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【人】 旅人 J[元婚約者の名は、ロジェ・ド・メーストル。 祖国の大半の土地は、その男の手中にあった。 一人で持つには余りに広大な領地。 ボードゲームを楽しむかのように 領主の一人娘と七度の結婚を経て支配地を広げ 妻は皆、20半ばを迎える前に亡くなっている。 欲の尽きぬ男。 大領主であり、魔術師であった。 国は、彼の毒に冒されている。] (93) 2022/03/16(Wed) 13:57:12 |
【人】 旅人 J[狙われた領主達は、気付いていない。 男児を得ると皆流れるか 幼くして亡くなってしまうことの奇妙さに。 そうして漸く得た娘を妻の変死が続く男へ 嫁がせることに、抵抗を覚えることもない。 どちらも出来ないのだ。男の術がそうさせる。 ともすれば、 年齢すら人としての常識を超えている筈だが 大領主には疑問を抱くことも土地のものには出来ない。 外部の者が調べようとしても、 ヴェールがかかったように 大領主の周りだけが不鮮明であろう。 魔術に長けた者が見たなら、或いは……。] (94) 2022/03/16(Wed) 13:57:40 |
【人】 旅人 J[娘は魔術師ではないが、ある種特別だった。 鉛色の瞳は、無垢で、魔術の類を通さない。 隻眼となり半減しているものの それは、ギフトである。 誰もが受け入れている虚構ではなく ただ一人真実を、事実だけを見ていた。 だが、愚かであった。 悪魔のような男に嫁がせると言った 両親の言葉をそのまま受け入れた。 娘は、親の言いなりだ。 互いの景色が異なっていることに気づかない。 効果はそれだけではないが……、 旅の中、何度ギフトによって 助けられたかも理解していない。] (95) 2022/03/16(Wed) 13:59:07 |
【人】 旅人 J[事件の日。 大領主はほんの気まぐれにアンペールの屋敷を訪れた。 成人を待つという約束も男には意味がないものだ。 花を摘むより容易く婚約者の寝室へ忍び込んだ男は、 そこで漸く取るに足らぬ女の特異性に気が付いた。 それから────……] (96) 2022/03/16(Wed) 13:59:38 |
【人】 旅人 J[想う相手に顔の疵の話は憚られるが 彼とどうにかなりたい訳じゃない。 子供を宥めるように優しく頬を撫でてもくれた 彼の立場を悪くするような存在にはなりたくない。] ……ご確認、なさいますか……? [隻眼が上目に不安げに見つめる。 進んで見せたいものではないが 彼の邪魔にならぬためならば吝かではないのだ。 今より上手く傷を隠す方法だとか、 彼なら知っているかも知れない。 求められれば自ら捲り上げるつもりで訊ね答えを待つ。*] (98) 2022/03/16(Wed) 14:05:28 |
【人】 旅人 J──>>97と>>98の間── [自分の隠した右目。>>91 今日は5人の商人と会ったが そのどれもで余り気持ちの良くない目で見られたのは この眼帯で隠す目の所為だったのだろうか。 不気味な女を商談の場に連れるなと 自分の目の届かぬ所でお叱りを受けたのだろうか。 それはとても申し訳のないこと。] あ、の……っ御免なさい…… こちらの目は、怪我をしているの 酷く醜くて、気持ちの悪い状態だから 隠しているわ…… 見えたら気分が悪いはずよ [一つ目の屋敷の後の会話では 特に言われなかった。 最後の屋敷の商人からの指摘だろうか。 直接謝罪しに行くべきかと焦り早口に話した。] (99) 2022/03/16(Wed) 14:08:37 |
旅人 Jは、メモを貼った。 (a0) 2022/03/16(Wed) 14:17:23 |
【人】 商人 J[ 本当に何の因果だろうか。 それとも、因果ではなく必然なのか。] ええ、見せてください。 もしも貴方が嫌でなければ。 [ 男は試す様に女にその醜さを曝け出させる。] 傷ならば治せるかもしれません。 そうでなくとも、それを見て気分を悪くするなどと。 そのようなことは決してないと約束しましょう。 [ 頬を撫でる指が冷たく硬い眼帯の縁をなぞる。]* (100) 2022/03/16(Wed) 17:40:58 |
【人】 旅人 J[そこには、左目を中心にして額から頬に至る Xの形に刻まれた大きな傷痕があった。 目は開かれており、右目よりも色が薄い。 いまは光を失っており 焦点など合うはずもないその目には 虹彩 どころか脳 に至る深き損傷によって後天的な虹彩異色症が表れていた。 そしてその肌の傷は、瞳は、 一秒ごとに元の姿と機能を取り戻そうとしている。 よく観察したならそれがわかるかも知れない。] (102) 2022/03/16(Wed) 19:06:21 |
【人】 旅人 J[自己再生能力。 精神に働きかける系統の術への対魔力と それこそが娘に与えられたギフト。 女自身が見てくれへの関心が低いために 眼帯の下はごく緩やかに治癒が進んでいた。 今は視線を受ける意識からやや活発化しており 死に至るほどの損傷には立ち所に発揮される、 そういったもので。 女は自覚無しに一度死の淵から戻ったことがある。 不死ではない。痛みも苦しみもある。 だが女が病気や外傷では 簡単には死ねないことを意味していた。] (103) 2022/03/16(Wed) 19:11:53 |
【人】 旅人 Jこれでも少しは治ってきたのだけれど…… [何の跡もない前髪の生え際を摩る。 大凡自然治癒する程度の傷ではないものを 当たり前のことのように漏らす。 見えないが布の巻かれた指の傷は跡形もない。*] (104) 2022/03/16(Wed) 19:14:01 |
旅人 Jは、メモを貼った。 (a1) 2022/03/16(Wed) 19:16:57 |
【人】 商人 J[ それは眼帯の奥から現れた。 斜十字に切り裂かれた傷、光を失った瞳。 それを元に戻そうと蠢くそれは男の想像以上におぞましく醜かった。] 元に……戻るのですか? [ 美を損ねる程度の傷であれば治してやることも考えた。 だが、その傷は思っていたよりも遥かに深く、死に至っていてもおかしくはなかったと想像させる。] 痛みは? 私の顔は見えていますか? [ 頬に触れ眼帯をなぞった指先が再生を続ける瞳に触れるか触れないか、その際まで伸びる。] (105) 2022/03/16(Wed) 21:02:22 |
【人】 商人 J[ ─── アンペールの魔女。 男の脳裏に浮かんだ言葉、それはどこかで聞いた大昔の話。] 不躾なことをしました。 レディに傷を晒せなどと。 [ 指を離すともう一度だけ女の頬を撫でた。] これは……私と貴方だけの秘密としましょう。 [ 男は驚きと共に歓喜した。]* (106) 2022/03/16(Wed) 21:03:57 |
【人】 旅人 J[二人だけの秘密。こくりと頷いた。 心を擽る言葉も、何度聴かせてくれただろう。 優しい彼の声色が好き。 前髪を下ろし、右目を隠して。] ……あの。今日じゃなくても良いのだけれど [歯切れ悪く言葉を発する。 自分が見せたばかりで言うのは、ずるくないかしら。 断りにくくはないかしら。 そんな風に躊躇いながら続けた。] (109) 2022/03/16(Wed) 21:52:54 |
【人】 商人 J[ 女の願いは予想できたことだった。 以前から女が自身の目を覗き込もうとしてたのはわかっていた。] 私の目、ですか? 特に面白いものではないですが。 [ 緩慢な動作。 眼鏡の左右両方フレームを掴んでゆっくりと外した。 現れたのはやや細く引かれた目だった。 その奥にあるのはどこか無機質な瞳。 瞳孔が開いたまま動かないのがそう見せるのかもしれない。 眼鏡の外に見えていた刺青は、目を縦に切り裂くように描かれていた。] (111) 2022/03/17(Thu) 0:18:50 |
【人】 商人 J視力はほとんどありません。 この距離で貴方の美しい顔も見えない。 [ 外した時と同じように緩慢な動作で眼鏡をかけ直す。 急激な視界の変化で少しだけ頭痛がする。] これで貴方の顔もハッキリと見える。 [ 薄い笑みが僅かに微笑みへと変わった。] (112) 2022/03/17(Thu) 0:19:06 |
【人】 商人 J[ そうしていると何かが窓を叩く音が耳に届く。 男は女を手で制すると、叩かれたらしい窓を開けた。 すると、そこにいたのは一羽の黒い鳥だった。] ご心配なく。 私の鴉です。 [ 男は鳥な頭に指をかざす。 鴉は魔法を使ったメッセンジャーであり男に伝言をつたえていた。] ……目当てのものが見つかった様です。 [ それは女にとって吉報であり、凶兆であった。] (113) 2022/03/17(Thu) 0:19:23 |
【人】 商人 J近々オークションが開催されます。 どうやらそこに出品されるらしい。 [ それこそケリオス商会の催す闇オークションであり、出品者はこの男自身に他ならないのだが。] 青の宝石を抱く翼のブローチ。 今度こそ当たりの様ですね。 [黒い鴉が翼を大きくはためかせて飛んでいった。] (114) 2022/03/17(Thu) 0:20:08 |
【人】 商人 J[ 男が女に伝えたのはオークションの開かれる場所と日時。 それは契約者の期限となる最後の日で、場所はスラム街の一角であった。] どうします? 私に任せますか? それとも一緒に行きますか? [ 男は薄笑みのまま女を見つめていた。]* (115) 2022/03/17(Thu) 0:20:40 |
【人】 旅人 J[彼は想像よりあっさりと了承してくれた。>>111 こくこくと頷き、本当に良いのと、 ドキドキ鳴る心臓を抑えながら待つ眼前で ゆっくりと、眼鏡が外されていった。] ……。 [その動作に僅かに引っ掛かりを覚えつつも、 晒してくれた彼の素顔に……、目が釘付けになる。 やや細めに開かれた目の奥に無機質な宝石。 自分にはとても優しいのに少しだけ冷たい印象。 眼鏡の下に見えていた刺青は 真っ直ぐに瞳の上の瞼まで伸びている。 少し、傷のある自分の右目のようだと思った。 ええいえ、彼の方がずっと綺麗だけれど。 その退廃的な美しさも眼福だがそれよりも。 これがすきなひとの顔なのだと感動した。] (116) 2022/03/17(Thu) 7:32:15 |
【人】 旅人 J[眼鏡を掛け直す動きもまた ゆっくりとしたものだった。>>112 自分の眼帯は見る人を怖がらせない為だが、 眼鏡は、彼の目を守ってくれているもの。 それに漸く気付いて、我儘を言ったことを悔いた。 だけど、伝えるのは謝罪ではなく礼にしておこう。] ……っう、うつくし……っ? あ、あわ、あの……その、ありがとう…… お顔を見せてくれたのも……感謝するわ 貴方こそ……とても美しかったわ。いえ、美しい…… [彼に容姿を誉められたのは、記憶の限り初めてで、 動揺して吃りながらそれにも礼を言った。 彼の口許の微笑みが眩しい。 眼鏡の奥ではあの瞳をきっと、細めているのかしら。] (117) 2022/03/17(Thu) 7:33:19 |
【人】 旅人 J[旅の終わりが近い。 それは、きっと良いことだ。 家族が帰ってくることはないけれど 資金が尽きて品も見つからず 宙に浮いたままになるよりは、きっと。] (120) 2022/03/17(Thu) 7:34:58 |
【人】 旅人 J[伝えて貰った場所と日時を記憶する。>>115 契約書の期限の最終日。 支払いは待ってくれると口頭では聞いたから 万が一資金が足りなくても大丈夫だわ。 スラム街という場所はやや危険そうだが 旅で自分の身を剣一つで守ってきた自負がある。 そして何より、彼が守ってくれる。 彼がいれば心配も不安も要らないの。何もよ。>>79] 行きたいわ、一緒に…… どうか連れて行って下さい [私の探し物だから、真贋を見極めるのも私。>>78 それだけでなく。貴方と共にありたいの。 闇夜を強く羽ばたく鴉のように有能じゃない。 何色にも染まる、何者にもなれる真白の雛鳥は。 白も黒も併せ持つ灰色の貴方についていく。] (121) 2022/03/17(Thu) 7:42:50 |
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