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【人】 メカニック ゾズマ【帰還してそう遠くない頃】 [果ての無い夢から覚めた後、最初に目にしたのは真白な天井。 未だぼんやりとした頭ではあったものの、“夢から覚めたらしい”、ということはなんとなく理解した。 その後、担当の看護師から受けた説明が、状況の理解を助けてくれた。 遭難したミスティックアンテナ号からの救出(4年42日の経過は、流石にすぐには知らされなかった)。コールドスリープの正常な解除。現在は重力適合と、スリープ解除後の検査のため入院中、とのこと。] ( ………、そう、だ。 ドクター……、は? ) [感情の浮き沈みを繰り返していた夢の中で、彼女への負い目は絶えずにあった(当のチャンドラにそんな心地を垣間見られていた>>251ことには、気づいていない) この時ははっきり、最後に見た様子がどうだったかとか、思い出すことはできなかったけれど。 なんとなく、自分が直していったものが役に立ったような――そんな風な気はしていて。 そんな“もしも”から、ふっと口から出てきかけた問いを、諦観とも怖れともつかない心が押しとどめる。] (357) 2022/07/23(Sat) 17:16:41 |
【人】 メカニック ゾズマ( それより、も――。 いろいろ、大変になりそう、かな ) [必要な療養を終えれば、これから先に待ち受けているものの想像はできている――感傷に浸るよりも前に、そういうことを考えてしまう。 アンテナ号の事故に関しての事後処理――報告作業だったり、公の場での会見だったり、責任追及だったり。 乗艦整備士である自分が、アンテナ号の処分>>217>>218やスリープ装置故障の件>>310で駆り出されることだって想像に難くなかった。 艦内の人間関係をあげつらうゴシップが出てくることまでは考えてはいなかったけれど(世間はそういうものだと予期できてもおかしくなかったが)、それが無くとも、あの旅路と漂流を共にした“生き延びた者たち”――とりわけ、“夢の中でも”目覚める様子の無かったスピカ――のことが、気掛かりとしてあった。 けれど、この時のゾズマには、それらよりも前に。 一個の人間として――親のいるひとりの子としての、ひとつの闘いが待ち受けていた。] (358) 2022/07/23(Sat) 17:17:24 |
【人】 メカニック ゾズマ[そう、親族の面会許可が下りてすぐに、母が病室を訪ねてきたのだ。] ちょっ、まっ、…… 「予め遺書残しておくような覚悟もないんだったら宇宙船クルーなんて辞めちまえ」!? あのさママ、それ4年以上も行方不明キメてた子供に真っ先に言う台詞!?? あのねー親なら他にもっと言うことあるでしょバカじゃないのママ!?? 第一さーなんかあったら死ぬ覚悟くらいはそりゃしてたよ!? それくらいはわかって――ねえ聞いてるママ!? [遭難を受けて、さらに言えばラサルハグからの通達を受けて初めて“遺書”を書くことを考えたゾズマは(結局書く事態にはならなかったが)、乗船前に“遺書”を遺さなかった件について母から思いっきり怒られていた(チャンドラはきっちり事前に書き残していたのに!>>1:505) 面会――4年以上ぶりの再会が叶うなり、泣くでも抱きしめるでも「良かった」の言葉を掛けるでもなく、突然激昂を露わにした母。その姿は、親友を労わるより前に罵倒が出てきていたゾズマとも似ていたかもしれない。流石親子と言うべきか。 尤もそんなことをこの時のゾズマにしみじみと感じさせる余裕なんてものは無い。それよりも――] (359) 2022/07/23(Sat) 17:19:02 |
【人】 メカニック ゾズマ( やばい、…… 今度こそマジで辞めさせられる! ) [そう、今まさに、特に何かの権力闘争に関わっている訳でもない家族間の事情という非常に個人的な問題によって、ゾズマは人生3度目の離職の危機を迎えていたのだ――!] (360) 2022/07/23(Sat) 17:19:35 |
【人】 メカニック ゾズマ【回想】 [さて、人生3度目の離職の危機が今この時だとすれば。 2度目の危機は、2年前、否、もはや6年前になる件の事故の件。 では1度目はというと――その6年前の事故が起こる艦の出航を控えた時のことだ。 大学の卒業見込みの立ったゾズマは就職先も決まり、メカニックとしての安泰な人生のコースをひとまずは踏み出した。 「就職先が決まった」という話だけをした時は、母もまたそれを喜んでいた。 不穏な風が吹いたのは、実際に就職してから、初仕事に関する話を簡単に告げた時だった。] 『――待ちなさいゾズマ。 あなた、軍に入ってたの?』 へ? ちょっと待ってママ。 なんでアタシが軍にいる話になってんの……? [初仕事の内容とは、とある軍用宇宙船の整備。詳細な話は機密事項に当たるため、ここでは話さなかったけれども。 さて、この「就職先」の実態とは、単に軍需産業に携わっている製作所、というだけのこと。 このかみ合わない話の原因は、単にゾズマの説明の仕方が悪かっただけだ。] (361) 2022/07/23(Sat) 17:20:42 |
【人】 メカニック ゾズマ『母さんが――わたしが、デネボラが、 なんであなたを連れて逃げてきたと思ってるの!? なんで父さんが、あなたと母さんを ここまで逃がしたと思ってるのッ!?>>2:29』 [ゾズマの記憶の中の母は、この時まで、穏やかで冷静で、気丈な姿しかなかった。 母がここまで激昂する姿を見たのは初めてで、暫くは何も言えないままだった。 その後、なんとか誤解を解くための説明はした心算だったが、その言葉がすぐに母に届いたかどうかはわからない。 最終的には“自分が軍人になるわけではない”という話なのだと納得してもらい――そのはずだ――人生初の“離職の危機”を回避した訳だったのだが] (362) 2022/07/23(Sat) 17:21:18 |
【人】 メカニック ゾズマ[後に聞いた話で、母に怒られた日の翌日、なんと母はその件の製作所に抗議の通信を飛ばしていたらしいことをゾズマは知った。] 『いい? わたしのたった一人の娘を 軍艦のクルーにするなんてことをしたら ただじゃ済まないと思うことね! だいいち気に入らないのよ、あなたたちの “ハーキュリーズ製作所”って名前からして!』 [……というクレームだったとかなんとか。 結果としてゾズマが件の艦に乗船することはなかったが、それが地上整備班の主体たる製作所へのこのクレームが影響してのことだったか否かまでは定かではない。おそらくは、乗員たちにこの件がわざわざ伝えられることはなかっただろう。 なお少なくとも、当時のゾズマは宇宙環境への適応訓練が済んでいなかった、というのは事実だ>>0:155。] (363) 2022/07/23(Sat) 17:21:45 |
【人】 メカニック ゾズマ【帰還後:入院中】 [――丁度この時の、最後に会った記憶よりも少し更けてみえた母の怒り>>359は、あの時の怒り>>362にも似ていた。 そう振り返れば、もはやなんとかの顔も三度どころでなく二度までかもしれない、と思う。 病床の上でゾズマは観念して溜息を吐き、真っすぐ見つめてくる母と視線を合わせた。] ママの気持ちは解った。解ったよ。 解ったから……船乗りやめるかどうか、は、 もうちょっと後にさせて。 アタシ多分、これからいろいろ、 事故の後始末とか――ちゃんと事実を伝えたりとか、 やらなきゃならない仕事がいっぱいあるから。 だから辞めるにしても、全部ケリつけてから。 『……、解ったわよ。解った、けど。 今辞めなかったらあなた、結局ずるずる やっぱり辞めないとか言い出すんじゃないの。 どうせ今回も、ラサエダとかが あなたたち庇って辞任回避とか斡旋とかするんでしょうし』 えっと、ママ。何回も言ってるけどあの人は、 ラサエダじゃなくて、ラサルハグ・マエダ―― (364) 2022/07/23(Sat) 17:23:45 |
【人】 メカニック ゾズマ――――え。 ママ、今、なんて。 [「今回も」。つまり「前回」があったということ。 心当たりといえば2年前、もとい6年前の事故の件だが――まさかそんなことがあったとは夢にも思わなかったゾズマは、ここで母から事の次第を聞くこととなった。 あの事故の際、艦の不具合を炙り出さんとばかりの露骨な調査が行われたこと。整備班も(無論、勤めていた製作所も)そのやり玉に挙げられていたということ。けれどもそれは機器の仕様上の問題だったらしいと一旦結論付けられたこと>>0:220。 しかしその後の追加調査で再び整備員に問題が被せられ、当然のようにゾズマも責任を負わされていたということ(この辺りで製作所の上層部からひどい暴言を受けたことは、ゾズマも覚えている)。そしてその事態を知ったラサルハグが整備員の経歴をチェックし、ゾズマの腕の確かさを確認した上で就航に便宜を図ってくれていた。 あれだけゾズマを叱責した所長が、それでも懲戒処分を下してこなかったのは、ラサルハグのこうした対応があったからこそだった、とも。] (365) 2022/07/23(Sat) 17:24:39 |
【人】 メカニック ゾズマ『って言っても、ラサエダから聞いた訳じゃないわよ? ハーキュリーズの役員だった人が家に来た時、 お詫びのビスケットsweetと一緒に聞いた話なんだけれど』 [軍事部門でのトラブルということもあってか、この問題に関して自分の目と耳では兎も角、公のメディアでこうした問題に接することはあまりなかった(母らによって意図的に遮断されていただけかもしれないが)。 そして当事者であったラサルハグからも、あの事故の後始末の件について特に何か言われた覚えはなかった(この艦で彼と一緒になってから、軍時代の話を聞いたこともまた、なかった>>2:347>>2:394)。 チャンドラからは、あの件は「色々な要因が重なって起きた」>>3:328とだけ聞いている。 この話がどういう経緯で件の元役員へ、母へ、自分へ巡り巡ってきたかは分からなかった、けれど] (366) 2022/07/23(Sat) 17:25:32 |
【人】 メカニック ゾズマそ、っか。そうだったん、だ。 お礼、言わなきゃ――… [あの長い夢の中での“仕事終わり”の挨拶>>4:+61は、艦の事故を取り巻く問題を全て片付けてから、また改めて告げるべきだろう。 では、あれからさらに遠い過去になってしまった、この件の感謝は? 今更といえば今更で、それこそもう蒸し返すこともない過去の話かもしれなかった、けれど。 (その過去の証――義足のことが、まさか賛否両論の材料に使われる>>188なんて自体は想像だにしなかった) 「ゾズマがいて、よかった」>>4:+61と言ってくれたラサルハグに、ペンと便箋で感謝を認めるのは、これよりもっと後の話。] (369) 2022/07/23(Sat) 17:31:03 |
【人】 メカニック ゾズマ[と、ここで――ぷつりと何かの糸が切れたように、母が思い切りぎゅうっと抱きしめてきた。] むぐッ、 ちょ、ママ、苦しい……アタシまだ病人! ホントこういう時、加減、しない…… [母の背中をさすりながら、ゾズマは弱弱しく笑って。 それから、つられたように涙を、嗚咽を零した。] ……うん。大丈夫。 もう、大丈夫だから、ママ。 だからもう、泣かなくて、いいよ。** (371) 2022/07/23(Sat) 17:33:05 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a45) 2022/07/23(Sat) 18:04:45 |
【人】 メカニック ゾズマ【帰還後】 [退院してから暫くの間は案の定、記憶の時間軸も前後してこんがらがっていく程の多忙が待っていた。 艦の整備作業やデータ入力・解析作業、マニュアル文書作成作業のような、同系統の業種を黙々とこなしていくのとは話がまるで違う。脳の多機能をフル回転させなければ片付けられないような“やるべきこと”の多さ! そんな多岐にわたる業務を、ゾズマはアンテナのようには(もしかしたら他の生身の人間のようにも)捌いてはいけない。この多大な負担でもう一度入院する羽目になるのでは――とふっと思う程の多忙だった。] (380) 2022/07/23(Sat) 20:23:30 |
【人】 メカニック ゾズマあーもう、なんでこんなコトになるかなー! はいはいあんこ玉(つぶあん入り)foodと牛丼foodの配達ポチっと! [コールドスリープ装置の故障の件については、アンテナ号全般の整備を担当した整備士として、率直に事実>>1:65を告げた。即ち装置のクローズド部分を知る権限を得ているチームが“やるべきときに、やるべき”整備を怠った結果の故障なのだと。 その結果、『アンテナ号事故の整備士、外部に責任転嫁』という主張がウェブ上で拡散され炎上。 何故か「美人メカニック」というルッキズム的呼称までついてくるという有様で(なお“美人”という自覚はゾズマには全くない)、暫くは各方面の見舞いにすら出歩けないという事態に陥っていた。 ラサルハグの尽力あって公的に責任を問われることはなかったが>>186(ママの見立ては正しかった!)、公的機関の外でとんでもない仕打ちを受けていた、という次第である。 ……これだけの騒ぎになって、よく自身のルーツまで特定されて暴露されなかったな、とは内心密かに思う。 “かわいそうな”にせよ“過激な”にせよ、話題を惹く不要なレッテルを貼られたうえでの炎上騒ぎにならなかったのは、不幸中の幸いだった。] (381) 2022/07/23(Sat) 20:23:40 |
ゾズマは、イラチのメカニックにはあんこと牛丼が効く。 (a46) 2022/07/23(Sat) 20:24:06 |
【人】 メカニック ゾズマ本当マジ、宇宙人類全員、 ボックスドライバーの話でもしてりゃいいのに。 [これが仮に実現すればすさまじい全宇宙洗脳になるわけだが、その辺りは気にしない。 あと多分この「全員」の中に母とアンテナ号クルーたちは含まれてない。 帰還後の何時かに、スピカからさらっと“そういうこと”の相談を受けた際に、視線を逸らした無表情でしれっと返した一言>>78をいま、外のギャラリーたちにまるで呪いでも掛けるかのようにごちていた。 もっともスピカに「ボックスドライバー」発言を返したその時は、ちらっとルヴァの顔を脳裏に過らせつつも「すみません、よくわかりません」的な結論に陥ってしまった故のはぐらかしだったのだけれど。] (384) 2022/07/23(Sat) 20:26:05 |
【人】 メカニック ゾズマ……、どうしてんだろ、みんな。 [帰還後、自分よりも状態の悪かった幾人かのクルーの話は聞いていた。 ラサルハグやアマノ、ダビー、サダル、バーナードについては、特に何か問題があるという話は聞かなかったけれども。 (バーナードの部屋に響く拒絶>>262を、看護師たちは「問題」「悪い状態」だとは話さなかった) メンタルケア用の施設に移ったスピカは勿論のこと、 頭部強打の影響で入院期間が長引いていたゲイザー>>165。 そして記憶の混乱が生じていたルヴァ>>179>>183。 ゲイザーは、本人が入院中に暇を持て余す程度には、そこまで心配するような状態でもなかったけれど。ルヴァは――] あれ。 いつだったっけ、お見舞い、最後に行ったの。 [そもそもこの時、ゲイザーとルヴァはちゃんと退院できていたか――大事なはずの記憶さえも曖昧になっていく、この時の慌ただしさとままならなさ、で。] (385) 2022/07/23(Sat) 20:26:41 |
【人】 メカニック ゾズマ[ところでチャンドラについては――生還している、と伝えられた。 ずっと眠っている状態であり、あとは彼女次第だと。 そう、確かに、アンテナは本当に全員を“生きて還した”。] ……ドクターの、お見舞い、も。 あれ。いつ行ったんだっけ、な。 [ひとつの希望が事実という形で叶った時、さらに希望の連鎖を期待する心と、“でも結局は”という悲観が過る心とがある。 この時のゾズマの中にあったのは、表向きは前者――心の奥底では後者。 ――きっと治る。大丈夫。きっと大丈夫。 根拠のない希望が、曖昧な記憶の中の“自分が修理済みの”医療ポッドの存在も合わさって、頭のうちに響いていく。 故に、この時のゾズマの頭のうちに、チャンドラとの別れのことはない――少なくとも表層上の意識では。] (387) 2022/07/23(Sat) 20:34:29 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a47) 2022/07/23(Sat) 20:43:44 |
【人】 メカニック ゾズマ【1年後】 [突き抜ける程の空の青さが、庭園の花々を光で満たす。 光は、棺に納められたそのひとと白い花の上にも柔らかく落ちる。そのひとが――チャンドラが纏っているのは、4年前のあの頃と変わらない服。 紅を差したその顔は、けれど、4年の歳月だけでないもので老いているようにも見えた。] ……、……。 [“ごめんなさい”、という言葉が頭を過る。 救助された時に彼女がいた医療ポッドに、何か整備上の見落としがあったんじゃないか、とか――。 だがアンテナ号の救出時にあのポッドに特に問題が無かったことは、外部調査の結果でも示されている(アンテナがメンテナンスや調整を行ってくれたお陰もあったのだろう>>249) 自分の仕事が多少なりとも関わっている不幸に対し、自分一人で責を負いたがるメカニックの(ある意味、自意識過剰な)悪癖は、未だに抜けきらない、けれど] (424) 2022/07/24(Sun) 10:03:43 |
【人】 メカニック ゾズマ( ……ごめん、なんて。 きっとドクター、アナタが望まないよね ) [7年前の事故(もう、7年前になってしまった)の話をした時だって――彼女自身が脚を失った訳ではなかったけれど――償われる覚えはないと言われてしまったのだから。 それに、彼女の死を背負い分かち合うのは、一人じゃなくて――] (425) 2022/07/24(Sun) 10:04:02 |
【人】 メカニック ゾズマ[その「一人じゃない」を教えてくれたルヴァは、この告別式に参列していただろうか。 彼が今、側にいなくても、いてくれていても――。 棺の中で眠るチャンドラに、白いカスミソウを捧げた時に。 涙を零し、嗚咽を零し、大きな声で年甲斐もなく泣き出してしまうのは、止めようがなかった。] あり、が、と。 ドクター、 ありがと……ござい、まし、た …… [膝をついて動けなくなってしまうのだけは堪えて、棺の前から歩き出した。 今は眠れるチャンドラの瞳が、あの時、幸せを得た人間のいい顔を映していた>>339なんて思いもしないまま。] (426) 2022/07/24(Sun) 10:04:32 |
【人】 メカニック ゾズマ[さてこの告別式、奇しくも(?)アンテナ号のクルーの同窓会のような形にもなっていた。 とはいえ、あの旅路を共にした全員がここに集ったという訳ではない。 スピカは療養上の事情で、参列していない>>329>>330。 それにキャプテン――アンドロイド・アンテナは――] バーニーに会うの、すごい久々だな。 [それは他のクルーに対しても言えたかもしれない。ラサルハグ>>340にせよアマノ>>320にせよダビーにせよ、あれから無事に退院できたゲイザーにせよ、いつ最後に会ったかの記憶もこの1年間の東奔西走の中でごちゃごちゃになっていた。 (バーナードには本星への帰還>>265>>266という空白期間があった訳だが、その辺りの事情は聞かされなかった) 喪主を務めていたバーナードがアマノに声を掛けられる>>321>>332のが遠目に見えたので、こちらからの用件はひとまず彼らの話が落ち着いてからにした。] (427) 2022/07/24(Sun) 10:07:37 |
【人】 メカニック ゾズマ[アマノとの話がひと段落ついた後>>326>>335(同居の件までは聞き拾っていない)、黒い喪服のゾズマはバーナードにひらりと手を振った。] おつかれ、バーニー。 [自分の死の際には誰にも泣いてほしくないと言っていた>>1:374(結局、ゾズマはこの遺言を忘れてはいなかった)バーナードだったが、彼自身、チャンドラの葬儀の場で涙を零していなかった>>331。 “のんびり屋”の称号以上にぼんやりして見えた彼は、泣けないのか、泣かないようにしているのか。そこまではゾズマには察せられない。この時も、あまりそのことについては気にせずに声を掛ける。] あのさ。アンタに会えた時に 渡しておきたいモノがあったんだよね。 [ゾズマの目は未だ涙で腫れたまま、けれども顔かたちはけろっとした気丈な無表情で。 小さな掌を少し上回るくらいの大きさの、白く四角い紙封筒を、バーナードに差し出した。紙封筒は少しだけ膨らんでおり、月の型がうっすらと紙越しに透けて見える。] (428) 2022/07/24(Sun) 10:08:35 |
【人】 メカニック ゾズマこれさ、ドクターのヘアピン。 キャプテンが着けてたから なんとか回収してきたんだけど―― [こんな、華やかでなくとも丁寧に整えられた見送りの場すら設けられないアンドロイドのことを、少しだけ振り返りながら] バーニー、これ、持っていく? 今日さ、アンタが喪主になってるの見て、 やっぱり、ドクターのこと想ってたんだって 確信できたっていうか、うん。そんな感じだし。 [偲ぶ想いは、艦での日々を共にした皆に通じることだろう。 ここでゾズマが口にするのは、それ以上の想い、だ。] (429) 2022/07/24(Sun) 10:09:13 |
【人】 メカニック ゾズマ[穏やかで幸せだった文字通りの夢の中に、それでも、ぼんやりとしたさびしさと共に残っている記憶。 ひとりきりのふたりきり――そんな感じの、遠目故もあって小さく見えていた背中>>257>>>258>259。 何故か、自分からは近づけなかった背中。そして自分が眠りに就いてしまう頃にも、確かにまだ起きていた背中。] あの人がキャプテンにあげた、ってことは、 多分キャプテンか他の誰かに、このピン、 託したかったんだと思う。 バーニーに持っててほしかったかまでは 判らない、けど――… [そのやり取り>>8を聞いた記憶までは、ゾズマにはまるで無かったのだけれど。 もしバーナードがこれを受け取らない(もしくは、受け取れない)のであれば、その時は自分がこのヘアピンを引き受ける心算だった。**] (430) 2022/07/24(Sun) 10:09:55 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a52) 2022/07/24(Sun) 10:15:48 |
【人】 メカニック ゾズマ【1年後:告別式】 [全員集合の同窓会とまではいかなかったこの告別式に、ゾズマはヘアピンの包みとは別の紙封筒を携えてきてもいた。 これは託し物ではなく、純然たる“手紙”だ。 ゾズマは何故この今時に、通信ではなく古風な手紙を用いたのか。それはふたつの理由から。 一つ目。それは決して返信を急ぐものではなかったから。そもそも返信自体、なくても良いものだったから。 今回の事故以降の“彼”の多忙極まる状況を思えば、事務用件でもないメッセージをわざわざ一つ増やすことは躊躇われた。 そして二つ目。端的に言えば“機密の漏洩を防ぐため”。 通信内容を傍受される可能性はゼロではなかった。こういう時、いわゆる“アナログ”は存外に役に立つ――とゾズマは思っている。 万が一開封されたならば一目でわかる開封痕が残るし、便箋一枚だけを収めた薄っぺらい封筒であれば透視スキャナーを掛けられることも通常は無い。余程何かの密輸やテロ計画に対する厳戒態勢が敷かれているなら話は別だが。 といっても、この手紙に直接的に機密事項を記したわけではないので、この理由は、ちょっとした気分の問題でもあったのかもしれない。] (460) 2022/07/24(Sun) 13:29:42 |
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