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【人】 環 由人[ 次に向かうのは小樽。] わりと離れてるし寝てていいよ [ と断りを入れて、ナビに入れた、 芸術村までの道のりを走り始めた。]* (166) 2020/09/14(Mon) 13:09:18 |
【人】 環 由人なにそれ、バター? [ ピッツァを食べ終わった後、 店員さんに渡されたココットを受け取る 彼の手元をそっと覗き込む。 いつも見るものよりも空気を含んで すこし白い気のするそれと、 彼の顔を交互にみて。] 作ったの? [ と尋ねた。 是が返って来れば、「すげえ」と 小さく落として、口元を緩めた。 どこかでパンでも買うか、そういえば ここにも確か売っていたはず…と 思ったのだけれど、クール便の中に 入れるから、目を眇めてから頷いた。 「帰ってからの楽しみ、増えたな」と わらって、その蓋が閉じられるのを見ていた。] (181) 2020/09/14(Mon) 19:15:23 |
【人】 環 由人[ 次の場所へと向かうまで、 寝てていいよ、と気遣ったつもりなのに、 あっさりと断られて、「それより」と 切り出された話に耳を傾けた。 失礼なあだ名をつけられたといいながらも その表情と声色に滲むのは喜びで。 相槌を打ちながら、なんとなく、 自分まで嬉しくなってしまう。 伝染したのかもしれない。 マリィは子供に好かれると思ってた。 どう接していいかわからない、という 気持ちは己にもわかるけれど、 わからないなりにどうするか、という点で きっと彼と自分ではかなり差が出るだろう。] (182) 2020/09/14(Mon) 19:15:54 |
【人】 環 由人あんたは、面倒見いいから [ まっすぐ前を向いたまま、思い返す。 カウンターの向こう側に立って、 いつも誰かの癒しになっている人。] 楽しかったならよかった、 俺も結構楽しかったよ [ 本音を曝け出すこともできずに、 笑い飛ばそうとしてしまう不器用さ。 夜の公園でぼんやり、ひとりで 悩んでしまうような繊細さも、知ってる。] (183) 2020/09/14(Mon) 19:16:17 |
【人】 環 由人[ だけど家族の話も彼としたことはない。 さすがに、己の実家に住んでいるのだから 己の両親については話しているが、 そう思えば彼についてはなにも 知らないんだな、と思った。 ───あの、茶封筒の話も、結局。 だがそんなことを考えているとは 一切顔に出さないまま、車は走る。] (184) 2020/09/14(Mon) 19:16:33 |
【人】 環 由人[ ちなみに、家族にいいところを見せたい パパたちに混ざって真剣にピッツァを 作っている間そう広くない建物の中に 響き渡った声は、はっきりと、 とはいかずとも届いた。 間違いなく、ドスの効いたそれは 彼の声だったから、思わず ふは、と笑って、そのままくつくつ 肩を震わせて、ツボに入ってしまって 隣にいた参加者のひとに、 「どうしたんですか?」と困惑した 視線を向けられてしまった、 なんて話も続けてしてしまおうか。] (185) 2020/09/14(Mon) 19:17:06 |
【人】 環 由人[ 白銀をひた走る車体。 広くまっすぐな道のりは車通りも少ない。 この寒さだ、人もほとんどいない。 ときどき、前方にも後方にも車が見えず、 対向車も一台も通らない時間がある。 そんなとき、ふと考えるのだ。 もしも、今時が止まったら。 もしも、世界が二人だけなら。 こんな曖昧に乱れた思考は放棄して 今考えてることや感じてること、 曖昧にして気づかないようにしようと していることもすべて、吐き出して しまえたらいいのに、と。] (186) 2020/09/14(Mon) 19:17:38 |
【人】 環 由人[ だけど、時間が止まることはないし、 世界は二人だけではない。 だから結局口をつぐんで、 いえないまま、遠いどこかを見つめて。] (187) 2020/09/14(Mon) 19:18:08 |
【人】 環 由人そうだな、人少ないといいけど [ そう呟いて、走らせた車は、 しばらくあと、青い看板に沿って 小樽芸術村と書かれた施設へと入っていく。 思ったよりも移動に時間がかかってしまって、 そう長居はできそうになかった。 石造りの建物がそびえている。 青々とした芝生があるはずの場所は、 今は白く雪に塗り潰されていた。 昔は小豆を収める倉庫だったという それは、今は美しいステンドグラスを 展示する美術館になっている。 芸術村には三つの建物がある。 全てに入れるチケットも売っていたが、 すこし迷って、それから、 ひとまずステンドグラス美術館を見て、 それから時間がありそうなら他のを、 という話になった。 チケットを購入して、建物に向かう。] (188) 2020/09/14(Mon) 19:18:28 |
【人】 環 由人[ 一歩中に入ると、どこか荘厳な雰囲気で。 暗い室内に、美しいステンドグラスが 浮かび上がるように展示されていた。 実際に教会で展示されていたという それらが、この遠い東の異国にある 北の大地の小さな建物の中で、 美しく光り輝くだなんて、 誰が予想したのだろうか。 見事な芸術に、息を吐く。 そっと、彼の手を取った。] (189) 2020/09/14(Mon) 19:19:21 |
【人】 環 由人───……きれいだな [ 呟いてから、力を込める。 結婚式も行われるらしいこの場所に、 今、ふたりで立っている。 不思議な縁で、名前のない関係。 それに名付けるのが怖い。 踏み込むのが怖い。 失うくらいならば、進まないほうが 触れないほうが、閉じ込めたほうが、 きっと、そのほうがいいと思ってた。 開きかけた唇を、閉じて。 瞬きを数度かさねる。 息を吸った。] (190) 2020/09/14(Mon) 19:19:44 |
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