【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[肉が欲しい、なんて不思議なリクエストだったけど 望み通りにソーセージをたっぷり入れた ナポリタンにしてやろう、と 長い尾をしゅるり、と引きずりながら 奥へと引っ込んでいくのだった。 下半身が蛇であること、別に隠しちゃいない。 たまに失礼な輩から「異形」と言われるけれど 此方からすればこれが通常なわけで。 そうして湯気の立つひと皿を 青年の前に持ってきて───── 無邪気な笑みを見たならば>>36] きしし……ごゆっくり。 [そう、また尾を揺らすのだ。] (74) 2020/09/13(Sun) 8:47:18 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[けれども、それからしばらくの後 フォークが床を叩く音に顔を上げれば そこにいたのは無邪気な青年じゃなく さっきよりグロッキーな顔した男>>48] 個室使うのは大丈夫スけど…… アンタ、本当に大丈夫ッスか? 顔色、すげえ悪いけど……。 [調子悪いならちゃんと言うんスよ、と きちんと言い含めた上で 個室に消える青年の背中を見守るだろう。 何度も読み返した万葉集も 一句一句、頭の中を滑っていく。] (75) 2020/09/13(Sun) 8:47:54 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[まあ、ここは漫画を読むために オーナーが作った空間ではあるけれど、 休みたい人は休むだろうし ただ友達と語らいたいだけの人もいる。 何処でどう過ごそうと、自由な空間。 ─────ああ、だけど、ご覧! ここにある一冊一冊は、 君を決して孤独にしない! アルバイトがかつて「客」として この店を訪れた時に出逢った本のことは 今でも鮮明に覚えている。 ろくな娯楽もない世界でただ真面目に 与えられた課題をこなすだけだった男の前に ある日突然この店は姿を現して たくさんの本で男を魅了したのだ。] (76) 2020/09/13(Sun) 8:48:19 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[これだけある中の一つくらい、 俺だけのものにしたっていいだろ? ─────そう思って、漫画を一冊、 ジャケットの内側へと忍ばせた。 あの日から男はずっとここに居る。] (77) 2020/09/13(Sun) 8:50:44 |
【人】 やる気のないアルバイト でゅーーす[本当に、ここにはたくさんの本がある。 そこには描き手の描いた空想や思想、 誰かに分かってもらいたい気持ちが 所狭しと店内を埋めつくしている。 たったひとりぼっち、空腹に耐えて それでもより良く生きようと 足掻いて生きようとした異形の者の物語も もしかしたら─────? カウンターへと戻ったアルバイトの目に 棚から一冊転げ落ちた漫画が止まる。 『ポーの一族』と書かれたその漫画を 棚に戻すと、男はまたカウンターでとぐろを巻いた。]* (78) 2020/09/13(Sun) 8:51:37 |
【人】 科学者 アーニャふぁぁぁぁ……あにゃ [欠伸が漏れた。 助手の動作テストやら助手以外の研究やら やりたいことは沢山あるが――、 どれも期限が存在しないと思えば 肉体の欲求を優先することにする。] (79) 2020/09/13(Sun) 12:45:27 |
【人】 科学者 アーニャ[読み手のいないレポートは 後でゆっくり纏めれば良い。 背凭れに預けていた身体を起こし 両腕を広げた。] ボクはお昼寝……じゃない 仮眠をとることにした 隣の部屋のベッドに運んでくれ給え えっとね、お姫様抱っこでだぞ! [助手に軽々と抱え上げられ腕の中に収まり 人肌と同じに作った熱に包まれれば 猫のように目を細くして運ばれる。 良いものを得た。] (81) 2020/09/13(Sun) 12:46:10 |
【人】 科学者 アーニャ[誰も、小さな科学者の言葉を信じなかった。 高名な科学者であった両親を含めて、誰一人。 廊下の窓は外に通じているが 惑星中に蔓延した毒が入ってこないよう 分厚いシャッターで塞いであり薄暗い。 助手の規則的に動かされる靴底だけが音を響かせ] (82) 2020/09/13(Sun) 12:46:24 |
【人】 科学者 アーニャ[ヒーターで作り出した人工のものとはいえ 、、、 記憶にある限り初めての人肌の体温は 酷く安心を覚えるものだった。] ぁ……むにゃ…… [ただ睡眠を取るためだけに作られた 生活感の低い白の部屋。 ベッドに下ろされたときにはもう 半分以上眠りの世界に旅立っていた。**] (83) 2020/09/13(Sun) 12:47:02 |
【人】 マリィ[一番拒まれたくない人に去られた衝撃は ゆっくりじわじわ、ざわつく心に染みていって] ─────は、 [自嘲の笑みが、零れた。 由人が帰ってきた頃には、ソファーの上に でかい図体を丸めて寝ているアタシがいるでしょう。 寝るには狭い座面に、 人と分け合える空間なんかない。 だけど朝が来れば由人は何事もなく お店に立つでしょうし、アタシも同じ。 家に帰れば何も無かったみたいに 「まあ相変わらず茶色い食卓ね!」なんて 褒めもせずにご相伴預かるのよ。] (85) 2020/09/13(Sun) 13:07:15 |
【人】 マリィ[結局、シェアハウスの話をしに 営業マンは時折店に顔を出すから 毎回曖昧に答えて終わる。 いっそ「じゃあ機会があれば……」って 引いてくれてもいいのに。 それを見たお店の子にも 「ママ、これ今誰も幸せにならないパターンよ」って 目も合わせずそっと囁き落とされたりして。 アタシは聞こえないふりして OLちゃんの愚痴に相槌を打つの。] (86) 2020/09/13(Sun) 13:07:44 |
【人】 マリィ [例えば───── 「美味しい」って言っちゃったら 由人はきっと嬉しいでしょう? あの無愛想な顔に笑みっぽいのを浮かべて 耳の端とかちょっと染めちゃったり、ね。 それを毎日言って、 ある日突然アタシが消えてしまったら その後どうやって生きていくのよ。 「愛してる」って言っちゃったら 由人はなんて言うかしら? キスは受け入れてくれたけど 結局、ダメだったじゃない。 アタシは何言われても平気。 そう、言い聞かせているうちは。 ……だけど、人間だから傷付くし血も出るわ。 もし「無理」って言われたら アタシこの先どうやって生きていけばいいのよ。] (87) 2020/09/13(Sun) 13:08:45 |
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