14:46:00

人狼物語 三日月国


57 在りし日の記憶、邂逅に微睡み

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【人】 分校教諭 添木 卓郎

──回想・廃校舎備品庫──


[ 灰褐色の謎めいた空間に送られ、早24時間。

  右も左も非現実的なそこに、
  居るはずのない懐かしい人物が立っていた。
  >>2:102>>2:103


  
『─── 添木先生!!!』



[ 涙で顔を歪ませる彼女に、4年前の自分ならば
  はははっと軽快に笑って
  冗談の一つも言ったかも知れない。 
(6) 2021/02/08(Mon) 7:45:24

【人】 分校教諭 添木 卓郎

[ しかし、この4年で色々な事が変わってしまった。
  込み上げる喜びと同時に沸き起こる後悔が
  胸中を駆け巡り、
  
  気付けば彼女に頭を垂れるような姿勢に
  なっていただろうか。]


   …悪かった。
   あの時、俺はお前らを置いて逃げてしまった。


[ そう言って、4年前の"事件"を思い出す──]
(7) 2021/02/08(Mon) 7:46:02

【人】 分校教諭 添木 卓郎

──回想・4年前──

[ 俺の引率した林間学校で
  1人の生徒が失踪した。>>2:43>>2:44
  普段素行の悪い彼女のことだから
  宿舎を抜け出してろくでもない奴とつるんで
  るんだろう。そんな噂が実しやかに囁かれていた。

  果たして、捜索の結果その通りだった。
  

  ──同時、世間を騒がせていた宗教団体があり。
  彼らは山奥で集団生活をしながら"修行"をしていた
  
  雛市はろくでもない奴とつるんでいる内に
  宗教に引っかかり、入信していたそうだ。
  彼らが"修行"を行う拠点が林間学校の行先の
  近場だった事を知り、またとないチャンスだと
  脱出を測ったらしい。 ]
(8) 2021/02/08(Mon) 7:46:28

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ しかし、何故雛市は学校を抜け出せた?
  と人々は疑問を持つ。
  そして、「林間学校の宿舎内部で手引きをした
  人間がいるのでは」という憶測が広がり、


  俺がその協力者ではと疑われたのだった。]
 
(9) 2021/02/08(Mon) 7:47:02

【人】 分校教諭 添木 卓郎


  ──『事件当日、雛市が最後に発見されたのって
    宿舎近くのバーらしいよ。』

  ──『そういや添木、「俺は林間学校行ったら
   こっそり酒開けるの楽しみにしてるぜー」
   とかなんとか言ってなかったっけ?

  ──『うわ、やっぱりあいつが
   グルだったんじゃね?』

  ──『てかさ、前からあいつらよく廊下で
   楽しそうに話してたけど。
   ……もしかしてデキてたんじゃねーの!?』

  ──『うわー。ありそー!』
  
  ──『きゃははっ!』

  ──『ホント引くわー。』

 
(10) 2021/02/08(Mon) 7:47:54

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ 当然、俺はバーなどには行っていない。
  しかし、阿呆のような話だが、
  「添木と雛市は実はデキていた」という噂は
  生徒の間で信じられてしまった。

  他にも何も証拠はなかった。しかし。
  俺は監督不行き届き兼生徒との不適切な交友という
  事由で葵学園の職を解かれた。]
 
 
(11) 2021/02/08(Mon) 7:49:44

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ 一応、証明する事自体はできた。
  俺が雛市とデキてるはずがないという事実を。


  しかしそれを口に出すことができるだろうか?
  

   ──学園を去るその日まで、
   ずっと声を上げて俺の無実を主張してくれた
   女子生徒がいた。


  彼女にだけは分かっただろう。俺の無実を。
  何故なら、俺は──

  夕凪の事が、好きだったから。]

 
(12) 2021/02/08(Mon) 7:50:54

【人】 分校教諭 添木 卓郎

──時は戻り、2日目備品庫──


[ ずっと慕ってくれた彼女。
  無実を主張し続けてくれた彼女。
  結局…俺はなにもしてやれなかった。


  垂れた頭を上げることができない。
  …しかし。目の前の彼女は零れた涙をとうに拭き
  きっと顔を上げている。>>2:103
  

  俺も顔を上げねば…と思いながら、
  思うようにいかなかった。]
(13) 2021/02/08(Mon) 7:51:10

【人】 分校教諭 添木 卓郎

[ 彼女は自分の身に起こった事を話してくれた。
  こちらも気付いた事を話し、情報共有。


     『また、後でな』


  そう切り出したのは俺の方だったか。
  すぐ離れてしまったのは、自分の中に幾ばくかの
  後ろめたさがあったせいだろうか。


  図書室に戻るという夕凪。>>2:130


  彼女が去れば、1人になった備品庫で再び
  マットに寝そべり、しばらく過去の事や
  現状の事を取り留めもなくぐるぐと
  考えただろうか。]*
(14) 2021/02/08(Mon) 7:52:27

【人】 分校教諭 添木 卓郎

──回想・廃校舎備品庫──

[ 初めてちゃんと言葉に出来た謝罪の言葉を
  夕凪は黙って聞いていた。>>33
  
  目の前の顔を直視できず、目を伏せたまま
  息を詰めて返答を待つ。


  ……告げられたのは、意外な言葉だった。>>33
(66) 2021/02/08(Mon) 21:31:19

【人】 分校教諭 添木 卓郎

  
   (生徒達が、俺のことを信じていた?)


[ 目頭を拭いながらも、
  へへへっと殊勝に笑顔を作る彼女。

  遠い昔、国語の成績をグッと上げた彼女に
  廊下で声を掛けて褒めた時、
  こんな笑顔をを浮かべていたっけ。

  当時はひたすら赤くなって、
  慌てて目を伏せていたばかりだった。]
(67) 2021/02/08(Mon) 21:31:46

【人】 分校教諭 添木 卓郎

[ でも今は俺の目を見て
  俺の間違いを、正面から正してくれている。]
 

    (──成長したんだな。この4年で。)


[ 眩しい、と思った。

  夕凪だけじゃない、彼女の語り口から
  あの時の生徒達だってきっと真っ直ぐに
  成長したのだろうと、察することができた。]
(68) 2021/02/08(Mon) 21:32:24

【人】 分校教諭 添木 卓郎

[ それなのに、自身の口から出たのは
  「また、後でな」の言葉。
 

   
──林間学校の最中に雛市の逃走事件があり、
   彼らの青春の一幕に傷が付いた、と思った。
   自分がその傷をつけた一人なのだとも。

  ──だが、奴らはとっくに過去の事を
   受け入れて次に進んでいて。
   ずっと過去を引きずり、泥沼に嵌っていたのは
   俺自身だったのだ。



  こんな心の内など彼女に伝えられる訳もなく。
  放たれた一言は彼女にどう伝わっただろう?


   
ふと冷静になってそんな事を考え
  そして激しく後悔するのはこの二日後、
  タロット探しのリミットも差し迫った時刻に
  なってからだった。
]*
(69) 2021/02/08(Mon) 21:33:14

【人】 分校教諭 添木 卓郎

──図書室へ──

   
何であの時…俺は…!!



[ 時は移り、廃校舎に送られて3日目の夜。
  鈍色のまま変わらない天候は時刻を知るには足りず
  腕時計を持たない俺は、
  周囲の人間の忙しなく動き回っている様子から
  間も無くタイムリミットが訪れる事を感じていた。


  柚乃のかけ声を背に、砂場を後にし図書室へ。
  >>3:176


  …時間がない。ない。
  タロットを見つけられないとはつまり
  ここに永遠に閉じ込められるという事。

  そんな生きるか死ぬかに近い瀬戸際にいながら、
  しかしその傍ら、突き上げるような後悔が
  胸中に押し寄せる。 ]
 
(70) 2021/02/08(Mon) 22:08:32

【人】 分校教諭 添木 卓郎

[ 息を切らせて走りながら
  思い出すのは2日前の夕凪との事。

  失意の中にいた自分を掬い上げようと
  してくれた彼女の言動を、俺は無碍にした。
 
  過去を乗り越えて成長を続ける生徒達と、
  過去に囚われた自分の差に打ちひしがれて。>>69
(71) 2021/02/08(Mon) 22:11:54

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ そしてもう一つ、気付いた事がある。
  この4年間、夕凪を教えていたあの日々は
  無かった事だったのだと自分に思い込ませていたと


  
何故なら、俺は教師で
    彼女は生徒だったから。



  彼女の純粋な想いを分かっていて、
  それでいて、敢えて何も言わずに立ち去ったのだ。


   ──でも、本心は?

   ──この4年間、ずっと。
会いたかった。

 

 
(72) 2021/02/08(Mon) 22:14:45

【人】 分校教諭 添木 卓郎

    
(結局俺が逃げてただけじゃねぇか…!)



[ ここまま俺だけこの場所に
  閉じ込められるならいい。
  ただ、彼女が戻ってこれなくなったら?
  
  また、もし、俺がタロットを手に
  入れられたとして。
  「また、後でな」の言葉だけ残して
  自分だけのうのうと現実世界に戻る?
  ダサすぎやしないかそれ。俺は馬鹿なのか。


  図書室の本に挟まっていたタロットを取り、
  そこから夕凪を探そう。
  そう算段し、絶対に間に合う、と自分を鼓舞した]
(73) 2021/02/08(Mon) 22:23:36

【人】 分校教諭 添木 卓郎

[ そのまま勢いよく図書室に飛び込み、
  そして、目に入ったのは…

  夕凪の姿と、『痴人の愛』と、
  タロットカード。>>44


   せん、せい……?


[ 2日前、あんな風に突き放したのに。
  彼女は変わらぬ態度でこちらを見ている。]


   タロット、手に入れられたんだな。
   良かった。


[ 自分のタロットがまだ無い事など忘れて、
  夕凪だけは助かるのだ…と安堵が広がった。]
(74) 2021/02/08(Mon) 22:33:34

【人】 分校教諭 添木 卓郎



   一緒に、帰ろうか。


[ 夕凪の正面に近づき、彼女が座っているならば
  頭の位置をを下げて目線合わせながら
  そう、声を掛けた。


  もしこのタロットを他の人と使う予定ならば
  その者に譲り、自分は初日見つけたタロットを
  探そうと。

  そのタロットは今同じ部屋の机の上にあり、>>3
  丁度死角の位置にネリーがいるのだが、
  そのことはまだ知らず。
  
  きっと探し始めればすぐに机上の本を見つけ、
  もう一枚のタロットを手にする事が出来るだろう]*
(75) 2021/02/08(Mon) 22:50:18

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ 片膝を付き
  座る彼女の顔をよく見ようと覗き込んだ。
  自然、目と目が見合う形になる。
  

  刻一刻と迫るタロットの期限。
  それなのに、
  数分前の焦りが何処かへ消え去ったかのように
  今はこの場の時が止まっているように感じるのは
  何故だろう。]
 
(83) 2021/02/09(Tue) 21:15:22

【人】 分校教諭 添木 卓郎

   
此処には自分の貸した本。
そのタイトルは痴人の愛で
出てきたタロットは、恋人のカード。

導かれる答えは、一つだ。
(84) 2021/02/09(Tue) 21:15:47

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ 夕凪はおもむろに居住まいを正す。>>77
  そして、 ]


   『さわってもいいですか。』
  

[ 意外な言葉に
  何が何やら分からぬまま首肯すると。

  す…と流れるような動きで
  彼女の指が髪に触れた。]
 
(85) 2021/02/09(Tue) 21:16:33

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ 細く柔らかな指は髪に絡むように動いた後、
  そのまま額を、目元を、
  伝うように滑る。


  彼女の指先は少し冷たかっただろうか。
  だが…それに触れられた場所は熱を持ち
  自分でも呆れ戸惑うような火照りを残してゆく。

  
  沿わせた指先は頬まで来たところではたと止まり、
  そのまま小さな手のひらが、左頬を包んだ。]
 
(86) 2021/02/09(Tue) 21:17:46

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ そして離される、彼女の手。
  離されてもなお
  触れられていた左頬は、じんと灼けつくように熱い
  

  ……4年前に初めて出逢ってから。
  廊下で模試の成績を誉めた時も。
  俺の無実を訴えて続けてくれた時も。

  ずっと、彼女の想いは変わっていなかった。

  ならば今度こそ、俺が応える番じゃないか。]
 
(87) 2021/02/09(Tue) 21:18:42

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ 自然と湧き出る感情のままにそう答え、
  続いて告げられる言葉に
  最初から分かっていたさ、と言わんばかりに頷き
  微笑む。]
 
(88) 2021/02/09(Tue) 21:22:17

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ そう言って、
  丁度腕を上げた夕凪の手を左手で取る。
  そして、そのままの体制で
  右手で夕凪の肩に触れ、自分の元へ引き寄せた。]*
 
(89) 2021/02/09(Tue) 21:43:53

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ ──そして、刻は来る。


  地面が唐突にヴゥンと音を立てた。
  2人で握りしめたタロットは
  段々と眩い光を放ち始め
  その光は放射状に広がり
  2人の居る空間だけを包み込んだ。
  

  眩むようなまばゆさに目を細めたのち。
  最後に、去りゆくこの地を目に焼き付けようと
  空間を見渡す。]
 
(90) 2021/02/09(Tue) 21:45:04

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ 結局この場所は何だったのだろう。

    ──ネリーは。スバルは。

    ──過去から来たという柚乃は。


  再び気を失う直前、
  自分らの居る空間の床が
  ぼろり、と崩れるのを、見た気がする。


    ──まるで、建物の倒壊のような。]
 
(91) 2021/02/09(Tue) 21:48:31

【人】 分校教諭 添木 卓郎



[ 疑問は渦巻きつつも、
  掴んだ恋人のタロットを手放す事は決してなく。
  

    あと一秒でも、一瞬でもいいから
    目の前の大切な人と時を共有していたい。


  再び気を失う最後の瞬間まで
  そう、考えていた。 ]**
  
  
 
(92) 2021/02/09(Tue) 21:50:01

【人】 分校教諭 添木 卓郎


[ 文字通り、崩れていく世界の
  その中心で。

  溢れんばかりに満たされる心と
  比例するかのように湧き上がる、
  一つの不安があった。


    ──この場から帰れば、此処で起きた事を
      全て忘れてしまうのではないか?


  俺は全て忘れてしまうのだろうか。
  ここで出逢った人も、この場所を探索した事も
  それによる気付きも、


    ……夕凪と再会した記憶も。 ]

 
(93) 2021/02/09(Tue) 22:11:14