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人狼物語 三日月国


184 【R-18G】ヴンダーカンマーの狂馨

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【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 己の苦痛と引き換えに
 歪んだ価値を産出し続ける自分の様な生物が
 いつか人間の自己破壊を引き起こすと
 心の片隅では薄ら感じ取っていた。

 それが一体何に使われようとしていたのか。
 如何にして学星院上層部が難を逃れたのか。
 解ってしまえば、呪いと共に滅ぶ他なく。

 訪れ、移り住む者はあれど
 去る者の居ない、罪の蒐集を続けるこの島で
 生まれた魂は、この島に還るのだろう。

 …………だから、私は。
 
(11) 2022/11/15(Tue) 4:23:07

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [刺激臭の立ち込める通りは酷い有様だった。
  体調不良を引き起こす何らかの物質が漂う大気は
  苛立ちと共に理性を失った人々の欲望を加速させる。

  それを密かに写真に収める者がいる。
  我が子を叱り付ける事が生き甲斐となってしまった母親、
  収穫したての頭部を売り捌いている露天商、
  銀鷹公の治世に反対を掲げ川底まで行進を続ける先導者。

  秘めた思想、隠れた危険性、それら全てを
  戒めの様に残す。

  その足取りはやがて、一つの死体の前で止まる。
  全身の皮膚が泡立った様な死に姿と、
  周囲に散乱する粘性を帯びた液体。

  かつて貧相な地人の男であっただろう亡骸が
  それを半狂乱で小瓶に掬い集めようとして絶命したのは
  わけなく想像できる。]
 
(12) 2022/11/15(Tue) 4:23:37

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 


 [傍らに立つ小柄な影は、その様子をじっと見詰めて。
  遺体の症状と、要因の液体に心当たりがあるかのように、
  何も言わずに佇んで、屈み込んで、それから────]

 [後少しの所で、交わったかも知れない運命は
  そのか細き糸を罪の色に染めたまま、縺れていく。]

 
(13) 2022/11/15(Tue) 4:23:53

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 ──── 宵;へレース聖堂

 [信仰とはこの島における啓蒙の対義語であり、
  研究者達が最も近寄らない場所こそが此処だった。

  欲を解放した人々の、奥底にある背徳感もまた
  神の御前から足を遠ざけさせるのである。]

 
(14) 2022/11/15(Tue) 4:24:11

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [北側へ続く大通りをなるべく人目に触れぬよう抜け、
  今や崩れ落ち、熾火が燻るだけとなった自宅を超え、
  漸く辿り着いた静謐な場所。

  此処は事件後から人の出入りが無かったようで、
  外側から閂を外せば容易く侵入できる構造にも関わらず
  誰にも荒らされない聖域として残っていた。

  普段通っていた敬虔な信徒や聖職者に至るまで
  心のどこかでは質素な暮らしを捨て、
  好き勝手振舞ってみたかったのかも知れない。

  少し考えてみれば当然のことでもあった。
  神に縋る事が真の欲望である者など居ないだろう。
  誰しも神に祈るその内容こそが、隠れた欲求なのだ。

  そして────最期の仕上げをするには
  お誂え向き過ぎる場所でもある。]
 
(15) 2022/11/15(Tue) 4:24:29

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [咎人は聖堂の壁に造られた、
  記憶に新しすぎる神体を見上げる。

  咎人にとって、
  発祥も、その名も知らぬ聖女の像が
  人々に何を齎したかなど重要ではない。

  赦しも、救いも、最早求めるには遅く
  この場所でさえも一種の舞台装置に過ぎない。
  理論としての説明が叶う、それ以上の意義はない。
  唯、都合が良いというだけ。

  初めから、親殺しの罪を背負ってまで
  生き永らえるつもりも、後世に名を連ねるつもりも、
  其処にはなかった。

  唯一の、揺らぎと言うなれば────]
 
(16) 2022/11/15(Tue) 4:24:44

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 


  あの時、「最後」だなんて言わなきゃ良かった。
   言って踏ん切りが着いたような気がしていたのに。

 
(17) 2022/11/15(Tue) 4:25:04

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [安否の分からぬ友を思えど、既に遅く。
  けれども、もしも罪過を抱え生き延びていたら?

  その後の事は、計り知れない。
  表面上取り繕われていた差別感情が噴出するか、
  治安の崩壊により今後も略奪が相次ぐようになるか、
  問題は幾つでも思い浮かぶ。

  学星院の権威と重要な収入源を折ったところで、
  これからの人々はまともに生きていけるのだろうか。]


 (……その為に、フィルムを使い切ったんじゃないか。)


 
(18) 2022/11/15(Tue) 4:25:19

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [咎人は、震える手で日記帳にペンで記し始める。
  母を亡くした悲しみと、父が暴虐を働いていた苦しみを。
  そして飽くまで自分が正気であるという証明を。

  事実の切り取りのみが綴られた紙面にも、
  残されたものが全て燃え尽きた火事現場にも、
  入念に練られたその罪を裏付けるものはない。

  前列のベンチ、今朝の葬儀の際に彼が座っていた席には
  核心的な音声記録のみが残った魔道具と
  “彼がポケットにしまい込んだ”ものを除いた、
  無数の凄惨な写真が入った鞄が置かれている。

  祭壇の上でランタンを床へ手放し、
  不確かな灯りの中、ふたつの凶器を見る。]

 
(19) 2022/11/15(Tue) 4:25:40

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [長年連れ添ってきた者達を殺めた凶刃を]

 [宿命と連鎖を断つ為持ち出したナイフを]


   
[この魂を完全に滅ぼす為の何よりも確実な手段を]

   
[あなたを加害者にして得るあなたからの安らぎを]


 
(20) 2022/11/15(Tue) 4:26:16

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [じっとりと冷や汗に濡れ、固くなった呪布の結び目は
  思いの外あっさりと外れた。
  外れて、しまった。

  筒型の試料ケースに移し替えた液体を、
  神の御前で一息に飲み下す。
  十数秒の空白の後、長らく忘れていた味覚痛み
  喉に残る刺激によって思い出す。]


         
ゔ、
 
ごほ
……ッ
 
あ…
 
……
ァ、



 [腹の内側から灼かれる苦痛だけは味わった事がなく。
  鈍くなっていた全ての感覚が呼び起こされると共に、
  次第に視界の淵までもを紅に染めた。

  目を開けていられない程の痛み。
  聲は縮れ、呼吸は鉄の味を帯び、音は遠ざかる。
  反射的に吐瀉した内容物に赤い石は混ざっておらず、
  毒性により凝り固まった鮮血でしかなかった。

  ああ、今ならきっと命まで届く。]
 
(21) 2022/11/15(Tue) 4:26:35

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [ぼたぼたと眼窩から、咥内から、
  滴り落ちるそれだけが
  己が未だ人間である事を肯定する。

  記憶の水底から掬い出される、
  “まだ”生き甲斐を感じていた頃の光景。
  無尽蔵に産み出される「価値」に、
  彼らが慣れ切っていなかった頃の噺。

  かつて、何度千切っても再生する手指に使用人は慄いた。
  次第に、より多く傷付けるほどに己の取り分が増えると
  気付いてからは、良心も理性も見て呉れだけに変わった。

  期待されたのは、甚振られていた瞬間だけ。
  目の色を変えた奴らに貪られる、その時だけ。
  それなのに。

  こんなにも、久方振りの痛みが愛おしいなど。]
 
(22) 2022/11/15(Tue) 4:26:54

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [内臓を破壊し血流から全身に蔓延っていく甘美な毒が、
  元来持つ治癒力を容易に上回る。

  手の中で握り締めた刃は、
  破裂した血管腫から零れる血液にべっとり濡れていた。
  滑らぬように、確実に。
  服の袖を介して固く力を込め直す。

  死と云う現象の先には何も無い。
  遺される人々を想う義務も権利も無い。
  誰かへ向けて残す言葉さえも、無い筈だった。

  逆手に握ったナイフの切っ先を、
  目を瞑ったまま、左胸目掛けて。]
 
(23) 2022/11/15(Tue) 4:27:14

【人】 碧き叡智 ヴェレス





                      
もう、いくね


 
(24) 2022/11/15(Tue) 4:27:52

【人】 碧き叡智 ヴェレス





(25) 2022/11/15(Tue) 4:28:21

【人】 碧き叡智 ヴェレス

 

 [祭壇から身廊へ続く流れに
  罪を雪ぐ役割はなく。
  ただただ、自害を選んだ一つの遺体が
  静かに横たわっているのみである。

  末端は潰瘍によって壊死し、
  本来青白い静脈は肌の下で炎症と破裂を繰り返した。
  渇き果てた血の涙がその凄惨さを物語る。
  それでいて、呪いに狂わされた者に比べれば
  幾分かは名誉の保たれた死に様だった。

  学者達が見向きもしない神聖な其の場所で、
  身を焼く苦しみに耐え忍び絶命した小さな命を
  人々は、何とするだろう。

  或いは、“計画通りに”担ぎ上げるのやも。]

 
(26) 2022/11/15(Tue) 4:28:29

【人】 碧き叡智 ヴェレス




       聖女の足許で斃れる魂に
       悼みの鐘はもう鳴らない。
       
            
☦︎︎


 
(27) 2022/11/15(Tue) 4:28:42

【人】 住職 チグサ

[いったいどればかりの時間がたったのでしょうか。
 私は、仏様の頭を膝に抱え、手を合わせ、お経を唱えながら、己の精神世界に没頭していました。
 外界からの刺激は遮断され、私と仏様の二人だけがそこにありました。体を膨らませるようにしてお経を唱え、極限まで集中を高めた時、しばしば陥る感覚です。
 といっても、体は酷く消耗していましたから、実のところは朦朧としていたのかもしれません。
 集中を解き、外に再び意識を向けたのは、何者かによって、故人の肩が揺さぶられたからです。

 その方もまた、月明かりに照らされてなお赤い布で口元を隠していました。
 呪布とは対照的に顔色は酷く青ざめていて、我が膝で眠る方に必死に呼びかけておられます。
 私は、故人を揺さぶるその手に、皺がれた手を重ねて、静かに首を振りました。]
(28) 2022/11/15(Tue) 21:47:31

【人】 住職 チグサ

[南の空に、ぽっかりと月が浮いていました。
 やがて彼は、しゃくりあげながらもぽつりぽつりと、何があったのか話してくださいました。
 彼と親しかったこと。この計画で知り合って、話すうちに同郷だと知ったこと。
 全てを賭けた結果、リーダーがどうなってしまったのかも。]

 そうですか……

[彼はごく近くで、首魁の夢が破れる様を見ていた様子でした。
 一体何があったのか、誰にも追いつけぬ速さで駆け抜けていた首魁が、
 命からがら逃げだして、走り迷ううちにここへたどり着いたこと。
 加担した私に、何を言う権利もありません。
 ただ、憐れでした。]
(29) 2022/11/15(Tue) 21:48:08

【人】 住職 チグサ


 ……それで、あなたはどうされるのですか?

[詳しい話を伺いたくはありましたが、いつまでもここでこうしてはいられません。
 私だけならば、ここで果ててもいいという、半ば自棄のような気持でした。
 しかし今、また一つの命を見て、心に責任感が灯りました。]

 逃げるならば、死角を縫って港へ行かなければ。
 裁きを受けるにしても、私刑ではなく、司法によってでしょう。
 いずれにしても、私のいる寺院に身を寄せられませんか。
 ここに長くとどまっていたら、誰かにいたぶられるのも時間の問題です。

[通りの方からは、相変わらず欲の狂騒が聞こえています。
 今まで誰にも襲われずに済んだのは、純粋に運が良かったからでしょう。

 とはいえ、私の足はすっかり萎えていました。膝枕のせいなのか、負傷のためか、それすら分かりません。
 案内をしながら、あべこべに彼に運んでいただくような形で、なんとか寺院に戻ってまいりました。
 そこで目にした光景は──]**
(30) 2022/11/15(Tue) 21:48:49

【人】 給仕 シロタエ

[娘は運がよかった
大した怪我も負わず、手に負えない相手にも会わず
誰かがまき散らした毒に触れることもなく

だけどそれはたまたまそうなっただけの事

娘が歩いた足元に澱んでいた毒は靴底に張り付いて
すれ違う誰かが跳ね上げた毒の飛沫は服に染みついて
そうして気化した毒は知らず娘に纏わりついて
知らぬうちに肺に、肌にそれが取り込まれていることに娘は気付かない

高揚した頭では体調の異変に気付かずに
気付いたとして気にも留めずにここまで来た

娘は、運がよかった]
(31) 2022/11/16(Wed) 1:29:20

【人】 給仕 シロタエ

[悪い人>>2:71
その言葉を投げられた男は明らかに激高していた
恐らくは、それが狂気の引き金になる言葉だったのかもしれないが、それは娘の知ることではなく
意識がこちらに向いたことで、それを避ける、という選択肢が消えた

運がいい娘なら、うまく躱すことを選んだだろう
狂気故か、それともほかの理由か判断力が歪んでいた
運というものに限りがあるとすれば、それが尽きるのが今だったのだろう

ここまで己の動きが鈍っていることに気付かずに来た娘は
大きく息を……身に纏わりついた毒気を吸い込み、胸元の痛みにほんのわずか顔を顰めた]

 まぁったく、ロクデナシがいると気分が悪いわねぇ

[先ほどまでなら避けていただろう相手を煽るように笑う
尊大になっているのか思考がぼけているのか、その両方か
娘は運がよかった……それは
過去形
]
(32) 2022/11/16(Wed) 1:31:34

【人】 給仕 シロタエ

[ロクデナシ、それも目の前の男には地雷だったのだろう
大声で叫びながら手にした鉈を振り上げる、鉄パイプなどでは差は歴然
初手を避けて、向き直って踏み出そうとして、足がもつれた
その立て直そうとしたところに鉈が振り下ろされ……]

 


[鈍い音と衝撃、そうしてどさりと何かが落ちる音
娘の右腕が肩口から切られて地面に落ちていた
空気が冷えたような気がして震える
汗なのか血なのか服がじわりと湿気を帯びていく

体勢を立て直す間も声をあげる間もなく、更なる一撃が今度は左腕を落とした]

 ひゅ……

[息を吸い込む、湿度の高い空気を吸い込んで……不意に何かが頭で弾けた気がした]
(33) 2022/11/16(Wed) 1:33:23

【人】 給仕 シロタエ

[娘の腕を落とした男は、そのままの姿勢で瞬きをする
何が起きているのかわからないという表情で
娘を見て、その周辺の血だまりを見て

そのまま声もなく崩れ落ちる]
(34) 2022/11/16(Wed) 1:34:30

【人】 給仕 シロタエ

 あ……ぁ……

[何が起きたの?何があったの?
落ちているものは何?
そんなこと、聞かなくても全部知っている!!]

 
あああああぁぁぁ!!!!!


[痛い、痛い、
痛い

心が?体が?どうして?
全部覚えてる、全部自分がしたことだもの!
血の気が引いていく、その血を止める腕はなく
顔を覆いたくてもそのための腕はなく

どうして、と呟いて娘は膝をついた]
(35) 2022/11/16(Wed) 1:37:20

【人】 給仕 シロタエ

 「まったく、お前は父親にそっくりだよ!」

[頭の中で声がした]
(36) 2022/11/16(Wed) 1:38:13

【人】 給仕 シロタエ

 「まったく、あの人は稼ぎも悪いくせに船を新しくしたいだってさ」
 「どうしてお前はそうなんだい、あれに似てぐずなんだから」
 「いい加減ちゃんと覚えとくれ、何度言えばできるんだい?」

 ごめんなさい、アタシちゃんとやるから

 「あのロクデナシやろう、全部持って逃げやがった!」
 「きっとお前もロクな奴にならないだろうね」
 「ロクデナシになりたくないならいう事を聞けばいいんだよ」

 「あぁ、本当にお前はあのロクデナシそっくりだ」
 「教えたこともできないロクデナシだよお前は!」

 アタシ頑張ったよ、だけどダメだったの
 アタシ、ああ。アタシ、は
(37) 2022/11/16(Wed) 1:39:35

【人】 給仕 シロタエ



 
あは、は
(38) 2022/11/16(Wed) 1:42:32

【人】 給仕 シロタエ

 
なぁんだ アタシもやっぱりロクデナシだったんじゃない
(39) 2022/11/16(Wed) 1:43:14

【人】 給仕 シロタエ

 
あは、あはは  あぁぁぁぁ!!


[笑う、笑う、慟哭ともつかない声をあげて
気付かない振りでいた本当の自分を嗤う

そう、そうだわロクデナシは片付けられなくちゃ
だからこうなったのも当然なの
だって、あたしはロクデナシなんだもの]

 
あはは あはっ   
かはっ


[笑いすぎたか咳き込んで、血を、吐いた
吸い込んでいた毒がいつの間にか肺の奥を侵食して
激しく笑ったことで崩れ出していたなんて、娘は知らないけれど]
(40) 2022/11/16(Wed) 1:45:37