る。


            
それが僕の持つ、強くて暗い願望。]

 



   
Memento Mori.




             己が死を決して忘れるな。
             
誰が死を決して忘れるな。



 
 
 
 [霧の夜に惑い、一歩でもこの店に足を踏み入れたら最期。]
 
 
 
 

 
 
 
 
      
[僕が"最果ての地"へ連れて行ってあげる。**]

          
あ の 世

 

【人】 砂の民 スティグ

― 夜のあと ―


きれいさっぱり、だな。


[さて、あの故郷での友人との夜の後。
自分はまた別の村人の微かに喋った一言を頼りに、南の方へと旅をしていた。
歩いて、馬車に乗って行った先に、彼女が探していた様々ないろどりの木馬のある街外れの小さな公園を見つけた。

昔はサーカスや、地元のお祭りででも使われていたのだろうか。
華やかなりし頃の雰囲気は感じられるのだが、今はさびれて木馬たちも色褪せ、その木々は所々抉れてささくれていた。

そこで地元の絵師に話を付けて、絵を描いて貰った。
若い絵師だったが、想像で描かれたであろう華やかな頃、人々が沢山集っていた頃の公園の絵は見事だった。

その絵を持って、今、自分はもう何十回目かの帰郷をしていた。

帰る度に残った壁も崩れ、草に覆われていく。
友人が近くに居た壁も今はない。
ただ、夏草が生えているだけだ。]
(182) 2022/05/29(Sun) 23:15:01

【人】 砂の民 スティグ

[あの日、彼と酒を飲んだ。
彼は当然グラスは持てなかったから、酒の入った瓶をゆっくり開けると、まだ空いていた瓶に半分移し替え、地面に置いた。
最初は全然反応がなかった。
何も言わず、ただ焼けただれた顔のまま俯いていただけだった。

だから、自分だけ飲んだ。
飲みやすい果実酒だった。
うまい。]


こういうの、好きだよな。


[一口味わって飲んで、隣を見た時、ああ、と思った。
彼の顔が、全くあの時のまま、戦争前の、あの村の酒場の夜のままそこにあった。
彼は、瓶を持てない。
だから当然酒も飲めない。

だけど、自分を見て、笑っていた。
涙が出てきた。
でも、今日が彼と会える最後だから、だから、楽しい夜にしよう。]
(183) 2022/05/29(Sun) 23:15:49

【人】 砂の民 スティグ

 
あっ なんだこれ!
花が… 消えた。
ほんと僕らには洒落すぎてるだろ
女と飲むと思われたのかな


[調子に乗って次の瓶を開けて、もう一つの空き瓶に注ぐと勝手に乾杯した。
その時ぱあっと舞った花に、びっくりしつつ笑った自分に友人も頷いた。]


最後のはさ、ほら、星


[最後の瓶を鞄から取り出して、彼に見せた。
彼は全然動かない。
ろくに喋らないし持たないし飲まない。

だけどその言葉に反応するように、彼が顔を上げた。
自分も星空に視線を向ける。
その日も夜空は満天の星空で、全天に星が輝いていた。
そしてその中の星が一つ落ちる。]
(184) 2022/05/29(Sun) 23:17:23

【人】 砂の民 スティグ

 
あっ
あー 早すぎて無理だった。
知ってるか、流れ星ってさ、祈り方があってうまくやると…


[星空から彼の方に再び視線を向ける。
穏やかな温かい風が吹き、彼が、立ち上がっていた。
お別れの時だ。

彼がこちらを見て口を動かしていた。
何を言っているかよくわかった。]


うん…


[彼に答えた次の瞬間、彼の姿は掻き消えた。
幸せそうだった。
良かった。貰えてよかった。行ってよかった。
…彼らと会えてよかった。]
(185) 2022/05/29(Sun) 23:18:33

【人】 砂の民 スティグ

[しかし… と、にやりと彼の居た土地の方を見て笑う。]


ははは、酒全部残してったな。
お供えでお前の居たとこにでもかけると思ったか?
僕が全部飲みまーす
うまいから…!


[もはや友人の居ない土地に酒を注いでやる道理はない。
美味しい酒を飲みながら、今日も長く尾を引く流れ星を探してみよう。
故郷の村での最後の酒盛りは、夜が更けるまで続いたのだった。]
(186) 2022/05/29(Sun) 23:19:18

【人】 砂の民 スティグ

[そんな風に過ごした場所も、今はもうどこかわからなくなりそうなほどに草に覆われてしまった。

無性に、懐かしかった。]


…手紙でも、書こうかな。


[また次に、大きな街に行く機会があれば、手紙を出してみようと思う。
もしかしたら、もう誰も居ないかもしれないし、手に取ることが出来ないかもしれないし、最悪届かないまである。
それでもそうやって、自分の気持ちを伝えておきたい。

あの夜はありがとう。
今でも僕は、祈りながら、元気に過ごしている。]**
(187) 2022/05/29(Sun) 23:20:18






   置いていこうとする仲間には拒絶を
   俺を受け入れてくれるやつには
   仲間だと言って

   そしてまた俺は置いていかれることに怯える **




 
 [一目見た瞬間に、ありもしない心臓の高鳴りを感じた。

        電撃が走るように鮮烈な、運命の出会い。]
                        
再会

 

 
 
  [やっと
いに来てくれたんだね!
     
罠にかかって


   ずっとずっと、僕はここで
ち焦がれていたんだよ。]

 
 

 
[そ知らぬ顔で近づいて、注文を取り料理や酒を提供する。
 最初はビールを飲んでいたけれど、
 「お薦めはあるか?」と聞かれたから、
 オリンピックとブラッディマリーを出してやった。
 その意図に気付くこともなく、美味しそうに飲んでいたよ。



         
滑稽だね。さてはこの人、教養がないな?]

 

 
子供らしいあどけない笑顔で、話を聞いた。
 その裏で、賢しさと殺意を研いで。
 この日は他が疎かになってしまったけれど、
 どうか許して欲しい。
 何年も待ちわびた、千載一遇のチャンスなんだ。



 「海賊は格好良い!」「僕たち海の男の心は一つ」
 そんな虫唾が走るような嘘も、平気で吐いた。
       店員が、お客様に嘘を吐くわけにはいかない?
       奴はお客様じゃない。憎い仇だよ?]

 

 
 
 
   [ブラッディマリーでの宣言通り、

         霧が晴れる前に僕は無念を晴らした。]

 
 
 

 


 ───── もう、終わりの時間だ。


 ] 

 
[一人の未練を抱えたゴーストは
 そのまま、光と共に
 溶けて、消えた。

 
その表情は、幸せそうに笑いながら───── ]

 



[ 命とはどれだけ鍛えたとしても
  永遠になどなれない。

  人はいつかこちら側へやってくる。

  きっと俺は未練が多かったんだ

  
迎えにきて欲しかった

  
(亡骸を見つけて欲しかった)


  
死を悲しんで欲しかった

  
(弔って欲しかった)


  
みんなで力を合わせて逃げたかった

  
(一緒に戦って欲しかった)


  
逃げたアイツらを殺してやりたかった

  
(後悔をして欲しかった)



  どれも
正解

  そして今はどれも
正解
。 ]




[ 偽りの
幸せ
に身を浸らせて。 ]

[ 本当の
悪夢
から逃がされて。 ]

 


[ 魔法の使えない人の子
  君のおかげで和らいだ子もいたんだったか
  料理長の不在は重たいけれど、なんとかしよう。

  海に持っていくには熱すぎる炎の行先
  
は無事に見つかったようでよかったね?

  幼子が背負うには大きな傷だ
  もし次来る時があれば
  今度こそ最果ての地を見てくるといい

  今度は幼子なんて言われないよう、成長してね。 ]


 


[ 誰よりも不真面目なように見えて
  誰よりも真面目だったのかもしれないね

  次もお客さんとして来てくれる彼には
  きちんと指輪は返しておくよ
  一度覚えた絶望をもう一度
  目の当たりにすることになっても
  選ぶと言うなら ただ祈ろうか
  君が愛した人の


  次は夢でなく、現実に見るといい
  まだ見ぬお酒も、出会いも 幸せも
  きっと君をこの世で待っているよ。 ]
 


[ やっぱり君は光だったと思うよ
  自らを燃やし尽くしてしまう光
  
  話していなかったけれどね
  僕の道は照らされているんだ
  最愛の人は ここへ居るから。

  
  僕に君の道を照らしてあげることは出来ないけれど
  そうだね、もし戻ってきても望むなら
  この世から、
してあげようか。

  …なんてね 燃え尽きてしまう前に
  灯りを見つけることを願っているよ

         休暇の後
         見つからなければ、帰っておいで。 ]

 


[ 君とはまだ長い付き合いになりそうだね
  この先もずっと、かな。

  失う痛みを知りながら
  与える痛みを知っている

  君の未練が永遠に晴れる日が来ないのだということも
  気づいているから、目を瞑る

  終わらない時も退屈なんだ
  そろそろ
いの話でもしてみるかい?

  ───冗談さ 僕たちには必要のない話だ。 ]

 



   「セシリー……ごめんなさい。
    私にとっての正解は、選べなかった。

    
世界にとっての正解を、選んでしまった。」



  ずっと、後悔していた。
  それでも、
  そんな私が祈っていいのなら、届くのなら…。

 

 




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