188 【身内P村】箱庭世界とリバースデイ【R18RP村】
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[ ―― 昨日のパーティーの余韻の残る洋館。 その朝に、その男は戻ってきた。 ]
(1) 2022/12/14(Wed) 0:02:43 |
| [ 半年前、『愚者』であるアリスが見つかり、 洋館には21人が揃っていた。 その頃には、7年前に消えた『世界』は、 もうどこかで死んでいるのだろう、というのが 大方の見解になっていた。
洋館育ちが、街へ行くと言っただけの軽装で、 そう生きていられるとも思われなかったことと、 それから――“まだ世界は崩壊していないのだから”、 あれが生きているはずがない、というもの。
…… 皆、そう思いたかったのだ。 ] (2) 2022/12/14(Wed) 0:03:44 |
| [ 俄に洋館は騒がしくなっただろう。 「証持ち」を許容する洋館の職員や、世話係であっても、 この未曾有の事態に、平然としていられる人間は、 多くはなかった。 それでも、表向き冷静を装える幾人かによって、 「証持ち」たちに声が掛かる。
「証持ちたちを此処へと集めてほしい」 そう、『世界』の彼が言ったからだ。
そして証持ちたちは今、 洋館の玄関ホールへと集められていた。 ] (3) 2022/12/14(Wed) 0:04:43 |
| [ 7年前までの彼を知る者なら分かるだろう、 彼が『世界』の証持ちその人であることを。
彼を知らない者にとっては、 それは初めて見る顔であるはずだ。 ] (4) 2022/12/14(Wed) 0:05:18 |
| (5) 2022/12/14(Wed) 0:06:29 |
| [ しかし――その一言であなたたちは理解するでしょう。 と。 ] (6) 2022/12/14(Wed) 0:07:11 |
| [ そんなことは有り得ないはずなのに、 強い感情に支配されて、 それは真実で現実であるのだと、 理解してしまうでしょう。 このひとは、『箱庭の神』そのひとであると。 ] (7) 2022/12/14(Wed) 0:08:35 |
| [ その強い感情に、喜怒哀楽、 何が混じっているかは、 人それぞれでしょうが。 ] “ 会いたかったよ、皆 ” “ わたしの愛しき子ら ” [ あなたたちがどんな状態であろうと、 神は嬉しそうに語りかけてくるでしょう。 神は本当に『箱庭の子ら』を愛しているのです 神は本当は『箱庭の子ら』を愛していたのです。 ] (8) 2022/12/14(Wed) 0:10:20 |
| “ さあ今度こそ、皆で幸せな世界を作ろう ” “ こんな世界は、壊してしまおう ” [ 事も無げに、神は言いました。 誰のことも咎めることも出来ず、戒めることも出来ず、 崩壊してしまった箱庭を、 神はずっとずっと、愛していました。 そして『箱庭の子ら』が揃った今この時、 神は箱庭の再生と、今の世界の崩壊を願うのでした。 ] (9) 2022/12/14(Wed) 0:11:52 |
| “ ……けれど、もしも皆がこの世界が必要だというのなら ”
“ ……愛する子らの頼みだ、壊すのは止めにしよう ” [ 神にとって、 世界はふたつも要りませんし、 愛する子らを痛め付けるこんな世界など、 崩壊させるに値するものなのですが。 それでも神は、あなたたちに道を与えました。 ] (10) 2022/12/14(Wed) 0:12:53 |
| “ 選びなさい、わたしの愛しき子ら ” “ 世界を壊し、箱庭の再生を望むか ” “ それともこの世界を愛し、生きることを望むか ” [ 神の示した期限は――明日。 それは人間にとっては、あまりに短いものでした。 しかしあなたたちは 一蹴することは出来なかったでしょう。 少なくともあなたたちは、 考えざるを得なくなってしまったでしょう。 ――あなたたちの意思とは、関係なく。 ] (11) 2022/12/14(Wed) 0:14:25 |
| [ 自らの伝えたいことを伝えると、 『世界』の姿をした神は、 外へと去っていきます。 洋館のあちこちで、 彼の姿を見掛けることは出来るでしょう。 言葉を交わすことはできるかもしれません。 しかし神が聞きたいのは選択だけです。 何も言葉をくれないかもしれません。 更に言えば――『世界』の証持ちの面影は、 そこには見えることはないでしょう。 ] (12) 2022/12/14(Wed) 0:15:05 |
| [ やがて洋館へも聞こえてくるだろう。 世界各地で起こる、天変地異の報が。
今、本当に、世界は崩壊しようとしているのだ。 ] (13) 2022/12/14(Wed) 0:19:52 |
| (a0) 2022/12/14(Wed) 0:24:23 |
なぜあなたがいて
だれもすくえないのですか?
すくうきもちは ほんとうにありましたか?
[ 死神は叫びました。
穏やかで、平穏な箱庭。
教皇の存在は、死神にとって
意味のない、自分とは違って
まるで箱庭そのもののようだと、感じていました。
慈愛の聖者。
死神は、信じていました。
あなたを ]
[
あの子が、幸運と不運を繰り返す存在なら、
僕は、幸福と不幸を裏表にさせる存在だった。
それら二つは常に釣り合っていなければならない。
誰かの
幸福
と、別の誰かの
幸福
もまた、
釣り合わなければならない。
均衡が崩れることが、どうしても赦せなかった。
22人でバランスよく保たれていたはずの均衡が、
一人を欠いて崩れ始めた時、
僕は
『正義』を
喪
った。]
[例えば球体を作ろうとした時。
粘土や張子で作るなら、
足りない部分を補えば良い。
けれど、例えば木片から削り出した球が、
凹んで欠けて、歪になってしまったら?
足すものも存在しなかったなら?
反対側を、削るしかない。
そうして反対側を削ったならば、
歪になった球体が、
余計に歪さを増すだけだとしても。
そうして、かつて、『正義』は────、]
[もしも、『正義』が『運命の輪』のように、
変化を受け入れることができたなら、
もしかしたら、『正義』は────、
なんて、
そんなたらればは、何の意味もない。
その不寛容さこそが、
『正義』に与えられた性質のひとつだったのだから。
『正義』はかつて、
均衡が崩されることを、ひどく嫌悪し……
恐
れていた。]
[ 箱庭に居た
『教皇』が
自らを失う瞬間まで
自分自身を、神を恨んでいたことを。
理性を失ってからは
ただ破滅のみを願ったことを。
憎んでいたはずの神と
同じ願いを持ってしまったことを。]
[ それは深い闇だった。
とうに温度を失った抜け殻を抱きながら、
ずっとずっと考えていた。
考えて、考えて、考えて――
そうして思った。
死とは唯一の不変。永久の安寧。魂の救済なのだと。
あの子にとって救いはもうそこにしかなかったのだ。
そう結論付けてなお、受け入れることなどできなかった
]
[ 世界はとっくに壊れているのに、
あの子はもういないのに
どうしてそれでも回るのか。
失われた命を、あの子を、僕を置き去りにしておいて。
どうしてどうしてどうして。
くだらない混乱はいつまで経っても終わる気配もなく
取り返しの付かない死はやがて過去になり風化する
誤りも罪も罰も忘れられてしまえばただ死んだだけだ
そうやってただあの子の存在が消えていくこんな世界で
のうのうと生きて息をする有象無象の全てが憎くて、
疎ましくて羨ましくて妬ましくて妬ましくて妬ましくて――
ふっと気付いた。
どうせ混乱は果てまでも転がり続けるだろう。
どうせ壊れる世界なら、僕が壊したって変わらない。 ]
[ わかってほしかった。
この闇を。痛みを。絶望を。
…… もしかしたら、
彼女なら、彼女だけは、理解してくれるかもしれない。
緑
の眼をした怪物はそう思った。
何故って、彼女もまた、自分だけの光を持っていたから。
けれど――少なくとも、
彼女はその手で、怪物と成り果てたそれに幕を引いた。
当然だったのかもしれない。
だって彼女の「光」は、まだそこに生きていたのだから。 ]
『僕は僕の、君は君のなすべきことをした。それだけだよ』
[ それはかつて友であったきみへの、最期の贈り物。
たとえ落ちる砂をひととき止めただけだとしても、
きみの決断は正しいのだと保証する肯定。
…… でも、僕の言葉なんかでは
きみの心を軽くすることはできなかったらしい。
まあそれは、当然といえば至極当然のことなんだけどさ *]
わかりません。
わかりません、……わかりません。
……どうして、
君たちは完璧だったのに。
すごく美しかったのに。
最後が相打ちだなんて、
まるでそいつが片割れみたいじゃないか。
ちょっと妬けるな。
せめて俺に殺されてほしかったな。
その首に鎖をかけて、
どこにもいけないようにして、
幸せのままに、 ……… なんて、
もう何を言っても無意味なんだけど。
ざ〜んねん。
一人で死ねばよかったのにね。
[ 崩壊の鐘の音を鳴らしたのは『
悪魔』でした
それは構いませんでした
彼がどれだけ血に染まろうと罪に塗れようと
わたしたち
──それに彼
がいればどうでもいい
最後に
三人が残ったなら
きっと完璧なままに終わらせてくれる
彼がそれを望むなら それでもいいと思っていました ]
[ それでも、永遠だと思っていた箱庭に
わたしたちの完璧を 都合のよい夢を重ねて しまって
終わるならそれは完璧などではなかったということ? ]
恋人たち
手を取り合り寄り添う二人
言葉を重ねて心を通じ合わせ
健やかなる時も病める時も分かち合う
互いに違うものだからこそ尊い
ひとりきりの愛など自慰と何が違う?
喜びも悲しみもない予定調和
自分を騙し続ける一人芝居
満たされていて幸せな振りをして
本当は誰かに愛されたかっただけだろう?
[ わたしたちの欺瞞を嘲笑う声がする
それは箱庭の誰かの声 ?
まぼろしが見せたのは 胸裡で育てていた不信
ああ それはきっと 疑心を燻らせていた
『魔術師』に すり替わる
『隠者』の毒が見せるまぼろしよりも、
ずっと上手にありもしない敵を形作るでしょう * ]
[後悔という名の痛みから逃れる手段はいくつかあって。
そのひとつが、誰かの、何かのせいにすることだ。
そうして、『審判』は、自らのしでかしたことから目を背け、
目を開きもしないまま、死んだ]
ええ、勿論止めませんよ。
私も手伝いましょう。
……私の力は、その為にあるのですから。
[
『教皇』は既に気が触れた『隠者』の言葉に
笑みを浮かべ、同意した。
握られた杖先に埋め込まれたタンザナイトから
美しくも妖しい ── 暗色
を灯して。*]
[ 長い睫毛が浮き上がり、伏せられていた黄金の瞳が薄ら開く。
切れ長の黄金は『死神』を見据え、やがて口角を上げて ]
……そうですね。
私には人を助け、癒し、救う力など無いのですよ。
聖者などでは無い、ただの……。
…………。
私が持つ“ 贈り物 ”は、何だと思いますか?
[ 死神の思いも何も、知ることは無く。
ほんの一瞬、“慈愛の聖者”にふさわしい
優しい笑顔で死神の姿を見据え
白魚のような指を杖の先端に乗せ、尋ねた。]
私は、貴方が羨ましかったのです。
神が本来想定していた結果通りなら
私達は、きっと上手くやれたはずで
しょう。
[ でも、現実はそうではなかったのです。
私自身の性質と 『贈り物』の相性が
あまりにも合わなかったのです。]
[ ──── 貴方は悪く無いのです。
全ての原因なのですから。 **]
どうしてか気に食わなくて
でもだからってそうするつもりはなかったのに
『女帝』を手に掛けてしまった
箱庭が混乱に堕ちる中で殺してしまった
不穏分子と疑われた『塔』
無実と信じていた、救いたかった
なのに、何かの間違いだと訴えるしか出来ず
僕の目の前で、処されてしまった!
どんなに願ったって
どんなに足掻いたって
あなたにとってのわたしはどこまでも何者でも無く
あなたとわたしはどこまでも無関係だった。
せめてその手で殺してくれたらと
不要な疑いをすべて引き受けた。
そのせいで混乱が深まって
誰が殺しても誰が死んでも
そんな事は些細なことで
どうだってよかった。どうだって。
満たされぬ葛藤を癒してくれる暖かな存在も
友と呼んでくれたかけがえのない存在も
何もかもを手放してでも
その腕の中で眠りたかったのに
わたしを裁いたのはあなたでは無かった。
結局、最期の最後まで
わたしとあなたはどこまでも無関係だった。
次があるなら、次こそは
こんなわたしに寄り添い続けてくれた
たいせつなあの子たちの為に生きようと思った。
ずっと傍にあったたいせつなものを次こそは
見失わぬように、手離してしまう事のない様に。
わたしのせいで散ったあの子を
今度こそ喪わぬよう護ろうと
わたしを信じ抜いてくれたあの子に
今度こそ相応しい友で在れるようにと
魂に刻み付けるつもりで祈った。
あなたのことはここでおしまい。
わたしでないわたしと
あなたでないあなたがもしも結ばれたって
何の意味もないのだし
どうせきっと未来永劫
あなたとわたしは、どうしたって、
きっと、無関係なままでしょうから。
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